嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2006年06月

夏になってきました。

最近はこの暑い夏に学園祭をする高校が殆どです。秋風の吹く二学期に実施するのが望ましいのだけれど、大学等の入試時期が早まってきているのもその一因。少子化で生き残りをかけている大学等は早く学生を確保したいというわけ。同じく企業の採用開始時期もどんどん早くなってきている。10年前に比べて、大卒生の3年以内の離職率が10ポイントも増加したとか。なにやら生き急ぐ感がします。

 

では今日のブログは「岡谷鋼機訴訟」について。

 

これも実に長い裁判でした。

名古屋地裁に提訴したのが19951222

原告は岡谷鋼機に勤務していた藤澤真砂子さん(93年に退職)と光岡美代子さん(現職)

被告の岡谷鋼機をインターネットで検索したら、次のような会社紹介がありました。

(資本金91億、鉄鋼商社。名古屋が本社で国内事業所29、海外拠点13カ国31事業所、滋賀県にも営業所がある)

 

今年の採用情報もちょこっと見てみよう。

総合職は中途採用だけで、それも海外駐在の経験のある人のみ。

新卒は事務補助で契約社員のみの募集、期間は5年間。

 

この会社はどうも事務の正社員は採用しないようですね。裁判で訴えられた後に、女性の正社員を採用しないというケースの典型です。

 

 訴訟内容:(中日新聞からの抜粋)

 二人は一般職として入社し、男性と同じ仕事をしていたが、賃金は男性と女性で大きな格差があった。1988年に導入されたコース別雇用制度により、男子一般職が総合職へ、女子一般職が事務職へ自動的に振り分けられ、男女差別が固定化された。二人は強制的に事務職にされ、総合職と同じ仕事をしていても、賃金や昇格で大きな差別を受けた。これらは法の下での平等をうたった憲法14条や労働基準法、民法の民法第90 (公序良俗「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」)に違反するとして、光岡さんは同年齢の男性総合職の地位と、管理職2級へ昇格させること、3年間分の差額の賃金の約1400万円。藤澤さんは一年間の差額の賃金と退職金の約3200万円とそれぞれに慰謝料500万円の支払いを求めた。

 

(他の記事では《藤澤さんは退職した時点で同年齢の男女差は、総合職男性の本俸527300円に対して事務職女性の本俸は303,300円で、これは28歳の男性とほぼ同額。本俸の10%の調整手当てなど各種手当てにも差がある》と出ている)

 

これに対して会社側は裁判の中で次のように反論した。

原告が入社した当時は、一般事務は女性の仕事というのが社会一般の状況であり、男子一般職と女子一般職の賃金の区別は、男女差別ではなく、業務内容の違いに基づいていた。総合職や事務職への移行は、業務の違いを引き継いだだけ。コース別移行後の二人の事務職としての仕事も、判断業務をする総合職とは異なり、総合職の指示でその手足となって補助することだった。賃金差別は男女差別とは何の関係もなく、会社男女差別は存在しない。

 

そしてなが〜い、なが〜い裁判が続く。

 

20041222日名古屋地裁判決

99年の男女雇用機会均等法改正後も男女のコース別人事を維持したのは違法。しかし、旧均等法は性差別しないことを努力義務にとどめており、違法とまではいえない」として、光岡さんに慰謝料550万円を認め、総合職への転換、差額賃金の支払いの請求を棄却。藤澤さんについては、99年以前に退職したことなどを理由に請求を退けた。

 

原告・被告ともに控訴

2006320日第一回口頭弁論の後、和解成立

 

和解内容

光岡さんを今年6月に総合職にすること。

会社側は二人に和解金1000万円を支払うこと。

 

裁判の意義

現職3名と退職者1名が証人になったこと。

(特に現職の人は、仕事をしながら原告側の証言をするのは勇気が要ったことでしょう)

裁判中に総合職になった人が二人

 

問題点

このブログの最初に書いたように、今年の岡谷鋼機の事務職の女性11名全員が3年の契約社員での採用。(会社は何ら教訓を得ていない。)

裁判中に総合職になった人が二人。しかし、賃金が事務職であったときよりも下回った。

(なぜと不審に思う人もいるでしょう。説明すると次のようなことです)

事務職20年の人が到達していた給料が仮に25万円とする。彼女は事務職から総合職になったから総合職の給料表の最初からスタート。大卒22歳総合職の初任給は会社採用案内によれば20万500円。要するにこの額からスタートということです。

 

京ガスの屋嘉比さんのことをブログで書きました(2006315日・25)。しかし、和解後も待遇・賃金ともに何ら変化なしとのことです。「どんどんと勤労意欲が減っていく」と彼女は言ってました。この会社は屋嘉比さんの働きがなかったら成立しない会社のようだと以前のブログに書きました。会社を例えるのなら、自分の足を食って一時満腹感に浸っている蛸のようにも見えます。

 

このブログを始めるきっかけは、大商の卒業生の実態調査からでした。調査に応じてくれた女性の一人が次のように言ってたことを思い出しました。

「そら腹立つこと一杯あるよ、給料が少ないとか。(給料は)ランクがある。ABCある。課長が付ける、結構私は良いランクにいる。結構負けず嫌いやし。女性もやっぱりボーナスとかも職能やし、査定が入ってくる。でもな、結構女性は平均出たらOKとしなあかん。そういうラインには私はいるんや。ありがたいことに。それが見る人によって、私を評価しやはる人によって、Aなのか、今の上司はAとみてくれてるし嬉しいけど、違う人が見やはったらCかもしれへん。男の人は平均以上貰わはるかな?それは人間関係もちょっとは絡んでいるところもあるかもしれへん。」

 

 彼女は、自分が女性の中では評価されていると言っている。でも彼女よりも働きの少ない男性の方がボーナスのランクは多分上でしょう。彼女は女性の中では上だからと自分を納得させている。う〜ん、悲しすぎる

 

では今日はここまで。

次回は住友金属の裁判について。

画期的なブログ更新の早さです。「やろうと思えばやれるんだよ」と誰かに言っていたような。

今日は「岡谷鋼機訴訟」の報告でしたが、その前に、衆議院の傍聴報告を。

6月15日に均等法は改定されました。

法律の詳細は、インターネットで検索してから報告します。

今回は傍聴の感想だけ。

前回も今回も、勉強の内容でなく、私の感想が大半なので、読むに値しないのではないかと反省しつつ書いています。

しかし、傍聴体験記はそう誰にでもあるのではないので、我慢して読んでください。 

13日朝一番の新幹線で東京へ。

大阪から参加した人は4時台の電車で新大阪へ来たそうです。

一緒した人の夫が3時に起きて5人分のお弁当を作ってくれました。これがまた楽しみ。

炊き込みご飯、卵焼き、焼き塩鯖、かまぼこ、おしたし、おまけに巨峰のデザート付き、この人がなぜここまでの腕に到達し、妻と妻のついでの人にまでお弁当を作ってくれるようになったかはまたいつか書きましょう。

9時から衆議院厚生労働委員会開始。

参議院と同様、厳しいチェックを受けて会議場へ。会議場へ持って入れるのは参議院と同じくメモと筆記用具くらい。

今回はメモ用紙もパラパラとめくってのチェック。

これはへんです。思想信条の侵害にもつながる。

「なぜ」との質問に、「ビラ等を持って入ってはいけないから」との回答。

私のメモ用紙は小さな手帳、これのどこにビラを入れることができるのか。ビラ規制の目的は、もしかしたら会議場で他人に配布、もしくは議員への示威行為の予防かもしれない。

まず「ビラは持って入らないでください」と言うのが本筋。

持って入っていい物だけを壁に掲示し、「これをお読みください」と言うのが本筋。

いきなり手帳やメモをピラピラと振ることはないだろう。

 

昨日の会議内容は、午前中参考人6人の意見陳述、それ対する各党の質問。午後からは与党の質問。

参議院は傍聴者と議員がほぼ向かい合わせのような席の配置で、勿論傍聴者は離れた所に座ってはいるが、傍聴者を議員は常に視野に入れることになる。

 

ところが衆議院は教室のように、傍聴者は議員の背中を見ることになる。議員にしたら、振り返らない限り傍聴者は見えない。だからかもしれないが、態度が悪い。

立ち歩き、私語、内職等々。だいたいパソコンと一心不乱ににらめっこしていて、参考人の切実な声が聞こえるわけがない。

小泉チルドレンも勿論いましたよ。

かの無知で有名になった彼なんか、筆記具もメモ用紙も全くなく、午後からは膝の上でなんか読んでいたよう。

態度の悪い議員の名前が分からない。断固座席票を要求する

 

圧倒的与党多数のなかで、女性の悲願ともいうべき均等法は、かくも薄っぺらな人たち(全部ではありません。真剣に意見を聞いていた人もいましたが少数)によって決定されていくのかと思うと虚しさが先に立つ。

議員の定数は自民党28人 公明党3人 民主党11、共産党1人、社民党1人、国民党1人。計45人。

あまりに席を立つ人が多いので、時々勘定しました。

会議開始9時。12時10分現在出席18人。

午後の部開始13時30分。13時50分現在18名。15時24名。

(15日の採決のときは全員出席。何ら質疑応答も聴かず、長期的展望、人権の立場に立った労働観の何たるも理解しない、理解するチャンスを自ら捨てている議員が、何を根拠に挙手できるのか。最初から党の決議ありき。)

議員の主な質問は「間接差別」と「仕事と生活の調和」。

野党の民主党・共産党・社民党の女性議員がとてもよく研究し、鋭い質問をしてくれました。

同じ歳費でこの態度の違い。

教師の世界にも成果主義とかで、能力給ということが言われているが、教師の能力を何の物差しで測るかというのは多分至難の業だと思う。

国会議員はどれだけ本質をついた質問をするかで計ることができるのだから、議員こそ成果主義に挑戦してみたら

参議院の付帯決議で「5年間で見直す」という文言が何とか入ったが、なんと、なんと、衆議院で最終的に付帯決議の5年が「5年を待たずに見直す」という文言に代わった。

この法の成立後、女性がどんどんと発言していくことで、この年数を短くすることができる。

次回以降のブログに法律の内容とともに、会議場でのやりとりを報告。

乞う、ご期待。

今日も長くなったので、岡谷鋼機訴訟については次回以降に。

あ〜、今日もまた昨日になってしまった。おやすみなさい。

国会は延長なしと小泉首相が決めたとか。

それも次期首相候補者を慮っての決定だとかと報道されています。

各人の思想信条をどれくらい保障できるかが政府の度量の大きさだと私は思っているので、教育基本法とか、共謀罪とか、国民投票法とかよりも、人が生きていくための年金とか医療とか、均等法とかに議論し尽くしてほしかったと思っています。

なぜかというと、今回の参議院先議の「均等法」も、極めて政治色の強い、政争の一つに使われたと思っているからです。

何人の政治家が、真剣に女性の言うところに耳を傾けたでしょうか。

政治家の中には、こんな法律では不十分だと考える人もいただろうけれど、所属政党の決議に従えば、個の考えは全体の中に埋没してしまうから。

政治家でなくとも、このことでは私も非難できませんが…。

 

さて、いよいよ均等法は6月15日に衆議院で採択されます

 

野党は修正案を出すようですが、せめて付帯決議の5年での見直しを、2年くらいにして欲しいですね。

与党圧倒的多数のなかで、とても法律の内容に踏みこめるとは思えない。私も傍聴に行きますから、また報告します。

 

こんな記事がありました。(6月6日朝日新聞朝刊)

「働きやすさ子育て左右」がタイトル

ちょっとだけ紹介します。記事は太青字、私の感想は黒です。

 

「仕事と子育ての両立を支援する制度自体は、大企業では整ってきた。04年度の厚労省の女性雇用管理基本調査によると、育児のための短時間勤務や就業時間変更などを制度化している事業所は、従業員500人以上で89%に達した。従業員規模が小さいほどその割合は減り、3099人では58%、5〜29人では38(図表は省略)

だが、大企業の方が子どもを産みやすい環境だとは一概に言えないようだ」

 

確かに女性正社員一人当たりの出生数は、従業員が少ないほど多くなっている。

従業員数20人まで=0.92人(中略)

    301人以上=0.42人

ある中小企業の取締役の言葉が紹介されている。

 

「経営状況は厳しいので給与では応えられないが、働きやすい職場を目指すことはできる。キャリアを積んだ人材が働き続けてくれることが会社の利益になる。」

 

前回のブログで紹介した東京商工会の渡邊さんは、この記事を読んでいるでしょうか。是非意見が聞きたいところですね。

ただ、この記事で気になる点もあります。

 

「育児休業が昇進に影響しないと思うか」という問いに対して、

従業員数が少ない企業ほど%が高い」という回答です。

 

これはソンナ〜、納得できないという感じ。

京都室町に就職した卒業生の大半は出産で辞めている。よしんば、会社に残ったとしても、昇進していうという話は滅多に聞かない。これって、最初から女性は昇進から外されているということなのか?

 

さていよいよ本題、その1

今回も「均等法」に大半の女性が担っているパートという働き方に対する基本的な考え方「同一価値労働・同一賃金」の概念はかけらも盛り込まれなかった。

ただ付帯決議に次のような文言が入っただけ。

パート労働者等が能力を発揮できるよう、正社員との均衡処遇に取り組む事業主への支援、検討を含め、対策の強化を図る。」

 

現在もパート労働法がありますが、均等法と同じで、働く者の願いが入っている法ではありません。

こんな言葉に縛られる経営者がどれだけいるでしょうか。

(同一価値労働・同一賃金は3月15日のブログ「京ガス訴訟の意義」を参照してください。)

 

長くなったので、いったんここで終ります。

あんまり長いと読む気しないものね。

その2は岡谷鋼機裁判です。すぐにブログを更新します。

昨日も、ぼつぼつ更新されているかなって見てくれた人が多かったようです。

不定期なブログ更新でホントごめんなさい。

 

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