嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2014年04月

残業代ゼロ提言&スウェーデン

≪「残業代ゼロ」募る不安≫
新聞各社が連日報道しています。

労働時間ではなく、成果をベースに賃金を支払う。これにより、子育て中の女性が退社後仕事を家に持って帰って仕事ができるようになる。

よって、企業は子育て・介護世代を活用し易くなり、雇用が増える。

要約すると、これらが提案した産業競争力会議が言いたいことのようです。

本気でこんなメリットが労働者側にあると思っているのでしょうか?

「成果」という概念が私には分かりません。

民間企業では、誰でもが成果という達成目標を立てて働いているのでしょうか?

営業なら契約を成立するとか、製造現場なら目標の数の製品を仕上げるとか。

学校なら、落第生を出さないとか、有名大学に何人合格させたとか。落第生を出さない取り組みは、今の文科省なら成果とはカウントされないような気もしますが…。

「東京新聞」は東芝で研究者だった女性の裁判を報じています。

http://homepage2.nifty.com/tsbrousai/news20130705.html

http://tocana.jp/2014/03/post_3860_entry.html



彼女は、衆議院(参議院だったかも?)議員会館で行われた「女性の労働、均等法」の院内集会で私の前に座っていました。細くて、ずっとしんどそうでしたから、よく覚えています。彼女と同じく液晶画面の開発に携わっていた男性同僚が半年の間で2人自殺した職場でした。「今年の秋に新製品を売り出す」のような会社の目標に向かって、成果を出さねばならない職場だったようです。

一面の見出しにあるように、ここで問題なのは「残業代ゼロ」でしょうか?では、残業代が支払われれば労働者は何時間でも働いてもいいのだとも、記事は読めますよね。

1986年施行の均等法と同じ道を辿りそうです。それまでの女性保護法を撤廃、女性も男性並みに働けるようにしたのが均等法でした。その結果、現在、非正規労働者の2/3は女性です。男性並みに働けない女性は正社員の座から滑り落ちました。残った女性は、男性と同じ過労死に至る正社員の道を歩んでいます。

こういう見出しにするのではなく、「どこまで際限なく働かせる気だ!」「過労死も鬱もさらに増える!」のような見出しにしないと、本質がつかめませんよね。

毎度、私が比較の対象として引き合いに出すEUは、残業代については労使の問題だとして、政府は介入していません。日本より規制が緩いようにも見えますが、週労働時間はばっちりと規制していて、48時間が上限です。この48時間は、時間外、即ち残業時間を含めたものです。さらに、EU指令では、一日に付き最低連続11時間の休息期間を設けなければなりません。
医療費高騰し、社会保障の財源は危機的だから、応分の負担を…ということで日本の消費税が上がりました。安く長時間使える労働者、企業で病気が発症すれば、企業が責任を取るのではなく、税金で賄おうとする魂胆も透けて見えます。東芝の女性研究者の裁判は、原告が勝訴しましたが、この提言が法律になれば彼女は救われないことになります。



先日、「神風」というドキュメントを観ました。特攻作戦から生還した男性が、「私は大学生だったので、アメリカの物量を知っていた。そのアメリカと戦争をして勝てる訳ないと思っていたから、零戦の乗るのがとても怖かった」と証言していました。また、別な集まりで、80代の方が「日本はこの先どうなっていくのだろうか」と仰いました。私は年齢を重ねる毎に嘆きが深くなっています。私のような、特に専門の研究者でもない人間でも、安倍政権の目指す方向は間違っていると考えています。専門家、例えば上記の零戦に乗らねばならなかった大学生のような、既に労働問題に精通している人は、苦しいだろうなと想像します。
そして、ついにある研究者に言ってしまいました。「先生は何をされるおつもりですか」とね。

自分のことを棚に上げての不遜な言葉でした。でも、ちょっこと言いたい。その道の専門家、警鐘を今鳴らさずしていつ鳴らすお積りですか?

そうそう、女性労働の仲間のスウェーデン研究家が書いています。舞台は当然スウェーデンです。

減税を唱える現政権に対し、国民は減税分の一万円、例えばレストランで消費するよりも、集め合わせ、不遇な人に再分配することは、思わぬ事故や不幸、高齢により困る可能性のある自分に得だと思い始める。ままならぬ人生を背負う個人の安全保障を、国家という連帯の機能で納税を通して行ってきたスウェーデン人にとって、その機能がない国家は退場して頂きたい。(いこ★るvol39『スウェーデンを通して見る「くにのかたち」榊原裕美著』)

あらゆることが個人責任にされつつある日本に住む私には眩しいような考えです。

では今日はここまで。

今回は信楽MIHO美術館の枝垂れ桜です。
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労働者派遣法&転勤要件

このブログの目的が逸脱しないように、最初は労働問題から書き始めるという決心は早や崩れました。

なんで内閣支持率が59%もあるの?

413日の京都新聞は、共同通信社の全国世論調査の結果を報じました。

集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更に反対が52.1%で゙賛成の38.0%を越えているのに、原発再稼働を進める政府の「エネルギー基本計画」を評価するのは39.0%で評価しない53.8%なのに、武器三原則に代わる新たな輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」に賛成は36.2%で反対が50.4%なのに、安倍内閣の支持率は前回322日の調査より2.9%上昇とあります。

JR山科から三人の中年女性が乗車。座っている私の背後に関東弁が聞こえる。その内、車内で「あんな」と親に話しかける子どもの声。間髪いれず背後の女性の1人が「孫も『あんな』という。だらしない言葉。だからその都度『あのね』と言い直させている」と言った。どうも孫は関西圏に住んでいるよう。「あんな」、優しい響きの言葉ではありませんか?関西圏の列車の中で「だらしない言葉」と公然と言う神経が理解できません。電気を供給して貰っていた福島の人々の思いを考慮せず、都知事選で原発事故を争点にしなかった東京都民の片鱗が見えた気がしました。こういう人が安倍政権の支持率を上げているのかと勘ぐってしまいました。我が娘は子どもに「由緒正しい江州弁(豪州弁ではない)を喋りや」と言っている。あっぱれです。

前回書いた今法案化真っ最中の「労働者派遣法」について、派遣労働者として働いている女性たちの対談が「労働情報884885に載っています。国会答弁ではなく本音トークなので状況がよく分かりますが、パートと派遣の違いを一言で言えば、解雇し易さにあると私は思っています。派遣労働者は派遣先の会社からすれば、レンタル労働者だから、必要がなければ「お返しします」と言えば済みます。ややこしい手続きは必要ありません。では、なぜ労働者は派遣で働くのかと言えば、パートでは生活できないからです。派遣も正社員に比べれば格段に安い賃金ですが、正社員並みの労働時間を要求されます。フルタイムパートという働き方もありますが、賃金がすこしはましな派遣労働とどちらで働くか、悩ましいところです。正社員並みの労働時間を要求されるのなら正社員にするべきと思うのですが、今目論まれている派遣労働者法では、永久的に派遣労働者を雇用できるシステムになっています。対談でも「派遣労働者の求人票しかない」と話されています。日本の派遣労働者は圧倒的に女性が多いですね。男性はリーマンショックで失業し、住むところも失い、日比谷公園で「年越し野宿村」が設営されて表に現れてきたけど、この人たちは製造現場が主でした。事務系は女性の派遣しかいないというのが現状です。最近の日本の派遣労働者の数は100万人を少し下回り、女性が2/3、男性は13/です(総務省統計局2013年2月)。派遣も含めた非正規労働者の7割は女性です。ネットで調べていたら、派遣労働に関する以下の文を発見。羨ましい箇所を太字にしておきます。


フランス:雇用省(2011Linterim en 2010 : reprise du travail temporaire

恒常的業務に関わる派遣労働の利用は禁止されており, 利用事由は, (1)代替要員の補充, (2)企業の業務量の一時的変化への対応, (3)本来的に一時的な業務(季節労働等), (4)雇用政策上の措置(訓練目的の派遣労働及び就職上の困難に直面する者の派遣労働)―のいずれかでなければならない。

派遣先労働者との賃金, 労働条件の均等原則あり。

派遣期間の上限は原則18か月, 更新は1回まで(更新前の契約期間と合わせて18か月以上は, 原則として不可)他の雇用者の代替要員及び安全確保のための緊急作業の場合は最長9か月。

派遣先は派遣元の社会保険料の未払いについて連帯責任あり。

国会で「転勤要件」について質疑がされています。ちょっと紹介。

4月1日参議院厚生労働委員会

福島みずほさんの質問内容の一つは次のようなものです。私流に要約しました。

「均等法には、転勤を理由として女性を差別してはいけない」とあるのに、パート労働法では、パート労働者が正社員になるためには3つの要件を満たさなければならないとあり、正社員と同じような仕事をしてること、継続して勤務していること、将来に転勤できること(過去に転勤したことがある)である。非正規労働者の多くは女性である。均等法では転勤要件を禁じ、パート労働省では転勤要件を入れるというのは矛盾しているのではないか?」

これに対し、田村厚労省大臣の答弁は以下です。

確かに、パートタイムという形態で働く方々には女性が多いのは事実でありますが、これは女性に限った働き方ではないわけでありまして、当然、男性もパートタイム労働をされている方々はおられるわけであります。

ですから、その中において、この転勤というもの、まあ転勤だけではありませんけれども、その人材活用の仕組みというものが要件に入る。これは一般の働き方と同じ話でありまして、一方、均等法の中で合理的でないものに関して、それは転勤等々は要件にしちゃならぬわけでありまして、そこは十分に両方ともバランス取れているわけでありますから、女性に限ったパートタイム労働法でないということで御理解をいただきますようお願いいたします。

 

均等法の転勤要件は、これで女性を差別してはいけないことだが、パート労働者には男性もいるから転勤要件が入っていることは矛盾しないと田村さんは言いたいようです。福島さんは、質問の中で「パート労働者の7割は女性です。」と念を押しています。田村厚労省大臣の回答は的から外れています。こんな答弁で国会質議が通って行くなら、国会なんか必要ないやんか!(正当な江州弁か?)

では今日はここまで。
海津大崎の桜をおまけします。
琵琶湖から見た桜

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