最近納得のことがありました。近所のスウェーデン人とどうしても話が噛み合わないことがありました。それは、例えば今回判決が確定した商社兼松の「男女賃金差別」の裁判がなぜ14年間もかかったのかもありますが、「均等法指針の雇用管理区分」とか「総合職とか事務職」とか、「秘書課に配属された原告はなぜ裁判の対象にならないのか」とか、これらに共通する「職務」に関してスウェーデン人は全く理解できないのです。

商社兼松の判決に対しては前回のブログを見てください。


彼が理解できないのは、ひとえに私の語学力が原因と思い、ネットでこれらのことが英文で書かれたものを示しましたが、
3ページほどのWWNhttp://www.ne.jp/asahi/wwn/wwin/fwhatwwn.htmがCEDAW(女性差別撤廃委員会)に出した要望書ですら「読むのに3日間もかかった」と言うのです。確かに法律用語は難しいですが、英語ぺらぺらの人がなぜ?って、原因が分かりませんでした。

そして今回ようやく納得の文章に出会えたのです。とっくに知っていたことなのに、きちんと文章で読んでみて再認識でした。

 

《企業には多くの種類の労働があり、その種類ごとに職務(仕事)に対応する形で労働者を採用し、その定められた労働に従事させるのが日本以外の社会のやり方である。

これに対し、日本型雇用システムでは、その企業の労働を職務ごとではなく、一括して雇用契約する。労働者は企業の中のすべての労働に従事する義務があるし、使用者はそれを要求する権利を持つ。

・実際に労働者が従事するのは個別の職務である。しかし、それは雇用契約で特定されているわけではない。ある時どの職務に従事するかは、基本的には使用者の命令で決まる。雇用契約それ自体の中には具体的な職務は定められていない。このような日本型雇用の法的性格は、一定の地位設定契約あるいはメンバーシップ契約である。日本型雇用システムおける雇用とは、職務ではなくメンバーシップなのである。》
(濱口桂一郎著「新しい労働社会」岩波新書)

 

そうとう前のことですが、電力会社に事務職で就職した女性卒業生が、「事務でも最初は電信柱に登らされた」と言ってました。まさしくこれですね。スウェーデン人の理解できないことは、「事務職で入社したのに、なぜ電信柱に登るのだ?」ということです。日本以外の国では、事務職ならずっと事務職、レジ係りならずっとレジ係りなんですね。この電力会社の例は多分研修の一環だと考えられますが、スウェーデンではあり得ないことなのでしょう!

 

いろんな部署や転勤を経て男性はスキルを磨き、定年まで勤めるのが日本の一般的な労働者の生き方です。女性は男性とは異なり殆どの人は定年まで同じ職務にあることが一般的です。だから、男性と女性では賃金が違って当然だとされてきました。今回の商社兼松の判決は一部不満は残るものの画期的なものだということができます。詳しくはブログを見てください。

 

家族を伴っての転勤や、工場勤務だったり、営業に回ったり、総務をやったりというような働き方はまず日本以外では考えられないということなんですね。この点を説明しなかったから、彼は理解できなかったのだと思います。しかし、説明したとしても理解できたかどうかは不明ですが…。

 

しかし、このような日本型雇用が、規制緩和や経済のグローバル化、リーマンショックによる「百年に一度」と言われている不況で様変わりして来ました。家計補助だった女性の有期雇用労働者(ここではパート労働者とします。この言葉の定義は多くの問題点を抱えているのですが。)に、男性が沢山参入してきました。また、女性も補助から主たる家計の担い手となる人も増えてきました。

 

パート労働者の仕事は原則的に同じです。男性正社員のように職務は変化しません。そこでまず同じ職務の労働者との比較がしやすくなりました。

ただし問題点もあります。例えばスーパーのレジ係りは全部と言っていいほどパート労働者です。同じパート労働者同士の時給を比較しても、そんなに大きな差額は出ないと思います。これが同一労働同一賃金の考え方です。


時給の安い者同士を比較しても、そこからは諦めと怒りしか湧いてきません。しかし正社員でレジ係りをしている人がいれば賃金を比較できますが、それはこのご時勢発見できないでしょう。


こういう場合に威力を発揮するのが、同一価値労働同一賃金の考え方です。簡単に言うと、異なる仕事をしていても「仕事の価値が同じならば、同じ賃金を」です。この物差しとなるのが「職務評価」です。

続きを読むにひとつのニュースを紹介しておきます。彼女たちが要求する根拠となるのが、職務評価なのですから、彼女たちに職務評価を勧めたいですね。


感想ですが、駅で目にする販売員のスキルは改めて凄いものです。電光石火の計算術です。でもこんなに過酷な労働環境とは想像以上でした。要求して扇風機を付けさせたなんて、今まで扇風機もなかったの?と反対にびっくりしてしまいました。


職務評価の4項目「知識と技能」「肉体的・精神的負担」「責任の重さ」「労働環境」の「労働環境」の配点はかなり高くなると思いました。

いろんな仕事、いろんな働き方があるのですね。今後このブログでも、卒業生の仕事を紹介していきたいと考えています。

では今日はここまで。

今年3月に結成されたのが、地下鉄の売店で働くパー

ト労働者で構成される「全国一般東京東部労組メトロコマース支部」(後呂良子委員長)。東京メトロの子会社で作られたパート労組だ。 パート労働者が労組に入る場合、正社員の労組に入るケースが最も多い。近年、正社員だけを対象にしてきた労組が規約を改正し、パートも加入できるようにするケースが増えているからだ。1人でも加入できる個人加盟の労組に入る例もあるが、パートだけで労組を結成するケースは少ない。

 後呂委員長は「会社の労組に加入したいと言ったんですが『契約(パート)は入れない』と言われたんです」と打ち明ける。後呂さんらパート仲間は、パートの契約が2種類あり、同じ仕事をしているのに賃金や賞与で大きな差がついていることに納得できず、何とかしたいと考えていた。しかし、会社の労組には加入できず、地域労組の全国一般東京東部労組に相談し、自分たちで労組を結成することにした。

 メンバーは結成の際、「労組を作ったらクビになるんじゃないか」と心配した。けれど、自分たちの労働条件にどうしても納得できなかった。1000円の時給は、働き始めからほとんど上がらない。

狭い売店で8000個を上回る商品を覚え、効率良くさばく。工夫を重ね、月700万〜1000万円を売り上げる組合員もいる。しかし、努力も工夫も賃金には反映されない。 地下鉄の通過音やアナウンスの大音量、狭く蒸し暑い売店、座ることも許されない環境、1日の仕事が終わると粉じんで真っ黒になる。そんな労働環境も変えたい。さらに、別契約のパートにはある忌引休暇や食事補助が自分たちにはない。正社員が使える福利厚生施設も使えない。「同じ仕事を同じように一生懸命やっているのに、なぜ扱いが違うのか」。仲間同士の怒りが突き動かした。

      *

 会社との団体交渉で、売店に扇風機を付けさせたり、熱くならない蛍光灯に変えるなど労働環境の改善を勝ち取った。ある組合員は「仕事を失う恐怖もあったけれど、組合を作って職場が良くなった。

力を合わせれば変えられると実感した」と笑顔を見せた。契約も3カ月更新だったのを、半年、1年と安定した雇用に変えることができた。後呂委員長は「自分たちの仕事についてきちんとものが言えるようになり、労使は対等だと思えた。これが一番大きい。黙ったままではどんなひどい扱いを受けても何もできない」と話す。 長い間黙々と働いてきたパート労働者たち。組合活動に取り組むことで、職場の風景を変えつつある。【東海林智】(毎日新聞2009.11.16)