嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2011年08月

民主党が政権をとったとき、先進国の中で、日本の女性の地位や環境が最低であると知っていた女性たちは、大きな期待を抱きました。千葉景子法務大臣と連立政権で閣僚入りした福島瑞穂特命大臣が「女性差別撤廃条約の選択議定書の早期批准を実現しましょう!」と、握手をしている写真も報道されていたような記憶があります。

国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が日本政府へ出していた勧告に対する政府回答が8月に発表されました。今回は、その政府回答を紹介します。辛気臭い文章ですが、じっくり読んで、政府が本格的に女性を活用する気のないことを確認してください。冒頭に書いた女性閣僚の握手はうたかたの如く消えました。誰も女性閣僚がいない現内閣です。菅さんが退陣を表明しましたが、さて、次期内閣は女性活用を本気で考えるのでしょうか。誰が首相になっても、菅さんほどには原発からの撤退は表明しないでしょう。福島原発事故で多大な犠牲の上に得た教訓は生かされないまま再び原発推進が進行していくかもしれません。


政府回答の前に、ヨーロッパの記事を紹介します。

「女性役員義務化 欧州で広がる」女性役員、欧州一気に 3040%登用義務 

欧州で上場企業と公的機関に一定以上の女性役員登用を義務づける制度の導入が加速してきた。ベルギー、オランダで法律が成立し、欧州連合(EU)はEU全域を対象にした法案の検討に入った。役員の3〜4割を女性に割り当てる内容。一方、日本経済新聞の調べは日本の国内主要企業の女性役員比率は1%に届かず、格差が一段と広がることになる。欧州の動きは現地の企業や政府機関などに女性役員の起用を迫るもの。日本企業のオフィスに直接圧力がかかることは少ないとの見方が強いが、女性登用で欧米に大きく立ち遅れる日本の姿が鮮明になる。【ブリュッセル=瀬能繁】818日の日本経済新聞



ではCEDAWへの日本政府からの回答です。ポイントは太字にしました。女性労働に関する箇所のみです。婚姻適齢の男女統一、選択的夫婦別氏制度の導入、嫡出である子と嫡出でない子の相続分の同等化等は全て見送られました。全部読んでみたい人は下記にアクセスしてください。http://www.gender.go.jp/teppai/6th/cedaw_co_followup_j.pdf

文章は相当分省略していますが、政府答弁では、以下のような文章が続きますので、最初だけ全文紹介します。


女子差別撤廃委員会の最終見解(
CEDAW/C/JPN/CO/6)に対する日本政府コメント
2011 8
【これがCEDAWが日本政府へ出した文章の一部です。】

委員会は、本条約第4条1及び委員会の一般勧告第25 号に従って、学界の女性を含め、女性の雇用及び政治的・公的活動への女性の参画に関する分野に重点を置き、かつあらゆるレベルでの意思決定過程への女性の参画を拡大するための数値目標とスケジュールを設定した暫定的特別措置を導入するよう締約国に要請する。

【これに対する日本政府の回答です。】

2. 日本政府は、この最終見解を真摯に受け止め、関係府省庁が一丸となってフォローアップに努めるとともに、国会や裁判所に対しても、この最終見解を周知しフォローアップを依頼した。最終見解については日本語仮訳をホームページで公開するなどの方法により周知に取り組んでいるほか、女子差別撤廃条約についても、ポスター及び広報映像(DVD)の作成、配布及びウェブページへの掲載によりその周知に取り組んでいるところである。
3. 第3次基本計画や最終見解の実施状況についてのフォローアップを強化するため、2011 年2月、男女共同参画会議の下に、監視専門調査会が新設された。2011 年5月、監視専門調査会は、関係府省から取組内容の説明を受けるとともに、女子差別撤廃条約について女子差別撤廃委員会委員である林陽子弁護士(2011 年6月現在)から説明を受ける等して、フォローアップを行った。



(以前、厚労省、内閣府へCEDAWの勧告の進捗状況を尋ねに行きました(2010.02.12のブログ)。その時参加した女性たちの感想は、「ポスター貼るだけやろうね」「関係機関に文書出すだけやろうね」でした。ホントその通り。林陽子さんの話をWWN(ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク)で聞いたことがありますが、林弁護士は多分「私が日本政府へ求めたのは、具体的かつ実効ある内容の答弁です。私の発言は書かず、言い訳に私の名前だけを使わないでください」と仰りたいのではないかしら。)




では、雇用についての日本政府の回答を見てみましょう。

日本政府の回答

検ジ柩冓野における女性の参画の拡大

21. 雇用分野におけるポジティブ・アクションについては、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」第8 条、第14 条に基づき、女性の採用及び職域拡大、女性管理職の増加、女性の勤続年数の伸長、職場環境・風土の改善といったポジティブ・アクションに取り組む企業に対して相談や情報提供等の支援を行っている。また、男女共同参画等に積極的に取り組む企業に加点する公共調達の仕組みを初めて導入するなどの取組を行っている。具体的には以下のとおり。

22. 厚生労働省では、2010 年度から個別企業の取組等各種情報及び企業が自社の女性の活躍推進状況を自己診断できるシステム等のコンテンツを追加したポータルサイトによりポジティブ・アクションに関する総合的な情報提供を行うとともに、大企業に比べて取組の遅れている中小企業に対して、コンサルタントの派遣、マニュアルの作成といったポジティブ・アクションの導入を支援する事業を実施している。さらに、2010 年に、各企業における男女間格差の実態把握・気づきを促すため、賃金・雇用管理の見直しの視点や格差の実態を把握するための調査票といった実践的な支援ツールを盛り込んだ「男女間賃金格差解消に向けた労使の取組支援のためのガイドライン」を作成した

23. 加えて、2011 年からは、業種ごとの雇用管理の実態の特徴を踏まえた男女間格差の「見える化支援ツール」及び業種別支援ツール活用マニュアル6を作成・普及し、業界ごとの格差解消に向けた取組を促進することとしている。



CEDAWが求めた数値目標の日本政府の回答は以下です。冒頭紹介したEUにおける女性登用と比べてみてください。

民間企業の課長相当職以上に占める女性の割合6.5(2009)10%程度2015 年)



太字にした箇所の共通する事柄は何か。

それは具体的でなく、実効性を持たないことです。必要なのは企業名を公表するとか、罰金を課すとかの具体的な規定です。政府答弁の裏には勿論財界の意向ありですが、こんな内容で国連のCEDAWへ行っても馬鹿にされるだけです。担当大臣や官僚の旅費や宿泊費は税金から出るし…。


お題目だけの政府答弁の典型的な例の裁判の傍聴に明日行ってきます。詳しくは
714日のブログを見てください。中国電力を相手に闘っている方は、長迫忍さんと言います。裁判の報告は次回にします。

では今日はここまで。


 


 


 


 


 

ブログをなかなか更新できないのに、あれもこれも詰め込んで書こうとするからますます更新が遅れます。以下の内容は「広島原爆の日」の夜に書いたものです。

9日の「長崎原爆の日」の朝日の夕刊「素粒子」に同じようなことが書いてあって、そこからの引用と思われては癪なので、労働問題は無いのですが更新します。


86日、815分に黙祷をし、夜TVで二本のドキュメンタリーを見ました。一本は「ヒロシマの黒い太陽―秘蔵映像放射線人体に影響なし、原爆情報操作の舞台裏―核兵器から原発への道」です。アメリカが1945715日に世界最初の原爆実験をした映像を、恐怖を感じつつ見ました。広島に落とされた天空で火の玉となる原爆の映像は何回も見ていたけれど、それはあくまで映像だったと思いました。この映像は福島の原発と重なって、現実のものとなって迫ってきました。戦慄さえ覚えました。


「原爆投下・いかされなかった極秘情報―日本陸軍は知っていた」の概略は「続きを読む」に入れました。



アメリカは徹底的に情報を隠し続けました。これは、アメリカ公文書図書館で研究している広島市立大学広島平和研究所の高橋博子さんの講演会で資料を頂きました。

194595日「広島では、最初の原子爆弾が都市を破壊し世界を驚かせた30日後も、人々は、かの惨禍によってけがを受けていない人々あっても、原爆病としかいいようのない未知の理由によって、いまだに不可解かつ悲惨にも亡くなり続けている」(デイリーエクスプレス)

912日「広島の廃墟に放射線なし」(「不必要な苦しみを与え続ける」生物化学兵器を禁じた国際法違反の非難を危惧した原爆推進マンハッタン計画副責任者が発表)



わずか7日間で報道は変わります。日本は原爆投下を「想定外の奇襲」としてきましたが、実際は怪しいアメリカの動きを察知していました。けれどその対応をしませんでした。

広島への原爆投下を学んでいれば長崎の市民へは「避難」の警報が出せたはずだ、これが素粒子の論調でした。私はこれに「誰も責任をとりたくなった」「誰かが判断するだろうと考えていた」ことも付け加えたいですね。
この構図は福島原発事故の処理だけに限らす、原発を推進してきた所謂原子力ムラの人たちにも当てはまります。
「原爆病」とは内部被爆のことです。アメリカのよって内部被爆が隠蔽されたから、多くの人が治療も受けられず、いわれなき差別を受け続けました。「歴史に学ぶ」というけれど、戦後
66
年にして明らかにされた原爆に関するさまざまな事実。福島原発も何ヶ月も経ってから情報が出ているし、原発に関する情報は、疑ってかかった方が賢明なようですね。
では、今日はここまで。


 


 

続きを読む

このページのトップヘ