嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2013年05月

中国電力の裁判の報告が遅くなりました。風邪がなかなか治らなくて、すっきりとしない日々です。

さて、中国電力の裁判は結審しました。判決は718日です。控訴人の長迫さんや弁護士の法廷での陳述は論理的で説得力がありました。傍聴している限り原告に理があります。しかし、この国の労働問題に関する判決は、本当に三権分立?と首をかしげたくなることがあるので、判決まで気を許せません。勝っても負けても、最高裁まで行くことになります。

59日の結審ならば、多分判決は9月だろうと控訴人側の関係者は思っていました。しかし、718日です。そんなに短い期間で判決文が書けるのだろうか、もしかしたら、判決の内容をもう決めているのではないか、結論ありきではないか、短い期間で決めるといいうことは、従来の価値観「男女差別はダメ。でも世間の慣習(これを公序良俗といいます)では、女性が補助的な仕事であることは仕方がない」を踏襲するのではないかと、不安な黒雲がむくむくと湧いてきました。
そこで、裁判所に、公正な裁判を要請することにしました。6月中に是非裁判所に要請ハガキを出してくださいませんか。
詳しくは「続きを読む」に入れておきます。



中国電力男女賃金差別裁判、ハローワーク雇い止め裁判、プラダセクシュアルハラスメント裁判の3原告たちがジュネーブへ4月下旬からのゴールデンウィークを利用して行きました。その時期に、ジュネーブで、国際人権規約の社会権規約委員会の審査があったからです。日本政府の審査は12年ぶりだったとか。当然、各審査項目に回答するのは、各省庁の官僚たちです。官僚たちは、いかに日本政府が努力しているかを述べます。

女性活用を問いただした国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)での回答もそうでした。「男女雇用機会均等法を作り、これを守っています」のような。また、男女の賃金差が大きいことに対しては、正規労働者のみの男女賃金差で回答することをしました。今や、女性の2/3は非正規雇用で働いているにもかからず、非正規の賃金はカウントしませんでした。

このようなことが予想されたので、日本から約70団体が参加し、ロビー活動を繰り広げました。で、上記3人のことに関する事項にも触れた勧告が出ました。日本語訳は以下で読むことができます。

http://www26.atwiki.jp/childrights/pages/234.html

こんなサイトもあるんだ〜!と、一度訪ねてみてください。

で、特に、委員会は、日本政府にILO111号条約を批准するように求めています。ILO111号条約を批准すると、司法にどのような影響が及ぼされるかが、下記の論文です。批准すると、冒頭に書いた、中国電力の判決が、大どんでん返しがあるかもしれない怖れが取り除かれる可能性が大であることが分かります。


≪社会権規約委員会:日本に対する第3回総括所見≫(2013年5月17日)

15委員会は、雇用および職業における差別に関するILO111号条約の批准を検討するべきである旨の締約国に対する勧告をあらためて繰り返す。


≪日本の司法状況を打破するためにも≫吾郷眞一(九州大学)著(20001020日部落解放482号掲載)

 ILOが国際的な世論をバックに、批准した国に対して、条約の正確な実施を働きかける効果は大きいと言いましたが、日本という国に着目したときに、さらに意味をもってきます。日本の司法、すなわち裁判所は、最近、とくに労働問題に関して保守的な態度をとりつつあります。憲法で保障されているさまざまな労働基本権を、きわめて狭く解釈する傾向にあります。労働者の基本権、広い意味での人権が、国内の裁判所で十分に保障されないという場合に、条約という国際取り決め、批准したならば国内法的な効果をもつ国際法を利用して、裁判所の限界を破ることができるわけです。今日の日本の司法状況を考えると、こういう可能性を残しておくことは十分に意味があることです。平等取り扱いの原則の実現をめざして、このILO111号条約が批准されることは、司法の限界を超える点においても、大きな意味があると言えます。


労働問題からは外れますが、滋賀県の嘉田知事が≪女性手帳は「論外」子育ては社会全体の問題≫と議会で答弁したとの記事がありました。
概要はこうです。

妊娠や出産に関する知識を広めるため、政府が導入を検討している女性手帳について、「論外。なぜ女性だけなのか。男性を含め社会全体で子育て、家族の問題を考えないといけない」と批判した。≫(京都新聞528日朝刊)


以上、あれこれ盛り込みましたが、政財界のトップに何が欠如していると思いますか?それは人権に対する考えです。女性の人権に関しては、嘉田知事はぶれませんね。では、続きを読むで、長迫さんの悔しさを知ってください。これは結審の場で、彼女が陳述した内容です。一部割愛してあります。
長くなるので、次回に、日本の人権のガラパゴス化について書きます。


 

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文章を書くときに、抽象的な言葉はなるべく使わないでおこう、「頑張る」のような言葉は、具体的な言葉に置き換えられないか再考して!と、授業で言ってきました。「美しい国」と盛んに言っているこの国の首相は、どのようなことが脳裏にあるのでしょうか?「、国民のみなさん、ゴミを拾らいましょう」という意味なのかしら?

タイムリーに下書きしていたのですが、今になってしまったイベントの感想から。

427日〜29日「ラ・フォレ・ジュルネ」、日本語で「至福の時」というそうですが、19世紀からのフランスとスペインの音楽と題して、有料、無料のコンサートが開かれました。びわ湖ホールは琵琶湖畔にあります。オペラ歌手の小野和歌子さんが歌うメインホールのステージのバックは全面ガラス窓です。窓の向こうには、青空と、若葉が風に揺れる大きな2本の木と、びわ湖畔を散策する人々の姿が見えました。無料コンサートなので、聴いている人もラフな格好で、生活の延長線上に音楽がある感じ。誰もがゆったりと穏かに時を過ごしていたように見えました。白いドレス姿の小野さんの歌声を聞きながら、「美しい国」とはこのようなことをいうのではないだろうかと思いました。

主催は滋賀県です。嘉田さんは数少ない女性知事です。その嘉田さんの発言が、新聞に載っていましたので、紹介します。(2013.05.08京都新聞朝刊)
≪嘉田知事、96条改正「慎重に」 原発トルコ輸出を批判≫

 滋賀県の嘉田由紀子知事は7日の定例会見で、今夏の参院選の争点に浮上している憲法96条の改正について、「慎重であるべき。権力者側が緩和をして変えやすくするのは主権在民に反する」と述べた。

 嘉田知事は国民的な憲法論議の必要性を指摘した上で、改憲に必要な国会の発議要件を定めた96条の改正について、「憲法は国民が権力者に歯止めをかけるもの。国際的にみても3分の2を必要とする条項は異常ではない」と述べた。 また、参院選では原発とエネルギー問題も重要な争点になるとし、安倍晋三首相がトルコへの原発輸出を表明した動きについて、「福島の現状をみれば、原発が地震を克服したと言えない。地震国のトルコに輸出するのは国際倫理上も問題」と批判した。

 

滋賀に暮らしている私は、この点だけでも大阪府とか大阪市とかの住民よりは気持が楽になります。それに比べて、これも数少ない女性、それも最年少の大津市長はまだまだ勉強不足です。政治が教育に介入した歴史をご存知ないようです。トップに立つ人は、おさおさ怠らず歴史を学んでください。でないと、「侵略の定義は定まっていない」」などと発言した、抽象的文言の好きな方と同次元になってしまいます。この話題は、大津であった53日の憲法記念日の集会でも話題になりました。嘉田さんもそうですが、こういう集会に参加された野洲市長は大いに気骨のある方だとお見受けしました。

1990年の湾岸戦争勃発のとき、イラクがクウェートになぜ侵入したのか、授業で調べました。マスコミが報道しているアメリカ一辺倒ではない歴史が見えてきて、「そうか」と結構授業が湧きたったのを覚えています。多面的に学ぶということは大切ですね。でも、油断していると大阪のようになってしまうかも。

で、今回は教育以外の内容です。

安倍首相が「解雇の金銭的解決」について言及し、その導入が検討されています。この制度を推進する、政府の「規制改革会議」雇用ワーキンググループ座長の慶応大学大学院鶴教授へのインタビュー記事がありました。(2013.04.26朝日)以下、まとめてみました。

*会社に解雇された働き手が裁判で争い、不当な解雇と判断されれば、今は元の会社に職場復帰する以外の救済はない。

*現実には職場の人間関係が悪くなることもあり、みんなが会社に戻りたいわけではない。

*解雇し易くするのが目的ではなく、金銭的な解決は今でも労働局の斡旋や労働裁判、裁判での和解では行われているが、補償額は少なく泣き寝入りも多い。

*だから、不当解雇の場合に払うべき補償金として、欧州のように『勤続何年でいくら』という基準があれば、裁判以外でも目安になる。金額次第では今までの水準より多く払うこともある。

*「金銭解決」は、お金を払って解雇するのではない。解雇が裁判で不当と判断された場合に、働き手が受けられる救済措置の選択肢を増やすことが目的。

*最近の裁判所は、会社が解雇する場合、人員削減の必要性や解雇を避ける努力をしたかなどの要件を厳しく問うより、経営判断に口を挟まず、労使でよく話し合い、納得が得られるような手続きを踏んだかが重視されるようになった。解雇をし易くする規制緩和が必要なわけではない。

 

うまくまとめられず、鶴教授の意見をほぼ全部載せてしましました。

さあ、どう考えますか?赤字の部分矛盾していませんか?鶴先生!

まず不当解雇の文言です。今、国の出先機関を解雇された女性が裁判で争っています。私も微力ながら裁判の応援をしています。で、この裁判まだ始まったばかりですが、ずっと原告と被告の間の書面の遣り取りです。1回の裁判は10分くらい。これが日本の裁判のやり方なのですが、判決が出るまでにこの先何年かかるか分かりません。最近の裁判では、不当解雇と認められるケースはごく僅かです。今は金銭的解決がないから、勇気のある人は裁判、大多数人は泣き寝入りだと思いますが、長い、それも勝つか負けるか分からない裁判を思うと、もし、金銭的解決が制度としてあれば、これを選択してしまうのは目に見えています。ということは、結局その解雇が不当かどうかと判断する前に、解雇は成立してしまう可能性は大です。

労働者派遣法も、高い技能を持ちながら、安く使われてきた、例えば通訳の仕事をしている人の救済のための法律となるはずでした。でも、労働者派遣法の実態は、欧米では許されない内容です。
そもそも労働者の権利が殆どない、ILOの労働に関する条文を殆ど批准していない日本では、例え労働者側に立った精神を持った法律でも、どんどん形骸化していくことは目に見えています。

甘い言葉にご用心!しっかりと見抜く聡明さを労働者は持たなければと改めて思いました。
明日は、中国電力男女賃金差別裁判の結審の日です。傍聴に行きますので、次回はその報告と、長い裁判を闘ってきた長迫さんの陳述を紹介します。
では、今日はここまで

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