嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2006年07月

労働契約法制1  予習編と雑感

ようやく梅雨明けとか。ホントよく降りましたね。知合いやご親戚に被害にあわれた方はいらっしゃいませんか。お見舞い申し上げます。

今日は労働契約法制についてですが、その前に最近の私の雑感をちょっと。

7月23日の夜9時からNHKで「WORKING POOR」という番組が放送されました。何かと話題の多い、また中立という、分かったような分からない視点の甘さをもどかしく思うNHKですが、7月21日の「格差社会と戦うベネズエラ」とともに、受信料を払ってもいい番組でした。

今のベネズエラを転覆させようとする勢力の陰で暗躍するアメリカの存在に今更ながら慄然としました。

「ワーキングプア」の方は、やさしい語り口ながら、日本の進むべき方向に対する政府の無策に警鐘を鳴らしていました。

リストラで、年収600万円台から3つの仕事(深夜勤もあり)をかけもちして年収200万円になった、2児の父親でもある50歳台の男性が、「将来の子どもの進学に応えてやれないかもしれないことに対して、何度々も「子どもの責任ではないのだから」と言っていました。

「親の所得で、子どもの将来が決まる」ということを絶対してはいけないと司会者は最後に締め括っていました。

今までのブログで何度も書いてきましたが、正規雇用と非正規雇用の間に厳然として存在する「同一価値労働、同一賃金」の考え方が、資本主義国であるという点においては同じなのに、EU諸国に根付いてなぜアメリカには根付かなかったのでしょうか。

1970年代にイギリスはこの「同一価値労働、同一賃金」の考え方を導入しました。詳しい背景について理解不十分な私は、なぜそれが可能であったのかを、日本滞在10年の若きイギリス男性に尋ねました。彼は「1970年代のイギリスは社会主義国だったとも言える。なぜなら鉄道、郵便局、鉄鋼などは国有だったから。そのときだったからこそ、この考え方が容易に導入されたのだと思う」と話してくれました。

これ以上の会話は私の英語力では、また彼の日本語力では無理なので、まあ何となく分かったような感じ

その後、イギリス首相としてサッチャーが登場したわけです。映画「リトルダンサー」「ブラス」などに描かれる世界です。彼女は「鉄の女」と呼ばれましたが、私はこの呼称は好きになれませんね。彼女への評価は別にして、女性ゆえの呼称のようにも思えます。サッチャーを フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』で見ると、このように書かれています。

市場原理と起業家精神を重視し、政府の経済的介入を抑制する政策を取った。こうした政治姿勢は新自由主義(ネオリベラリズム)あるいは新保守主義と呼ばれる。ほぼ時を同じくして、新自由主義の立場に基づき、サッチャーは、電話会社(1984年)やガス会社(1986年)、空港(1986年)、航空会社(1987年)などの各種国有企業の民営化や規制緩和、金融改革などを断行した。また、70年代に高まりを見せ、労働組合運動を目の敵として、徹底した弾圧によりイギリス産業界から労働組合の影響力を取り除く政策を多く打ち出した。》

ブッシュを支えている(操っている?)のはこの新保守主義(ネオコンサバティズム、略してネオコン)。

この時期、日本でも中曽根内閣のときに国鉄が民営化されています。

これを読む限り、今の日本で「間接差別」や「同一価値労働。同一賃金」を言っても、とても労働者側の意見は通りそうにもありませんね。

日本にもイギリスの1970年代のようなときがあったはずなのですが、労働者の権利に関しては全くイギリスのような道筋をたどりませんでした。この格差社会の原因を「グローバル化」いう言葉で何もかも片付けてしまいがちですが、人権のグローバル化もあるのではないかと思います。でも今となっては、労働者側の立場はますます弱くなるばかりです。

上記の「子どもの責任ではないのだ」と言っていた男性を初めとした「ワーキングプア」階層と対極にいる所謂「勝ち組」の人々は、節税対策に頭を悩ませているそうです。

「広大なセントラルパークを見下ろす超高層マンションで、日本の不動産賃貸会社会長(63)は、ゆったりと過ごしていた。税金を極力払わないですむよう国を渡り歩く『永遠の旅人』になって、この夏で迎える6度目の夏だ。〜中略〜。日本では所得税は払うが、一月一日時点の居住地に納税義務がある個人住民税は在米を理由に払っていない。在日日数を年182日以内に抑え、課税範囲が減る「非居住者」になるように調整する。日本では、財産が海外にあり、譲る側、譲られる側双方が5年以上「非居住者」であれば相続・贈与課税を回避できる。いまは『一人旅』だが、いずれ妻と相続税のない国に移住地を完全に移し、自分の資産をそっくり妻子に継がせるのが最終目的だ。」(2006719日朝日『分裂日本』)

う〜ん、考えてしまいました。感想は一杯ある。「国民の三大義務よ」なんて言う気はさらさらないけど、これって金持ちのみができる行動ですね。

以前に比べれば、現政府は高額所得の所得税率を引き下げる政策をとっていますが、こういう人を想定していたのかしら。あの村上ファンドの村上さんも根拠地をシンガポールに移したのも、上記のようなねらいだといわれていますね。

雑感はまだまだあるのですが、ぼつぼつ「労働契約法制」についての予習編を始めましょう。

「中間報告を見送り」「労働契約法・労働時間法制見直し」「労使とも強く反発」という見出しの、労働契約法の記事を紹介します。(紺字は記事からの抜粋)(2006.7.19朝日)

働く人と会社の雇用契約の基本ルールを定める新たな「労働契約法」や労働時間法制の見直しで、厚労省は18日に予定していた中間報告の取りまとめを見送った。当初から反対の強かった労働側に加え、残業代の割増率アップなどに経営者側からも反発が出ているため。(労使ともに反対なら、なんで)

厚労省は、労使の代表と公益委員で作る労働政策審議会の分科会で中間報告の取りまとめをしていたのですが、労使ともに反対しているから、中間報告は行わないまま労使の意向を再調整して、年末の分科会答申に一気にこぎつけたい考えのようです。どんな調整になるのやら。労働者側が不利になるのは均等法の改定で経験済みですから。(この労働政策審議会は私が均等法審議会の傍聴に行っていた報告ブログに度々登場します)

労働法制の見直しの主な議論は以下の4点です。

時間外月30時間を超える場合の残業代の割増率を5割に引き上げる。

長時間残業した人の休日取得を企業に義務付ける。

年収の高い人などを労働時間規制から外して残業代をなくす「自律的労働時間制度」の創設

解雇の金銭的解決の導入の検討

労使ともに反対とありますが、主な4点のどれをそれぞれが反対しているかは一目瞭然ですよね。

もしこれら4点が法律になったら、どれが実行され、どれが実行されないか、それも一目瞭然ですよね。

労使が対等であるなんて、幻想でしかないのが現実ですものね。

次回のブログから主にこれら4点について説明していきます。これからの審議会に動向に注目していてください。

2週間ほどブログをお休みします。

(誰「わざわざ断らなくても、今までも2週間くらいブログが更新されなかったことは度々ある」と言ってる人は)

では今日はここまで

住友金属裁判3

よく雨が降りますね。遠くに雷鳴が聞こえると、慌ててパソコンの電源を切っています。

近くにNHKとか、NTTの高い避雷針?があるので、心配はないと思うのですが、このブログや大商卒業生が協力してくれたアンケートのデーターとか、他人には価値のないものでも、私には大切なものがパソコンに詰まっているので、つい過剰な防御をしてしまいます。全てバックアップしているわけではないのでね。

 

さて、なかなか本題に入れない住友金属の裁判についてですが、その前に一言。

『4割正社員サービス残業。月平均35時間、仕事片付かない』という記事を見つけました。(2006.07.14朝日新聞)

20067月4日付の朝日新聞にも「管理職でないサラリーマンでも、一定以上の収入があれば残業代をなくす制度を厚生労働省が検討している。」という記事がありました。

「競争社会が激しい中では、企業の存続には成果がより重要である。賃金も労働時間の長さだけでなく、成果を中心に決められるべき。」とこの法律を積極的に勧めている経済界の言い分も紹介しています。

 

これに該当するサラリーマンは自分で労働時間を決めることができるそうですが、この2つの記事を読んであなたはどう思いますか。

法律の名前は「労働契約法制」といいます。

さて、一言が長くなってしまいました。本題、本題っと

 

過去のブログで何度か引用させてもらいました、総合職と地方職に納得できなくて、課長にくってかかる卒業生の言葉をもう一度引用します。

「会社の中で、地域職と総合職というのに分かれるみたいな形が、多分その男女雇用法がからんでたんと思うやけど出てきたのです。女の子は工場採用やから地域職、そこで私は『なんでなんですか』って言った。高卒の男の子も工場採用の筈なんですよ、でもね『違う』って、『男子は本社採用や。面接は工場でしているけど、本社採用や』って言う。最後まで『何で、何で』って言ったけど。(総合職になるための試験があったのか)『ない』。(男はみんな総合職になったのか)『なった』。課長に「何で女の人の課長はいないんですか」って聞いた。よう答えはらへんかった」

(詳しくは2006.01.01のブログを見てください)

 

これと同じことが住友電工・住友化学・住友金属でも起こりました。ただ住友金属は他の2社と異なる点がありました。

上記の卒業生が語っているように、86年施行の均等法に雇用管理区分という文言があるがために、殆どの企業は男性は総合職、女性は一般職(地方職)と位置付けました。

ところが住友金属には、事務技術職掌と、技能職掌という区分をしていました。

会社の言い分によれば、「事務技術職掌は、本社採用と事業所採用があり、技能職掌は全て事業所採用である」。

勿論、女性は事務技術職掌の事業所採用です。ところが、同じ事業所採用である技能職掌の中から、事務技術職掌に転換した人がいました。男性です。

住友金属は「男女差別はない」と主張していましたが、事業所採用である女性と、事業所採用である技能職掌から事務技術職掌転換してきた人のと間で、大きな賃金格差があることが分かりました。

「分かりました」と一言で書きましたが、実はこれに至るまでに、原告たち、原告側弁護士のものすごい努力があったのです。

女性に偏見のある裁判長を忌避する申し立てをするなど、いろんなことを乗り越えてきました。

既に2001年3月に原告たちの申し立てによって、裁判所は会社側に職掌転換者の賃金台帳の提出命令をし、会社は837人分を提出していました。

原告たちは裁判を始めたとき、賃金格差を立証するための資料は全く持っていませんでした。

そりゃそうですよね。誰がいくらの給料であるかは、会社のみが持ちうる資料ですから。

原告たちは会社が提出した台帳が全ての資料だと考えて、台帳から男女の昇進・賃金に関するデータを1件ずつコツコツとデータ入力し、弁護士と相談しながら、様々な角度からの分析をしました。

この作業中に、原告たちは「あれっ、一緒に机を並べて仕事をしているAさんやBさんのデーターがない」ということに気付きました。

対象となった職掌転換者の男性全体の4分の1にあたる312名分のデータが隠されていたことが法廷で明らかになりました。

これを再度分析した結果、事務職の社員を「イロハニホ」の5段階に分けていた「闇の人事制度」の実態が、はじめて明らかになりました。住友金属は不利な証拠を組織的に隠していたということになります。

 

女性は勿論、仕事の内容・学歴に関係なく最低ランクの「ホ」に、例え役員賞や・部長賞も受賞した人でも、位置付けられていました。

どんなに頑張っても一番下のランクであるということが分かったのでした。

 

裁判所が明らかにしたのではなく、原告側が突き止めたのです。これが住友金属裁判での「闇の人事制度」といわれるものです。

 

ちょっと新聞から抜粋してみましょう。

見出しは《台帳300人分が未提出―提出命令 原告側「証拠隠しだ」》

[平成6年時点の同期男性との年収格差が最も入社年次が若い原告Cさん(当時47歳)については66万円〜115万円に、原告Dさん(当時53歳)は122万円〜147万円に広がった](産経H15.11.11)

 

さらに詳しく見ていくと、原告らの調査では平成6年〜7年当時、原告らと同じ高卒男性との比較では、年収で301万円〜126万円。同じ事業所採用として、その後技能職掌から事務技術職掌になった男性との間では202万円〜71万円の差がついたということがわかりました。

                                                                         

2005年3月28日大阪地裁判決。

相変わらず難しい文章ですが、私になりに解釈して紹介します。《》は判決文から引用。

《高卒男女間において、仮に同じ能力評価区分に該当したとしても、評価区分や査定区分において明らかに差別的取扱いをし、それに基づいて、昇給・昇進等の運用をしていたというべきであり、このような運用は、コース別取扱で認められている合理的な理由があったとは認められない》

 

このコース別というのが以前から何度も書いている雇用管理区分のことです。均等法で認められていますが、余りにもこの項に対して女性からの意見が多いので、厚生労働省も「会社はコース別をするときは合理的理由が必要です」と通達を出しています。

(どんなのが合理的理由かさっぱりわかりませんね。大体働き方にはさまざまあっても、男女で働き方を決めるというのは納得できませんよね。)

 

でも住友電工地裁判決と同じ文言が、ここでも付きました。

それは「ここは日本だ。だからそのような時代背景を考えたら、原告たちの募集・採用において高卒男性と同じ扱いをしなかったといっても、男女の実質的平等の理念を謳っている憲法14条には沿うものではないけれど、日本の風土とか習慣とか、人々の考え方とか、そういう公序良俗には違反していないのだ。」

 

でも、住友電工の地裁判決と異なる点も次に続きました。

「高卒事務職の募集・採用時に男女間でコース別取扱いをすることが、公序良俗に反しないとしても、だからといって、採用後の高卒事務職の男女間の差別的取扱いが、『コース別だから仕方がないよ』ということにはならない。会社の原告に対する取扱は、性別のみによる差別的な取扱だから、民法90条に反する。」

 

そして、原告らを、事業所採用でその後事務技能職掌へ転換した人と比較し、その結果合計約6311万に年5分の遅延損害金(2006年1月の時点で約2529万円)を会社側は原告に支払うように裁判所は命令しました。

これに対して会社側が控訴し、大阪高裁へと裁判は移ったのです。

そして、2006年4月25日に和解が成立しました。

裁判長は住友電工の、(住友金属裁判1のブログで紹介した)井垣裁判長でした。

和解内容は次の通りです。

女性労働者の処遇について会社は十分な配慮をしていく。

解決金総額7600万円  

 

最後までお付き合いくださってありがとうございました。

 

原告らの悔しさや裁判への努力を理解してもらえれば幸いです。

感想はまた聞かせてください。

 

最後に嬉しいお知らせ。

京ガスの屋嘉比さんからコメントをいただきました。少し時間をさかのぼることになりますが、2006年3月15日と3月25日のブログを読んでください。

 

では今日はここまで。 

次回は労働契約法制についてのつもりです。まだブログに書けるほど勉強できていないので、少し時間をくださいね。

おやすみなさい。

 

住友金属裁判2

毎日、誰かがブログを見てくれているようですが、なかなか更新できなくて申し訳ありません。

思いがけずシドニーに暮らしている卒業生からコメントをもらいました。

日本語のコメントだったので、日本へ帰ってきているのかと一瞬とまどいました。

瞬時にして情報を得ることができる時にいるのだと実感しました。

その後、TVでコンピューター社会におけるカード被害についての番組を見て、実に単純に「いつハッカーに狙われるか分からない。もう使わないでおこう」と決心しましたが、多分この誓いはすぐに忘れてしまうことでしょう。

コンピューター社会のメリットと、デメリットのはざまで、プログラムそのものを理解することができない私はうろうろするばかりです。

 

話は変わりますが、東京在住のAさんは退職後、勤務していた会社を訴えて、現在裁判中です。勿論均等待遇を求めてです。彼女はブログに会社での悔しかった日々のことを書いています。朝礼から始まる日常の会社でのできごと、上司の言葉、賃金や各種手当てなどです。

衆議院傍聴記に書いたように、今回の均等法の付帯決議の一つ「5年以内の見直し」を短くするためには、こういうひとつひとつの事実の積み重ねが大切です。

このブログを始めるきっかけになった大津商業の卒業生も、私のアンケートに、怒りを書いてくれました。

アンケート用紙に書ききれない人は、手紙をくれました。

彼女たちは今でもあのときの怒りを持続しているでしょうか。

持続するというのは難しいことです。

自分のなかで諦めたり、こんなもんだと無理に納得してみたり、なんといっても日々の忙しさに埋没してしまったり、その怒りをどこに向けたらいいかわからないまま日々過ぎてしまったというのが殆どではないでしょうか。

住友金属裁判の原告たち、すでに和解の成立した住友電工・住友化学の元原告たちも、裁判にかけるエネルギーを持続させるのは大変な努力を要したことでしょう。

原告たちは被告の会社で日々働いているのですから、考えただけでも難しい立場であることがわかります。

住友金属の原告のうち、一人はすでに退職されていますが、3人は現職のままで、和解後の立場もなかなか大変そうです。

私も裁判を傍聴しましたが、原告たちが受けた会社からのいやがらせや待遇は想像を絶するひどいものでした。

詳しくは「住友金属男女差別裁判を勝たせる会」のホームページを見てください。

しかし、ここで「会社」と書きましたが、会社が言葉や態度を示すわけはありませんので、それは勿論人間のなせることなのです。個人と組織の関係はいつも大きな課題です。

原告と同じ様な怒りは、大商卒業生のアンケートにもありました。ごく一部を紹介します。住友金属のホームページと比べてみてください。

 

・女性では話にならないから、男性を出すように言われた時。同じ事を言っても、男性だと納得する人を見た時。

・離婚時に姓名を変えた時、日頃交流のない人にまで興味本位に詮索され、こういう時だけ親切にする男性社員がいやで辞めた。

・子供ことで休まなくてはいけない時に負い目を感じた。

昇給・賞与の査定の矛盾。制服(男性は背広)。女性はハイヒール(男性はつっかけ)。

お茶当番、掃除当番が女性のみ。

・どれだけがんばっても昇給や地位の向上がない。

・産休明けに事務職から現場仕事へ変わらされたとき。

・結婚が決まった時・結婚した時に退職するものと決めてかかる会社・

 社会の体質。        

・能力があったとしても同等に評価されず、昇給が男性とまったく違う。子供が伝染病で何度も休まざるを得なかった時、「子供がかわいそう。家庭に入ったら」と遠まわしに上司から辞めるよう言われた。

・職場結婚の場合、女性が配置変えされる。昇給試験は行われていたが、実際は女性が受ける順番は後回しにされる。

・会社の飲み会の後、夜中3時・4時に終わり「女の子だからちゃんと出勤するように」言われた。男性は皆遅刻だった。昼食時、男性は外食できるが、私だけは机で食べながら「電話番・接客」しながらの、落ち着かない食事。

・長く働いていると、男性と同じように責任は大きくなってくるが、昇給は少なく、肩書きはいつまで経ってももらえない。

・最初に就職した会社では、男性は地域職ではなく総合職で既に給料が多かった。評価も男性のほうが有利。したい仕事も出来ない。

・結婚・出産を機に以前の会社を退職した。サービス業で土日出勤の為、出産後は女性が辞めるのは当たり前という会社の雰囲気があった。

・指導していた専門学校卒業の4年後輩の男性社員に、3年目には給与が 

 抜かれた。

・飲食時にお酌やコンパニオンまがいの事を強いられる時。

・職場は男女平等だが、社会はまだまだ男社会。取引先へ行っても、男性同士なら雑談も、仕事の内でも男性対女性だと色眼鏡で見られることもある。

・女性社員の努力により出た結果でも、上司又は男性だけが出世する。

 

「そうそう、私も」って思っている人が大半でしょう。

大商の卒業生はこのように自分の怒りを冷静に把握していますが、行動には移していません。裁判に訴えるということがどれくらい大変なことか、これからでも想像できますよね。

 

今日のブログの最初に書いたAさんのように、そして私が実施したアンケートに答えてくれた卒業生のように、仕事上の理不尽なことを記録しておいてください。

またこのブログにも投稿してください。

そういう声のひとつひとつが、均等法の付帯決議5年以内を短くする原動力になっていくことでしょう。

 

住友金属の原告の怒りを紹介するところから、今日のブログを始めるつもりが、すでに長文になってしましましたので、今日はここまで。

前回の住友電工の和解文、読んでくれました。

太字は後世に残る名文ですね。

では、次回も住友金属裁判についてです。

住友金属裁判 1

今日こそは「住友金属和解」について書くぞぅ〜

2日のブログ、額面どおりに受け取れば画期的な「パート労働法改正」(改正と書きたい)について、どのような感想を持たれたでしょうか。

 

住友電工・住友化学に続いて住友金属裁判の和解が20064月25日大阪高裁で成立しました。簡単に概略を述べます。

この3社の住友メーカーに勤務する女性(12人)が、均等法に基づく調停を申請したのが1994年8月。調停というのは均等法14条に以下のように書かれています。

 

調停の委任)
14条 都道府県労働局長は、第12条に規定する紛争(第5条に定める事項についての紛争を除く。)について、当該紛争の当事者(以下「関係当事者」という。)の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争解決促進法第6条第1項の紛争調整委員会(以下「委員会」という。)に調停を行わせるものとする。

 

彼女たちが大阪婦人少年室に調停を申請した時点の「均等法」(当時の名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女性労働者の福祉の増進に関する法律」)は上記の太字のような内容ではなく、「双方の同意」が条件でした。だから、住友電工については、室長の判断で不開始、住友化学は会社の同意がなく不開始、結局住友金属だけが調停を開始しました。

しかし、1995年2月に出された調停案は全く具体性に欠けていたため、住友金属の女性たちは拒否。そして3社9名が1995年8月に裁判所に提訴しました。

提訴の理由は、簡単にいうなら「女性であることを理由に昇給や昇格で差別された」ということです。

当時の彼女たちの処遇についての詳細は、このブログの3月6日「院内集会2」で紹介しています。

 

住友電工2000年7月31日大阪地裁が原告側敗訴の判決を出す。原告側控訴

住友化学2001年3月28日大阪地裁が原告側敗訴の判決を出す。原告側控訴

住友電工20031224日大阪高裁で勝利和解

住友化学2004年6月29日大阪高裁で勝利和解

 

20031224日、住友電工の大阪高裁の井垣裁判長の和解文が、日本の女性労働者に対する方向性を示唆しました。名文なので、一度読んでみてください。

 

裁判長 和解勧告
 国際社会においては、国際連合を中心として、男女平等の実現に向けた取組みが着実に進められており、女性がその性により差別されることなく、その才能及び能力を自己の充足と社会全体のために発展させ、男性と女性が共に力を合わせて社会を発展させていける社会こそが真に求められている平等社会であることは、既に世界の共通認識となっているというべきである。
 日本国憲法は、個人の尊厳と法の下の平等を宣言しており、わが国においても、国際的潮流と連動しつつ、その精神を社会に定着させるため、女性差別撤廃条約の批准(昭和60)、男女共同参画社会基本法の制定(平成11)など、着実な取組みが進められているが、他方、一部に根強く残っている性的役割分担意識等が、男女間の平等を達成するための大きな障害となっている現実もある。
 就業の場面においては、昭和60年に制定された「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(旧均等法)が平成9年に改正され(平成114月施行、改正均等法)、事業主は、労働者の募集及び採用について女性に対し男性と均等な機会を与えなければならず、配置、昇進等においても差別的取扱いが禁止されるに至っている。
 このような改革は、男女差別の根絶を目指す運動の中で一歩一歩前進してきたものであり、すべての女性がその成果を享受する権利を有するものであって、過去の社会意識を前提とする差別の残滓を容認することは社会の進歩に背を向ける結果となることに留意されなければならない。そして現在においては、直接的な差別のみならず、間接的な差別に対しても十分な配慮が求められている。
 当裁判所は、上記事件について、審理の結果を踏まえ、かつ、上述したとおり、男女差別の撤廃に向けた国際的な取組みと、男女共同参画社会基本法が制定され、その実現に向けて、社会の隅々における取組みが進められている今日のわが国の状況を考慮し、本件紛争が早期に、かつ、前向きに解決されることを期待して、別紙和解条項をもって、当事者双方が和解することを勧告する。

 

(どうです、格調高いでしょう。間接差別に対しても言及しています。司法でこのような判断がなされているにも関わらず、今回の均等法改定には生かされませんでした)

 

またまた長くなったので、今日はこの格調高い和解文をメインにしていったん終ります

パート労働法改正の記事

今日のブログは延び延びになっていました「住友金属和解」についてですが、その前にすごいニュースが新聞に載っていましたので紹介します。

ホント?って未だに半信半疑ですが…。まず記事を読んでください。

 

タイトル:「パート賃金 格差是正義務化へ」

     

    厚生労働省法改正「正社員と同額を」

 

内容:厚労省は30日、パート社員と正社員との賃金格差などを是正するためパート労働法を改正して処遇改善に取り組むことを決めた。

 

正社員と同じような仕事をしているパート社員には同じだけの賃金を払うことなどを法律に明記し、企業へ指導を強める方針だ

 

同省の労働政策審議会雇用均等分科会で議論し、来年の通常国会への改正案提出を目指す。93年にできたパート労働法は、企業にパート社員の雇用管理の改善を求めたが、具体的な基準がなかった。03年の「パート労働指針」には

仕事の内容や責任が実質的に正社員と同じなら、同じ賃金表や査定方法を使う。

 

正社員と異なる場合も、一律いくらではなく、能力や経験に応じて評価する「均衡処遇」をとる。

 

正社員への転換制度の創設

 

などが盛り込まれたが、強制力がなく行政指導が出来なかった。同省では、これらの措置を法律に明記して、企業への指導を強めたい考え。また、処遇の改善だけでなく、能力開発など「機会の均等」についても、盛り込むこと検討している。

(朝日新聞2006.07.01)

 

今回の均等法改定(「改正」という漢字を使いたくない。)がどのように審議され、参議院・衆議院を経て法律となっていったかを、今までのブログに書きました。

特に間接差別の明記や管理雇用区分の抹消を、女性たちは声を大にして訴えてきましたが、何らと言っていいほど実現しませんでした。

審議会での労働者側代表・公益者側代表・使用者側代表は本来対等であるべきなのに、均等法の原案は使用者側の意見に偏った内容になってしまいました。

 

この法律も均等法同様、審議会の討議を経て原案が作られていくでしょう。

今、なぜ、これが何の前ぶれもなく新聞に掲載されたのか。

あなたはどう思いますか

私はとても素直に喜べません。

この裏に何が潜んでいるのかと最初に考えてしましました。

 

今労働者の働き方を大きく変えることになる「労働契約法制」が労働政策審議会労働条件分科会で審議されています。これとセットか 

今後も要注意です。   この種の記事に目を光らせてください。

 

記事にあるように、指導を強めるにしてもの「仕事の内容や責任が実質的に正社員と同じなら」の語句がなんとも気になります。

 

実質的に同じというのは何を指すのでしょうか。

もし仮に同じ内容の仕事をしていても、長時間労働(残業を含む)をすることができない人は、責任がないということで該当しないという解釈も出来るような気がします。

素直に喜べない、勘ぐってしまうのは仕方ありません。それくらい均等法で失望したからです。

「センセ、ひねくれすぎや」って? 

 

もし法案が成立して、今までブログで書いていたような「同一価値労働、同一賃金」が実現したら、女性にとってだけでなく、働く者にとって「革命」ともいえる法律であることは確かです。

というわけで、長くなったので今日はここで終ります。

次回は住友金属です。すぐに書きます。(書くつもりです

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