嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2009年05月

豊中男女参画センター「すってぷ」裁判とクオータ制

今日はクオーター制についても後半にちょこっと言及します。

 

一日のニュースを見ていると、政府はいろんな委員会を開催していますね。スポーツ庁を創設するとのニュースでは、官房長官が、「スポーツを国家戦略に」と言ってました。「規制緩和、官で出来ることも民で」のスローガンの下に、保育園もどんどん民営化されているのに、支離滅裂です。国家戦略、胡散臭い言葉です。

 

新インフルエンザに対する人々の反応を思うと、日本は「国家戦略」の名の元に、命令一つでどうにでも転ぶような気になりました。

 

さてニュースに戻ります。

政府が主催する、新型インフルエンザ対策の会議、今年3月に10人の高齢者が焼死した群馬県渋川市の件に対する会議等に、各都道府県の担当者が集められている光景が放送されていました。その場面を見て、私はいつも「えーなんでぇ?男性ばっかりなの?」と思います。

 

実際に介護をしているのは女性が圧倒的に多いのに、責任者会議になると男性ばかり。ここ何回か、私は無駄なこととは知りつつも、TBSにメールを送っています。日曜日の朝放映の「サンデーモーニング」では、街行く人にインタビューをしています。その時々のニュースについて、例えば新型インフルエンザについて、民主党小沢代表への西松建設からの献金疑惑について等々。

 

このインタビューに答える人がもう全部と言っていいほど、男性なのです。「女性は無口なのか?」(それはない)。多分、インタビューする側と報道する側の姿勢でしょう。

 

もしこの光景が逆ならどうでしょうか?社会問題になります。

 

これと同じことが今回の大量の派遣切りでも起っています。

今回の「大量解雇」は女性にとっては常に起こっていることです。

「女性は昔から貧困だった。何をいまさら」です。女性が貧困なことは社会問題とはなりませんでした。「女は貧困で当たり前」が常識だったからです。その大前提には、女性は結婚して夫に養われるものだという考えが根底にあるからです。でも今や男性も失業する時代です。

 

だから家計補助としてのパート労働であり、老人を介護するのは女性の仕事であるから、その延長上のある「介護報酬」は安くて当たり前なのです。

 

独身の、製造業で働いている女性卒業生の言葉が強く思い出されます。

40歳になったら介護保険料払わなあかんし、独身の私は税金も年金も健康保険料もばっちり払ってる。結婚している女性は夜勤をしないので、独身の私に夜勤が回ってくる。冬の工場は暖房があっても、床からジンジンと冷えてくる」。

 

均等法があるにもかかわらず、妊娠・出産による解雇も沢山報告されています。政府は一応企業に「ダメ」と言ったと報道されていますが、それで企業にペナルティが生じたとは聞いていません。

 

昨年の自殺者の数は、また3万人を更新しました。

圧倒的に男性の自殺者が多い。

「男だからこうあらねばならない」という呪縛概念がより男性に強く働いているとも言われています。NHKの朝ドラで、5歳の女の子が「男は泣いてはいけないんだよ」というセリフを言っていましたが、泣いてはいけない人生は辛いですよね。

 

最近、スポーツの分野で、男性競技者が臆面もなく泣いている場面をTVで見ます。これはとてもいい現象だと思います。女性だの男性だのと、長々と前置きしてしまいましたが、これは次の裁判と繋がっています。

 

前回に紹介した三井マリ子さんの大阪高裁での結審の傍聴に行ってきました。判決の日程は未定です。裁判官が交代で夏休暇を取るため、まだ具体的なスケジュールが決められないのだそうです。原告にしてみれば、夏休暇とはなんと優雅なという感じもしないでもありませんが、この際、裁判官には十分な休息を取っていただいて、原告の訴えに応える判決をしてもらいたいと強く願います。

 

三井さんが原告となった裁判は、雇用継続を拒否した豊中市に対しての損害賠償を求めたものです。一審の大阪地裁の判決は、豊中市の不正を一部認めたものの、慰謝料を払うほどの違法性は認められないと請求を棄却しました。三井さんが裁判に訴えたのが2004年、一審の判決が2007年。高裁判決は多分今年の秋くらいになるでしょう。実に5年かかっています。前回の「女性センターの女性職員の多くが非正規である」とも通じる、本気で男女共同参画社会を作る気があるのん?と問いたくなる内容です。

 

では、ここで三井さんの裁判の問題点を整理します。前回のブログの「続きを読む」に原告の三井さんの文を載せてあります。

 

三井さんは豊中市の男女共同参画推進センター「すてっぷ」の元館長でした。今から10年前に男女共同参画社会基本法が成立しました。これに基き豊中市も館長を公募しました。採用されたのが三井さん。非常勤の館長職でした。

 

男女共同参画社会基本法の理念は「続きを読む」を見てください。すごい内容ですね。ジェンダーに関しては保守的な議員の多い国会で、よくこの法律が成立したと、当時はむしろ不思議がられました。 

 

各自治体はこの法によって、条例を制定する義務を負いましたが、ここでさまざまな問題が生じました。この「男女平等」に反対する勢力の攻撃が始まったのです(バックラッシュ)。このバックラッシュの攻撃で、条例の変更に追い込まれた自治体が出ました。例えば山口県宇部市です。

 

「いかなる考えもまず知ることから」を尊重して、反対している団体の主張を調べてみてください。

 

三井さんは館長になる以前から、女性問題で活躍する有名人でした。本も出版されています。その三井さんの館長としての活動に、バックラッシュの考えを持つ豊中市の議員がクレームつけました。

 

結局、「すてっぷ」の財政・人事権を持つ豊中市は、三井さんが館長を続ける限りこういったバックラッシュの攻撃を受け続けることになると考え、「館長職は常勤とする」という変更の下に、三井さんを排除する方法を編み出して行きました。

 

「館長職は非常勤から常勤へ」の情報は三井さんに伝えることなしに、「三井さんは常勤出来ない」と言っているとして、次の館長を決めてしまいました。次期館長候補は、三井さんの業績をよく知っているので、「本当に三井さんは常勤館長を出来ないと言っているのですか」と確かめています。

 

ようやく「常勤館長職」を知った三井さんが問い質すのは当然のことです。これらの辻褄を合わせるために、豊中市は「常勤館長の公募」を三井さんに伝えます。しかし、受けた三井さんが採用されないのは、最初から三井さんを採用しないという筋書き通りの結果でした。

 

三井さん排除の先頭に立った議員はその後落選しましたし、また、「すてっぷ」にクレームをつけた市民団体「地方議員百人と市民の会」のメンバーの一人が「教職員組合の役員を勤める教員を処分しろ。しなければ入学式の日に街宣車で来る」と西宮市の小学校校長を脅したとして「暴力行為法違反容疑」で逮捕されました。(200945日京都新聞)

この校長は女性ですが、脅しにも屈せず警察に通報したので逮捕に結びつきました。 

 

最後になりましたが、クオータ制とは、政治システムにおける割り当て制のことです(Quota System)。

 

民主主義の帰結として国民構成を反映した政治が行われるよう、国会・地方議会議員候補者など政治家や、国・地方自治体の審議会、公的機関の議員・委員の人数を制度として割り当てることである。また、社会に残る男女の性差別による弊害を解消していくために、積極的に格差を是正して、政策決定の場の男女の比率に偏りが無いようにする仕組みのことでもある。発祥地はノルウェー。Wikipediaより

 

男性とか女性とかで括るのではなくて、等しい存在として、自在に生きられるのが私の理想です。これが実現するには、当面クオータ制が不可欠です。でも日本の議会では、このクオータ制は話題に上りません。ちなみに日本の女性参画率は、以下の通りです。

 

1位ルワンダ48.8%、2位スウェーデン 47.3%、 3位フィンランド42.0%、

15位ドイツ 31.6%、49位カナダ20.8%、51位中国20.3%、

52位韓国20.1%、53位イギリス19.7%、58位フランス18.5%、

64位イタリア17.3%、68位アメリカ16.3%、98位ロシア 9.8%、

99位日本9.4%。

列国議会同盟(Inter-Parliamentary Union、略称IPU)の2007930日データーより。

 

では今日はここまで。

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男女共同参画センター職員実態調査結果と裁判&民主党の労働者派遣法案

一週間前、狭いところの草取りを無理な姿勢でやったせいか、腰痛になってしまいました。大分直ってきたところで、再度無理な姿勢をする羽目になってさらに悪化させてしまいました。特に同じ姿勢の後に、動作を変えると耐え難い痛みが襲います。どうもパソコンに向かっているときの腕の位置も関係するのか、これが最もしんどい動作です。「ナニナニ?ブログが更新できていない言い訳にしか聞こえないって」。とんでもない。言い訳は以下です。

最近情報収集のためのお出掛けを怠っています。世の中、ゴマンと労働問題があるというのに、私の感覚はますます鈍感になりつつあります。

「どっちにしても認めがたい言い訳である?」「どうもすみません」

 

民主党が労働者派遣法の改正で新たな動きを示しました。もしかしたら今置かれている民主党の状況と関係があるのかもしれません。民主党が政権を取っても自民党の政治とそう変わらないだろうという考えもありますが、そうなら、一度変えてみるのか一計かもしれません。

 

族議員の要求を全面的に入れた今回の補正予算案がすっぱぬかれていました。(朝日513)「経済危機対策」としてエコカー、デジタルテレビ、施設の新築費用など省庁が要求した満額回答の3800億円が盛り込まれているそうです。

その同じ紙面に「母子加算廃止で窮する親子」と題して、「ママ、私高校行けないんでしょ」「修学旅行に行かなくてもいい」との記事があります。

 

前回のブログで「定額給付金寄付」について書きました。ずっと支援している「あしなが募金」やDV被害者のシェルター「いくの学園」でも同じようなことが報告されています。

 

政府は、小泉政権の社会保障費抑制策として段階的に、生活保護費を受給している母子家庭の加算を廃止しています。05年度から07年度に16歳〜18歳の子どものいる、07年度から094月にかけて15歳以下の母子加算をゼロにしています。約205億円の削減です。この額と、前述の省庁への3800億円、どちらに使った方が人道的な、また未来への投資になるか、言うまでもないことです。セイフティ・ネットが、それを必要とする未来のある者に働かない国です。

 

労働者派遣法の記事です。(朝日2009513)

民主党は13日、仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ「登録型」派遣について、通訳など専門性の高い業務以外では、原則禁じる方向で検討に入った。同党は登録型禁止に慎重だったが、厳しい規制に踏み込む姿勢を見せたことで、難航していた同法改正をめぐる野党間の協議が、大きく進展する可能性が出てきた。

 民主、社民両党は年明けから法改正に向けて協議。すでに製造業への派遣禁止ではほぼ合意に達しており、労働組合などから「不安定雇用の温床」との批判が出ている登録型派遣にまで、禁止対象を広げるかが焦点になっていた。 〜中略〜


 登録型について、社民は原則禁止を求めてきたが、民主は「問題が少ない事務派遣も不可能になり、経済や雇用への影響が大きい」と慎重な姿勢を示していた。具体的には、製造業や一般的な事務への派遣は派遣会社が労働者を長期に雇用し、仕事がない時も賃金が支払われる「常用型」に限って認め、登録型は通訳や秘書など専門性の高い業務に限定する。

 近く社民党に提案する。両党間で合意できれば、ほかの野党にも働きかけ、今国会に野党共同で改正案を提出したい考えだ。 派遣法については、政府も昨年秋に、日雇い派遣の禁止を柱とする改正案を提出したが、実質的な審議は始まっていない。政府・与党は登録型の規制に慎重な姿勢を示している。

 

「何が専門的業務か」については抜け道にもなりそうです。EU、特にフランスの派遣法については以前に書きましたので、比べてください。

 

次に、男女共同参画センターの職員についての情報です。

男女共同参画の推進を担う職員の実態調査が公表されました。内閣府男女共同参画局「男女共同参画センター等の職員に関するアンケート結果について」実施日:2008718日〜25日 回答率70.8%

 

職員数は数字で出ているのですが、賃金に関しては具体的な数字の集計ではなくグラフでしか示されていません。これでは実際のところが分かりません。すごく作為的なものも感じます。よって数字が明示されているのだけを示します。

 

(数字は職員数の調査結果だけですがナントナント!男女別の数字は明示されていますが、これが正規と非正規の表になると、合計数の箇所は男女ミックスの数字しか示されていません。ちなみに、男女ミックスでは、正規職員の割合は58%、非正規は42%です。そうか、正規の方がまだ多いのだと納得してはいけません。以下の数字を見てください。この数字は私が表から計算しました。一々計算しなくても、一目瞭然の表にするべきです。男女参画の名が泣くよ〜!審議会の委員はこのことに気づいているのかしら?)

 

参画センターには直営、指定管理者、その他とありますが、これらの区別をしないで数字を出しました。今は直営は少なくどんどん指定管理に変わってきています。指定管理については、ご自身で調べてね。

正規職員 女  597人 50.8% 男 29081.9

非正規職員女  579人 49.2% 男 64人 18.1

  

今、元豊中女性センター館長(すてっぷ)の三井マリ子さんと京都女性センターの伊藤真理子さんが裁判中です。上の数字と関係がありますので、これらの裁判についてお知らせします。まず三井さんからです。

三井さんはなぜ解雇されたのか、その理由を探ることによって、女性センターの問題点が出てきます。今月22日に結審がありますので、次回に報告します。伊藤さんはもう結審が終っていて、判決は7月16日です。おいおいブログに載せていきますが、男女参画センターの実態がこうでは、日本はまだまだ人権のグローバル化にはほど遠いですね。

 

この訴訟については「続きを読む」を見てください。

では今日はここまで。

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