嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2013年07月20日

続きです。

では、女性の方が低賃金に置かれている理由はなんであるか?それを判決では

<女性の就労意識・女子保護規定の存在>があるとしています。

*「上記男女差が生じたことについては, 女性従業員に管理職に就任することを敬遠する傾向があったり , 女性従業員の自己都合退職も少なくなく,平成113月まで効力を有していた旧女性保護法(女性の深夜時間帯の労働を原則禁止し, 時間外・休日労働を制限していた。)などの事情もうかがわれるのである。」

(これは一審でも判決にありました。これでは、労基法にあった女性保護は、「賃金差別をしてもいい根拠だよ」と公然と認めていたことになります。また、長迫さん個人が「管理職になりたい」と頑張ってきたことを、一般論で処理しようとしています。)

<長迫さんの格付けについて>

長迫さんが昇格を望み、上司からも褒められるほどの仕事をしてきたにもかかわらず、なぜ昇格できなかったかの判決です。弁護士の言葉をそのままお借りします。遅くなりましたが、これらの解説を書いてくださった弁護士は宮地光子さん。住友3社の裁判、日本で最初の職務評価システムを証拠として採用した京ガス裁判等、働く女性の裁判を数多く手がけている弁護士です。
*判決では、「彼女の資質に問題があったからだ」とする会社側の言い分をそのまま認めている。会社の人事考課制度を合理的なものと認定した結果として、会社が、長迫さんに対する人事考課において低評価の理由にしてきた事柄に全く疑問を差し挟んだ判決ではありません。長迫さんの人事考課票には、事実に基づかない記載がなされている箇所があり、そのことを私達は繰り返し主張しましたが、判決は、人事考課票に記載されたことをそのまま認定し、「仕事の仕方等では, 評価が高いが, 責任・協力という面, その中で協調という面で不適切な発言もあり改善してもらいたい。」などという管理職の査定理由の説明をそのまま認定しています

(証人尋問の報告は

http://blog.livedoor.jp/letchma11/archives/51931288.html

を見てください。この証人尋問で、かえって長迫さんに対する会社の恣意的な態度が浮かび上がったことを報告しています。裁判官、なんのために思わせぶりな証人尋問を行ったの?会社側の弁護士はしどろもどろで、何度も額の汗をぬぐっていたのを忘れてしまったの!)


*判決は、会社は「主任1級や管理3級になろうとする従業員に対し,個人の成果だけでなく, 職場の一体感やチームワーク向上に対する能力・成果も求めていたものというべきである。」としたうえで、「ところが,上記のとおり,控訴人は,業務の結果については高く評価されている一方, 協力関係向上力, 指導力については問題があると評価されていたのであるから, 被控訴人が主任1級や管理3級になろうとする従業員に求められる職場の一体感やチームワーク向上に対する能力・成果を具備するに至っていなかったものと認めるのが相当である。」としているのです

(なんとなく想像できますよね。出雲営業所で、独占企業の電力会社で日々男性どもがどういう働き方をしていたか?そこに物言う女性が登場したのです。すごく疎ましかったでしょうね。想像に難くないですね。最近『裸の王様』松尾匡著を読みました。内容は経済です。この本(まだ原発事故は起こっていないときの出版)から推測すると、最も顕著な例が原発についてだと考えられます。もう破たんは目に見ているのに、誰も(経団連を初めとする財界、それと足並みを揃える政界)「王様は裸だ。(もう原発は止めよう)」と言わない、言えない社会。これを協調性と言うようです。)

☆<昇進差別について>

長迫さんは、昇格の男女差別だけでなく、平成18年2月以降は、主任の職位に昇進してしかるべきであったと、昇進差別についても主張していましたが、今回の判決は、「控訴人は, 職場の一体感やチームワーク向上に対する能力・成果を十分有していなかったことは前示のとおりである。 さらに,控訴人に対する職務適性評定の結果は、平成17年度ないし平成19年度のいずれも, 業績・能力第一主義で正確, 迅速な業務処理を行い, 仕事への信頼度は高いと評価されている反面, 毎年, 自説に固執し, 自分本位で他の意見を聞かないと評価され, 指導を要するものとされていたのである。そうすると,被控訴人が控訴人を主任に昇進させなかったことは,被控訴人の人事権の裁量の範囲内で判断されたものというべきである。」としています。この「自説に固執」するとは、長迫さんが、約款や取扱い基準について、出雲営業所の管理職の方針に疑問を呈して、中電本部が取扱いをすべきであると意見を出したことなどを指しているのですが、そのようなことが「自説に固執する」とか「自分本位である」などと評価されて、低評価の理由にされるのでは、管理職に対して自由に物も言えないということになります。

職場の一体感には、価値がおかれても、上司に意見を言うことはマイナスの評価にしかならないというのは、日本の企業社会が旧態依然とした村社会であることを端的に示していますが、このような人事考課のあり方を、何の疑問の余地もなく判決は肯定しているのです。

賃金を決定する物差しが、村社会にとって好都合か否かで決められる、その物差しが歪んでいると訴えているのに、「村社会の物差しは『こうだ』」とだけしか言わない判決は、つくづく日本の司法のお粗末さを露呈していると思います。



(私の瑣末な感想なんか吹き飛ぶ宮地弁護士の言葉です。日本の人事考課は客観的ではない。過労死寸前まで働くとか、上司に逆らわないとかを会社への貢献度として査定しています。家事や育児の性別役割分担が重い日本の女性が、貢献度が低いと査定されるのは当然です。そういえば、銀行総合職の卒業生が嘆いていました。「私は保育園にお迎えに行かなければ、ならないので、勤務時間中に段取りを考えて必死に仕事している。でもおじさんたちは、だべってばかりで、退行時間になってようやく働き出す」。貢献度は、after5で職場に居るおじさんたちの方が高いと査定されるのでしょうね。)

これで二回にわたった中国電力控訴審裁判の判決の報告を終わります。

次は、最高裁です!

では、今日(おっと、前回のブログも今日でした)はここまで。

長迫さんに送りますので、コメントを書いてください。いつも書いてますが、あなたのアドレスやお名前は公表されません。長迫さんには知らせたいですね。よろしくお願いします。


 

中国電力で働く女性が、男女に賃金差別があるとした裁判の判決があり、傍聴してきました。一審の広島地裁判では敗訴。1昨日の718日の二審の広島高裁でも負けました。「公正な裁判を」の要請ハガキを裁判官に出してくださった方々、ありがとうございました。実りませんでした。

判決の後、記者会見がありました。地元の中国新聞は来ていませんでした。朝日、毎日、地元のテレビ局等は来ていました。

今頃そのことに気が付いたのは、次の記事を目にしたからです。

【中国新聞】ニュース > 社説 - 2013.7.18 ≪'13参院選 雇用政策 「非正規」どうするのか≫

http://www.47news.jp/47topics/e/243565.php

中国電力・広島銀行・中国新聞が中国地方の御三家と聞きました。中国電力を相手にたった一人で、昇給・昇格で、女性が差別されていると訴えた判決を、中国新聞が報じる訳がありません。御三家、それプラス政治権力が悪影響を及ぼしたのでは?と言いたくなるような判決内容でした。
(中国電力、一般論でない、足元の労働問題を書くべし!)下のは、毎日新聞の記事です。

 
賠償訴訟:女性の賃金差別、高裁も認めず≫ 2013年07月19日 東京朝刊

 中国電力(本社・広島市)の女性社員(50)が、昇格・昇進に男女差別があったとして、同社を相手取り、差額賃金など2468万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が18日、広島高裁であった。宇田川基裁判長は、女性のほとんどの賃金が男性より低額なのは認めたものの「人事評価に女性差別が存在した事実は認められない」として、1審・広島地裁判決に続き、原告の訴えを退けた。



納得できない判決内容を、女性の弁護人の解説を引用して、私なりの解釈を加えて、以下に書きます。

<全体的な男女間格差について>

彼女(長迫さん、判決文では控訴人)の現在の地位は、主任1級、この職になったのは昨年の2012年度から、それまで一つ下の主任2級に実に13年間置かれたままでした。同学歴の男性の遅い人で、主任2級の期間は6年です。

【判決文の要約】平成20年の時点。

*主任1級以上の職能等級になっている者の割合は, 男子従業員の90. 4%。女性従業員は25. 7%

*男性従業員で初めて主任1級に昇格した者の年齢は36歳、男性従業員の過半数が40歳までには主任1級に昇格。女性従業員で初めて主任1級に昇格した者の年齢は41歳。

*職能等級昇格前の在級年数も同女性従業員の方が同男性従業員よりも長い傾向にある。

*その結果, 控訴人と同期同学歴の事務系女性従業員の平均基準労働賃金額は,同男性従業員の平均額の88. 1%。年収換算で85. 6 %。個人別の賃金額分布においても女性従業員のほとんどの賃金が, 男性従業員よりも低額となっている。

≪以上から読めること≫→男女間の格付け・賃金の格差を認めている。



<しかしこの格差を、男女差別とは認定しない判決の2つの理由>≪≫は弁護士の言葉、( )は私の感想。

☆人事考課制度は合理的である。

*職能等級の昇格は,人事考課(業績考課,能力考課)により決まる。

*被控訴人(中国電力のこと)の職能等級制度 、及び,人事考課の基準等にも, 男性従業員と女性従業員とで取扱いを異にするような定めはない。

(当たり前でしょう。男女で異なる扱いを明記していれば均等法違反ですぞ!そんなあからさまな違反規定を会社が明文化するわけない!)

* 評定基準が作成された上これが公表されている。(プロセスが問題なのです!)

* 評定者に女性を登用したり,評定者に対する研修が行われたりしており,人事考課の実施についても, 第一次評定者による評価を更に第二次評定者が再検討し, 被評定者にフィードバックされていて, 評価の客観性を保つ仕組みがとられている。

(ようこんなこと、会社はぬけぬけと書き、裁判官はそのまま認めたね?!階級社会?、階級会社?で、何人が査定しようが、上司に逆らってまで、女性社員を擁護するような男性上司はいないでしょう。本人に評価の内容が知らされているから、客観性があると?客観性の意味をご存知ないのは、会社も裁判官も)

≪以上から読めること≫→会社の主張をそのまま認めている。控訴人の弁護団は、人事考課の査定制度に性差別性があると指摘してきた。これに関して判決は、一顧だにもしていない。≫
☆昇格や賃金において男女が層として明確に分離していない

*女性従業員と男性従業員との比較についても, 同じ男性間にも, 昇格の早い者, 遅い者があり,賃金額にも差があるのであって,男女間で,層として明確に分離していることまではうかがわれない。

見にくいのですが、最後の表を見てください。青が男性、赤が女性の月収を表したグラフです。裁判の証拠として提出されたものは、平成13年度〜23年度までのグラフでしたが、このブログにうまく貼り付けできなかったため、下記のを使いました。証拠として提出されたグラフは、このようなのが各年度毎に集計されています。男女の位置はこんな感じです。判決分にある「男女が層として明確に分離していない」というのは、青のところに、何人かの赤が混じっていることを指します。女性だって高い月収の人はいる。だから、男女で明確なる差はないというのが会社側&裁判官の言い分です。

(このような社員の賃金を把握しているのは会社側です。日本の裁判所は、賃金台帳を持っている側に資料を作成させるのではなく、持っていない側に作成するように求めます。長迫さんが、このようなグラフを作成できたのは、二審で裁判所が会社に「賃金台帳を提出しないさい」と言ったからです。住友金属の男女賃金差別裁判でも、同様のことが起こりましたが、会社の出した台帳には個人の名前がありませんでした。仕事が終わった後、住友金属の原告たちは、個人を特定する作業をしました。そして、ついに、隠している賃金台帳があることを発見しました。長迫さんも同じ作業を延々しました。「賃金台帳を出しなさい」と言ったときの期待を、裁判官!見事に裏切ってくれたましたわね。)

≪以上から読めること。弁護士の言葉です→これが層として分離していないなどと、どうして言えるのか。今回の判決の最大の疑問であり、弱点だと思います。判決のいう「層として分離」というのは、男性は全員が女性より賃金が高くなっている場合しかあり得ないことになりますが、それは明らかな男女別賃金体系です。そのようなものでなければ層として分離にあたらないというのでは、人事考課制度のもとで、男女差別賃金を問題にすることは、およそできないということになってしまいます。

(最初の【判決の要約】のところで、男女に賃金差があると認めておきながら、矛盾する内容ですね。)

長くなるので、いったんここで終わります。


中国電力








続きは、すぐに更新します。

では、今日はここまで。


 


 


 

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