嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2014年01月

ずっと課題だった、中国電力男女賃金差別裁判のことを書きます。

広島高裁でまさかの敗訴については、昨年のブログに弁護士の解説を書きました。原告は最高裁に控訴しましたが、さて、最高裁はこの控訴案件をどのように扱うのでしょうか。ずっと疑問でした。
その疑問を持ったまま、昨年1224日に、WWN、均等待遇アクション21、昭和シェル石油労組の女性たちと、最高裁前でビラまきをし、その後最高裁の建物の一角の部屋で、「広島高裁の判決は不当。最高裁は広島高裁の判決を破棄してください」との申し入れと署名提出をしてきました。
対応してくれたのは、最高裁首席書記官補佐の方でした。ビラまきは割と慣れています。受け取り率は高かったようですが、若い女性が頑なに手に取らなかったように感じましたが、なぜなのでしょうか。なんでも雇用問題に関係してしまう私は、ここでも正規職員と非正規との地位の安定度について疑ってしまいました。最高裁に入って行く若い女性は、非正規待遇の人が多かったからかも知れないと…。全国から毎年3000件前後の控訴が最高裁に行くそうです。最高裁の裁判官は長官を含めて15人です。長官もカウントしても単純割り算で1人の裁判官が200件を受け持つことになります。一年365日、土日と祝日、年末年始、盆休み等を引くと230日前後が労働日です。最高裁に来る控訴を翌年に持ち越さないとすると、ほぼ毎日判決をしている計算になります。中国電力の裁判の資料だけでも、相当な枚数になります。鑑定意見書だけでも、凄い枚数でした。鑑定意見書では、原告の仕事の内容を詳しく分析してありますから、読みこなすだけでも大変な時間と知識が必要になるでしょう。


で、最高裁に控訴された後のことを書いた一文を見つけました。「続きを読む」を見てください。やはり、壁は厚いですね。調査官は法令に照らし合わせて審議するから、原告の悔しさを汲みとることはないでしょう。引用した本には、原発の設置をめぐる裁判、自衛隊の基地に関する裁判等における政界と財界、顔色をうかがう司法の関係が描かれています。

なので、原告側の努力が報いられるかどうか甚だ疑問ながら、最高裁まで支援者が出向いたのは、この広島高裁判決が確定してしまうと、今後の男女賃金差別裁判に大きな汚点を残すことに繋がるからです。

宮地弁護士が、支援者が理解できるように「男女賃金・待遇差別裁判」の今までの判例をまとめてくださいました。

列挙しますから、詳細はネットで調べてください。

*秋田相互銀行事件:賃金制度上の差別→1975410日秋田地裁原告勝訴

*日本鉄鋼連盟事件:男女別コース制・賃金率の男女間格差→1986124日東京地裁原告勝訴

*日ソ図書事件:職務の同等性→1992827日東京地裁原告勝訴

*三陽物産事件:賃金制度上の差別→1994616日東京地裁原告勝訴

*石崎本店事件:初任給格差→199687日広島地裁原告勝訴

*芝信用金庫事件:職能等級制度のもとでの昇給差別等→20001127日東京高裁原告勝訴

*塩野義製薬事件:男女別コース制・職務の同等性→1999728日大阪地裁原告勝訴

*住友電工事件:男女別コース制→2000731日大阪地裁敗訴→大阪高裁で勝利和解

*シャープ関係会社事件:職能等級制度のもとでの昇格差別→2000223日大阪地裁原告勝訴

*商工中金事件:職能等級制度のもとでの昇格差別等→20001120日大阪地裁原告勝訴

*住友化学事件:男女別コース制→2001328日大阪地裁敗訴→大阪高裁で勝利和解

*内山工業事件:賃金制度上の差別→20041028日広島高裁岡山支部原告勝訴

*京ガス事件:同一価値労働→2004920日京都地裁原告勝訴

*野村證券事件:男女別コース制→2005220日東京地裁原告勝訴

*昭和シェル石油事件(野崎事件)2007628日東京高裁原告勝訴

*兼松事件:男女別コース制→2008131日東京高裁原告勝利

*岡谷鋼機:男女別コース制→20041222日名古屋地裁原告勝利

*住友金属事件:男女別コース制→2005328日大阪地裁原告勝訴

*日本オートマチックマシン事件→男女別コース制→2007123日横浜地裁原告勝訴

*阪急交通社事件:職能等級制度のもとでの昇格差別→20071130日東京地裁原告勝訴

*昭和シェル石油事件:職能等級制度のもとでの昇格差別→2009629日東京地裁原告勝訴

*鈴鹿市役所事件:1980221日津地裁判決勝訴1983428日名古屋高裁原告敗訴

*中国電力事件:2011317日広島地裁原告敗訴2013718日広島高裁原告敗訴

(宮地弁護士によると、原告の請求が一部だけ認められたのも「勝訴」に含まれているとのことです。)


中国電力判決の持つ意味を理解できましたか?最後の二つは原告が敗訴した裁判です。でも、鈴鹿市役所は、地裁では勝っています。地裁も高裁も原告が負けたのは、中国電力事件だけなのです。この判決が確定してしまうと、これから裁判で闘おうとする女性たちに不利になる可能性大です。なぜなら、裁判官は前例にもとづいて判決を出すのが殆どだからです。このへんも、「続きを読む」に入れた『法服の王国』にしっかり書かれています。

では、今日はここまで。

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今年もよろしくお願いします。

一月から、ブログの更新が遅れました。トホホ、先が思いやられます。

さて、元旦早々、職務評価の助っ人に新幹線に乗って出かけました。ナント、格安チケットもジパングも使えない期間で、正規の運賃を払ってしましました。年金生活者なのに。

年末に予告していた中国電力男女賃金差別裁判の報告を押しのけて、これを書くのは、労働者の実態はとても酷いのですが、まさしく「働く仲間」といった感じの人たちに出会ったからです。

男女賃金差別裁判を起こしたのは2人の女性。彼女たちの仕事が男性と同じか、それ以上だったにもかかわらず、男性より低い賃金に置かれていました。こういう場合、それを証明するのに職務評価という方法を使います。日本ではまだまだ普及していない方法ですが、欧米では一般的で、沢山の本も出ています。

原告の仕事に1000点満点の何点が付くか、果たしてそれが賃金額と合っているのかを調べるには、比較する対象が必要です。

でも、裁判ともなると、比較対象者の協力はなかなか得られないのが普通です。なぜなら、裁判の証拠として提出される場合、「なぜ原告に協力したのか」と会社から睨まれてしまうからです。仮に対象者が退職していても、なかなか会社側を敵に回してまで原告の味方をしてくれる人は少ないですね。ところが、比較対象者になってくれる2人の男性が同席してくれたのです。

原告の女性KさんとNさんの職務評価の結果、かなり高い点数が出ました。男性比較対象者とほぼ同じだったのですが、男性が班長とかの肩書きがある分だけ、ほんのちょっとだけ低くなりました。でも、賃金差は、仕事の点数とは比べものにならないくらいの大きさでした。こういうことが職務評価で分かったのです。これを裁判の証拠に使えるかどうかは分かりません。なぜなら、日本の経営者はこの職務評価を認めていないので、裁判所も当然同じ傾向だからです。しかし、作業中にいくつか深く心に刻むことがあったので、以下にまとめました。

中小企業の現場で働く人たちの賃金は凄く低いということ。

私の友人にも低い賃金の人はいますが、勤めている先がNPOとかの非営利団体なので、低いのは当然と勝手に納得していたところがありました。この会社は全国に工場のある中堅どころの会社です。

職務評価をしている人たちの雰囲気が良かったこと。仲間という感じで、会話も暖かい。お互いによく知っていて「自家製の化粧品で顔を腫らしてきたね」などと笑い合いながらの作業でした。部屋は寒かったけど、ほかほかしました。

原告たちが仕事と賃金が釣り合っていないとする理由の一つに、仕事の出来ない男性同僚の存在があります。2人いるのですが、この人たちは同じ作業場にいる原告のKさんに比べれば、半分の点数しか出ませんでした。でも、女性のKさんよりはずっと高い賃金です。もし、彼らが、仕事に見合った分だけの賃金であったら、あまり能力のない人たちも働くことのできる、良い職場だと思いました。

ハラスメントは、職場に余裕がないとさらに発生し易くなります。教師もプロフェッショナルとは言えない人もいましたが、そうでない人たちをカバーする仲間意識がありました。これは、一つには、同一労働同一賃金が保障されていたのも大きな要因だと思っています。

労働者にゆとりがなく、目一杯で働く今の職場は、個人的な繋がりもあっさりしていて、スマートになったかもしれませんが、「あんなことあったね」と笑い合う職場からは大きく乖離してきているようです。

給料は安く、男女差もあったけど、残業がなく、働きやすい職場であったことにちょっと感動しましたので、新年の最初の報告にしました。では、今日はここまで

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