川島織物セルコン男女賃金差別訴訟の続きです。
提訴から2年間、ずっと書面の遣り取りでした。「裁判が始まったら傍聴和に行くからね」と原告の松田さんに言っていたのですが、突然和解のメールが回ってきました。原告側の宮地弁護士の解説を要約します。宮地弁護士は94日で紹介した中国電力男女賃金差別事件の二審の弁護士のお一人でもあります。原告の側に寄り添うことの出来る感性豊かな弁護士です。


要約

被告の会社側の主張

・原告と男性営業職とは業務内容が異なる。扱う商材が違う。男性は、大型商業施設に対する責任施工取引を担当していたが、原告はそのような取引を担当していない。


原告側の反論&判明したこと
・上記いずれの理由も、会社の男女異なる取扱いを、さらに浮き彫りにするものではあっても、松田さんへの賃金差別を合理化するものではない。
・原告は、入社時は事務職であったが、数ヶ月後から営業に従事するようになり、以来、男性と同様の営業職に従事してきた。しかし男性はすべて総合職であるが、原告は地域限定職である。

・会社は、原告が主任に昇任しなかったのは、原告の年間査定が、C上を超えたことがないからだとしていたが、原告の比較対象の男性は、年間査定がC上でも主任に昇任している。


和解をする上での問題点
・ 裁判所は、男女差別が存在したことを前提に和解協議を進行させたが、原告にとって困難な課題は、原告が入社した当時の会社が、社員が十数人の小さな会社であり、その後、他社との合併で全体の規模は大きくなったもの、原告と社歴が同じで、年齢・勤続年数がほぼ等しい男性社員というと、たった1名に絞り込まれてしまい、いわゆる男女差別の大量観察ができないという点。


和解内容

この1名の男性との過去10年間の差額賃金の総額は、約800万円。和解解決の水準は、この約半分の450万円を支払わせたことになる。


和解における原告側の問題点

・比較対象者が1名しかおらず、男女の賃金についての大量観察ができないという点。
・判決になれば時効という問題も出てくる可能性があった。


松田さんが和解を受け入れた最大の要因はなんだったと思いますか?原告の松田さんの言葉です。前回に「松田さんを全否定」した会社側の言い分を書きました。ずっと営業の仕事に従事し、男性と同じように深夜勤もこなし、顧客の信頼を得てきた松田さんに対し「あなたは幽霊です」と言ったも同然の言葉でした。


和解を受け入れるか、判決までいくべきか、ずいぶん悩みましたが裁判官の「これまで提出されている書面から、松田さんが男性と同等の営業の仕事をしてこられた事が見て取れる。」という発言があり、この一言が和解を受け入れた大きな要因でもあります。

では今日はここまで。