嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2012年03月

325日、ずっとかかわってきた介護労働者の職務評価調査報告会を京都で行いました。職務評価についてはこのブログで度々取り上げていますが、実際に評価した人でないと、ピンとは来ないシロモノです。私も最初に職務評価の解説書を読んだとき、沢山出てくる数字の意味を読み取ることができませんでした。まず参加者の数に不安がありました。結果的に、全員で50人くらい、東京や名古屋からの参加もあって、やれやれのスタートとなりました。
職務評価は1000点満点で計算します。第一次で分析した186人の平均点は713点でした。
ケア労働、具体的には高齢者や障害者の介護をする仕事ですが、その中には利用者宅への訪問介護(ヘルパー)や施設でのケアをする職員とか、さらにはケアマネージャーとか、職種もいろいろとあります。そういうケア労働に従事している人の仕事の価値を点数化し、平均点が713点というわけです。ケア労働の報酬はとても低く設定されているのは周知のことです。年収200万円で、所謂ワーキングプアの範疇に入る職種です。
その理由は、介護は元々家庭で、女性、即ち妻とか嫁とかの立場の人が担っており、家庭では無報酬の仕事だからです。この制度の詳細を考えた官僚・政治家にとっては、無報酬であったものを外注化したのが介護保険制度であり、それは元々女性の仕事だったから安くて当然なのです。職務評価の最高点は1000点ですから、社会的地位の高い医者の仕事を例にすれば、全ての項目(知識・技能、負担、労働環境、責任)で満点を取ったとしても最高は1000点です。713点:1000点の比と、実際の賃金を比較した場合、医者の職務評価をしなくても、この比以上の賃金差があることは予想がつくことです。今後も調査を続け、今後の待遇改善につなげていくための方策を講じることも考えていかなければなりませんから、時々報告します。


さて、328日に「労働者派遣法改正」が国会で成立しました。今回も「改正」ではなく
「改悪」です。主な要点だけをまとめると次のようになります。→以降は今回の改正内容です。

派遣対象業務の限定(現在26業種。どんどん派遣で働くことができる業種が増えています)→特に問題ありとされている製造業派遣の原則禁止も今回は見送られ、現行のままだが、法施行1年後に労働政策審議会で検討を開始することとされた。

登録型派遣の禁止(派遣先が存在する時のみに、派遣業者と雇用契約を結ぶ)登録型派遣は問題が多いとして政府案で原則禁止となっていたが、今回は見送られ、現行のまま。しかし、法施行1年後に労働政策審議会で検討を開始することとされた。

日雇い派遣の全面禁止(登録型派遣のうち、雇用契約の関係が生じる期間が30日以内のもの)不安定な働き方の極限ともいえる日雇い派遣をはじめ短期の派遣労働は、禁止期間が「30日以内」になった。

直接雇用のみなし規定の創設→派遣先の企業が契約期間以上に働かせた場合、社員と認めさせる「みなし雇用制度」を施行3年後に導入

均等待遇の義務付け→同じ仕事をする派遣先の正社員と賃金のバランスも考慮するよう求めたが、罰則規定なしの努力義務。

マージン率の上限規制→派遣社員に支払う賃金と派遣先から受け取る料金との差額の公表を義務付け。

派遣でしか働いたことのない人は、毎年契約を更新しなくてもよい正社員の安定さが理解できません。今後ますます派遣労働者が増加すると、経営者に要求していく内容そのが低くなることが考えられます。国家が経済破綻を起こしつつあるスペインで、労働者のストライキとデモがあったと報じていました。日本では、労働組合そのものを敵視する世論が形成されています。今まで以上に労働者の権利がなくなる日もすぐそこ!という感がしてなりません。

全国紙の批判度が低いにもかかわらず、
ずっと労働者側に立って書いている中国新聞(2012.03.29)から以下を抜粋しました。
派遣会社への規制を強め、派遣社員を保護するという当初の狙いはかなり薄められている。〜中略〜もともと経済界や自公両党は「派遣労働を規制すると、企業が正社員しか雇えなくなり、雇用がかえって減る」と当初の案に反対していた。〜中略〜政府案そのものが労使や有識者の議論の末にまとまった妥協の産物でもあった。派遣社員でつくる労組などが改正法を「骨抜き」と批判するのは無理もなかろう。〜中略〜とりわけ04年に小泉構造改革で解禁された製造業派遣を現状のまま容認していいのだろうか。技術、技能の蓄積と継承には正社員の常用労働を基本とするのが望ましいはずだ。関係企業は派遣受け入れを繰り返すのではなく、中長期の人材育成の観点からも正社員登用の道をもっと開いてほしい。
では、今日はここまで

3.11当日の映像や証言等を見聞きしながら、昨日は土を触って過ごしました。夕方、書店で原発関係の本を2冊買いました。
310日は、電力会社現職の方から、原子力発電所(原発)
にまつわる生々しいお話を聞きました。原発を立地するためにマネーを仲介として、地元の有力者、地方議員、国会議員、大臣、経済界、金融、マスコミがどれだけ癒着しているか、今ある原発はどのような経過で、その地に建設されたのか等を。
例えばAという地に原発が決定されるまでに、どれほど沢山の候補地があったか、それらの予定地の中で、今、地名が存在しないということは、誰かがその計画を潰したからです。そういう原発候補地で、反原発に動いたのは圧倒的に女性だったそうです。原発の専門家を招き、地道に学習を積み重ねた結果の反対運動だったそうです。だから、やっぱりここでも言おう。
脱原発と女性の登用」
原子力発電所を建設するには広大な土地が必要です。住民が「あれ?」って気が付く頃には既に土地は買い占めされています。反対の多いことが分かっているから、土地買い占めの理由を最初から「原発予定地です」とは言わず、観光のための開発というのが大体の名目だそうです。目がくらむほどの大金を見たこともないから、「金で変節する」というのが今一つピンと来ませんが、目がくらむものなのでしょう!

さて、CHIHIROさんからコメントを頂きました。変則的なこのブログを読んでくださいってありがとう。「留年」はCHIHIROさんが言うように理解できていなければ、1学年下の人たちと学習するのは正しいことです。ただ、現実にはとても難しい問題があります。その子はどうしてつまづいたのでしょうか。もう一度同じところをやり直しても、もしかしたらまたつまづくかもしれません。
その理由の一つは、文科省で定めた1学級の人数です。小学校・中学校1学年40人編成です。地方自治体で助成して、低学年は35人が多いようですが、中学校は40人で、OECD調べでも韓国に次いで2番目に多い1クラスの人数です。もし、1人の手のかかる児童・生徒がいれば、その子にだけ時間を割くことがどれほど難しいかは想像できます。親もモンスター化しているらしいし(親が意見を言うのは大切なことです。しかし、先生は万能ではありませんし、同じ労働者としての共感は必要です)、管理職の査定も入って来ます。(大阪府・市なら、保護者の要求に応えての学力テストの開示があります)。
たまたま記事で読んだのですが、発達障害の子どもは、全ての教科が分からないのではなく、ある特定の教科だけが理解しにくいのだそうです。「こういう子も、留年して1年下の学級で学ばなければなりませんか」とありました。もし、ある教科だけ1年下のクラスで学ぶとしても、本来の学年の学習もしなければなりません。
日本は「分からなくて留年するのは恥ずかしくない」という社会ではありませんから、現状での最善策は「補習」の形だと思います。しかし、教師にメンタルの病が多く、休職者も多いことは随分前から報道されています。その理由は過労です。現状の教員数では無理ですから、最も最短の解決策は教師の数を増やすことです。
最近、治安が悪くなっているとかで、警察官の募集数は増加しています。子どもの育ちの環境が悪化しているのなら、同じ次元で考えるべきだと思いますがどうでしょうか。予算が少ないから、消防士を削減しようと議会で議論しません。教育はすぐに結果が出ないからこそ、目先のマネーだけで動いてはいけない領域です。

さて、残念な報告を
1つ。このブログでも紹介した自治労A県本部嘱託書記の解雇事件は最高裁に上告されていました。しかし、32日に最高裁が棄却しました。最高裁が控訴を受理するには明らかに憲法違反であると申し立てる必要があります。棄却というのは、それほどの控訴理由はないという意味です。控訴人は18年間仕事をしてきました。最初の契約内容は「公務員に準ずる」で、辞令もありました。しかし、1995年の労働者派遣法により、1年毎の更新となりました。毎年控訴人の清水さんは「今年も契約をします」というチェックを受ける立場にありました。それが何故突然、契約更新がなされなかったのか?さんには退職金制度が適応されていました。しかし、それは支払われていません。退職金の権利があるのに、支払われていないのはBさんの解雇が「懲戒」だからです。

いろいろ問題の多い大阪橋下市長の悪法でさえ、公務員が同じ理由で3回処分を受けたら解雇とされていて、条例なりに抵触することなく突然懲戒解雇はありません。
Bさんは18年間職場を支えてきた自負がありました。その人の18年間の存在を無視してまで退職金を支払わずに解雇した理由を私はさっぱり理解できません。労働者の組合が衰退するのも無理ないねと思います。

では今日はここまで
追伸:この裁判は、最終的に和解が成立しました。Bさんには、退職金の支給と共済年金受給の手続きが執られ、懲戒解雇は撤回されました。

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