嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

2016年09月

このブログに時々登場いただいている東和工業男女賃金差別裁判の最高裁上告の報告会と支援会の総会がありましたので、924日に富山市に行ってきました。

一審と二審の弁護団と、最高裁上告の弁護団が変わりました。東西最強の弁護士が担当されています。弁護士は大阪弁護士会の宮地光子さん、東京弁護士会の中野麻美さんです。地裁、高裁判決の何が問題なのかは既にブログに書いていますので、お読みください。
最高裁へ上告した上告理由の趣旨の一部は以下です。

(法律用語は難しいので、私なりの解釈ですから、専門家がお読みになったら叱られるかもしれません。)

 

*憲法141項の趣旨に反している。

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。

*日本はILO100号条約を批准している。

*日本は女性差別撤廃条約を批准している。


100号条約は、同一の価値の労働に従事している男女には同一の賃金を払うこと。そのための4つの方法を示しています。高裁判決で、職務の違いがあるから具体的な格差を判断できないとして請求を棄却しているが、仕事の価値を測る職務評価のような方法があるにもかかわらず使っていないし、企業の裁量権を聖域化しすぎている。

☆職能給を計算できないとした判決は、民事訴訟法248条の解釈適用を誤っている。

☆憲法14条1項および女性差別撤廃条約は、国には女性が差別によって被る不利益を回復させる義務があり女性を差別からの効果的保護を図るものであるのに、判決は「企業の差別のやり得」を許している。

 

ILO100号条約

同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約
日本1967824日批准  

条約の主題別分類:同一報酬/女性  条約のテーマ:機会及び待遇の均等

 この条約は同一の価値の労働に対しては性別による区別を行うことなく同等の報酬を与えなければならないと決めたものである。報酬を同一労働に対して男女同等に支払う、という原則を確立する方法として、

1.国内法令、

2.法令によって設けられまたは認められた賃金決定制度、

3.使用者と労働者との間で締結された労働協約、

4.これらの各手段の組み合わせ,


民事訴訟法
248

損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。

 

中野弁護士は、日本の裁判所の限界、特に判決においての企業の裁量権が大幅に認められていること、労働とは?賃金とは?等裁判の根幹にかかわることについて。宮地弁護士は、原告の人格を貶めるような会社側の主張をそのまま鵜吞みにした裁判官の資質と原告の悔しさを引き受ける心意気を示されました。

お二人とも、日本の裁判官が組織に縛られていること、裁判官こそ豊かな人間性が必要であることも語られました。

(「人間死してなに残す」でしょうか。)

 

富山に一泊して翌日は観光と考えていましたが、生憎の曇り時々小雨の天気に、路面電車で富山市内を回ることにしました。富山市は先見の明がありますね。自動車産業を国の重要な産業と位置づけたことにより、各地にあった路面電車が廃止されていきました。京都市内にも縦横に路面電車が走っていましたが、神社仏閣の多い東山通りは、日々渋滞が起こっています。富山の路面電車は市民の足になっているようで、岩瀬という富山湾方面に行く電車に男性前後期高齢者が多く乗車、彼らは競輪場前で下車されました。岩瀬に行く路面電車は途中から単線になり、途中の駅で対向電車を待つ時間があります。その対向駅で、女性乗務員が下車。ずっと私の乗った電車が発車するのをホームで待ち、発車すると深々とお辞儀で見送ってくれました。

ドイツに住む小さい人が、ギムナジウムの1年生になりました。日本の5年生ですが、ドイツは4年生で小学校を卒業することになります。ギムナジウムは日本でいうところの小学校5年生から高校3年生までがいます。ギムナジウムでは、生徒が教室移動をします。生徒の根拠地になるホームルームはないので、生徒は各自の教科書等私物一切をロッカーに入れます。そのロッカーの年間使用料は30ユーロ。「貧困家庭の子どもはロッカー借りられへんやん」と、とっさに思いましたが、そこは児童手当が日本よりは高く、大学授業料も無料かそれに近い国なのでカバーはできているのでしょう。で、そのロッカーは民間の会社が管理しており、「鍵壊れた」とか、「扉が開かない」なんていう生徒の訴えに先生は対応しなくてもいいのです。これって、ワークシェアリングですよね。1校1000人の生徒が支払えば、2校〜3校で何人かの雇用は生まれます。先生の仕事の中身が明確です。なんでもやらなければならない日本の先生とは大いに違いますね。小雨の降る中でじっと電車の出ていくのを待ち、おじぎをして見送ってくれた彼女を思いました。

では今日はここまで。

「このブログやめます」と書く決心がつかず、細々と今回も。

初めてといってもいいほどの、夏バテを経験しました。そのしんどさは表現できないほど。

20062月に、下記の記事の女性と議員会館で会いました。私の前の席で、ずっと不安そうな表情で座っておられました。2008602日のブログに書いてあります。

提訴してから12年、原告一人という立場で、よくここまで闘ってこられたと、その年数の重みと原告の意志に敬意を表します。しかし、過労から鬱を発症。休職、解雇と続く期間の損害賠償としての6000万円はあまりにも安い。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160831-00000099-mai-soci

毎年売り出される新しい製品の陰に、このような労働者の存在があります。

 

前回630日の「3つの裁判と同一(価値)労働同一賃金」のブログで報告した「ハローワーク雇止め裁判」を支援する団体署名は200団体を超えました。原告がその一部を持って最高裁に行きました。郵送でも直参でも同じ扱いであるとは思いますが、そうせざるを得ない原告の気持ちはよく分かります。

東和工業裁判については、今月末に、原告の住む、この裁判の原因を作った東和工業のある富山市で報告集会があるので、応援に行くつもりです。

ラジオメーター裁判は、914日に裁判があるので、名古屋に傍聴に行きます。今回は、このラジオメーター裁判の概略について報告します。

ラジオメーター裁判の原告が働いていたのは名古屋営業所です。本社は東京。東京を除いた全国10か所に営業所があります。病院や大学に研究等のための医療機器を販売している会社と概要にありました。原告が提訴したそもそもの原因は、原告が定年になったにもかかわらず、再雇用を拒否されたことです。確か、再雇用制度は全員を対象としていたはずなので、会社側に非があると私は考えていました。で、よくよく再雇用制度を読んでみると、以下に抜け道がありました。厚労省のHPです。

Q1−1: 改正高年齢者雇用安定法においては、事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければならないのですか。

A1−1: 事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければなりませんので、事業主が制度を運用する上で、労働者の意思が確認されることになると考えられます。〜中略〜。 なお、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しないことができます。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意が必要です。

 

原告は、勤務状態不良ゆえ再雇用はできないと会社に言われました。では、誰が勤務状態不良と判断するのでしょうか?勿論雇う側です。原告が優秀でベテラン社員であったことを弁護団は実例を挙げてすでに論述しています。

次回の裁判では、もう一つの争点、男女賃金差別についてです。

被告会社は外資系企業であり男女差別などはしていないと主張していますが、今まで昇給差別があったことは下記の事実からも明らかです。

*男性職員の管理職割合は35%なのに対し、女性職員の管理職割合は4%。

*配置差別があり、営業職は男性で多数。それに対して女性は1名。

*事務職の女性は昇格できないような、評価制度の設計・運用がなされている。このため、女性は昇格できず、昇格しないと賃金は大幅に上がらないので男女賃金格差が大きくなっている。

裁判で重要なことは、これらのことを証明するのは原告だということです。その資料はもちろん会社側が持っています。その資料を何としても法廷の場に出してもらう必要がありますし、これは裁判官の命令で可能です。これからはこの攻防も争いになります。命令により資料が出てきたとしても、それが本物かどうかは原告側では見抜けません。(住友金属裁判では、会社側の出してきた資料が意図的に改竄されていることを、原告たちが見抜きました。このブログ2006719日住友金属裁判3の下方にその説明があります。)

 

 では、今日はここまで。

 

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