嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2007年06月

夏風邪をひいたらしく、体調が思わしくなくてなかなかブログに取りかかれず、記事に時差ができてしまいましたが、懲りずに読んでください。

 

「正規雇用と非正規雇用が共に手を携えていくことしか格差社会を打開する方法はない」

 

これは鴨桃代さんの発言ですが、同じことを以前暉峻淑子さんも話されていました。詳しくは今年の34日付のブログを見てください。

ということで話題の一つ目。6月10日に大阪で鴨桃代さんの講演を聞きました。

鴨さんの紹介は以下の通りです。

全国ユニオン会長で、「非正規雇用フォーラム」の共同代表。パート・派遣・契約社員たちとともに、均等待遇実現に向けた立法化に携わる(岩波ブックレット『非正規労働の向かう先』より)

 

鴨さんが『非正規と正規が共に手を携えて闘うことの重要さ』を強調されていたのを、ホントそうだなぁって思いつつ、大阪駅から電車に乗りました。

日曜日でしたが、夕方だったので電車は立っている人もいるくらいの混み具合。親子連れ4人がボックス席に座っていました。小さな子どもが2人。真ん中にお菓子なんぞを置いて食べつつ、立っている人に全く注意を払わない様子。膝に載せるか、一緒に座らせるとかすれば、他の人も座れるのにと考えつつ、これでは正規が非正規を思いやるのは無理だわということに考えが至りました。この子どもも将来、正規か非正規かの労働者になるだろうけれど、せっかくの学習する機会を失してしまったともいえます。

 

悪気はないが、気が付かないということなのでしょう。このような労働問題のブログを書くようになってから、私もそうだった、他人を責めることはできないと考えています。

 

職場には産休、育休、病休やカリキュラムにおける科目担当者の不足で何人もの臨時教員が働いておられました。私は大体の臨時教員の給料額を知っていましたが、その額が安すぎるとは思っていませんでした。思っていても、それは臨時教員だから仕方がないと思い込んでいた節があります。ある臨時教員が「A先生が、私を臨時の先生だからと生徒に紹介した」と憤慨しておられました。生徒の前では臨時、正規の区別はありません。それは男女の差別にも似て、「正規だから、男性だからすごい授業」とう論理が生徒には絶対に通用しないのと同じくらい、無意味な紹介方法です。今はあのときの臨時教員の悔しさが痛いほど判るようになってきました。無知とか、関心がないとかは人を鈍感にさせますね。

 

「正規雇用労働者は非正規の労働者の置かれている状況を把握していないか」、もしくは「同じ職場で働く同僚という意識を正規雇用の労働者が持っていないのか」。

後者の方が多いと鴨さんは話しておられました。現に「派遣さん」としか、名前で呼ばないところもあると卒業生が言ってました。

 

「改正パート労働法の正社員になるための3要件をあなたは満たしていません」

これが名古屋銀行の坂さんが正行員化を求めた団交の回答でした。

 

名古屋銀行の坂さんの団交へ行ってきました。団交は615日にありました。

少し早く名古屋に着いたので、駅前に出来た「トヨタビル」の42階の展望台へ上がってきました。入場料が要るのは、天下のトヨタにしてはせこいなって思いながら、シニア料金で入りました。

沢山の若い従業員が要所々に立っていて、にこやかに「こちらでございます」とか言ってくれました。果たして彼女ら、彼らの雇用形態はなんなんだと思いつつ、あまりの丁寧な雰囲気の空間に、結局聞くことはできませんでした。誰か行くことあったら聞いてみて。私は二度と入場料を払って上ることはないと思うから。

 

さて団交の本筋に戻ります。夕方7時から始まって10時過ぎまで。私は10時に会場を飛び出したので、最終何時だっかはわかりません。丁度新幹線が遅れていて、無事夜中に大津に着きました。

 

団交の主たる要求はただ一つ。

「坂さんを正社員にするか、しないか」です。今回のパート労働法がいかにザル法であっても、

正社員と同じ仕事内容。

正社員並みの配置転換がある。

期間の定めのない雇用。

 

の3要件を満たしていれば正社員になれる筈。

以前から何度もブログで書いていますように、坂さんはこの3要件を満たしています。

 

坂さんの雇用契約の更新日は711日です。契約更新寸前の団体交渉でした。地元名古屋を初め、東京、京都とサポーターが見守るなかで団交は始まりました。

 

28年間のパートの期間中、坂さんはずっと正行員化を要求し続けてきましたが、それあくまで坂さんという個人の要求に過ぎませんでした。今回女性ユニオン名古屋という労働組合からの団交です。銀行側は団交を拒否することはできません。労働組合法違反なります。

 

銀行の言い分はこうです。

《期間の定めのない雇用》の要件については、OK。

(そりゃそうでしょう。28年間も一年毎の契約を繰り返してきた事実があります。)

 

《正社員並みの配置転換がある》NO。

過去に坂さんは転勤をしています。それは坂さんが丁度労災に認定されたときです。坂さんは職業病である頸腕症候群になりました。労災に認定されたということは、銀行に責任が生じたということです。このとき坂さんは支店から本店に異動になっています。しかし、これは異動ではなく、坂さんに対する配慮というか、思いやりであって「転勤」ではないとのことです。労災認定されたときに坂さんを「正行員」にするべきところなのにね。なぜって、坂さんはこの病気になったせいで、他の職種に移る機会も失ったことになるからです。

 

さらに銀行は、パートの人とはその地で契約を結ぶのだから、パートに転勤はないと主張します。もしパート労働者が何らかの事情で転勤したい場合、今までのA支店の契約を打ち切って、B支店と新たな契約を結ぶのだそうです。しかし、坂さんの転勤は坂さん自身が願ったことではなく、銀行の命令で異動したと坂さんは主張しました。

(パートに転勤がないのなら、なんでこんな要件を改正パート法に載せるんだぁ)

 

《正社員と同じ仕事内容》NO。

これは仕事に対する考え方の問題であるので、銀行側は正社員と同じような内容の仕事をしているという認識を示しませんでした。補助的業務とか、ルーチン・ワークとか、責任がないとかごちゃごちゃ。

 

坂さんは、今、誰とどのような仕事をしているかを懇切丁寧に説明しました。もしかしたら、次回からこの仕事から外されるかもしれませんね。具体的に◎◎係長とか、△△課長とか名前が出ましたので、この実名を出された人も叱責されるかもしれません。

 

銀行側が出して来た人たちは、団交に慣れていない、全く権限を与えられていない人たちでした。人事部の部・課長だと思いますが、自己紹介のボソボソ声で詳細は聞き取れませんでした。だから彼らは何ら意見を表明することはできませんでした。たった一つ、《期間の定めのない雇用》を除いては。言い換えれば、彼らが今まで経験してきた団交は、実に御用組合との馴れ合いの団交であったかということです。坂さんたちパート労働者は、銀行の組合には入れてもらえません。

 

この3要件を坂さんが満たしていることを知っている筈の銀行は、新たな制度を出してきました。その制度は将来的に正行員になる道が一見開かれたような制度ですが、坂さんがこの制度を利用して正行員になるには最短でも4年、そのとき坂さんは定年の歳になります。余りに馬鹿々しい制度なので、これについては次回に紹介します。

 

こんな風に、たった1%、多くて4〜5%しか該当者がいないという今回の改正パート労働法の、その法律に書かれた3要件すら、使用者のどんな解釈でもありなのです。すべて使用者に権限がある日本の労働法に、なんのためのパート労働法改正なのかと、あらためて怒りが湧いてきます。

 

でも前に座っている銀行側の代表の、肝心な点になると「沈黙」する顔を見ながら、正社員と非正社員がいがみ合っている場合ではないだろうと、鴨さんの話を思い出していました。

だからパート労働者が、正行員を窮地に追い込む行動を止めてではなく、正行員こそがそのことに気が付いて、「坂さんを正行員にしなければ、銀行の未来は暗い。なぜなら日本の全女性を敵に回すことになるから」とか、「住友電工和解勧告のようにせめて、過去の社会意識を前提とする差別の残滓を容認することは社会の進歩に背を向ける結果となることに留意されなければならない。そして現在においては、直接的な差別のみならず、間接的な差別に対しても十分な配慮が求められている。」くらい、上司に進言してほしいですね。

 

なぜって、パート労働者は圧倒的に女性に多く、特に銀行では全部と言っていいほどが女性でしょう。これは明らかに間接差別でもあります(この和解勧告文は昨年7月5日のブログを見てください)

 

名古屋銀行のガードがなぜにこんなにも固いのか、以前に書いたワールドやユニクロに見られるような正社員化がなぜ出来ないのか、「敵は本能寺にあり」(古いね)。この意味すら分からん?私は愛知という地盤に問題ありと思っているのだが。ここまで書けばわかるじゃろ。

では今日はここまで。

続きを読むもよろしく。

 

続きを読む

いよいよ梅雨到来ですね。

仕事を辞めてよかったこと、私にとっては一番目くらいにランクできること。それは雨の中を出て行かなくてもよくなったこと。なんせ歩くのが下手で、思いっきりハネをとばしてしまうから、ズボンとかスカートは見るも無残なことに。今は、よほどのことがない限り、雨小降りになるまで待つこともできる。

 

さて労働界はニュースに事欠きませんね。残念ながらいい話はありません。

その一つを紹介します。表現がまずい文章ですが、すごい分量のほんの一部です。声に出して読んでみてください。声に出して読むに値する美文ではありません。声に出すと、そのあまりの使用者に都合にいい内容に、最近体重を気にするようになったあなたの脂肪が、怒りで燃焼するからです。

ではどうぞ。

 

「一部に残存する神話のように、労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方は誤っている。

 

不用意に最低賃金を引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらし、そのような人々の生活をかえって困窮させることにつながる。

 

過度に女性労働者の権利を強化すると、かえって最初から雇用を手控える結果となるなどの副作用を生じる可能性もある。

 

正規社員の解雇を厳しく規制することは、非正規雇用へのシフトを企業に誘発し、労働者の地位を全体としてより脆弱なものとする結果を導く。

 

一定期間派遣労働を継続したら雇用の申し込みを使用者に義務付けることは、正規雇用を増やすどころか、派遣労働者の期限前の派遣取り止めを誘発し、派遣労働者の地位を危うくする。

 

長時間労働に問題があるからといって、画一的な労働時間上限規制を導入することは、脱法行為を誘発するのみならず、自由な意思で適正で十分な対価給付を得て働く労働者の利益と、そのような労働によって生産効率を高めることができる使用者の利益の双方を増進する機会を無理やりに放棄させる。」

 

この文章は、去る521日に政府の諮問機関である規制改革会議が、今後の日本の「開かれた自由な労働市場」に対して出した「労働提言」です。

 

ざっとまとめるとこんな感じかな。

労働者の権利を強化すると→労働者の保護につながらない。

 

最低賃金を上げると(日本は先進国中最下位)→労働者は失業する

 

女性労働者を保護すると→女性労働者は就職難と失業にみまわれる

 

解雇の面で正社員は保護されすぎ→かえって非正規が増える

 

直接雇用申し込み期限の派遣労働者よ→いつまでも派遣労働者のままで働け

 

長時間労働→サービス残業代なんぞ言っていないで効率よくもっと働け。

 

もっと辛らつにまとめた方がいいよね。

すごい使用者に都合のいいことばかり書いてあるでしょう。

これのどこに有識者の片鱗が感じられるでしょうか。

 

日本に暮らす人々が、過労死なんていう言葉を返上して、心豊かに暮らせるような、智恵を絞った意見は全くありませんね。

 

心底、奴隷制度を望んでいるような、タイムスリップしたような、全く歴史に学んでいないような。

 

どんな人がこの委員会のメンバーか知りたい次にアクセスしてみて。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/about/list/commission.html

 

提言の全部が知りたい人は次を。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2007/0521/item070521_01.pdf

 

さすがに政府もまずいと思ったのか、次のような談話を出しました。

 

規制改革会議第1次答申、「労働提言」盛り込まず20070528日朝日)

 

政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が月内にまとめる第1次答申で、原案にあった労働分野の提言を盛り込まないことが28日分かった。提言では安倍政権が進める最低賃金引き上げ方針に慎重な姿勢を示していたが、政府内や連合などから批判が噴出。答申に盛り込めば批判がさらに広がりかねないことから、同会議側が配慮を示した形だ。

 同会議は今月21日、作業部会名の意見書の形で労働分野に関する提言を公表。事業主が金銭を支払えば解雇できる「解雇の金銭解決」の試験的導入など労働規制の大幅な緩和を求めるとともに、最低賃金引き上げについて「不用意に引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらす」と指摘した。こうした内容を同会議の見解として第1次答申に盛り込む方針だった。

 だが、柳沢厚生労働相は22日の参院厚労委で「政府の一部門の末端の組織といえども、方向性において(政府方針と)まったく違うような意見表明をするのは適切さを欠いている」と批判。また、最低賃金の中長期的な引き上げを議論する政府の成長力底上げ戦略推進円卓会議に参加する連合からも「これでは円卓会議につき合えない」という反発も出たことで、政府内からも見送りを求める声が出ていた。

 

年金問題で低姿勢な政府というか与党ですが、油断はできません。なぜなら世論の反対でいったん引っ込めたホワイトカラーエグゼンプションとか、解雇の金銭的解決とか、以前からこのブログで紹介してきた労働契約法制を、この会期の迫った、問題山積の今の国会で、もしかしたら13日に衆議院で強行採決される可能性もあるのです。

これで参議院選挙で自民が勝てば、もう間違いなく上記の提言も法制化されるでしょう。

 

体脂肪減りましたか

では今日はここまで。

続きを読むも佳境に入ってきました。よろしく。

続きを読む

このページのトップヘ