前回に続き、裁判の報告です。
余りに不当な、刑事裁判ならば、証拠をすべて無視した冤罪ともいえるような判決でした。
裁判に訴えざるを得なかった原告の長迫さんの怒り、絶望はいかばかりでしょう。

その報告の前に、ちょっと寄り道。
京都駅前にある関西電力前の金曜日集会で、ずっと踊っている人がいます。伴奏は鉦とシュプレヒコール。振付があるようなないような。手をゆらゆら、足は緩やかなステップ。すごく本能的な感じで、天岩戸の前で踊ったアメノ
ウズメもかくやあらんと…。現代人こそ、本能のままにゆらゆらと体を動かして、自らを解き放たねばと思ったりしています。1週間に1時間、適度な運動にもなりますね。で、私は何をしているかって?憧れるけど、勇気がないから声出しだけです。

さて、本筋に戻ります。

中国電力男女賃金差別裁判については、このブログで度々報告しています。

2015年3月11日、原告から「最高裁から上告棄却の判決がありました」と配信されました。最高裁の文面を初めて見ました。原告の7年間が、これだけの文言ですか?! 


 理由とか、文書番号とか他にも記載がありますが、主文はこれだけ。


1
:本件を上告審として受理しない。上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。


中国電力裁判のその都度の報告は以下を見てください。

2011年7月14  2011年9月14  2011年12月31  2012年8月20  

2012年10月29  2013年2月16  2013年5月28  2013年7月20

2013年11月16  2014年1月26

 
上級審ほどダメだ、労働者を見ないで経営者を見ている。経営者とは即ち政界と表裏一体。人々に審判を下す人も組織の一員。組織に縛られる弱さを突きつけられる職業。このようは判決を出す人の心境を知りたい。

中国電力男女賃金差別事件の棄却の判決は全く納得できません。

 その理由を弁護団が「抗議声明」として出しました。これを使って、棄却がどれほど理不尽なものかを解説します。表題は「中国電力男女賃金差別事件・最高裁不当決定に対する抗議声明」です。 

*おさらいになりますが、まずは長迫さんの提訴の理由です。

・職務等級主任2級に据え置かれたまま、平社員に留め置かれたことは男女差別である。


*判決の内容です。

・広島地裁も広島高裁も「男女格差はある」と認定。しかし、「原告の請求を棄却する」

・棄却の理由は、「同じ男性間にも、昇格の早い者、遅い者があり、賃金額にも差があるので、男女間で層として明確に分離しているとは言えない。」


*これに対する弁護団の反論
・女性の圧倒的多数は、男性の昇格の遅い者と同等の扱いである。
・男性の標準者と同じ水準に達している女性はごく一握り。この一握りの女性が昇格しているから、「賃金が男性の層、女性の層と分離しているとは言えない」とするなら、男性の全員が女性より賃金が高い場合のみ、層として分離しているといえる。これは男女別賃金体系である。裁判官は、企業が男女別賃金体系を取っていれば、男女差別を認めましょうということ。

(注:男女別賃金体系は、男女雇用機会均等法に違反します。また、中国電力は男女別の賃金ではりません。男女が同じ賃金表のもとに置かれ、結果、下記の図のように上位が男性、下位が女性になっています。前回のブログ「東和工業裁判」では、東和工業は男女別賃金体系であると裁判官が判断したから、訴えが認められたのです。)

下図がある年の同学歴で同期に入社した原告を含む賃金を表したものです。青色(男性)に少しだけ赤色(女性)が混じっています。これを指して、裁判官は「男性の中に女性も混じっているではないか」、だから男女別賃金ではないと言うのです。右に多くの女性がいますが、こんなに沢山の女性が男性より能力がないのでしょうか。
*昇格・昇進しないことについての判決の内容
・「業務・能力主義で正確、迅速な業務処理、仕事の信頼度は高い。しかし、協調性がない」
*これに対する弁護団の反論
会社の主張する「協調性の欠如」は、会社の人事考課上の事由を無批判に肯定している。

中国電力






















注:最高裁では、以前ブログに書いたシカゴ大学山口教授の意見書と共に、一橋大学相澤美智子准教授の意見書も出されました。この意見書で、中国電力(男性上司)が女性に対して「ジェンダーに対するステレオタイプ」を持っていることを、分かり易い例を引いて解き明かしました。
・例:男女がそれぞれ5時に机の前にいなかった場合、人は一般に男性については「会議のために席を外しているのだろう」と解釈するのに対し、女性については「家族の世話をするために帰宅したのだろう」と--真実はどうであれ--解釈する。                         

*私の意見

・原告は営業成績がトップでした。全く独りで営業成績がトップであることって可能でしょうか?教室に入ったら独壇場の教員であった私からしてもあり得ないですね。営業に行くためには、職場で得た知識や技能が基盤です。協調性がなかったら営業はできません。「協調性がない」と評価したのは上司。だらだらつるんでいる職場が目に浮かびます。そこへ「仕事しましょ!」と発言する女性部下。男性上司は大いにメンツが傷ついたことでしょう。

国からの手厚い保護を受けている中国電力を初めとした電力会社の独占企業の体質が表れています。関電の八木社長が「原発再稼働」から抜け出せないのも同じ体質でしょう。

・東和工業裁判でも、会社側の証人は「原告は何度も聞いてくる。自分で判断ができない人物だ」と言いました。それに対して裁判官は「それは原告の慎重な性格ではありませんか?」と問いただす場面がありました。女性だから従順で、出世を望まず働くべしと考えている男性のなんと多いこと。卒業生の口惜しさが重なります。

このブログを書くにあたって、改めて弁護団の抗議声明文や、弁護団による解説を読み、ますます怒りが湧いてきました。
訴えたくても最高裁から先はないのです。国連には女性差別撤廃委員会があります。こうなったらそこに訴えるしかない!と思っても、日本は女性差別撤廃条約の選択議定書を批准していないので、訴える資格がないのです。

追伸:勝訴だった東和工業男女賃金差別裁判の原告は、悩みぬいた末に高裁に上告しました。その理由は、次回に。
では、今日はここまで。