テレビも新聞も「解雇・解雇」の嵐です。

このブログを立ち上げたそもそものきっかけは、女性卒業生のために労働に関する情報を提供することでした。

 

均等法やパート労働法などの仕入れた情報を発信し、正規と非正規、女性と男性の賃金差別を是正する方策を探ってきました。しかし、今や「賃金差別」を要求していることが、『なんて贅沢な!仕事があるだけましよね』って言われそう。こうして、どんどん非正規に始まった解雇は正規にまで行き、男女差別なんかどこかへ飛んでしまいそうです。

 

2月7日・8日の2日間、大阪の民主法律協会主催の「権利討論集会」に参加してきました。二日目のパネルディスカッションで、私が今取り組んでいる≪職務評価≫について、パネラーに質問しました。しかし、職務評価に否定的な回答が返ってきました。でもその真意を尋ねる時間もないままに、後味悪く帰ってきました。

 

211日に「年越し派遣村村長湯浅誠さん」が大津で講演されたので、これは友人たちと行って来ました。

題は『派遣村から見た日本社会』でした。

この二つから、今日のブログは始めます。

 

まず後味悪かった「職務評価」についてですが、私の発言の主旨は、「女性卒業生の76%が非正規か非正規予備軍である。彼女たちは、正規労働者と同じくらい仕事をしているにも関わらず正規と非正規の賃金差は大きい。労働組合は職務評価に取り組んで、この賃金差をなくすように取り組んでもらいたい。」というものです。

 

湯浅さんの話しは、年越し派遣村に来た人たちの現状、彼ら・彼女らが、一旦職を失ったら最後、一気にどん底(野宿者になってしまう)にまで落ちてしまう日本の制度の問題点に言及されました。湯浅さんはこのような社会を「すべり台社会」と表現しておられます。私が興味深く聞いたのは、賃金差の統計資料についてでした。

新聞でも、<正規><非正規>の賃金を、折れ線グラフで示した図が載っていますよね。

 

この図だけを見て、「差が問題というのなら、この差の中間に賃金を持っていったらどうか」と経営者は言う。しかし、正規の賃金は下がり、非正規の賃金が上がっても、これでは正規・非正規ともに生きていけない。賃金の統計とともに消費支出の統計を並べて掲載しないと、経営者側の言う「落とし穴」にはまってしまうと、湯浅さんは言います。これは、冒頭に書いたパネラーの職務評価に懐疑的であったことと繋がると思いました。そういう点では、私のパネラーに対する質問は言葉足らずだったと、湯浅さんの話を聞いて思いました。

 

では収入と支出の面で、他の先進国とどこが違っているのか次に見て行きましょう。

次の資料は、権利討論集会で基調報告をされた都留文科大学後藤教授の配布資料から引用しました。基調報告の題は『福祉国家構築と労働運動の課題』でした。

 

まず日本の貧困率ですが、だいたい勤労所帯で19.0%、全所帯で22.3%が貧困世帯率だそうです。数字にだいたいはヘンですが、先進国の中で、日本だけが≪貧困率≫を公表というか、統計をとっていないのです。この数字は後藤教授が統計上のさまざまな要素を加味して出された数字です。なぜ日本政府が貧困率統計を取ってこなかったのかと言えば、貧困はある条件下の人たちのものであると考えていたからです。それは、母子家庭とか、高齢者とか、障害者とかの、それらの人たちの属性が特別であるからであって、勤労所帯が貧困であるわけがないという理由からでした(でも、1960年代には当時の労働省は勤労所帯の貧困層を認めていたそうですが…)。小泉元首相も「貧困所帯は年金世帯である」と言っていたと後藤教授は指摘しています。

 

どこの国にも、貧困な人たちはいます。ではそういう貧困層に対して、政府がいかなる対策を取っているのかで、貧困層の救われ方が変わってきます。

 

日本は≪税と社会保障によって貧困率が下がっているかの効果≫の統計によると、削減率が最も少ない国です。あの≪自己責任≫のアメリカよりも、です。数字を調べてみたい人は、『OECD諸国における収入格差と貧困』で検索してみてください。

 

家族・失業・雇用対策等・住宅・その他≫+≪高齢者・遺族・医療・障害者≫の公的支出が、GNPに占める割合は2003年の統計で、日本1.615.8、アメリカ1.814.3、カナダ5.112.2、イギリス5.3+15.3、ドイツ5.521.7、フランス7.1+21.6、スェーデン7.323.9です。対GNP比だから、GNPが低くて公的な支出が高ければ、この%の数字は高くなります。でもここに挙げた国々は、日本からでもだいたい想像できる国々ですよね。気が付いたことは、日本の公的支出の少なさです。日本の医療費・障害者への支出はそんなに高くないと言われていますから、全体的に少ない中での高齢者への割合が高いということになります。

 

ではこの日本の公的支出の何か問題なのでしょうか?

それは≪貧困は連鎖する≫ということです。

 

今朝の朝日新聞によると、『私立高校生に不況の余波』として、2.7%が学費を滞納して、これは9ヶ月前の3倍と出ています。

 

私が教師をしていたとき、授業料を滞納している生徒もいました。その授業料を、事務室か担任か、誰が督促するのかで問題になったことがあります。このときは事務室の仕事になりましたが、多くの学校は多分担任の仕事です。

督促される生徒も、督促する先生もとても辛いことです。

もし「授業料が高校・大学まで無料だったら」と考えたことはありませんか?

どんな効果が生まれるでしょうか?ちょっと想像してみてください。

 

≪職務評価≫に否定的なパネラーも、湯浅さんに言うところの≪支出≫に目を向けるべきだとの意見だったのかもしれませんね。

湯浅さんの「すべり台社会」の意味が少し理解できましたか?本当に日本はセイフティ・ネットのない国なんです。

 

次回≪貧困は連鎖する≫から始めます。本当に連鎖するのでしょうか?

では今日はここまで。