嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2008年12月

改正パートタイム労働法第8条・9条についてー京都均等室とのQ&A

どこへ行っても展望のない話ばかり。

 

大分キャノンが派遣・請負労働者約1100人を解雇。

でもキャノンの言い分はこうです。

 

派遣労働者を雇用しているのは人材派遣会社であり、キャノンは派遣先である。請負労働者を雇用しているのは請負会社であり、キャノンが雇用しているわけではない。だからキャノンが解雇したわけではない。

 

日本の派遣は、殆どが登録型派遣です。だから、派遣先のキャノンが解雇しなくても、直接解雇したことと同じなのです。またキャノンの寮(アパート)で生活する労働者にとって、解雇は即住居を失います。そのために大分市が住宅を用意するとか。また、次の職が見つかるまで、杵築市や大分市は解雇された人を短期の臨時職員として雇用すると報道されています。

 

これらの報道を見聞きして、大分市や杵築市の取り組みに敬意を表するけれど、なんかおかしい?そう思いませんか?

どうしてキャノンの後始末を税金でするのか?キャノンは解雇以外の道はなかったのか?

 

では、杵築市や大分市は景気が良くなったら、キャノンにこれらの費用を請求するのでしょうか?

儲けるときだけ儲けておいて、不況になったら税金で面倒をみるとは!

 

アメリカに端を発した金融危機ですが、ブッシュ大統領の政策は小さな政府(財政規模が小さい。政府の仕事は最少にして民営へ。その基本は自己責任)でした。しかし小さな政府のツケは、今大量の税金で後始末をしようとしています。規制緩和でおおいに儲けた人はいた筈、彼らの責任は問われていない。キャノンの社長が路頭に迷うことはない。

 

さて今回のブログは、改正パート労働法について、朗報ではなく「やっぱりパート労働法は使えない。」という話です。

 

まず、このブログの何度も登場してくるパート歴29年目の女性を念頭に置いて、均等室に質問しに行きました。

質問した相手は京都労働局均等室です。京都均等室のスタッフは5人。滋賀県なら3人もいればいいほうですかね。京都ほど対応してもらえない気がしますが、滋賀県がどのような回答をするか訪問する必要がありますね。

 

改正パート労働法は今年4月から施行されました。審議段階から、このパート労働法が施行されても正社員になることができるパート労働者は1%とか4%だと言われていました。

 

しかし(やっぱり)、この改正パート労働法に適用して正社員になった人は誰もいないようです。

では均等室とのQ&Aを見てください。均等室に質問したのは、第8条と9条です。条文ちょっと長いけど、読んでください。「続きを読む」に入れておきます

8条は正社員と同じ仕事をしているパート労働者がいれば、正社員にしなさいという条文。9条は、8条には該当しないけど、正社員と賃金に差があり過ぎる人の条文。

 

≪京都均等室とのQ&A≫


Q.≪第8条の<通常の労働者>の意味について≫
 あるパート労働者が特定のスーパーで「レジ部門」に配属されている。そこには契約社員(1年契約で更新を繰り返す。フルタイム)と,パートのYさんだけで正社員がいない場合、8条や9条の比較の対象となる,<通常の労働者>とは誰のことか?
A.レジ部門の契約社員

Q.その「レジ部門」にひとりでも正社員が配属されている場合は、8条や9条の比較の対象となる<通常の労働者>は正社員になり、契約社員は比較の対象とはできないのか?

A.「レジ部門」にひとりでも正社員が配属されている場合は、8条や9条では比較の対象となる<通常の労働者>は正社員になり,契約社員は比較の対象とはできない。

Q.この場合正社員はレジ以外に他の業務を兼任している。パートと正社員との待遇の均衡をはかる場合、パート労働者の仕事は低く見られがちである。しかし、同しレジをしている契約社員が居る。こういう場合は、同じ仕事内容の契約社員との待遇の違いは配慮されないのか?
A.改正法の趣旨は、<通常の労働者>との均衡であり、それ以外のものを配慮するものではない。

Q.求人誌などを見ると、「レジ係り、調理、800円」と職種が違うのに一律同じ賃金の募集が多い。仕事に見合った賃金の主旨からすればおかしい。このことについてはどのように考えているのか?(9条)
A.強制的な指導などは均等室は権限がなく困難である。しかし、説明会などの折に、望ましい形として勧めることや求人情報誌に協力を要請することは可能であり,出来ることはやっていく。

Q.パート労働者が納得できない、不適切な賃金の決め方があった場合、本人から申告があれば指導などは行うのか?
A.13条で賃金の定めかたの説明義務が定められているので、それを利用して事業主に説明させる。もし、その内容が不適切であれば,均等室が対応できる。

Q.パート労働法により、実際に正社員になれたパート労働者はいるか?
A.施行前後に,パート労働者の正社員化の事例が京都府下でもあった。ただし8条を適用させてというよりは、優秀な人材の確保などを目的に会社の判断で行ったものが多い.

注:このブログに以前書いたように、ワールドやユニクロ、ロフトが優秀な人材を確保するために非正規を正社員にしたことを言っている。

Q.パートが正社員になったことの実態調査を行っているか?
A.定期的に事業所を回って調査や指導を行っているが、その中で実態も聞いている.全体についての調査は府としては行っていないし予算などもないので困難である。国レベルで行っている雇用管理基本調査などに今後、そのような項目が入る可能性はある。

(是非調査を実施してくれるよう、 本省に言ってほしいと要望)

Q.8条適用で正社員になった事例はあるか?
A.相談は多いが、本人が調停や援助などを希望した例は京都府ではない。使用者とトラブルになることを恐れている様子だと考えられる。

Q.パート労働法からみて、適切なパート労働者の雇用管理を示してある具体例の載ったパンフレットなどはあるか?
A.厚労省で作ったものはないが,21世紀職業財団の作っているものがある。

注:以下のサイトで読めます。http://www.jiwe.or.jp/part/part_index.html で読めます。

 

どうですか?≪パート労働者は同じ仕事をしている正社員と比較しなさい≫と言ってますよね。この質問のきっかけになったパート歴29年目の女性の係りでは、正社員の男性係長と派遣2人、それに彼女です。4人とも全く違う仕事をしているそうです。そりゃそうですよね。事務系でほぼ同じ仕事をしている正社員とパートってあまりいないのではないでしょうか。

この回答では、永久に彼女は8条も9条も適用されないということになります。パートタイム労働法の枕詞はもしかしたら「使用者のための」が付いているのではないかと思いました。

では今日はここまで。

続きを読む

ハラスメント〜労災&裁判&労働審判

ご無沙汰の言い訳はパスします。早や冬眠に入ったのではなく、結構いろんな所へ出かけて情報は仕入れていたのですが、どの問題も難しく、ブログに反映できなかったのです。(言い訳だらけやん!)

 

ハラスメントの連続講座が終了しました。

今回は前々回に引き続き、ハラスメントについてです。

テーマは「日本にもハラスメント規正法を!ヨーロッパの先進的取り組みに学ぶ〜」

講師は弁護士の大橋さゆりさんでした。大橋さんは、地方公務員だったこともあるので、お茶くみの経験もあり、「なんで女性が」と疑問を持ちつつ、でも拒否するまでには至らず弁護士に転身するために退職されたそうです。

 

講座の中身に戻りますが、「ヨーロッパの先進的取り組み」は余り語られませんでした。講師自身もヨーロッパに調査に行かれての報告ではなく、本からの知識だそうです。

セクシュアルハラスメントを除くパワーハラスメントは、日本ではまだ一般的な言葉ではありません。

そもそも「ハラスメント」を規制する法律が日本にはありません。

だから、今は社会学的な定義で「ハラスメント」を定義しているだけなのだそうです。

で、その社会学的な定義とは以下の5点です。

職権などのパワーを背景にして

本来の業務の範疇を超えて

継続的に

人格と尊厳を傷つける言動を伴い

就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること

 

定義がないから、「何がハラスメントなのか」が、加害者にも被害者にも分からない。だから加害者は「悪いこと」とは思わず、また被害者は「自分が悪い」と悩む。

 

裁判になっても、ハラスメントを認定する裁判所自体に基準がないから、裁判官が「これはひどい」と思えばそれはハラスメントになり、ハラスメントに鈍い裁判官なら、かえって訴訟を起こすリスクが大きくなる。裁判官の感性次第ということになる。

 

裁判例は、「いじめによる自殺」をした遺族が裁判をする例が多い。その中でも、いじめで精神的に追い詰められた被害者が、「労災不認定」であったことの事例が多い。

 

≪ここでちょっと「労災保険請求の基礎知識」≫

いじめから心身ともに変調を来たした場合、まず労災認定の手続きをしましょう。

 

会社のある労働基準監督署長宛に、労災の申請をします。

不認定なら、60日以内に都道府県にある労働局長宛に審査請求をします。

却下か3ヶ月経過して何も通知が来ない場合、厚労省労働保険審査会宛に再審査請求をします。この請求には何年必要か分からない位の期間がかかるそうです。

<労働保険審査会>で検索すると出てきます。

 

労災と認定されれば、労災保険から「医療費」と「賃金の60%+休業特別支給金20%」が支給されます。

 

職場の機械でケガをした場合は容易に労災認定されます。しかし、『過労死』や『うつ病』など「心因性の病気」の場合は、「もともと持病があったのではとか、家庭の事情など仕事を離れた部分での負荷が大きく影響しているのから、必ずしも仕事に起因するとはいえない」などと判断されて、労災適用が見送られる例が多いことです。

 

このように精神疾患については労災認定基準のハードルが高いので、労災が認定されず、訴訟になった例から、最近認定基準の見直しの通達(厚労省労働基準局労災補償部補償課長「上司の『いじめ』による精神障害等の業務上外の認定について」が出ました。

 

 

<B(加害者で上司)はA(被害者で部下)に対してのみ、「目障りだから、そんなちゃらちゃらした物は着けるな。指輪は外せ」等の発言で、結婚指輪を外すように命じた。>

 

このケースで初めて、「上司のいじめによる精神的障害は心理的負荷が大きい」と判断されました。精神的障害が業務に起因するものかどうかの判断は「職場における心理的負荷評価表」でチェックしていきますが、沢山のチェック項目の一つに「対人関係のトラブル」があります。具体的には、

セクシュアルハラスメントを受けた=レベル

上司とのトラブルがあった=

同僚とのトラブルがあった=

部下とのトラブルがあった=

4項目です。この上司とのトラブルは「供廚ら「掘廚暴だ飢椎修犯獣任気譴泙靴拭

その理由として、<これは何ら合理的理由のない単なる厳しい指導の範疇を超えた、Aの人格、人間性を否定するような言動と評価されるものであり、相当程度の心理的負荷を生じさたと評価できる。>なんだそうです。

 

(法律用語ってヘンなの!結果的に悪い判断だったら、評価とは言わないと思うのだけれど。)

 

(最近では派遣労働者の「労災かくし」が問題になっています。職場でケガをしたのに、派遣元が派遣先に「仕事をもらえなくなるのではないか」と考えて、労災申請をしない。実際、職場でなんら手当てをしてもらえなかったというケースも報告されています。「労災かくし」は違法です。)

 

ただ裁判をするとなるとタイヘン。

 

訴えた相手(被告)が何も言ってこなければ、また原告の言い分を被告が否認しなければ判決は勝訴になるが、最初から原告の言い分を認める会社なり、上司はまずいないでしょう

 

そうなると必要なのが「証拠」。

ハラスメントの証拠に使えるもの、録音データー(ハラスメントを受けていると思ったら、ポケットにレコーダーを入れておいて、勤務中常にONにしておく。)書面、メール

 

証言も証拠の一つだけれど、例え原告が、上司から罵倒されていることを同僚が見ていても、その目撃証言の証拠価値は少ないそうです。退職して会社と利害関係がなくなれば期待できるが、雇用関係がある場合、まず証言はしてくれないと考えた方がいい。

 

ちなみに弁護士費用は30万円以上とのことです。

(裁判費用など、<法テラス>の制度を利用することができます。

法テラス滋賀は、電話   0503383−5454    (平日 9:00〜17:00、土日及び祝日は休み)

 住所   520-0047 大津市浜大津1−2−22 大津商中日生ビル5F

京阪電車京阪石山坂本線「浜大津」駅前)

 

(裁判は費用も時間もかかるし、冒頭に書いたように、裁判官の当たり外れがあるし、タイヘンそうです。このブログに度々登場する住友裁判、兼松裁判等は長期にわたる裁判です。こうして長期にさせることで、裁判を起こさせないようにしているのかと勘ぐりたくなります。)

 

短時間を求めるのなら、<労働審判制度>があります。このメリットは「3回で解決する」です。

申し立て→第一回(言い分を尽くす。裁判だとこれだけで3〜4回、2ヶ月くらいかかる。)→第二回(審問をし調停まで。会社側と原告がそれぞれ案を考える。)→第三回(調停成立または審判。調停案に納得できない場合は審判になる。納得できない方が異議を出して、裁判に移行することができる。こうなると長期化する。)

 

調停案で和解した場合、「職場復帰」は難しく、「金銭解決」になることが多い。もし職場復帰の判決が欲しければ最初から裁判をするべきである。

 

大体このような内容でした。次回は、「労働者派遣法」の政府案と野党案(民主党を除く。なんでだぁ?)についてです。

今日はここまで

コメントは直接公表されることはありません。 コメントの最後に、公表の可否を書いてください。
記事検索
Recent Comments
Archives
QRコード
QRコード
Recent TrackBacks
  • ライブドアブログ