まず前座二題。
昨年2月、福島第一原発1号機の原子炉建屋にある非常用復水器が作動しなかったのは、その破損の原因が津波によるものなのか、地震によるものなのかを、国会事故調査委員会が現地調査しようとしたところ、実際は建屋に明かりが差し、照明もあったにもかかわらず、「原子炉建屋の中は今は真っ暗、調査は難しい」と東電が虚偽の説明をし、国会事故調査委が調査を断念したというニュースが朝日新聞に報道されました。(多分、朝日のスクープ!)

新聞の読者投稿欄に「企業業績が不振になった際、従業員を解雇して債務を減らすのではなく、まず責任を取るべきは、判断ミスや怠慢で業績不振になった責任の第一人者であるトップ。辞めるべきはトップでしょう」というのがありました。



私はほぼ毎週金曜日関電大津支社前で「大飯原発を直ちに止めろ」「琵琶湖を守れ」と叫んでいますが、上記二題から、

日本の経済が「失われた20年」とかいって、大量の非正規労働者で企業の収支を合わせているのは、グローバルとかリーマンショックとかではなく、「前例がありませんからというセリフに象徴される、リスクを取らない経営者の自己保身の頑迷な思考にあるのだ。

よって今、日本を動かしている人たちは、人間を含むあらゆる生物の命とか地球の存続とかの長期的展望・視野にたった思考が出来ないから、原発をなくす気は全くない。(電気事業連合会長の関電の八木社長は『発送電分離なら売り上げが減り、原発の維持費が出せなくなる』と言ってます。なんか、例えが悪いですが「麻薬や止めたらヤク患者が苦しむし、ヤク経済が回らなくなる」と言っているようです。)



で、ここからが今回のメイン、「中国電力男女賃金差別裁判」報告です。

なぜ、前座二題から始めたかと言えば、裁判で明らかにされた会社の体質が上記の推論と同じだからです。



控訴人(二審なので、原告ではなく控訴人)長迫さんは、中国電力の女性社員です。同期同学歴の男性に比べて昇進が低いことを広島地裁に提訴しました。詳しくは20111231日のブログを見てください。

一審の広島地裁では、まさかの原告敗訴。二審の広島高裁で何度かの書面の遣り取りの後、ようやく2013.02,14、証人尋問が行われました。地元、東京、関西等から多くの女性が広島に駆けつけました。会社側の傍聴人が9人、60人定員の法廷は、控訴人側の傍聴人で埋まりました。控訴人の弁護士から1時間半、被告中国電力の弁護人から1時間半の計3時間(休憩10分を挟んで、実質4時間弱)を、長迫さんが1人で受け答えをしました。


最初は、長迫さんの弁護士からの尋問です。弁護士は宮地光子弁護士。住友の男女賃金差別や京ガス賃金差別裁判を担当された心強い女性の味方です。次が長岡弁護士、ともに女性弁護士です。

二人の弁護士の尋問によって、長迫さんがいかに有能で、誠実な仕事ぶりであったことが明らかにされていきます。(誠実な仕事の誠実の相手は誰かと言えば、当然顧客です。決して上司ではありません。これも彼女が疎外された一因と私は思っています。)

それまで女性に担当されて貰えなかった営業部門でも、トップの成績を収めていたことがデーターで示されていきました。さらにこの尋問で、長迫さんがパワハラに遭っていたこと、現在もそれが続いていること明かになりました。聡明で活発な彼女と何度も出会っていますが、誰も気が付きませんでした。(裁判に訴えたことがハラスメントに拍車をかけました)

続いて、被告側の弁護士の尋問。

彼は、長迫さんがどれだけ職場の秩序を乱す、周りから浮いて存在であったかを浮き彫りにするために、短い尋問を次々と繰り出してきます。

被告側の弁護士と会社側はこの裁判を甘く見ていたのでしょうか?会社側と打ち合わせが出来ていませんでした。長迫さんの「それはどういう意味ですか」には「その質問は撤回します」と何度も言い、また長迫さんの「それはこういうことです」の説明に何ら反論できませんでした。

女性に関係あることだからの一例を紹介します。

Q:控訴人は、お茶くみを止めさせたと陳述書に書いてありますが、あなたがその営業所に転勤になったときは、女性のお茶くみはもう止めていましたね。

(職場環境の改善を控訴人がいくつか提案したように書いてあるが、それはあなたが提案する前から行われていた。虚偽の陳述をして、能力あるかのように書くな!の意味かな?)

A:各自のお茶は飲みたいときに飲みたい人が入れることになっていましたが、お客様へ出すお茶は、「○○ちゃん、お茶」と言われ、女性が入れていました。(女性は全員ちゃん付けだったそうです。今でも「うちの女の子」なんて男性上司が言いますね。この遣り取りを聞いてあなたは「お茶くらい女性が入れたらいいやん」って思ってませんか?それならば、私の力不足です。私はO商業高校で女性の先生がお茶を入れる慣習を止めさせるのに10年かかりました。体育科の女性の先生はその後もずっと入れていました。次の学校で分煙するのにこれも10年近くかかりました。さんざん嫌味を言われましたけれどね。日々の小さなことを通して仕事と向かい合わなければ、職場の風通しは良くなりません。一事が万事と言うでしょう。「なぜこれは個人の仕事ではなく、女性という性の仕事なのだ?」と疑問を持ち続けないとね。)

Q:あなたは△さんのパソコンを覗き見たりしたのではありませんか?

(この質問の主旨は、「権限もないのに、他人の仕事に口を挟むな」という意味)

A:私が横を通ればパソコンは閉じられ、仕事の話は中断しました。上司は廊下で私の姿を見ると、元来た道を引き返して行きました。

(彼女が日々針のむしろの上で懸命に働いていたことが分かりました。懸命というのは、それでも彼女の営業成績はトップだったからです。)



終われば、傍聴人の疲労は極度に達してました。長迫さんと弁護団は想像を絶するものがあったでしょう。明日は傍聴へという夜、「今頃長迫さん宮地弁護士は眠れていないだろうな。弁護士の職務評価をすればどれくらいになるだろう」と思っていました。
裁判の翌日、長迫さんの職場は静かだったそうですが、我慢強い彼女だからの感想かもしれません。私が今回強く思ったことは、会社側の陳述書に協力した主に元同僚の男性の心境です。(同期同学歴の男性は全員管理職員になっている)前座二題とも繋がるでしょう。



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では。今日はここまで。