嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2008年05月

ILO条約勧告適用専門家委員会の勧告その3&パートホットラインのお知らせ

53日は憲法記念日。今年は改憲の声が昨年ほど強くなく、改憲反対の人は66%、賛成の人は23%だと報道されていました(朝日53)

 

「衣食足って礼節を知る」が、「居職足らない」昨今だから、憲法に謳われている生存権は、「絵に描いた餅」状態で、かえって人々は改憲論議に冷静なのかもしれません。

 

さて、画期的な更新です。まさかこんなに早い更新とは誰も思わないだろうから、アクセスは当分ないでしょうね。

 

ILO100号条約勧告適用専門家委員会からの勧告の最後部分です。

前回に引き続き、勧告文をそのまま紹介し、後半に私の解説兼感想を書きます。なかなか難しい文言が並びますが、ILOが日本政府にどのような要求を突きつけているか、めったにお目にかかれない文章なので、我慢してお付き合いくださいね。音読なんかどうですか。

 

7.間接差別

本委員会は、間接差別とみなされる措置について判断する権限を厚生労働省に与えている均等法第7条に関する先の意見を想起しつつ、2006年の均等法改正に続いて修正された均等法の施行規則第2条が、以下の3つの措置を規定していることに留意する。すなわち、(1)労働者の身長、体重、体力に関する要件、(2)コース別雇用管理制度における労働者の募集と採用に関連して、住居の移転を伴う結果となる配置転換に労働者が応じられるかどうかにかかわる要件、(3)職務の異動と配置転換を通じて得られた労働者の経験といった昇進のための要件である。委員会は、間接差別に関する一般的定義が、均等法の指針(「均等法指針」)の中に含まれており、施行規則第2条に列挙された事例に含まれない間接差別は司法により違法とみなされるとする政府の指摘にも留意する。政府は、問題の見直しを続け、判決の動向を踏まえつつ、必要に応じて施行規則第2条を改正するとしている。連合は、間接差別に関する均等法の限定的な規定が国際基準に合致するかどうか疑問視しており、引き続き間接差別の範囲を特定しない幅広い定義を同法に盛り込むよう求めるとした。WWNも、間接差別のより幅広い定義が適用されるべきであるとの意見を提出している。報酬に関するあらゆる形態の間接差別は、本条約に即した措置を講じられるべきであることを想起しつつ、委員会は、均等法第7条とその施行規則第2条の適用に関する詳細な情報を提供することを日本政府に求める。委員会は政府に対して、労働者団体および使用者団体と間接差別問題について協議を続け、関連する裁判について報告し、間接差別の定義によって報酬に関するあらゆる形態の間接差別が効果的に保護されることを保障する上で、いかなる進展がみられたかを報告するように求める。

 

前回のブログの雇用管理区分と全く矛盾する概念が、この間接差別です。「あなたは男性だから賃金が高い。あなたは女性だから安い」は直接差別。結果的に見れば、パートで働いているのは女性が圧倒的に多いとか、いつまでもヒラのままでいるのは女性ばかりというのは、間接差別です。

 

この観点からみると、間接差別が上記()()()だけであるはずがない。例えば「福利厚生の適用や家族手当等の支給に当たって住民票上の世帯主(又は主たる生計維持者、被扶養者を有すること)を要件とする措置」で、女性が排除されてきた例はごまんとあります。圧倒的に世帯主は男性ですから。こういう()()()以外にも間接差別はあると均等法の指針(均等法を具体的に運用していくための方針)には書いてあります。

だからこの3点以外を争った裁判の判例をも参考にするとすると指針で述べているのなら、なぜわざわざ3点だけに絞ったのかと、委員会は日本政府に問うています。

 

また、今回の改正均等法に間接差別として考えられる例を3点に限定して列挙してあるが、そのことによる効果を報告すること。それと、これが最も重要なのですが、「間接差別を限定して列挙するのではなく、≪間接差別はダメ≫と、範囲を特定しないで均等法に明記しなさいと委員会は政府に求めています。

 

この間接差別を均等法に明記するように労働者側代表は求めていましたが、使用者側の強固な反対によって、限定列挙になってしまいました。均等法制定の審議会で間接差別を議論してきたにも関わらず、突然限定列挙となって、それまで積み上げてきた議論がどこかへ消えてしまった経過があります。こういう点も専門家委員会は多分把握しているのではないでしょうか。だから、労使で、論議を続けることをも求めています。

 

8.コース別雇用管理制度

本委員会は、政府報告から、2006年「女性雇用管理基本調査」によれば、コース別雇用管理制度をとっている企業は全体の11.1パーセントで、2003年と比較して1.6パーセント増である点に留意する。コース別の男女間分布に関して、新たな情報は得られていない。連合とWWNの双方とも、コース別雇用管理制度が、事実上、依然として男女差に基づく雇用管理として利用されていると主張している。両者は、政府が出した「均等法指針」では、男女差別の禁止の適用を各「雇用管理区分」内に限定しているために、同一価値労働同一報酬原則に反して、別の区分で雇用された男女間の比較を排除することになる。そのため政府によるこの指針が、男女差にもとづく雇用管理の端緒を開くことになったとも両者は主張している。委員会は、企業によって設けられた異なる雇用区分に属する男女に対して、本条約原則の適用を制限することはできないと考える。本委員会は日本政府に対して、委員会の審査のために「均等法指針」のコピーを提供するとともに、もしあれば、連合とWWNによって提起された上記の問題に返答する意見を提供するよう求める。委員会は、とりわけコース別の男女数を含め、コース別雇用管理制度がどの程度用いられているのかについて、最新の統計情報を提供することも政府に求める。総会委員会が求めたように、賃金差別に対処する観点から、コース別雇用管理制度が女性の所得に及ぼす影響について、さらに調査するとともに、その調査結果について報告することを日本政府に求める。

 

すごいですね。WWNが提出した均等法の問題点を理解し、コース別雇用管理制度をいつまで日本政府は許しておくのだと、指摘しています。雇用管理区分の何が問題なのかは、前回のブログを読んでください。

 

9.客観的な職務評価

客観的な職務評価手法を促進するための努力を強化するよう政府に求めた総会委員会の要請を想起しつつ、本委員会は、日本政府がこの点に関して取った措置についていかなる情報も提供していないことに留意する。連合は、同一価値労働同一報酬原則を実施するための手段として、客観的な職務評価手法の活用を提案したとしている。本委員会は日本政府に対し、本条約第3条に則って客観的な職務評価を促進するために取られた措置について、次回報告で示すよう強く要請する。

 

日本政府の対応を叱っています。ILOが何度も日本政府に、女性の待遇改善の具体策の報告を求めているにも関わらず、いつも日本政府は数字の羅列と、「改善されている」という回答に終始しています。同一価値労働同一賃金を実現するために、「職務評価をする気が有るのか」と迫っているような文章です。

 

日本はILO100号条約を1967年に批准しています。

ちなみに第3条1項とは、「行なうべき労働を基礎とする職務の客観的な評価を促進する措置がこの条約の規定の実施に役だつ場合には,その措置を執るものとする。」というものです。即ち、同一価値であるかどうかを判断するために,客観的な職務評価を執るように言っています。

 

最後に、もう一度パートで働く人たちのホットラインのお知らせです。

あなたの声を聞かせてください。

5月9日ー11日 パートホットラインで声を上げよう

≪パートホットラインで声を上げよう
いよいよ改正パート法スタート。しかし、現実は?≫

職場から、地域から、あなたの声を聞かせて下さい。

働く女性の全国センターACW2は、07年1月に発足したNGOです。働く女性のホットラインを常設して、女性たちの声を国会や厚生労働省などへ届けています。4月からのパート労働法改正が職場でどのように活かされているか、厳しい現場の声を聴くために集中ホットラインを計画しました。
パート労働者を雇用しているのは、企業全体の65.5%で、従業員規模別では15人未満の企業は43.5%、100〜299人以上の企業では82.1%と規模が大きくなるほど割合が高くなっており、パート労働者は企業にとってなくてはならない存在です。

 今回の改正法は、パート労働者と正社員など通常の労働者との差別的取扱いを禁止するはずのものでした。しかし、ILO175号条約の趣旨である均等待遇から大きく外れ、改正パート労働法で差別が禁止されるパート労働者はわずか数パーセントに過ぎません。今回の改正パート労働法は経営者側にとって、都合のよい法改正となっており、多くの企業が改正されても「影響なし」と答えています。よって、格差の拡大と差別を固定化するものです。3年後のパート労働法の見直しに向け、ホットラインを活用して現場の声を集めながら、私たちが望む均等待遇
を実現できる法律にしていきたいと思います。

0120−787−956(フリーダイヤルなやみなくそうコール)
全国集中ホットライン
全国どこでも無料・秘密厳守
日 時 2008年5月9日(金)18:00から21:00
        5月10日(土)14:00から17:00
        5月11日(日)14:00から17:00

宣伝チラシ ダウンロード 
http://files.acw2.org/hotto.doc  
主 催 働く女性の全国センター(ACW2)
   連絡先 東京都渋谷区代々木1−19−7横山ビル 
        Tel:03−5304−7383  
         URL:
http://acw2.org
        Fax:03−5304−7379   
        Email:office@acw2.org

 

 

では今日はここまで。

次回は、5月下旬の更新する予定です。何かいいニュースが報告できるといいのですが。

ILO条約勧告適用専門家委員会の勧告その2

5月になりました。新緑が目に眩しいほどです。

 

昨日も今日もブログにアクセスしてくださった人があったのに、更新していなくて申し訳ありませんでした。

今日はメーデー、参加した人もいるかもしれませんね。

最近は連休に配慮して、4月中にメーデーを済ませてしまう組合もあるようですが…。

 

日本で最初のメーデーは1920年でした。戦時色が濃くなる1936年には政府によって禁止され、戦後の1948年にまた出来るようになりました。

 

最近、個人加入のユニオンが主催するメーデーに参加する人も多くなっています。従来の企業組合のメーデーと違って、鳴り物入りで楽しそうです。が、それすら規制の対象になると今朝の新聞に載っていました。自衛隊宿舎にイラク派兵反対のビラを入れた人たちが有罪になりました。表現の自由が、じわじわと脅かされているような気配も感じます。

 

さて今日は前々回の続きです。ILO条約勧告適用専門家委員会が日本政府へ出した勧告の後半です。要約するのが難しいので、原文をそのまま載せて、下に私の感想を書きます。読めば読むほど、日本の労働環境の悪さに憤りを覚えます。日本語訳はWWN会員の方ですが、橋下知事の削減財政で彼女の職場の存続も危ぶまれているそうです。

 

20083

ILO条約勧告適用専門家委員会報告

1951年「同一報酬条約」(第100号条約)(批准:1966年)

 

5WWNによれば、労働基準法第4条に基づいて、女性原告の労働が比較の対象とする男性の労働と「同一価値労働」であるとした最終判決は1件に過ぎない。WWNは、同一賃金に関する裁判が余りにも長い期間かかることまた、男女同一価値労働同一報酬原則が法律で規定されていれば、より効果的に同原則が実施できるだろうと主張している。これは、年功賃金制から成果主義に基づく賃金制度への進行中の変化に照らしても必要であった。

 

大阪に拠点を置くWWN(ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク)が、ILOへ、政府の回答とは異なる日本の女性の労働実態を報告しました。

上記文章の部分は、京ガス裁判のことです。

また海老茶色は、住友裁判でもよく分かるように、非常に長い年数がかかります。兼松裁判の原告6人のうち、定年退職したのはすでに4人です。例え、勝利判決であっても、在職中の「どうしてこんなに働いているのに、男性と比べて賃金が低いの」「どうして私が仕事を教えた年下の男性が上司になるの」と、そのときの悔しさは決して回復するものではありません。在職中に勝利判決を聞きたいですよね。しかし、住友金属のように勝利和解で、「女性たちの待遇を改善しなさい」と裁判所から言われ、合意のサインをしたにも関わらず、原告たちは未だに以前と同じ待遇のままということもあります。裁判のその後を追跡することも大切です。

藍色部分は、日本の法律に同一価値労働同一賃金を明記しなさいと言っています。

 

6.本委員会は、男女同一価値労働同一報酬原則は、男女が行う職務または労働を、技能、努力、責任、あるいは労働条件といった客観的要素に基づいて比較することが必須であると強調する。本委員会は日本政府に対して、男女同一価値労働同一報酬原則を規定するために法改正の措置を取るよう求める。委員会は政府に対して、本条約の原則に影響を与えるような労働基準法第4条の下での賃金差別に関する、あらゆる新たな判例について詳細な情報を提供するよう求める。賃金差別に対処するという目的で、雇用管理制度と賃金制度が女性の所得に与える影響をさらに調査するよう求めた総会委員会の政府への要請を考え、本委員会は政府に対して、これに関して政府がとった措置と調査から得られた結果について示すよう求める。

 

ここでは、「あなたの労働の価値と私の労働の価値は同じですよ」という場合の、モノサシ即ち職務評価制を言っています。

9月20日・21日付けのブログで紹介した職務評価を法律にすること。

日本政府が主張する労働基準法第4条が男女賃金差別禁止を謳っているというのなら、賃金差別裁判の判決内容を報告すること。

「均等法に雇用管理区分という言葉があり、これが総合職とか一般職とかの根拠になっている。女性たちが雇用管理区分の文言をなくすように言っているにも関わらず、未だに雇用管理区分が均等法から削除されていない。日本政府は、雇用管理区分が女性の賃金にどのように影響を与えているか、調査して報告しなさい。

 

さて、日本政府はどのような報告をするのか、これも監視していかなければなりません。

 

またまた長くなるので、今日はここまで。

あと2項目勧告は続きます。

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