嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2011年09月

自治労A県嘱託書記解雇裁判の報告&ソクラテスの妻

台風の被害はありましたか?

昨日は大阪で裁判の傍聴がありました。JRが止まったりしたら大ごとなので、早めに出かけました。駅まで傘をさしましたが、それ以降は傘なしで大丈夫でしたが、足取り重く帰ってきました。
その訳は、裁判の原告
(高裁段階だから控訴人)が負けたからです。「控訴人の訴えを棄却する」とたったこれだけでした。控訴人は自治労A県本部の嘱託書記で、18年間も勤務していたにも拘わらず、更新されずに解雇になりました。
解雇の理由は、表向きの理由と実は…の2つあります。実は…はハラスメントです。

表向きの理由は組合結成です。採用当初の労働条件がどんどん悪くなっていった、例えば採用当初、嘱託といえども定年まで雇用するとあったものが、労働者派遣法のような働き方の規制緩和が推進されるのと時期を同じくして、彼女も毎年、契約更新を繰り返すような労働条件になっていきました。そこで他の嘱託書記と労働組合を結成し、労働条件について交渉を申し入れていきます。
私が察するに、控訴人
が労組を作り交渉をするなどは、自治労で働いていたからこそ知り得たことで、そういう意味では自治労が推奨する労働者の権利行使の一方法を実行したに過ぎないともいえます。詳しくは「続きを読む」を見てください。


一審の大津地裁は敗訴、そして昨日の大阪高裁の判決も敗訴でした。大阪高裁に舞台が移ったときに、私はBさんと共に彼女の職務評価をしました。その結果を陳述書にして裁判所に提出しました。職務評価は「負担」「知識・技能」「労働環境」「責任」の
4項目について、その仕事の価値を測っていくものです。18年間も同じ職場にいたのだから、誰よりも仕事に精通しています。Bさんの仕事内容を聞きながら、よくこんなに沢山の仕事をこなしていたなぁと感心してしまいました。当のBさんも「あんたは嘱託やから、たいした仕事はしていない」と言われ続けていましたので、すっかり洗脳されていたようで、「えっ、私ってこんなに凄い仕事をしていたの!?」ってびっくりしていました。今、Bさんの後には派遣の人が来ています。派遣なら3年未満で正々堂々と解雇できますから。



「Bさんの契約更新をしないでおこう」と誰が言い出したのでしょうか。
実は…は、ハラスメントですが、
18年間同じで職場で仕事に精通している人がいて、その人の身分が非正規である(このこと自体がヘンなのですが)、電話の応対もてきぱきこなす。「あなたは嘱託でしょう。正規のような応対をしないで」と目障りだったのかもしれません。でも、Bさんが「私は嘱託なので代わります」と言えば、「それくらいやりなさいよね」となったかもしれません。


雇用する立場の人は、解雇することの意味を深く考え悩み抜かなければなりません。解雇は、金銭は当然のこと、生活、その人の人生そのものをも否定してしまうことになります。B
さんに仕事上の問題点があれば言えばいいのです。立場はBさんの方が弱いのですから、怖くて言えないことはない筈です。
ハラスメントをしたのは同性だとそうです。この方は、ご自身をてきぱき仕事の出来る有能な女性と思っていることでしょう。現在はトップの座にありますから、努力もされてきたのだと想像します。
このハラスメントをしたのも、されたのも同性であることに、問題があると私は考えています。
以前にも書きましたが、「先生、女の敵は女やで」と女性卒業生が言うたびに、「そうなんだろうな」と思いつつ、「その背後で笑っているのは誰?」と返してきました。
80年代、女性差別撤廃条約批准のために国内で条件を満たす環境を作らねばなりませんでした。政府は均等法を制定しました。それまでの女子のみの家庭科履修が、男子も履修するようになり、深夜労働などの女性のための保護法も解禁されました。ようやく女性も男性のように能力を認められるようになったと思いましたが、「男性並に働く」ことがその前提になりました。先進国で一番労働時間の長い男性労働者の労働条件が改善されたのではなく、女性がその中に取り込まれていきました。社会的価値観は変わらないままですから、当然、家事育児介護を担う女性は脱落していきました。男性並に働くことが出来る女性とそうでない女性の二極化が起りました。男性の働き方へ男性並に働く女性が算入してくれば喜ぶのは誰か分かります。より有能な人材の中から選別することのできる経営陣です。こういう構図に女性ははまってはいけないし、敏感でなければなりません。

中山千夏さんって名前聞いたことがありますか?一番近くで言えば「じゃりん子チエ」の声を務めていたタレントです。彼女が実に示唆に富んだ文章を書いています。「ソクラテスの妻に会いたかった」から一部抜粋します。
『夫の名によって仕事する女は、自分しか頼りのない私から見れば、ふざけたモンだった。(筆者は)リブで変わった。彼女たちは、男に同化すること、男の名によって在ることを女に強いる社会の申し子であり、これは全女の問題と知ったからだ。かくして、文壇が蔑視しかつ利用してきたソクラテスの妻たちは、今や私の同志である。』<()は私の注です。週刊金曜日863号から引用>

では今日はここまで。


 

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中国電力第一回控訴審報告

中国電力男女賃金差別裁判の控訴審の報告をします。

8月29日、前日から出発していた人たちが朝から中国電力前でビラ撒きをしていたので、そこへ合流するべく、広島駅からすぐにタクシーで、と思ったら、「広島電鉄」の電車を駅前で発見!非正規の社員を全員正規の社員にした、日本では稀な企業です。敬意を表さずして広島を去ることはできません。で、乗車しました。150円也。車中で、降りる駅を隣に座った女性に確認、ついでに世間話、そのついでに「何しに広島へ来たか」も話しておきました。家族に中国電力勤務の方がいたかもしれません。

朝に撒いたビラはほぼ受け取ってもらえたそうです。お昼に再度、今度は裁判所前で撒きました。警備員がうろうろ、裁判所中へご注進に。「裁判所の敷地には入っていませんよ〜だ」。ここは人通り少なく、太陽は容赦なく照りつけ、木陰を探してのビラ撒きとなりました。1時半から開廷。控訴人と弁護士を中心に法廷へ入る姿は、夕方の朝日放送で3分間ほど放送されました。

(朝と昼のビラ撒きの間に、原爆資料館と、暑さを避ける目的で本川から太田川へ約20分間、すいすい号という9人乗りの真ん丸い船に乗りました。操縦兼ガイドは若い女性でした。下船のとき「正社員ですか」と質問。「いいえ。でも短時間の方がいいので」との回答。短時間でも正規があるべき働き方なのですが…)

いよいよ控訴審が始まりました。40人の法廷で、10人くらい入れなかったそうです。当初予定していた法廷から大きい法廷に変わったのは、78人もの弁護士が名を連ねたからだと思いました。そのいきさつをちょっと紹介します。

懸命に仕事をしてきたことが認められず、一審でのまさかの敗訴に、長迫さんは悶々とした日を送りました。眠れぬままパソコンに向かい「男女賃金差別」で検索したところ、WWN(前回のブログにも出てきています。)のHPを見付けます。メールをしたらすぐに返事が来て、「詳しいことを聞きたいから大阪へ来て」の誘い。大阪で控訴審の主任弁護士となる宮地光子さんと会います。宮地さんは住友電工・化学・金属、京ガスを初めとした男女賃金差別裁判を数多く手がけられた有能な弁護士です。宮地弁護士の呼びかけや、長迫さんが男女賃金差別裁判にかかわった弁護士たちの会議に赴き、直接訴えたこともあり、78人もの弁護団が結成されました。29日の控訴審には10名程の弁護士が法廷に入りました。その中には、中野麻美弁護士の姿もありました。中野弁護士は『労働ダンピング〜雇用の多様化の果てに』(岩波新書)の著者です。宮地さんと中野さんが組む最初の裁判です。


裁判後、弁護士から「一審と控訴審での訴えは何が異なるのか」を解説して頂きました。法的なことはすぐには理解できませんでしたが、帰宅後宮地弁護士から解説のメールを配信して頂きました。そこから引用します。


一審での争点

原告
・昇格における男女差別は違法である。

・長迫さんが受けてきた嫌がらせ(転勤の不当拒否・セクハラ通告の情報漏洩・挨拶に関する嫌がらせ・仕事面での嫌がらせなど)は不法行為である。

以上から、慰謝料を請求する。

会社側
原告が昇進しないのは、評価が低いこと。その理由は「女性差別の問題ではなく、極めて特異な個体事情を有する、原告固有の問題である」。14年前の社内の調査の結果データーによれば「女性社員は出世を望んでいない。よって、原告を不当に差別したのではない」。


これらの会社側の主張を裁判官は全面的に採用したのでした。

(「得意な固体事情」凄い表現ですね。一瞬DNAの問題かと思ってしまいました。長迫さんは営業成績が良いので会社から表彰されています。会社側は彼女には協調性がないとも言っています。グループで取り組んだプロジェクト等、長迫さんに協調性がなければとても成功できなかった事例等の証拠は沢山あります。その一例として、退職した元同僚が、親切にしてもらったことへのお礼のメールを出しているのですが、それに対しては会社側は「社交辞令」と言いました。)

控訴審の争点

控訴人(一審は原告、高裁では控訴人)
長迫さんが受けてきた嫌がらせの主張はわかりにくい面があるため、控訴審では、昇給・昇格における男女差別の違法性の問題に焦点を絞る。
一審では、賃金の実態が全く審理の対象になっておらず、差額賃金の請求も行なわずに、慰謝料の請求だけだったのを、会社からの賃金実態の開示を求め、その結果で、差額賃金を損害として請求する予定である。

(会社側がどんな賃金表を出してくるか分からないので、それによって判断するという意味で「予定」…嶋川注)


会社
中国電力の男女賃金格差は、世間よりはまし。
控訴人
仮にそうならば、会社は賃金の実態を出さなければならない。会社側が主張するように、「中国電力の男女賃金格差は、世間よりはまし」であっても、格差は少なければそれでいいというものではなく、不合理な差別は、わずかであっても許すことのできないものである。

一審と控訴理由が変わったことを、宮地弁護士は裁判官に丁寧に説明されました。控訴審の審議回数は基本的に少なく、一審の証拠以上の証拠、証人調べはなされないことも多々あり、「次回結審」といわれることもあります。「次回は10月27日」との裁判長の言葉に、審議は続くと、この点だけは一同やれやれの思いでした。


そうそう2人の女性が入閣しました。でもまだまだです。最近叫んでいないので久し振りに。
☆脱原発&☆女性の登用を」
では、今日はここまで。




 


 


 

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