嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2012年10月

中国電力男女賃金差別事件

百均ショップには沢山の商品があって、「なんでこれが100円なん?」。その商品の向こうで働いている人の賃金はどれくらいなんだろう。海外のどのような工場で働いているのだろう、社会保険は?等々疑問が湧いてきます。ドイツKIK社のジーンズを縫っているパキスタン南部カラチにある衣料工場で2012911日から12日にかけて火災が起き、289人の労働者が、逃げ遅れて亡くなりまし。4階建ての工場に入口は1つ。防火対策も消火や換気の設備もなく、窓は全て鉄格子、ドアや階段は品物で塞がれていたそうです。ドイツの人はこういう環境の中で、安い製品が生産されているのを知っているのかしら!KIK社って、ドイツサッカーチームのユニフォームも作っているようですね。私もユニクロの製品は知っていますが、これを作っている労働者の状況は知りません。グローバル化経済が避けて通れないのなら、想像力もグローバルにしないといけないと考えさせられた事件です。
(
http://www.youtube.com/watch?v=bV8_vCFewDw)



二点報告します。一つ目は中国電力男女賃金差別事件です。

朗報(楽観は許されませんが…)

裁判傍聴に行ってきました。控訴人の報告を一部引用します。この裁判を象徴するような場面があります。それは主任弁護士が女性たちということです。日本でも指折りの優秀・聡明な弁護士たちです。頼もしい〜!この優秀な弁護士だからこそ、控訴審が続いています。

*追加的請求が認められました。一審では賃金差額を請求していませんでした。しかし、控訴審では、控訴側の請求に基づき、裁判所は会社側に賃金台帳を提出させました。もし控訴人が男性社員並みに昇進していたら得られるであろう賃金の差額を積み上げ、請求しました。一審の争点以外の争点が二審で認められるのはなかなか難しいことです。弁護団の緻密で論理的な分析が功を奏した結果です。会社側が提出した賃金台帳には従業員の名前がありませんでしたが、これを弁護団は解読しました。そして、女性の評価が高くても昇進や賞与に反映されていないこととか、控訴人が裁判を起こしたことを「協調性がない」という評価に結び付けていたことが分かりました。
(裁判後の集会で「ロゼッタストーンを解読したシャンポリオンみたい」との声あり。シャンポリオンは「クレオパトラ」という言葉を解読出来た以降、もつれた紐が解けるがごとく、ロゼッタストーンに書かれていた文章を全て解読しました。てなことを何かで読んだ記憶があります。)


*本人尋問の請求が認められました。一審以外の新たな証拠が出ないと、証人尋問は控訴審(二審、広島高裁)では認められるのは難しいのですが、本人尋問1時間半、反対尋問1時間半と認められました。

(油断は禁物ですが…。以前書いた自治労A本部嘱託書記雇い止め事件では、大阪高裁で証人尋問が認められましたが負けました)。次回の裁判は来年214日です。



二つ目は、プラダジャパンのセクシャルハラスメント及び解雇事件です。

≪プラダ:元女性部長の解雇無効請求を棄却…東京地裁≫毎日新聞 20121026日 

イタリアの高級ブランド「プラダ」の日本法人「プラダジャパン」(東京都港区)を解雇された元部長の女性(38)が解雇無効と慰謝料などを求めた訴訟で、東京地裁(森岡礼子裁判官)は26日、請求を棄却した。判決によると、女性は09年に「人事部長から『社長はあなたの醜さを恥じている』と言われた」などと報道機関に情報提供し、報道された。判決は女性の言動について「会社の信用を傷つける行為で、懲戒解雇の理由に当たる」と指摘。その上で「(女性が提供した)情報の根幹部分は真実と信じる理由がない」と疑問視し、解雇を有効と判断した。

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00234240.html


さて、この裁判の裁判官は女性です。卒業生が「センセ、おんなの敵はおんなやで」とよく言うセリフに重なります。自治労A県本部嘱託書記解雇事件でも、解雇されたのは女性、解雇をした側の中心人物も女性でした。男社会の中で、男に伍して生きていくために男以上の働きを求められるのは以前からありましたが、1985年成立の男女雇用機会均等法がさらに拍車をかけました。なぜなら、男女平等とは「女性も男性並みに働くこと」だと定義され、労基法にあったいくつかの女性保護の条文が削除されましたから。女性は同じ痛みを共有しなければ…。それが一方は裁く側で、他方が裁かれる側でも。

さらに、日本の裁判は、中国電力事件にしろ、プラダ裁判にしろ、被害を受けた側が証拠を提出しなければなりません。裁判所が賃金台帳提出命令を出してくれたから、控訴人の賃金と男性社員の賃金を比較することが出来ました。プラダでは、ハラスメントです。ハラスメント被害を証明するには、女性はいつも録音機を用意しておかねければなりません。すぐにマスコミ発表するくらいしか対抗力を持ちえないと思うのですが、原告のこの行為は会社の名誉を傷つけたことになり、解雇されても仕方ない行為だったと裁判官は述べています。ハラスメント受けた時点で、原告はこれをどのように証明すればよかったのでしょうか?


では、今日はここまで。


 


 


 

木を見て山を見ずの法律

法律とは何か!と考えさせられることが多いです。

確かに盗撮はあったのに、立件できないのはなぜ?
(飛行中の旅客機内での盗撮容疑で全国で初めて逮捕された男が、処分保留で釈放されていたことがわかった。盗撮した地点が特定できず、どの都道府県条例を適用すべきか確定できないと検察が判断したためという。〜中略〜盗撮の摘発には、発生した場所の都道府県の迷惑防止条例が適用される。だが、飛行中の旅客機内では、どこの上空だったのかの特定が難しく、これまで逮捕された例はなかった。今回は目撃者や乗務員の証言から、盗撮した時刻を午前8時9分と特定し、航路の分析から盗撮地点を兵庫県篠山市上空と断定して同県の条例違反容疑での逮捕に踏み切った。しかし、捜査関係者によると、事件を送致された検察側は、正確な時間や場所の特定ができず、兵庫県の条例違反に問えるか疑問が残ると判断し、逮捕から10日後に処分保留のまま釈放したという。このまま不起訴となり、罪に問われない公算が大きい。朝日新聞1014)

営業成績優秀で、会社から表彰されているにもかかわらず、同期の男性に比べて女性の賃金が低いのはなぜ?これも、存在することが、法律を介すると存在しないことになるのです。
http://wwn-net.org/?cat=4 この画面の下にグラフがあります。現在裁判進行中の中国電力男女賃金差別の資料です。このグラフでは男性の方が業績を上げているようです。査定するのは男性上司でしょう。で、一審の判決は、ひらたく言えば「男女差別があっても仕方ない。これが世間の常識だから」でした。広島高裁の判決は?1025日に裁判がありますので傍聴に行きます。
報告はいずれまた。

同じような仕事をしているのに、賃金差別が現実に存在しています。でも、これが裁判にかかると、法律は原告に味方しません。日系ブラジル人が原告となった賃金差別の裁判がありましたので、傍聴に行きました。
係争の内容については2012415日のブログを見てください。私は、この事件は「労働者派遣法」で争われるのかと思っていましたが、≪労働者供給事業法≫で争われます。労働者供給事業法については、20091215日≪いろんな仕事1:旅行添乗員≫を見てください。

原告たちが現に仕事をしている工場へ、原告たちを送りこんでいる事業所が中間に4つもあります。その事業者毎にピンはねされていることになります。労働者供給事業法であろうと、労働者派遣法であろうと「原告たちの賃金は、労働が日本人と同じか、より厳しかったにもかかわらず、日本人よりもはるかに少なかった」という事実は存在します。しかし、素人の私が傍聴していても、なかなか原告に厳しい裁判になりそうだとの感想を持っています。


最後の1つ、法律はこう使われるべきでしょうという事件を!
≪大和ハウスパワハラ訴訟で和解≫

大和ハウス工業新潟支店元社員(44)=新潟市中央区=が職場でパワーハラスメントを受け、不当に解雇されたとして、同社に慰謝料など計約1千万円の支払いと解雇の撤回を求めた訴訟の控訴審は3日、東京高裁がパワハラの存在を事実上認め、原告への解決金支払いと解雇撤回などを条件にした和解案を提示、双方が合意し和解が成立した。 原告側の弁護士によると、ほかの和解条件として、精神的苦痛を受けた原告に対し、同社が「遺憾の意」を表明することや合意の上で退職することなどが加えられた。新潟日報2012103

では今日はここまで


 


 

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