嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2006年09月

前回のブログで、「均等法の省令と指針」についてのパブリックコメントを厚労省が募集していることを書きました。

(いきなり本題です)

9月20日の審議会の傍聴へ行った人の情報では、まだ52件しかコメントが届いていないそうです。

でも、パブリックコメントを書くためには、均等法の文言を理解しなければならず、言いたいことが一杯ある人が、そう簡単には書けないところが残念です。

その中でも、特に「雇用管理区分」の文言は理解度超難解ものです。

もしあなたが、会社へ「男性Aさんと余りにも給料が違う」と訴えたとしたら、会社はなんて言うのでしょうか?「仕事内容が違う」という回答が最も多いでしょうか。

「あなたと男性Aさんは雇用管理区分が異なっている。あなたは事務職、男性Aさんは総合職、均等法の指針に『雇用管理区分ごとに』と書いてある。同じ事務職のBさんとあなたとの給料が違うのなら、二人は同じ雇用管理区分に属しているのだから、まあ調査してみましょう」と言うでしょうか。

「雇用管理区分」が異なっていれば、差別はあっても仕方ないというように現行均等法の指針は読めます。

この点を働く女性は問題だとして「ごとに」の文言を削除するように要求し続けてきましたし、また国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の勧告が日本政府に出されてもいます。だから、使用者側の意見との間で厚労省は相当にこの文言に苦労したと思います。

その厚労省の苦心については、前回のブログで私の感想を書きましたが、この均等法を担当している厚労省の職員は少なからず女性であり、歴代雇用均等政策課長は女性です。

彼女たちも、歯がゆい思いをしながら、この文言を考えたのでしょう。だからこそ、あんな理解度難解の文章になったのでしょう。

さらに今日のブログは、超難解文言のもう一つ「間接差別の省令」についてです。

まず、間接差別とはなんぞや。これは5月12日のブログを見てください。省令案は次のようです。

《間接差別》(法第7条関係)

雇用の分野における性別に関する間接差別とは、\別以外の事由を要件とする措置であって、当該要件を満たす男性及び女性の比率を勘案すると実質的に性別を理由とする差別となるおそれがあると考えられるものを、9舁的な理由がある場合でないときに講ずることをいう。》

このような説明ですが、分かりましたか

この項の文章もとても長いし難解なので、向学心旺盛の人は厚生労働省のHPを見てください。

では具体的にどのような例が間接差別に該当するのかとい点についても審議が行われてきました。

審議中に話し合われた間接差別についての具体例は以下の通りです。「男女雇用機会均等政策研究会報告書の概要」(2004.6)より

《間接差別として考えられる例》

(臀検採用に当たって一定の身長・体重・体力を要件とする措置

∩躪膺Δ諒臀検採用に当たって全国転勤を要件とする措置

J臀検採用に当たって一定の学歴・学部を要件とする措置

ぞ鎖覆謀たって転居を伴う転勤経験を要件とする措置

ナ〕厚生の適用や家族手当等の支給に当たって住民票上の世帯主(又は主たる生計維持者、被扶養者を有すること)を要件とする措置

正社員をパートタイム労働者等と比較して有利に扱う措置

福利厚生の適用や家族手当等の支給に当たってパートタイム労働者を除外する措置

このうち、来年度施行の均等法に省令として書かれたのは、´↓の3つだけです。もしキΝが省令となったら、多くの非正規雇用の人は助かりますね。

なぜ、これらが削除されたか、誰が反対したかは、想像できますね。

上記の間接差別の定義も抽象的だと思いませんか。一回で理解できる人がどれくらいいるでしょうか。

そもそも女姓たちが望んでいた間接差別の定義は〔外見上は性中立的な規定、基準、慣行等が、他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与え、しかもその要件等が職務と客観的な関連性がない等、合理性・正当性が認められないものというものでした。これでもまだまだ難しい。

さて、雇用管理区分で、「ごとに」という文言があるばかりに、女性側に不利であると書きました。結果的に一方の性に不利益が偏るのは、間接差別です。圧倒的に女性が管理職になれない現実があります。これは間接差別です。「雇用管理区分」と「間接差別」はお互いが非常に矛盾しあった概念なのです。

さあ、そこでお願いです。間接差別の例が´↓だけで、間接差別が禁止されるでしょうか。あなたの職場でキΝが女性のみに不利に働く現実がありますよね。女性だかに不利な扱いをしている例は他にもありませんか。今あなたが怒っている、「女性だから」という例を書いてください。そして、間接差別の例が´↓だけでは駄目なのだということ7項目とも省令に入れるようにパブリックコメントを書かいてくれませんか。パブリックコメントを沢山出すことが、次の均等法につながるからです。

来年度施行の均等法は、このように働く者にとっては到底承服できない内容のものになってしまいました。

でも、女性団体が粘り強く、地道に国会議員に請願をし、ロビー活動をした結果、野党の国会議員の努力で、少しだけ希望の持てる内容をもった付帯決議が採択されました。付帯決議自体に何の拘束力もありませんが、多くの女性は声を上げることによって、最後に付けた付帯決議のなかの、年限をさらに短くできるのです。

さらに付帯決議に『間接差別も上記3例だけではありませんよ。』という文言も入りました。

これも、パブリックコメントで、多くの例を出し続ければ、次回の改正(願いを込めて、改定とは書かずに改正)には先進国としてちょっとはましな内容を作ることにつながると思います。

パブリックコメントは9月27日が締め切りです。募集要項にはいろいろ書いてありますが、それにとらわれず、文章が短くても、あなたの体験から出た怒りがあれば、それは最大の迫力で読む者を打つでしょう。

パブリックコメントは厚生労働省のHPまたはこのURLにアクセスしてみてください。

http://nfcg.web.infoseek.co.jp(日本フェミニストカウンセリング学会)

厚生労働省→厚生労働省HP→右端の「パブリックコメント」→パブリックコメント(意見募集中案件一覧)→3つ目「指針」・4つ目「省令」。

用紙には何ページの何行目に対する意見なのかと、ページと行目を書くようになっていますが、厚労省の担当者は指針と省令を熟知しているわけだから、毎日忙しく暮らしている人に、そういうことまで求めるのは実にお役所仕事だといえます。無視して、私のブログから考えたあなたの意見を書いてください。

また、指針の意見募集には、「セクハラ」に対するものもありますが、締め切りまでの時間がないことと、ブログが膨大になることから、今回は書きませんでした。

セクシャルハラスメント(セクハラ)については、随分と内容は良くなっていると思いますが、私は次の点にひっかかります。

職場におけるセクシャルハラスメントの内容《職場とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれる。例えば、取引先の事務所、取引き先と打合せをするための飲食店、顧客の自宅等であっても、当該労働者が業務を遂行する場所であればこれに該当する》。

現実にセクハラって、《 》内の場所だけでしょうか。業務遂行に関係しないところでセクハラって起こっていますよね。職場の飲み会とかで。私はこの点にひっかかっています。

ホント、最後まで付き合ってくださってありがとう。では今日はここまで。

参考までに付帯決議の一部分を付けておきます。

間接差別の法理・定義についての適正な理解をすすめるため、事業主・労働者等に対して周知徹底に努めると共に、その定着に向けて事業主に対する指導・援助をすすめること。また、厚生労働省令において間接差別となるおそれがある措置を定めるにあたっては、国会における審議の内容、関係審議会におけるさらなる検討の結果を十分尊重すること。

間接差別は、厚生労働省令で規定するもの以外にも存在しうるものであること、及び省令で規定する以外のものでも、司法判断で間接差別法理により違法と判断される可能性があることを広く周知し、厚生労働省令の決定後においても法律施行の5年後の見直しをまたずに、機動的に対象事項の追加・見直しを図ること。そのため、男女差別の実態把握や要因分析のための検討をすすめること。

男女労働者双方の仕事と生活の調和の実現にむけ、仕事と家庭の両立がしやすい職場環境の整備をすすめるとともに、特に、男性労働者の所定外労働時間の抑制及び年次有給休暇の取得を一層促進するなど、長時間労働の抑制に取り組むこと。また、労働時間法制の見直しに際しても、男女労働者双方の仕事と生活の調和の実現に留意すること。

パートタイム労働者が意欲をもってその有する能力を十分発揮できるようにするため、正社員との均衡処遇に関する法制化を進めること。

男女の賃金格差是正のために、ILO第100号条約にのっとり、施策の積極的な推進を図ること。

今日は均等法の省令と指針について話をします。

均等法の正式名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」です、長ったらしいので以下「均等法」とします。

今審議中の均等法の争点の一つは、省令と指針というものです。省令と指針とは性格が異なります。

簡単に言えば、省令はこの均等法を実行するときの具体的なことを言い、指針は方句を示したようなものといえます。

例えば憲法第24条〔家庭生活における個人の尊厳と両性の平等〕で婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、〜(以下略)。とあります。では何歳でもお互いの合意があれば結婚できるのかといえば、そうではありません。民法731条で男性は満18歳に、女性は満16歳にならなければ婚姻できないとあります。

(男性の寿命の方が短いのに、なんで男性の方が年齢が高いのだ?というような疑問はこの際ちょっと横へ置いといて)

このようにさらに法律で細かいことを決めていきます。ちょっと例えがヘンかな?なぬ、かえって分からなくなった!

 

来年4月施行の均等法に「過料」が創設されました。

その内容は、《厚生労働大臣(都道府県労働局長)が事業主に対し、男女均等等取扱いなど均等法に関する事項について報告を求めたにもかかわらず、事業主が報告しない、又は虚偽の報告をした場合は過料に処せられますー報告徴収に応じない場合又は虚偽の報告を行った場合の過料(20万円以下)

罰則規定がないとなかなか法律というのは守られませんよね。違法だと考えた人が、労働基準監督署なり、雇用均等室なり、ついには裁判所へ訴えない限り、いくら法律があっても絵に描いた餅です。

 

さて、こんな記事がありました。

見出しは〔偽装請負のトヨタ系会社  直接雇用、告発者を除外〕

《労災隠しと偽装請負が発覚したトヨタ自動車グループの部品会社「トヨタ車体精工」(TSK)が、派遣労働者から直接雇用に切り替える際、内部告発をした男性らには採用面接の機会を与えなかったことがわかった。男性らは「告発を理由とした不利益扱いだ」として、近く愛知労基署に調査を要請する。TSKの工場では3月、男性作業員が4週間の怪我をしたのに、雇用主の人材サービス会社「大起」とTSKは労働安全法に基づく報告を怠っていた。実態は労働者派遣なのに請負契約を装う「偽装請負」がTSKで行われていたことが判明し、愛知労働局が7月に改善を指導。TSKは大起との契約を8月1日付けで請負から契約に切り替えた。中略。TSKは大起が推薦する派遣労働者を契約社員として直接採用することにした。両社(大起、TSK)は労働者向け説明会を開いたが、告発した男性ら2人は参加を拒否された。TSKによると、男性は派遣に切り替えた際大起から伝えられた対象者に入っていなかった。以下略》朝日9月19日

 

これを読んでどう思いましたか。まず多様な働き方が出てきます。派遣とか契約とか、偽装請負とか。まるで派遣よりは契約の方がいいみたいにも受け取れますね。どちらの働き方にしても、正社員ほど雇用が保障されてはいません。

内部告発は労災に対して行われたのですが、そこから偽装請負であることが発覚しました。まず、内部告発がなかったら、この記事はなかったし、愛知労働局が動くこともなかったでしょう。

この記事からの教訓は沢山ありますが、この記事と2007年4月1日から施行される均等法とを重ね合わせてみると、均等法を実効あるものにするためには、相当に課題があることが見えてきます。

隠蔽したがる事業所を相手に、何よりもお役所に頑張ってもらわなければなりません。事業所に報告を求め、それが虚偽の報告であるか否かを見極める。う〜ん、気が遠くなりそう。しかし、過料が20万円とは…。

 

では、ここで来年4月1日からスタートする均等法のどこが変わったのかをおさらいします。

来年施行の均等法は男性に対しても適用されるというのは、以前ブログで書きました。要は「男女双方に対する差別の禁止」です。

 

女性たちの均等法に対する要求は沢山ありますが、ますは「雇用管理区分」から。

(雇用管理区分については、今年の1月1日のブログを見てください。)

以下が、私が傍聴した第62回労働政策審議会雇用均等分科会で配布された資料です。そこから引用します。(これは、厚労省HP右端のパブリックコメントをクリック。パブリックコメント意見募集案内の募集要項()指針案で見ることができます)

あくまでも省令と指針は現在審議中なので、決定ではありません。念のため。

[募集及び採用並びに配置、昇進及び教育訓練についての事業主が適切に対処するための指針]

直接差別

「雇用管理区分」とは、職種、資格、雇用形態、就業形態等の区分その他の労働者についての区分であって、当該区分に属している労働者と異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているものをいう。雇用管理区分が同一か否かについては、当該区分に属する労働者の従事する職務の内容、転勤を含めた人事異動の幅や頻度等について、同一区分に属さない労働者との間に、客観的・合理的な違いが存在しているか否かにより判断されるものであり、その判断に当たっては、単なる形式ではなく、企業の雇用管理の実態に即して行う必要がある。例えば、採用に際しては異なる職種として採用していても、入社後は、同一企業内の労働者全体について、営業や事務など様々な職務を経験させたり同一の基準で人事異動を行うなど特に取扱いを区別することなく配置等を行っているような場合には、企業全体で一つの雇用管理区分と判断することとなる。]

以下、「募集及び採用」「配置」「昇進」「降格」「教育訓練」「福利厚生」「職種の変更」「雇用形態の変更」「退職の勧奨」「定年」「解雇」「労働契約の更新」「違法とならない場合」と続きますが、今回のブログは、「雇用管理区分」についてのみ取り上げます。

今施行されている均等法の「雇用管理区分」については、以下のように書かれています。

法第5条に違反する措置]

(第5条 事業主は、労働者の募集及び採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない。)

募集及び採用に関し、雇用管理区分(職種、資格、雇用形態、就業等の区分その他の労働者についての区分であって当該区分に属している労働者について他の区分に属している労働者と異なる管理区分を行うことを予定して設定しているものをいう。)ごとに、次に掲げる措置を講ずること

イ募集又は採用に当たって、女性であることを理由として、その対象から女性を排除すること。

(排除していると認められる例)

^貭蠅凌種について募集又は採用の対象を男性のみとすること。

△い錣罎訌躪膺Δ砲弔い栃臀庫瑤郎陵僂梁仂櫃鮹棒のみとすること。

0焚爾藁します。

 

まず、書き方からして違いますね。次年度の均等法とは異なり、今の均等法は「違反すること」を羅列しています

 

今の均等法にある「雇用管理区分ごとに」という語句に女姓たちは抗議してきました。雇用管理区分が異なれば、違法とならないように読むことができるからです。これは次回に取り上げる「間接差別」の定義と矛盾するからです。

 

今の均等法の「雇用管理区分」の文章もややこしいけど、来年度施行の文章はもっとややこしい。

使用者と労働者の意見、またCEDAW(国連女性差別撤廃委員会)の勧告を勘案しての厚労省の苦肉の策とも思えなくもないですが、まあこれを私たちが読んで、すんなり分かる人がどれくらいいることやら。

総合職、一般職という抜け道を「雇用管理区分ごとに」が作ってきたことは、もう何度も書きました。来年度施行の「雇用管理区分」の文中の「例えば以下」にその苦心のあとが見られますが、この文章からでもいろんな解釈が生まれます。「営業や事務など様々な職務を経験させたり…」とありますが、経験させるのは事業主ですから、これを逆の口実に使うこともできます。

雇用管理区分に書けば書くほど、かえって抜け道を作っているような気がします。

 

あなたは、来年度施行の雇用管理区分のどの箇所にひっかかりますか。そのひっかかった箇所を、是非パブリックコメントに書いてください。

パブリックコメントについては、厚労省のHPの右端、パブリックコメントをクリックしてみてください。また、日本フェミニストカウンセリング学会のホームページにもその方法や、なぜパブリックコメントを出した方がいいのかについて書いていますので、次のURLにもアクセスしてみてください。
http://nfcg.web.infoseek.co.jp

 

それにしても、切実な要求を持っちながらも、日々の生活に追われている労働者が、この指針を読むチャンスや時間があるだろうか。よしんばあるとしても、この文章を読みこなし、自分の意見を言うことができるのか甚だ懐疑的になりますね。

 

次はもう一つの問題点「間接差別」についてです。多分今週中には載せることができると思います。

では今日はここまで。

今日は一日中雨でした。急に涼しくなると、あの暑さが少し恋しくなったりして、勝手なものですね。

 

さて、今までに労働契約法制とそれに伴う、労働時間法制について何度か書きました。その主な要点をもう一度(三度かな?)書きますと、次のようになります。

時間外月30時間を超える場合の残業代の割増率を5割に引き上げる。

長時間残業した人の休日取得を企業に義務付ける。

年収の高い人などを労働時間規制から外して残業代をなくす「自律的労働時間制度」の創設

解雇の金銭的解決の導入の検討

 

9月12日付けの新聞に次のような記事がありました。要点をまとめてみます。

残業代割増率示さず 労働法制厚労省が修正案(朝日新聞912)

雇用契約の新たなルールを定める労働契約法制や労働時間法制の見直しをめぐり、厚労省は11日、労使双方の反発があり議論が中断していた素案を修正する案を労働政策審議会の専門分科会に示した

(→の次の文が今回の労働省の素案です。)

 

30時間を超える残業の割増率を5割に引き上げる。→残業が一定時間を超えた場合の割増率を引き上げ

有期契約更新は3回を超えて継続すれば、正社員への優先的な応募機会を付与→不必要に短期の有期契約を反復更新することのないよう配慮

 

今回の厚労省の素案は、いずれも具体的に示されていた数字が削除されています。

調査に協力してくれた卒業生の多くは有期雇用ですから、この2つ目の有期雇用についての素案は、今までこのブログでは書いてこなかったので、こんなんもあったのかと「あれっ」と思った人もいるでしょう。

618日の新聞には確かにこの素案についての言及もされていました。

でもその記事の最後に、とても冷めたコメントがあったので、これはぬか喜びになるだろうと、あえて取り上げませんでした。

 

そのコメントとは「正社員にしたくない企業は決められた更新回数の前で契約しなくなる方向に進むだろう」。

どうですか、的確なコメントでしょう。

 

今審議されているホワイトカラー・イグゼンプションの条件の一つに年収があります。使用者側の当初の考えとは異なり、その額が400万から1000万円になるという情報も聞きます。

でも油断は大敵。

 

先日、ある講演会で、講師がこう言ってました。「派遣法だって最初は派遣していい職種は限定されていたのに、どんどん規制がはずされて、今は何でも派遣でOKのようになったことから考えると、最初1000万円で、それならあまり多くの労働者は該当しないと思っていても、いったんこの法律が成立したら、どんどんと額は下がって行って、あっという間に400万円のラインに行くだろう」。

なんかすごく得心してしまいました。

 

前回のブログを見て、アメリカに住む卒業生が次のようなメールをくれました。

彼女の夫はアメリカ人で、日本でいえば整形外科の医者のような仕事をしています。豊かに暮らしている階層に属しています。アメリカの医療制度は、公的医療は低所得者や高齢者・重度障害者に対するものだけで、基本的には個人や会社が民間の保険会社と契約します。少し加筆していますが、彼女は、アメリカの医療制度について以下のように述べています。

 

《保険の事は本当に悩みます。今現在うちは入っていません。入ろうと思えば5000ドルを自腹で、それ以上の負担も月々1000ドル近くはかかります。しかも歯には使えないとかで、結局うちはその分貯金に回して、その時の貯えにしてます。幸い友達が小児科医、歯科医、内科医なので、検診などはお互い夫の診察と交換でしたりしています。アメリカの治療費は莫大だから医療破産する人が多いそうです。もしそうなっても家は取られなくするようには法律で守られているようです。夫のクリニックでも保険で治療が左右されていて、彼はいつも怒っています。自分が診察して治療法を決めるべきなのに保険会社の社員が、『この保険では5回までカバーされます。』など電話で指示するからです。未収入の診察費もたくさんあります。そもそもシステムをいうと、診察を受けるとその分を後日請求書として送ります。クリニックによってはその当日に払った場合は割引をしてるところもあります。しかも随分借金を作っても平気で来る患者も多いです。あまりに借金がかさんでる患者の場合は、専門業者にかなりの成功費用を取られながらも集金の依頼するしか方法がないんです。結局アメリカの保険っていうのは、あまり自分の健康を大事にしてない人を支えるようなものなのです。だから夫のポリシーは、その分をスポーツジム費や食費に回したほうがいいというものです。こちらは子供が熱をだして電話をしてもすぐには連れて来させないんです。だからうちみたいにめったに病気のない家庭は、子どもが医者にかかった回数なんて一人一年一回の検診のみです。その費用は、もし支払ってたら50ドルぐらいだと思います。3人の子どもで150ドル、それにプラス私の健康診断120ドル。夫も同額程度としても全部で500ドルもいかないんです。一つ間違えれば恐い話ですが、その分は車の事故の場合の身体への保証等を余計につけたりして考慮しています。》

 

どうですか、日本とは随分と制度が違いますね。長寿国日本の医療制度は、簡単に他国とは比較できませんが、カナダのようにこの制度だけは無料というものを、誰ものが関係する分野で施行するなら、随分と人々の暮らしぶり、精神の安定度も違ったものになってくるだろうと思います。

 

均等法についてはまだ勉強中です。厚労省が今、今回の改正均等法の省令また、指針について意見を求めています。できるだけ多くの女性の働く現状をコメントにして送りたいので、どの点が問題なのかを次回のブログで書くつもりをしています。そのときは協力してください。

では今日はここまで。

昨夜、マイケル・ムーア監督の2002年製作の映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」を遅まきながらTVで見ました。

銃による殺人が世界でダントツのアメリカを各国と比較する場面では、特に隣国カナダとの比較がなかなか興味深いものでした。

 

今夏、暑い日本を脱出してちょっとの間カナダへ行ってきました。しかしカナダも暑かった。

地球温暖化を痛切に感じてきました。

 

行く先々で、在カナダ日本人の方とお話する機会がありました。時には観光ガイドの方、また知り合いのカナダ移住者等です。その方々が異口同音に言うのが「医療費が無料」ということでした。

 

前回のブログにも書きましたように、アメリカは国民皆保険制ではありません。低所得者向けの医療制度はありますが、さまざまな制約があります。

それは、NHKBSで放映していた「NY物語・同時多発テロの被害者」(93)でも見ることができました。

 

ビル崩壊の粉塵の中で救助に動いたのは消防士だけではありません。多くのボランティアもいました。消防士を含め、防塵マスクを大多数の人が着けていなかったために、今、肺の病気で苦しんでいる人が多いそうです。消防士等公務員はその後法律ができて救済されたのですが、民間人には何の救済もないとか。後遺症の医療を受けようとすれば、自費治療になるので、治療もできず働くこともできない人々のケースを紹介していました。

 

話はそれましたが、ムーア監督は、カナダの行政担当官から「力で人を押さえつけては駄目だ。医療や保育所や教育の充実こそが人々を安定した気持ちにさせるのだ」というような発言を引き出していました。カナダの銃所有率は高いのですが、殺人件数はアメリカとは比較にならないほど低いのです。

 

アメリカ人が過剰とも思える他人への警戒心を持つに至ったかにムーア監督は迫ろうとしていました。

 

このTVを見ていて、日本もアメリカ型になりつつあると思いました。

 

ブログで何回も書きましたが、国会を初めとした政府機関の警戒の厳重なこと。先日厚労省のロービーで写真を撮ったら、守衛さんに注意されてしました。

 

カナダの首都はどこ

オタワの国会は休会中ということもあったのでしょうが、その場での見学自由。各国の観光客が、英語やフランス語やドイツ語案内が飛び交う中、写真を撮りながらぞろぞろと歩いていました。私もその一員でしたが。

 

そういえばカナダの教育は高校までは確か無料、大学も奨学金制度が整っていて、学生の払う授業料の、大学の教育費用に占める割合はわずか11%程度に過ぎないとか。(カナダ政府のHP)

 

アメリカでは、日本の大学の授業料が安く思えるほど、高いのだそうです。奨学金を目当てに、イラクに志願する若者の背景が垣間見えますね。

 

さて今日は「解雇の金銭的解決」についてです。前回のブログで解説だけを書きましたが、その具体例を検索していて結構時間がかかりました。このブログで、労働問題について法的なことを書いていますが、実際働いているとそんな文面どおりに行かないのが殆どです。

 

ブログを見てくれている卒業生から、先日相談を受けました。「仕事を辞めたいのだけれど、後任が見つかるまで待ってくれと言われている。でも、なかなか後任は見つからず、困っている」辞める意思表示はかなり以前から会社に示しているそうです。

 

今まで「解雇されたから、どうしよう」という前提でブログを書いていたものですから、慌てて調べてみました。この場合も法律では保障されていますが、職場は人間関係で成り立っているところでもあるからそう簡単には割り切って行動できないですよね。

「会社も困ってるのや、今後任を探してるから、もうちょっとだけ働いてえなぁ」って面と向かって言われたら、なかなか振り切れないのが人情です。

 

この人情を逆手に取ったのが、今回の「解雇の金銭的解決」ではないかと私は考えています。冒頭に書きましたが、私の知る限りで最も新しい解雇の判決をレイバーネットというHPで見つけました。

 

水戸地方裁判所下妻支部での裁判例です。20042月に大倉産業株式会社に入社し(同年331日解雇)、試用労働契約であったAさん(当時28歳)に、前代表取締役社長Bが「うちの企業風土にあわない」という理由で解雇を言い渡しました。2004年年101日、Aさんは解雇無効を前提とする損害賠償を求めて訴訟を起こしました。そして2006829日に和解しました。この裁判はまだ短い方ではないでしょうか。

 

今回の「解雇の金銭的解決」が労働契約法に入る理由として、厚労省は『解雇が無効とされた場合でも、職場における信頼関係の喪失等によって職場復帰が困難な場合があることから、解雇の金銭的解決制度の導入について検討する。』と言っています。

 

これを上記のAさんの例にあてはめると、「例えAさんが、解雇無効の判決を受けたとしても、トラブルのあった職場に復帰しにくいだろう。それが人情というものだ。結果的には、退職金をもらって退職することになる。そんな長いことかかる裁判を労力や金をかけてまでしなくても、解雇する場合は金銭で解決しようやないの。」ということになりますかしら。

確かに、裁判中に会社側の証人として上司だけでなく、同僚も証言します。Aさんが職場復帰したら、多分相当に気まずいでしょうね。

だからと言って、「解雇の金銭的解決」が大手を振って歩き出せば、経営者は、「金さえ出せば、解雇できる」ということになります。一見労働者側に配慮があるように見えるこの内容は、結果的に労働者の立場をますます弱くすると思います。

解雇は、何かしら特別な理由があるように思いますが、その理由を労働者が本当に納得するなんてことはないでしょう。それを一体いくらで話をつけようとするのでしょうか。

 

「解雇の金銭的解決」と書いていましたが、ここまで書いて、「解決」という言葉はふさわしくないと思い至りました。「金銭的手打ち」「金銭的通告」「金銭的押し付け」なんかどうでしょうか。他にふさわしい言葉ありませんかね。

 

先日傍聴してきた来年4月から施行される改正均等法について、何とかブログに書けるように勉強していますが、法律用語は難しくて、何がどのように変わったのか、変わったことで働く者への影響がどうなるのか、さっぱりつかめません。

そのネックにあるのが、1986年に施行された均等法が、女性労働のためになって来たのだろうかという点です。

法律はいいこと書いてあるけど、企業がそれを実行しないでもOKならば、法律って一体なんなの

(もちろん、効果が全くないなんては思っていません。裁判をすれば、労基署に申し立てれば、力になってくれるでしょう。)

 

特にアンケートと重ね合わせて、この点から抜け出せないのです。

では今日はここまで。

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