嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2006年04月

住友化学で多くの派遣社員が正社員になります。

字が大きくなりました。おすぎさん、うっちさん、ちょっと改善されましたかしら。

まず、「ヘぇ〜」というニュースから。

 

2006年1月1日のブログにキャノンの派遣社員のことを書きました。もう一度簡単におさらいします。

 

「派遣労働者10年使用」
 キャノンが30代の女性派遣労働者を労働者派遣法で定められた期間を超えて10年以上雇用したとして、東京、神奈川労働局から管理体制を見直すよう行政指導を受けていた。
派遣法では、事務作業など「一般業務」で働く派遣労働者を最長3年を超えて受け入れる場合、派遣企業はその労働者に対し直接雇用するよう申し入れをしなければならない。この女性は「OA機器の操作」などの「専門業務」に従事する契約を結んだ。専門業務は派遣期間に制限はないが、この女性の実態は正社員を補佐する一般業務が多かった。

ここまでがおさらいです。

結局キャノンはこの女性を正社員として採用しました。

 

 そして、「へぇ〜」の話です。

この記事を読んだ住友化学のYさんは、自分の勤めている会社にもこのような働き方をしている派遣社員が多数いることに気が付きました。住友化学には内部告発をする前段階での相談するための「スピークアップ制度」というものがあります。内部告発というのは、「会社のこういう点が問題であると思うので、私はこのことをしかるべき官庁等に会社名を出して質問しますよ」とか「世間に公表しますよ」とかいうものです。だから彼女は会社の「スピークアップ制度」を使って、社内告発をすることを会社に知らせました。ところが会社は「当社に違法派遣はありません」と回答してきました。さらに会社は「スピークアップ制度は個人名をあげて、この人が違法をしていると告発する制度なので、個人名をあげてください。」と主張しました。彼女はとても困りました。なぜなら、派遣社員の個人名をあげると、次回の更新時にその人が更新拒否をされる恐れがあるからです。弱い立場の派遣社員を守りきれないので、彼女は会社のその後の動きを見ていました。もちろん彼女は組合にも相談したのですが、「派遣社員は組合員でないので動けない」と力にはなってもらえませんでした。ところが今年の7月付けで、3年を超える派遣社員が、彼女が知っている限り全員正社員になる事がわかりました東京本社では昨年の4月より、順次派遣社員を正社員に変更していましたが、大阪本社は一部の人のみでした。これで、合計60名位が正社員になった、もしくはなることになりました。
この流れが子会社にも波及し、子会社の3年を超える派遣社員も正社員になることになっているそうです。
住友化学は、派遣社員を正社員にするにつて、理由として次の点をあげています。

 技術の伝承ができないこと…会社自体が、合併や分社化でシステムがころころ変わり、前のシステムも必要だが、新たなシステムも取り入れるので、結局何種類ものシステムを知っていないと事務処理できないことが多くなってきている。だから、期間の定めのある派遣社員では技術の伝承はできないということに会社は気が付いたということでしょう。

 

この正社員になった人たちの賃金が、いくらからスタートするかは不明です。もしかしたら、今の派遣社員の賃金の方が高いかもしれません。でも、次回の契約更新に脅えながら働く有期雇用よりも、長い目でみれば精神的安定は計り知れないものがあります。もちろんボーナスも保障されます。

 

なぜ彼女は、自分にも火の粉が降りかかるかもしれないことをやってのけたのでしょうか

一つには、彼女が住友化学の女性差別に対して裁判を起こした原告だからということが言えます。

でも、大抵の人は、自分の立場の安定があればことさら波風を立てるようなことはしません。

ここにYさんのすごいところがあります。

彼女はこう言っています。

「世間一般では、まだまだ、3年を超える契約更新時には更新しない会社が多い中、住友化学は例外かもしれませんが、元原告という立場が少しは、役にたったかなーと思っています。」  

本日の授業は前回のセクハラ裁判の続きなのですが、報告すべき事項がたくさんありますので、いったん今日のブログはこれで終わります。

 

次回、参議院で今、審議されている「均等法」についての報告と、住友金属訴訟の勝利和解について、早い段階でブログ投稿します。

セクハラ裁判勝利和解

さて、またまたのご無沙汰です。何度もブログを書きかけては中断しました。まあいろいろとあった訳です。

最初の書き出しは次です。

雨続きで、蹴上の疎水の桜はやや色あせてきました。

前回のブログに蹴上の桜を書いてから一週間もたたないのに、ホント日々は早く過ぎていきますね。もうお花見に行きましたか。私は近々、三井寺の桜を見に行って、お団子を食べようと思っています。

2回目は、京都高野川へお花見に行きました。花の下で宴会をしました。一品持ち寄りの、電車で知り合った外国人も参加しての楽しいひとときでした。

3回目は今日です。今朝の新聞に唖然としました。

「東京都教育委員会が、都立学校の職員会議で先生たちの挙手や採択を禁止した。」

これについてはまたいつか書きたいと思います。

 

 さて今日の授業は「セクハラ裁判」についてです。まずは新聞記事を引用しましょう。(朝日新聞 200641)

 

セクハラ訴えたあと解雇」主張 公益社、女性と和解

 

職場で受けたセクシャル・ハラスメントを社内のセクハラ委員会に訴えた後に解雇されたのは不当だとして、大手葬儀会社「公益社」(大阪市)に勤めていた女性が同社を相手取り、解雇無効の確認と慰謝料など約800万円の賠償を求めた訴訟が、大阪地裁で和解していたことがわかった。同社が解決金として550万円を支払い、女性側は雇用契約終了による退職だったと確認することで合意した。訴えていたのは平山みどりさん(37)。訴状によると、平山さんは026月から、同社で遺体修復などの専門技術を持つ米国人従業員の通訳をしていたが、勤務中にこの米国人からの繰り返し体を触られるなどした。平山さんは038月にセクハラ委員会に相談したが、「事実確認できない」と回答され、同12月に解雇されたと訴えていた。公益社側は一貫して「セクハラにあたる事実はない」と反論した。平山さんは「セクハラを受けても泣き寝入りする人が多い。被害者が声を上げ、問題にすることの大切さを示したかった」と反論している。

 公益社の話:意見の行き違いがあり、訴訟になったが、お互い納得のうえで和解した。

 

 さて、この記事からでは分かりにくい点を解説していきましょう。

まず、平山さんは2つの点で裁判を起こしました。

一つはセクシャル・ハラスメント

もう一つは解雇無効です。

 

まずセクシャル・ハラスメントから。

 ☆結局、直接セクハラをしたアメリカ人はアメリカに帰っていますから、一度も裁判に来ませんでした。彼が本当に無実なら、怒り狂って出廷するでしょうね。同僚は彼女がセクハラされていると証言しています。だからこのセクハラは会社に対しての訴えになりました。

 

均等法に次のような条文があります。まず条文を読んでください。

改正(1997)均等法21条は、
「セクハラに関し
「職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮」を規定し、企業が雇用契約の付随義務として、職場にお いて女性従業員にセクハラが生じないよう配慮すると同時に、それが生じた場合には迅速・適切に対応すべき義務を定めています。

また、この均等法に基づき労働省の指針も定められ、企業に対して職場でのセクハラにかんする方針を就業規則などで明らかにし、従業員に対してその方針を知らせ、更には、セクハラに関する相談窓口を設け、相談や苦情に適切に対応することが 必要だとしています。」

 では具体的に企業は何をしなければならないのでしょうか。

均等法 セクハラ」とインターネットで検索してみると、例えば京都府女性政策課が発行している「KYOのあけぼの」に次のように出ています

会社は相談窓口を設け、相談や苦情を適切に対応するセクハラへの企業の取り組み

  企業のトップ経営者がセクハラ防止の認識をもつこと、役員は率先して防止の指示をし、管理職の職務として明示すること

  • 組織の方針を明確に打ち出し文書化しておくこと
  • 各職場の実態把握に努めること
  • すべての従業員に対するセクハラ防止のための研修を行うこと
  • セクハラに関する相談窓口を設け、中立的な専門家が相談にあたり、必要があれば社外の専門家を紹介すること

 

 裁判の経過のなかで、会社の対応が次々と明らかになりました。

・当のアメリカ人にセクハラの事実を確認した人は、殆ど英語力のない人でした。もちろん当のアメリカ人が認めるわけはありません。こんな微妙な内容を、仮に相手が日本語ができたとしても、自分のやったセクハラ行為を一回の聞き取りだけで「イエス」と認めるとは思えません。

・彼女は会社のセクハラ委員会に訴えましたが、実は会社は「KYOのあけぼの」に書かれているようなセクハラ対策をとっていませんでした。名前だけだったのです。

 

セクハラに対しての裁判所の判断は慰謝料というかたちで示されました。日本のセクハラの慰謝料は小額です。彼女の弁護士は次のように述べています。

セクハラの被害が甚大であればあるほど、精神科で治療を要するなどもあり、同じ職場で働き続けることはとても困難です。とりわけ非正規雇用の場合は、雇い止めの不安から仕事を失いたくなくて申し立てできずに我慢している間に、どんどん被害が深刻になっていくケースもある。

 

平山さんはセクハラで訴訟を起こしたことに対して次のように述べています。

・セクハラを会社に訴えることで、噂になるのではないかというおそれがあった。

・嫌なことを忘れてしまいたいという気持ちと、裁判での証言のためには過去を思いださなければならないというはざまの苦しさ。

 

ちょっと長くなりましたので、もう一つの争点の解雇無効については次回のブログに回します。

では今日の授業はここまで。

非常勤公務員再任用拒否は無効の判決

ようやく桜が咲き始めました。
今日(おっと昨日です。もう日付は変わりました)蹴上の疎水の桜を見ました。朝からの雨で幹や枝が黒々としていて、桜のピンクがさらに美しかったですよ。でも滋賀県の桜はまだまだこれからという感じですね。
さて、前回のブログで「画期的な判決が出た」と書きました。今日はその内容からです。まずは新聞から転用します。(朝日新聞2006年03月24日)
「非常勤公務員の再任拒否は無効」東京地裁が初判断
任期付きで国立研究施設に採用され、13回の更新を繰り返した非常勤職員(39)が14回目に一方的に再任を拒否されたのは不当だとして、国(現在は民間法人)を相手に職員としての地位確認と未払い賃金支払いを求めた訴訟で、東京地裁の山口均裁判官は24日、職員側の主張を全面的に認める判決を言い渡した。
労働問題に取り組む弁護士グループによると再任拒否された任期付き公務員の地位確認が裁判で認められたのは初めて
原告代理人の弁護士は「非常勤公務員の立場に理解を示した画期的な判決」と話した。 原告は89年に国立情報学研究所(現情報・システム研究機構)に任期1年で採用され、更新を繰り返した女性。04年の民営化を前に03年3月、再任拒否された。  民間では「次も更新できる」という期待がある場合の一方的解雇は「権利乱用や信義則違反にあたる」とのルールが確立しているが、公務員では任用側の裁量が民間より大きいとして認められてこなかった.
判決は「更新を重ねるたびに増す愛着を職場に生かす重要さは同じ」と述べ、特段の事情がある場合は更新を拒絶できないと判断した。
民間での判決は1974年7月22日東芝臨時工最高裁判決での「期間の定めがあっても、契約が形式的なものであり、何回も更新されていれば期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態にあり、正当な理由なく雇い止めできない」が判例になっています。それに比べて、非常勤公務員は公務員法の適用により、民間とは異なる解釈をされていました。2004年4月にそれまでの国公立大学は国立大学法人となり、そこで働く人々は公務員でなくなりましたから、この訴えはそれまでの国立の組織に属していたときの訴えです。
今までの授業で民間で働く非正規労働者の問題を取り上げてきましたが、大学等で働く非常勤の人々の実態は民間ほど伝わって来ない分、かなりの問題を抱えているそうです。現に私の知り合いの40歳の女性は、ある私立大学で非常勤講師をしていますが、とても年金の掛け金を払う余裕はないし、今更掛けたって、受給の期間を満たさないし、来年も講師として働けるかとても不安だと言ってました。ずっと研究してきた人なので、語学はできても、今までの研究を捨てて民間で働くのはとても難しいことです。
今日の授業はここまでにします。
調査に協力してくれた人の中に、確か市役所で働いている人がいましたね。市役所の臨時職員の雇用について、コメントくれると実態がよくわかるのだけれど。でも、読んでないかもしれませんね。 
次回授業で、以前「セクハラ裁判の原告が大津商業の卒業前の3年生に話をしてくれた」ことを書きましたが、その裁判の和解が成立したので、そのことを書きます。
久しぶりにコメントがありました。このハンドル・ネームは一体誰だろう?
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