嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2014年10月

前回の続きです。

その前にちょっと感想を。

財務省が、≪現行の小学校1年生35人学級を40人に戻すよう、文科省に求める方針をたてた(927日の財政制度等審議会)≫と報道で知りました。なんでこういう結論になるか不思議です。「いじめ」の件数が40人学級と比べて効果が見られないというのを、座長の東大教授がTVで語っていました。こういう人は、1クラス100人になろうとも成績は一番の人なのでしょう。成績が良いけれど、学校現場で頑張っている子どもや先生のことを想像できない、トップとして最も重要な感性が抜けている人なのでしょう。大津市長の越さんの考えは、時として自己責任とか、競争とか、新自由主義の典型のように思えることもありますが、「大津市の中学二年生がいじめにより自殺」した件に関しては凄く当たり前のことを述べています。「担任を持たない教員を置いたことで、子どもたちの日々の行動を、余裕を持ってみることができるようになり、多忙な現場で増員を図ったことで、実質的な効果が生まれている。大津市のいじめの件数は前年度よりも増えたが、それはいじめが実態として増えたのではなく、小さないじめでも見つける対策が進んだ証だとみている」と語っています。(1023日朝日)。庶民は大抵このような考えでしょう。



では、前回の続きです。自民党が次々と打ち出す経済政策に対抗する理論が必要です。例えば「労働者派遣法」の今回の改悪案が法となり、何年後かに派遣労働者の数が増加したとしても、その増加が労働者派遣法と直接の関係があるとはなかなか実証できません。政府は、他の要因、派遣を希望する人が多いとか、日本の景気の方が密接な関係があるとか、いろんな考えを言うでしょう。「派遣労働者の固定化に繋がる」とのシュプレヒコールよりも、もっと「それはダメ」という決定打の理論が必要です。その決定打は、実は憲法なのです。9条ばかりに目が行ってましたが、労働者の人権を蔑ろにした政策は憲法違反なのです、ではなぜ、憲法違反なのかを説明します。



私の目から鱗を取ってくれた論文は、『日本の雇用が危ないー安倍政権「労働規制緩和」』旬報社2014年に収録されている茨城大学名誉教授深谷信夫さんの書かれたものです。タイトルは「自由な企業活動と日本国憲法の原理」です。
深谷さんの文の一部です。

「憲法第三章国民の権利及び義務」の11条から24条までは、基本的人権保障の条文である。
25条から28条までは、社会的基本権といわれる基本的人権で組み立てられている。
これらの最後に財産権を保障する29条が規定されている。292項は「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める」とある。
即ち、29条に至るまでの自由権的基本権と社会的基本権を尊重することが「公共の福祉」なのであり、この公共の福祉に適合する範囲で、法律によって認められてはじめて財産権は社会的機能を発揮するのである。よって、
企業活動を行う権利は、生存権保障や労働基本権保障などの次に、それらを尊重すべき本質的に制限された権利として保障されているに過ぎないのである」

深谷さんは、裁判の判例や規制緩和の動きは、この条文の順序を混同していると述べています。人の経済的活動は。基本的人権を優先させた次にあるものだという考えです。労働者派遣法の改悪で、誰が喜びますか?当然、いつでも解雇でき、賃金を安く抑えることのできる企業です。企業の活動は、第29条に該当するというのをこの論文で知りました。


大飯原発の判決文[命と経済を同列に扱ってはいけない」は、この理論が根拠になっているのだと納得しました。

大飯原発の判決文

「被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。」



この理論で言えば、政府が、今国会で通過させようと目論む「労働者派遣法」は、憲法違反ということになります。

29日、国会前で抗議活動が行われ、1000人ほどが集まったそうです。「はんた〜い」の言葉に、「憲法違反」の言葉も言うべきなのですね。

憲法の条文、改めて読み直しましたが、なかなか新鮮です。

長くなるので、条文のタイトルだけ「続きを読む」に入れました。

では、今日はここまで


 


 


 


 

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「女性が輝く社会」とかの先鞭で、女性閣僚が誕生しましたが、小渕さんと松島さんが辞職されました。マスコミによれば、国会議員を辞めることはないとのことですが、特に小渕さんに関しては、ホントそれでいいの?と思っています。

小渕さんも松島さんが男性議員であったなら、このようなことに、仲間内でストップがかかったのではないか、秘書組織内で、巧妙な処理方法の伝授があったのではないかと勘ぐってしまいます。松島さんもお粗末極まりない理由ですが、小渕さんの未だにバスを仕立てて観劇に出かけるという構図が理解できません。日本の選挙の根っこを見せてくれました。

安倍さんは、「女性が輝く」とのスローガンを掲げていますが、このような「人寄せパンダ」的な閣僚ではなく、「もっと足元を見直しなさい」という提訴がなされました。現職の国家公務員が、男女賃金差別を裁判に訴えました。

「厚労省が女性を昇格差別」現役女性係長、国を提訴
 厚生労働省の50代の現役女性係長が、女性であることを理由に昇格差別を受けたとして、国に謝罪と約670万円の損害賠償を求める訴訟を21日、東京地裁に起こした。性別を理由にした差別を禁じる男女雇用機会均等法を所管する厚労省で、現役職員が差別解消を求めて提訴するのは異例だ。

 訴状によると、女性は現在、統計情報部に所属。1988年に国家公務員2種採用試験に合格し、翌年入省。96年に係長になったが、その後、18年間昇格していない。一方、同じ2種試験で採用された同期の男性職員のほとんどは課長補佐級以上になっているとしている。

 女性は、保育士や介護福祉士の資格をとるなど能力向上に努力し、昇級も毎年認められているといい、「勤務成績、職務能力などで男性に劣ることは断じてない」と主張。「男女間の昇格の差は女性蔑視が原因」として、男性と同様に昇格していれば受け取れていた賃金分の賠償や、国による謝罪や改善の約束を求めている。

 この日、提訴後に都内で会見した女性は「私だけなら能力の問題かもしれない。でも、部署全体で女性は昇格できておらず、明らかな差別だ」と話した。 厚労省人事課は「訴状の内容を承知していないのでコメントできない。内容を確認してから適切に対応したい」との談話を出した。(2014.10.21朝日新聞)



現職で裁判を起こすというのは相当に勇気と覚悟が要ります。同期で入った男性が、この女性を跳び越えて上司になっていくのを見ている日々。怒りは誰にでもありますが、「女性だから仕方がない」と自分で理由を見つけて納得させてしまうのが多くの女性のとる行動です。教師になる前、私は地方公務員でしたが、担当する仕事のことで市町村の課長から電話がかかってくる。「はい、担当です」「なんや、おんなか!男に替わって」。根っこのところは余り変わっていないようです。私は、闘わずして男女平等を求めて教員になり、自己解決で済ませてしまいました。

さて、今回はチト難しい経済の話です。

こういう考えがあるのかと、目から鱗の説を紹介します。

まず、今年521日にあった大飯原発訴訟の判決文です。以下は、従来の判決文の常識を覆すような、画期的な文言で有名になった部分です。

アベノミクスと関連があるのでまずは、これから。
個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。

被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。



ここでは、経済的な利益と人間の命を同列に論じるなと言っています。これを書いた裁判官は、どのような理論に依拠して書いたのでしょうか?私は、この判決の内容は、実にまっとうなことを言っているように思うのですが、判決文ともなると感覚的な思い付きではダメです。

アベノミクスで、規制緩和を盛んに推し進めています。「女性が輝く」もその一環です。労働者の人権と規制緩和の関係はどう考えるべきなのでしょうか?大飯判決と重なる理論を見つけましたが、私が読みこなすのには時間がかかるので、ここでひとまず投稿します。

大飯原発の判決文を読んでおいてくださいね。
今日はここまで


 


 

「ローマの教室で」というタイトルの映画を見ました。

舞台は公立高校、登場する高校生の学年は4年生。ついでに、イタリアの学制は、小学校が5年間(6〜10)、中学校が3年間(1113)、高等学校が5年間(1418)です。

映画に登場する学校は、特に秀才の集まっている学校ではないようで、年配の教師なんか「頭空っぽの生徒」とバカにしています。

朝一番に出勤するのは校長。一番にする仕事はトイレットペーパーの補給。

授業中の生徒の態度は、私の勤務していた学校の生徒より悪い。ヘッドフォンして小声で歌っている生徒、携帯電話している生徒、私服なので、露出的な服装の生徒もいます。

ストリーもさることながら、やはり教育そのものに関心が行くのは、習性のようです。

最も気になったのが、教室の設備です。

暫く登校しなかった生徒が教室に入って来る。この生徒は勉強が好きでなく、学校に来たくないと思っているのを、担任が説得して、ようやく教室に現れた。「先生!私の椅子がありませんので帰ります」「ちょっと待って、すぐに調達してくるから」と担任は事務担当のような職員のところへ。「余分な椅子はありませんか」「そういえばA組にありました」と事務員?らしき人とA組の教室へ。ところが、その教室の担任が「ダメです。この椅子を手に入れるのに私は2カ月かかりましたから絶対に渡せません」。その間に、せっかく登校してきた生徒は帰宅していました。

私が勤務したどの学校も、用務員さんに言えば倉庫から即座に出してきてくれた。このシステムが分からん!この学校にたった一台あるプロジェクターも壊れている。意欲に燃える新任の教師(椅子を探し回った人)が直して生徒と映画を見ている。生徒は楽しげに笑っている。

イタリアの教育予算をネットで検索したら、ナント、日本の方がはるかに税金の投入額が低い。でも、生徒の数が多ければ教育予算は増えるから、生徒1人当たりで調べても、やはりイタリアの方が多い。

椅子やらプロジェクター、校長がトイレットペーパーを一個ずつ個室に入れている例からも、理解しがたい結果でしたが、イタリアの大学の授業料が、無償ではないけれどすごく安いことが判明。国公立も私立も年間10万円以下でした。もしかしたら、この点が教育予算の違いなのかもしれません。先進国で最も教育予算が少ないのは日本でした。

「頭空っぽ」と言われている生徒。でも授業内容はなかなか高度でした。まず、詩の暗唱が多い、言語も難解。美術の授業はまるで哲学のよう。生徒もいっぱしの理屈を教師に返す。注意されれば携帯も手渡すし、ヘッドフォアンも外す。その辺は、頭空っぽとは思えない。

おにぎりを握るために、進学クラスから普通科クラスに替わったという女子生徒の話を知っていますか?

DIAMOND ONLINEによれば、≪おにぎり2万個を野球部員のために握った女子マネージャーの話が話題になっている。この女子生徒がマネージャーを務めるのは、埼玉の春日部共栄高校野球部。開幕戦で春の甲子園の覇者である龍谷大平安を撃破したことでも話題となった。 この春日部共栄野球部では、体力強化のために練習中におにぎり5個を食べるということで、女子マネージャーが握っていたそう。その数、2年間で約2万個。そして、おにぎりを握ることに専任するために、進学コースから普通コースにクラス替えまでしていたという。≫【参考:夕刊アメーバーニュース】

反原発運動の一環として、運動の拠点を作るとの連絡があった。拠点というからには、生活もできる場所ということ。誰が掃除をし、誰が食事を作り、誰が食器を洗い、誰がゴミをだすのだろうかと考えた。いつも会議で使っている共同の部屋がある。運営は、原資を篤志家が出し、運営費は利用料と寄付で賄われている。
今は改善されたが当初、特に気になったのが煙草の吸殻の始末。時には灰皿にてんこ盛り。気の付く人が片付けるのだが、それはいつも女性。私は気が付くけど片付けない。片付けている人に言う。「火事になってもしゃあないやん。吸った本人の責任や」と。でも、多分吸っている張本人(複数)は、片付けるということが頭にないのだろう。灰皿は自動的に綺麗になっているものと思い込んでいるに違いない。運動は、身の周りのことを自分でなしてこそ、実のあるものになる。女子マネージャーが握ったおにぎりを食べて野球に勝った春日部共栄高校と、反原発運動のメンバーが重なる。

政府が進めるいわゆる「女性の活躍」を推進する法案について、厚生労働省の審議会は30日、報告書を取りまとめ、一定の規模を超える企業に女性の登用を進めるための計画の作成を義務づけるよう答申しました。一方、女性管理職の割合について数値目標を課すことは、経営側の強い反対もあり見送られました。
(2014.09.30NHKより)

やぱりね。日本は変わらんね。
今日はここまで。

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