嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2015年03月

3月に2つの判決がありました。

日々、裁判所は沢山の事件を扱っていますが、上級審になればなるほど裁判官の姿が見えない判決が多くなっているようです。2つの判決は、このブログにも度々取り上げていますが、まずは吉報から報告します。地方裁判所の判決です。

裁判名は「東和工業男女賃金差別」。

事件の内容については、2012.07.032014.09.17の記事を見てください。

判決は、326日午前10時から金沢地裁でありました。判決文にお目にかかる機会は滅多にないので、一部を書き出してみます。

被告は、原告に対し、○○○万円及びこれに対する平成231210日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

被告は、原告に対し、○○○円及びこれに対する平成24321日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

(へぇ〜、こんな表現をするのか!)

【金員:金額のこと】辞書にありましたが、一般では使わない言葉ですね。あと2つ「支払え」という項目があって、金銭に関するのは全部で4項目です。「合計約440万円支払え」ということです。原告の会社に対しての請求額は約2200万円でしたから、1/4程の額でした。これは、裁判所が「時効」を当てはめたからです。被告、即ち東和工業は、2002年からコース別制度を導入。設計部で建築士の資格を有しているのは男性部長と本間さんだけであったにも拘わらず、設計部の男性全員は総合職になり、たった一人の女性であった本間さんは一般職になりました。
この時出された会社の通達には、「一般職とは、専門的分野において業務遂行能力を有し、原則として採用時の職種に限定され、転勤はない…現在の、女子採用です」「総合職とは、総合的視野に基づいて判断できる能力を有し、管理者であれば、管理者能力を有する者であり、職種転換・出張・転勤の可能な者を指す…営業職」と記載されています。この通達によって、女性従業員は全員一般職になりました。

しかし、裁判所は
一般職で処遇されたが、設計業務における原告の業務遂行能力が低いので一般職と処遇したという旨の説明を被告は原告にしていない。
労基法4条は、性別を理由とする賃金差別を禁止した規定であり、使用者が男女別の賃金表を定めている場合のように、男女間に賃金格差を生じており、かつそれが性別の観点に由来するものと認められたときには、男女の労働者によって提供された労働の価値が等しいかを問うまでもなく、同条違反を構成するものである。」

《労基法4条違反》の判決は、画期的だそうです。1975年に秋田相互銀行事件が同じ判決のようです。全く対照的な中国電力男女賃金差別事件の結果を次のブログでお知らせします。

判決は、沢山の項目があって、証人尋問で、会社側が「本間さんは簡易な仕事としかしていない」という証拠を出しましたが、これに対しても裁判所は認めませんでした。むしろ、本間さんが言うように、彼女を貶めるために会社が故意に作った書面であると暗に忠告しているかのような判決文でした。

さて、本間さんが日々の職場で耐え難いほどの苦痛を感じてきた「男女差別」に時効はないと思うのですが、これを読んでくださっている方はどう思われますか?しかし、次回に紹介する中国電力男女差別事件の最高裁の判決を考えると、上級審へ行くほど、常識とかけ離れた判決になってしまいます。そろそろ金沢高裁に控訴するかどうか、ただいま本間さんは、決断の真っただ中におられます。 

では、今日はここまで。

(鼻炎、苦しいよー)

労働に関する動きを掴んでいないので、今回は雑感でお許しください。

ホワイトカラーエグゼンプション、所謂「残業ゼロ法案」が国会に提出されます。

この法案については、何度かこのブログでも書きましたので感想のみです、「女性の活躍」などと言っている政権には、年収1075万円以上、高度プロフェショナルな仕事をしているのは男性だけだと思っているようです。もし配偶者が成果を出すまで労働時間を気にせず働くのであれば、共働きはまず無理だから、男性は専業主婦とのカップル、女性はシングルを前提にしているとしか考えられません。先日、大阪でこの問題の研究会がありました。ごく一部のエリート労働者の問題であるような受け止め方が私にはありましたので、卒業生の抱えている労働問題と関係ないわと考え、結局参加しませんでした。でも、この「関係ないわ」こそ、用心しなければならないのです。労働者派遣法が制定されたときも、これを提案した故信州大学名誉教授高梨昌さんは、元雇用審議会会長のときの2009年3月2日の日本記者クラブで、次のように述べています。

「私としては、私の当初の意図と違った方向に規制緩和が進んで、派遣というのが世間一般に大変なマイナスイメージを持つ職業をつくるものとして批判されるようになってしまった。派遣法の当初の場合は、派遣で働くというのは、女性の方々にも格好よく映ったのです。しかもかなり高賃金でした。これがどんどん低賃金の劣悪な雇用を生むシステムに変わっていったということが、私は最大の問題だと思っております。」。

同一価値労働同一賃金だって、経営者側に都合のよいように利用されて、今やスーパーの店長以外は全員パート労働者です。同一価値労働同一賃金なら、全員正社員にするか、時間当たりの賃金を同じにするべきだったのです。だから、1075万円で線引きするとされるホワイトカラーエグゼンプション問題も、あっという間に全労働者に適応されるようになる可能性大です。「用心おさおさ怠りなく」を戒めにしないといけません。

前回書いた「派遣労働者はこの改正案でようやくモノから人になる」と発言した厚労省の需給調整事業課長が国会で追及されていますが、どうせなら「モノ扱いは、この改正でも変わらない」と言ってほしかったですね。


NHKの内閣支持率調子で、安倍政権の支持率が、ISISの人質事件の救出の結果が不成功だったにもかかわらず下がらない。摩訶不思議です。後日明らかにされた交渉の経過からも、人質解放を第一にした方策を取ったとは思えない。発言も軽率だ。だのに、支持率が下がらないのは、設問に問題があるのでは?NHK調査の設問に「他の内閣よりよさそうだ」というのがある。これって分からん?人質事件が起こった時、いくつかの内閣があって、それぞれが交渉をや方策を講じていたなら、回答は可能だ。安倍政権しかなく、過去の内閣が同じ事件に遭遇しない状況で、何を根拠に判断をし、回答しろと言うのか?NHKという権威が人々を欺く典型の事例だといつも支持率が発表されるたびに思う。 


さて、先週からアメリカ制作の「危険な時代に生きる」が放映されています。深夜からなので、睡魔との戦いですが、あの環境破壊の権化のようなアメリカがこのような番組を制作するとは、相当に地球はやばいことになっているようです。アメリカの福音主義、ブッシュ大統領ファミリーとか共和党員の多くがそうであるようですが、「地球がこのような危機的状況にあるのは神の思し召し」とかで、「アーメン」と祈るだけで、対策を取らないのを旨としていたとは、何とも信じがたいことです。世界史を生業の一つとしてきた身からすれば、宗教と政治の関係史はもっと勉強したほうがいいと思います。

以前、アフガニスタンで乾いた大地に水を引き、難民となった人々を戻そうとする遠大な灌漑計画を着々と進めているペシャワール会の中村哲医師のことを書きました。その言葉と重なります。アフガニスタンは戦争で滅びるのではなく、旱魃(自然を無視する「文明の無知と貪欲と傲慢」)で滅びる」

では今日はここまで。





 


 



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