嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2007年02月

住友化学とキャノン

今年こそは一週間に一度の更新をと密かに誓ったのですが、人間そう簡単に変われないようです。

 

気になる話題を3つばかり。中川自民党幹事長が講演で「閣議に首相が入ってきても、起立、礼をしない、私語をする大臣がいる」と指摘したとか(2007.02.20朝日)から書き出し、2つ目に少子化について、3つ目に『キャノン、正社員化先送り 請負、派遣、方針を転換』をと書き始めたのですが順番を変えました。キャノンで働く人が国会で発言したとの情報が入ってきましたから三つ目から始めます。次に「働く人に対するキャノンと住友化学の対応」を並べますので、比較してみてください。(2つは次回へ)

 

三つ目、企業への応援の表し方について。デジカメもプリンターも古くなってきているのでそろそろ買い替えを考えているのですが、やっぱりキャノン製品は買わないでおこうと、記事を読んで思いました。以前に「ワールド」の洋服を買いにいったことを書きましたが、消費者が直接気持ちを表すことができない企業もあるのですね。

 

住友化学のHPによると、主に原材料を製造している企業で、農薬部門と医薬品部門は直接消費者と関係ありそうなんですが、農薬は私には全くといっていいほど関係ないし、医薬品は医者の処方箋で購入することになるし、食べ物や電化製品や洋服のように、「買う」という行為で気持ちを表すことはできそうにない会社です。どうして私がこんな気持ちになったのかは住友化学裁判の元原告矢谷さんの文章を読んでみてください。

 

彼女は和解後も、男性では絶対要求されないだろう努力して、一般職から総合職になり、ついに管理職になりました。会社内の派遣の人を正社員にすることの火付け役をした人でもあります(2006.04.26ブログ)。住友化学の原告はこの文書を書いた矢谷さんと石田さんです。以下矢谷さんの文章です。

 

私達原告が、大阪高裁の和解時に一番こだわった事は、一般職女性で管理職になった人が歴代一人も居ない事でした。

定年退職を1ヶ月後に控えた原告の石田さんを象徴的な意味でも退職前に管理職にして欲しいと粘りましたが、「石田さんは管理職の一歩手前の級まで行っていない。飛び級は人事制度を変更する事なのでできない」という会社の返答で、叶いませんでした。和解の2日後に原告以外で、歴代初めて一般職のままで女性管理職が誕生しましたが、その後、増えていませんでした。

 

今回会社は飛び級でも管理職になれるように人事制度を改訂してきました。会社のニュースには「当社では、これまで一般職社員から管理社員に任用された女性は少数であるという事実に鑑み、男女雇用機会均等法にも規定されているポジティブアクションの考え方に基づき、女性が活躍するフィールドを拡大させていくという観点から、意欲・能力のある女性一般職社員を積極的に推薦していくこととする。」という事です。

 

私達が裁判で言い続けた事が制度になりました。少々遅れましたが、裁判をした事が、住友化学を徐々に変えてきている事を実感でき、とても嬉しいです。

 

もう一つ、派遣社員がどんどん正社員に採用されていますが、新卒の初任給から始まるので、時間給が下がる為、断る派遣社員もいました。会社はそれも改訂してきました。会社は「一般的に、何らかの職業経験を持つ者のほうが、新規学校卒業者よりも、組織人としての意識が高いことなどから早期に職務遂行能力が伸長する傾向がある。今後は、当社に入社する前の職業経験などを踏まえて初任給を設定することとし、柔軟な運用を図ることとしたい。」という事です。初任給より最低でも月6,000円が加算されるようになり、過去の職業経験は、パート、派遣、アルバイトや職務の内容も問わない事になりました。これは、04年該当者から遡及実施される事になりました。

 

これも、派遣社員は組合員じゃないと取り上げなかった組合に、度々派遣から正社員になったのだから取り上げるように要請に行っていましたので大変嬉しいです。

 

少子化対策はびっくりするくらい積極的です。ワークライフバランスという言葉も度々出てきます。保育所を愛媛と大阪工場に新設します。新設しない他の工場や事業所には民間業者と提携して保育サービスを充実させるという事です。育児休業も1年でしたが、1年半に延ばしてきました。

 

出産・育児で退職した人の再雇用もOKになりました。妊産婦が検診するために、月1回有給の休暇も認めました。保育所への送迎のための時間短縮も小学校3年生まで延長しました。

 

有給休暇も勤続年数にかかわらず一律年20日付与します。まだまだ、書ききれません。

 

先週も早速、飛び級で管理職に推薦されている一般職女性から相談にのって欲しいと話がありましたが、躊躇しているようなので、ぜひ頑張って欲しい、女性が管理職になりやすいように、会社も教育・宣伝に努めるように人事室へ言っていくからと励ましました。

 

関係会社の派遣社員で、7年もたっているのに正社員になれない人からも相談があったので、法的なこと、住化の実態などを知らせ、応援しています。

 

まだまだ、制度が変わっただけで、実態はこれからですが、現役で働ける間に元原告という立場を利用して頑張っていこうと思っています。長くなってしまいましたが、嬉しくて、お知らせまで》

 

次にキャノンです。キャノンの偽装請負の実態が衆議院の予算委員会の公聴会で報告されましたので、次をクリックして、さらに発言者一覧の三番目の大野秀之さんをクリックしてください。http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib3.cfm?deli_id=33631&media_type=wn

 

9分間の発言です。概略は以下です。

 キヤノンの工場で請負で働く大野秀之さん(32)が22日午前、衆院予算委員会の公聴会に招かれ、非正規雇用の労働者の思いを語った。長年にわたる職場の「偽装請負」も指摘し、「厚生労働省は労働者派遣法を適用して直接雇用をキヤノンに指導してほしい」と訴えた。 大野さんはこの7年近く、数カ月おきに更新される細切れ契約で請負会社に雇われ、キヤノンの宇都宮光学機器事業所で働いてきた。「何年働いても賃金は上がりません。ボーナスはなく、退職金制度もありません。私たちには景気回復傾向の実感はまったくなく、待遇は日に日に悪くなっているのが現状です」。キヤノンと請負会社の契約はもとは請負だった。それが一昨年5月に労働者派遣契約になり、昨年5月に再び請負契約に。さらにまた派遣契約に戻されようとした矢先の昨年10月に、労働組合東京ユニオンに加入した。不安定な将来に「精神的に限界」だった。「私たちは生身の人間です。正社員と同じ仕事をしているのであれば、同じ賃金をもらいたい。安心して子どもを産み、十分な教育を授けたい。親の面倒を見たい。そして自分自身も社会に貢献しながら幸せな老後を送りたい。そんな生活をしたいです」。昨年12月に労組のキヤノンユニオン宇都宮支部を立ち上げた。が、キヤノンからは「使用関係がない」「偽装請負はない」として団体交渉を拒否されている。「私たちのように、一度、非正社員の道に入り込んでしまうと、正社員の道を歩むことがとても困難であることをどうか知ってください」そう述べて、大野さんは陳述を締めくくった。 (ACW2MLより引用)

 

では新聞記事を紹介します。

『キヤノン、派遣・請負の正社員化後回し 新卒採用を優先』

《違法な「偽装請負」の是正策の一環として、請負・派遣労働者の一部を正社員に採用すると昨夏に表明していたキヤノンが、その後半年間の検討を経て、当面は高校新卒者らの正社員採用を優先する方針に転換した。

 

政府は、新卒一括採用システムの見直しや非正規労働者の正社員化の推進を重点課題にしているが、キヤノンの方針転換は、こうした流れに逆行しそうだ。

 

 キヤノングループでは、他社に雇われた非正規労働者を派遣契約なしで直接使う偽装請負が各地の工場で発覚し、労働局の指導を受けた。昨年8月に社長をトップとする「外部要員管理適正化委員会」を設置。偽装請負の解消に取り組むとともに、工場で請負や派遣で働く2万人以上の労働者から1,2年のうちに数百人を正社員に採用すると表明した。

 

ところが、今月に入って取材に応じた人事本部長の山崎啓二郎取締役は「技術の伝承、組織の活性化のために、若い人を採ることになった。新卒の定期採用のほうが中長期には人材的に安定する」と説明。代わりに高校や工業高専の新卒者の定期採用に力を入れる方針を明らかにした。08年春は高校新卒を100人、高専新卒を40人と採用をほぼ倍増させるという。

 

同社は非正規労働者の正社員化について「撤回したわけではなく、優秀な人がいたら採用する」という。ただ、その判断はグループ各社に委ねており、採用予定数も示していない。

 

国内のキヤノングループでは、昨年6月時点で製造にかかわる請負労働者が約15000人、派遣労働者が約7500人いた。偽装請負解消に伴い派遣を増やしたため、昨年12月には請負が約12000人に減り、派遣が約12500人に増えた。昨年は、大手請負会社コラボレートが偽装請負で事業停止処分を受けて製造請負から撤退したことなどもあって、製造にかかわる派遣労働者のうち約200人を期間従業員として直接雇用したという。

 

偽装請負をめぐっては、民主党が、日本経団連会長でもあるキヤノンの御手洗冨士夫会長を国会に参考人招致するよう求めている。(.02.18朝日)

 

この2企業についてのコメントを寄せてください。

では今日はここまで。「続きを読む」もよろしく。

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格差社会と教師。Fさんの手記2

久しぶりに昔の同僚と飲みました。

随分と職場も様変わりしたようです。働いている大人の側の変化を言えば、先生が発言しなくなったそうです。

 

職員会議は校長から先生への連絡をするところで、先生が話し合って結論を出したり、意思を決定するところではないという見解を文部科学省は出していますから、その効果が見事に現れてきていると言えます。

 

労働者と経営者は対等であるとおっしゃる、理想的な経営者もいらっしゃるようですが(まともに取らないでね。皮肉なんだから)、その代表としてのザ・アールの奥谷社長は次ぎのように発言しています。彼女はこのブログでずっと書いているホワイトカラー・エグゼンプションを含む労働契約法制等の審議会委員です。

 

「経営者は、過労死するまで働けなんて言いませんからね。過労死は自己管理の問題です。労働基準監督署も不要です。『残業が多すぎる。不当だ』と思えば、労働者が訴えれば民法で済むことじゃないですか」(東洋経済2007.01.13)

 

どれだけの人が裁判を起こすことができる思ってんのとかいろいろありますが、是非コメントで感想を聞きたいですね。この会社の社員は幸せだろうな。

 

職員会議で先生がただ意見を言うだけで、最後は校長の考えで物事が決められていくのなら、段々誰も話さなくなって行きますよね。こうして政府の思惑通りに、校長に「ハイハイ」という先生ばかりになって、果たしてどんな生徒が育っていくでしょうか。

 

今の格差社会と共通すると思いませんか。

従順に、ひたすら働いてきた結果がこの格差社会だとすれば、教師も労働者も責任の一端はあります。(教師は勿論労働者ですが…)

 

前回のブログに書きましたが、自己責任の全くない中国残留孤児・婦人・邦人の苦労を思えば、一人ひとりができることころで発言をしていかなければと改めて考えています。

 

うっちさん、契約社員の実態がよく分かりました。外向けには優良な企業の実態がこれとは

50山風さん、仕事見つかるといいですが、なぜか日本では35歳が女性正社員の制限年齢のようです。吉報を待っています。

 

07年春闘「時給15円増」訴えー非正社員の待遇改善》(朝日2007.02.10)ちなみに先進国で最も最低賃金(時給)が低いのは日本です。

 

さて今日も労働問題に大きな進展がありませんので、前回に引き続き中国残留婦人Fさんの手記を掲載します。この手記はFさんの許可を得ています。Fさんは1人でも多くの人にこれを読んでもらって、二度と戦争のない世の中を作ってほしいと願っておられます。

「続きを読む」をクリックしてください。なお文中のBさんは後々まで出てくる重要人物なので覚えておいてください。

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柳沢発言と政争とFさん

今日は、労働問題から離れます。

このブログは労働問題に焦点を絞ったものです。以前にも書きましたが、話題を広げると収拾がつかなくなるというのがその理由です。

 

ホワイトカラー・エグゼンプションに代表される労働契約法制は、今国会での法案成立は見送られましたから、今少し労働問題に関する記事や話題は少なくなってきています。しかし、今国会で見送っただけのことで、参議院議員選挙が済んで、現与党が勝利すればすぐに国会に出てくるでしょう。

 

労働問題について話題がなくなることは全くと言っていいほどないのですが、私の脳ミソが働かないときは他の話題も有りということでしょうか。

 

何か違うという感が日増しに強くなってきます。柳沢厚労相の発言に対しての政界の対応についてです。「機械発言」を聞いたときは、「おっまたやってくれたか」という感想でした。

 

国会議員、地方議員を問わず、こういう考えをしている人は多いのではないでしょうか。それを発言するかしないかの違いだけで…。地方議員の方が、マスコミに騒がれない分、かえって酷いのではないかと思います。

 

女性国会議員の服装は、党派を問わず非常にフェミニンです。TVで確認してみてください。社民党の辻元清美さんが国会議員になって初めて登庁したとき「スカートをはけ」と男性議員から言われたというのを読んだことがあります。

 

少子化とか、将来の労働力不足とか、年金の維持だとかと言われるたびに「違うやろ」と言いたくなります。将来の労働力のために少子化をくい止めなければならないのなら、まるで太平洋戦争で叫ばれた「産めよ、増やせよ」と同じではありませんか。子どもを産む行為は、国家のスローガンとは無縁のものです。そういう意味で野党が大臣の辞任を求めたことは当然です。しかし、その後の与野党の対応は、女性が求めているところからどんどん離れています。今は愛知県の知事選挙の道具になりました。

 

圧倒的与党の前ではこの戦術しかないのだ、という野党の考えも分からないではありませんが、柳沢大臣が辞任したとしても、やっぱり本質は何も変わらないだろうと思います。

 

ある状況が、いったん当事者の手を離れて政治の側に取り込まれてしまうと、どんどんと事の本質から離れていってしまいます。宗教が弾圧されたり、国教として認められたり、そのたびに血を流したのは権力を持たない人々でした。

(世界史で勉強したこと覚えていますか)

 

待遇や賃金差別で訴えた女性への判決の多くは、「同情する。しかし当時としては、女性が男性と同じように働くとは考えていなかった時代だから、まあ仕方がない」という内容です。ことの本質を問うている女性に対してのこの判決は、今回の柳沢大臣への問題発言への対応の仕方と通じるように思えて仕方がないのです。

 

これが政治なのだといわれれば、現代はなんと人間一人ひとりが見えない不幸な時代なのでしょうか。

 

個人が国によって不幸にさせられた例は一杯あります。その代表的なのは戦争ですね。しかし、全面的に当時の政府のみが悪かったとはいえないですね。なぜなら人々によって成立しているのが国であり、その単位である個人は選挙権を持っているからです。

(この考えに異論のある人も多いです。国家があって、国民があるという考えです。)

 

戦争に関して、全く当事者ではないにも関わらず、全て自己責任とされた人々がいます。それは中国残留孤児です。

 

《日本に永住帰国した中国残留孤児40人が、「国がすみやかな帰国措置や永住後の自立支援義務を怠ったために就労や教育で不利益を被った」として賠償を国に求めた判決が30日東京地裁であった。地裁は「早期帰国を実現する法的義務や、法的な自立支援義務を国が負うとは認められない。日本の生活に慣れない孤児が一挙に大量に帰国することになれば、円滑に定着することは困難」として国の帰国支援策に問題はないとの見方を示した。》(2007.01.31朝日)

 

今日の授業はある1人の残留孤児の話です。「続きを読む」に入れましたので、是非ここをクリックしてくださいね。長文なので、労働問題が少ないときに連載していきます。(2006.03.25で予告)

 

これを読んで、あなたはこの女性が中国でさまよったのも、日本語を忘れてしまったのも、弟や妹や父親が亡くなったのも、彼女個人の問題であり、政府に早期に帰国を実現する法的義務はなかったという判決に納得がいくでしょうか。

 

この手記を書いたFさんは滋賀県在住の方です。現在81歳。一昨年に私はFさんと出会いました。Fさんの手記を読むと、その記憶力に感心します。当時の辛い日々がいかに深く深く脳に刻み込まれたかが分かります。

 

19歳で満州へ行き、30年後に帰国されました。

正式にはFさんは中国残留婦人と言われています。

孤児と婦人・邦人の違いはたった一つです。それはソ連が満州へ侵入してきた194589日に13歳以下であったか、以上であったかの違いです。13歳の根拠は、13歳が自己で物事を決めることができる年齢だからだそうです。この13歳という年齢を出してきたのは、勿論戦後の厚生省です。Fさんが中国に残ったのは、Fさんの意志という訳です。そうなのかどうか、あなたが判断してください。

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