325日、ずっとかかわってきた介護労働者の職務評価調査報告会を京都で行いました。職務評価についてはこのブログで度々取り上げていますが、実際に評価した人でないと、ピンとは来ないシロモノです。私も最初に職務評価の解説書を読んだとき、沢山出てくる数字の意味を読み取ることができませんでした。まず参加者の数に不安がありました。結果的に、全員で50人くらい、東京や名古屋からの参加もあって、やれやれのスタートとなりました。
職務評価は1000点満点で計算します。第一次で分析した186人の平均点は713点でした。
ケア労働、具体的には高齢者や障害者の介護をする仕事ですが、その中には利用者宅への訪問介護(ヘルパー)や施設でのケアをする職員とか、さらにはケアマネージャーとか、職種もいろいろとあります。そういうケア労働に従事している人の仕事の価値を点数化し、平均点が713点というわけです。ケア労働の報酬はとても低く設定されているのは周知のことです。年収200万円で、所謂ワーキングプアの範疇に入る職種です。
その理由は、介護は元々家庭で、女性、即ち妻とか嫁とかの立場の人が担っており、家庭では無報酬の仕事だからです。この制度の詳細を考えた官僚・政治家にとっては、無報酬であったものを外注化したのが介護保険制度であり、それは元々女性の仕事だったから安くて当然なのです。職務評価の最高点は1000点ですから、社会的地位の高い医者の仕事を例にすれば、全ての項目(知識・技能、負担、労働環境、責任)で満点を取ったとしても最高は1000点です。713点:1000点の比と、実際の賃金を比較した場合、医者の職務評価をしなくても、この比以上の賃金差があることは予想がつくことです。今後も調査を続け、今後の待遇改善につなげていくための方策を講じることも考えていかなければなりませんから、時々報告します。


さて、328日に「労働者派遣法改正」が国会で成立しました。今回も「改正」ではなく
「改悪」です。主な要点だけをまとめると次のようになります。→以降は今回の改正内容です。

派遣対象業務の限定(現在26業種。どんどん派遣で働くことができる業種が増えています)→特に問題ありとされている製造業派遣の原則禁止も今回は見送られ、現行のままだが、法施行1年後に労働政策審議会で検討を開始することとされた。

登録型派遣の禁止(派遣先が存在する時のみに、派遣業者と雇用契約を結ぶ)登録型派遣は問題が多いとして政府案で原則禁止となっていたが、今回は見送られ、現行のまま。しかし、法施行1年後に労働政策審議会で検討を開始することとされた。

日雇い派遣の全面禁止(登録型派遣のうち、雇用契約の関係が生じる期間が30日以内のもの)不安定な働き方の極限ともいえる日雇い派遣をはじめ短期の派遣労働は、禁止期間が「30日以内」になった。

直接雇用のみなし規定の創設→派遣先の企業が契約期間以上に働かせた場合、社員と認めさせる「みなし雇用制度」を施行3年後に導入

均等待遇の義務付け→同じ仕事をする派遣先の正社員と賃金のバランスも考慮するよう求めたが、罰則規定なしの努力義務。

マージン率の上限規制→派遣社員に支払う賃金と派遣先から受け取る料金との差額の公表を義務付け。

派遣でしか働いたことのない人は、毎年契約を更新しなくてもよい正社員の安定さが理解できません。今後ますます派遣労働者が増加すると、経営者に要求していく内容そのが低くなることが考えられます。国家が経済破綻を起こしつつあるスペインで、労働者のストライキとデモがあったと報じていました。日本では、労働組合そのものを敵視する世論が形成されています。今まで以上に労働者の権利がなくなる日もすぐそこ!という感がしてなりません。

全国紙の批判度が低いにもかかわらず、
ずっと労働者側に立って書いている中国新聞(2012.03.29)から以下を抜粋しました。
派遣会社への規制を強め、派遣社員を保護するという当初の狙いはかなり薄められている。〜中略〜もともと経済界や自公両党は「派遣労働を規制すると、企業が正社員しか雇えなくなり、雇用がかえって減る」と当初の案に反対していた。〜中略〜政府案そのものが労使や有識者の議論の末にまとまった妥協の産物でもあった。派遣社員でつくる労組などが改正法を「骨抜き」と批判するのは無理もなかろう。〜中略〜とりわけ04年に小泉構造改革で解禁された製造業派遣を現状のまま容認していいのだろうか。技術、技能の蓄積と継承には正社員の常用労働を基本とするのが望ましいはずだ。関係企業は派遣受け入れを繰り返すのではなく、中長期の人材育成の観点からも正社員登用の道をもっと開いてほしい。
では、今日はここまで