中国電力の裁判の報告が遅くなりました。風邪がなかなか治らなくて、すっきりとしない日々です。

さて、中国電力の裁判は結審しました。判決は718日です。控訴人の長迫さんや弁護士の法廷での陳述は論理的で説得力がありました。傍聴している限り原告に理があります。しかし、この国の労働問題に関する判決は、本当に三権分立?と首をかしげたくなることがあるので、判決まで気を許せません。勝っても負けても、最高裁まで行くことになります。

59日の結審ならば、多分判決は9月だろうと控訴人側の関係者は思っていました。しかし、718日です。そんなに短い期間で判決文が書けるのだろうか、もしかしたら、判決の内容をもう決めているのではないか、結論ありきではないか、短い期間で決めるといいうことは、従来の価値観「男女差別はダメ。でも世間の慣習(これを公序良俗といいます)では、女性が補助的な仕事であることは仕方がない」を踏襲するのではないかと、不安な黒雲がむくむくと湧いてきました。
そこで、裁判所に、公正な裁判を要請することにしました。6月中に是非裁判所に要請ハガキを出してくださいませんか。
詳しくは「続きを読む」に入れておきます。



中国電力男女賃金差別裁判、ハローワーク雇い止め裁判、プラダセクシュアルハラスメント裁判の3原告たちがジュネーブへ4月下旬からのゴールデンウィークを利用して行きました。その時期に、ジュネーブで、国際人権規約の社会権規約委員会の審査があったからです。日本政府の審査は12年ぶりだったとか。当然、各審査項目に回答するのは、各省庁の官僚たちです。官僚たちは、いかに日本政府が努力しているかを述べます。

女性活用を問いただした国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)での回答もそうでした。「男女雇用機会均等法を作り、これを守っています」のような。また、男女の賃金差が大きいことに対しては、正規労働者のみの男女賃金差で回答することをしました。今や、女性の2/3は非正規雇用で働いているにもかからず、非正規の賃金はカウントしませんでした。

このようなことが予想されたので、日本から約70団体が参加し、ロビー活動を繰り広げました。で、上記3人のことに関する事項にも触れた勧告が出ました。日本語訳は以下で読むことができます。

http://www26.atwiki.jp/childrights/pages/234.html

こんなサイトもあるんだ〜!と、一度訪ねてみてください。

で、特に、委員会は、日本政府にILO111号条約を批准するように求めています。ILO111号条約を批准すると、司法にどのような影響が及ぼされるかが、下記の論文です。批准すると、冒頭に書いた、中国電力の判決が、大どんでん返しがあるかもしれない怖れが取り除かれる可能性が大であることが分かります。


≪社会権規約委員会:日本に対する第3回総括所見≫(2013年5月17日)

15委員会は、雇用および職業における差別に関するILO111号条約の批准を検討するべきである旨の締約国に対する勧告をあらためて繰り返す。


≪日本の司法状況を打破するためにも≫吾郷眞一(九州大学)著(20001020日部落解放482号掲載)

 ILOが国際的な世論をバックに、批准した国に対して、条約の正確な実施を働きかける効果は大きいと言いましたが、日本という国に着目したときに、さらに意味をもってきます。日本の司法、すなわち裁判所は、最近、とくに労働問題に関して保守的な態度をとりつつあります。憲法で保障されているさまざまな労働基本権を、きわめて狭く解釈する傾向にあります。労働者の基本権、広い意味での人権が、国内の裁判所で十分に保障されないという場合に、条約という国際取り決め、批准したならば国内法的な効果をもつ国際法を利用して、裁判所の限界を破ることができるわけです。今日の日本の司法状況を考えると、こういう可能性を残しておくことは十分に意味があることです。平等取り扱いの原則の実現をめざして、このILO111号条約が批准されることは、司法の限界を超える点においても、大きな意味があると言えます。


労働問題からは外れますが、滋賀県の嘉田知事が≪女性手帳は「論外」子育ては社会全体の問題≫と議会で答弁したとの記事がありました。
概要はこうです。

妊娠や出産に関する知識を広めるため、政府が導入を検討している女性手帳について、「論外。なぜ女性だけなのか。男性を含め社会全体で子育て、家族の問題を考えないといけない」と批判した。≫(京都新聞528日朝刊)


以上、あれこれ盛り込みましたが、政財界のトップに何が欠如していると思いますか?それは人権に対する考えです。女性の人権に関しては、嘉田知事はぶれませんね。では、続きを読むで、長迫さんの悔しさを知ってください。これは結審の場で、彼女が陳述した内容です。一部割愛してあります。
長くなるので、次回に、日本の人権のガラパゴス化について書きます。


 

意見陳述 

 私は、入社当初、会社では、男女の隔てなく業務を分担し、業務に真面目に意欲的に取り組み実績を上げる社員は、公平公正に評価されるものだと信じていました。

しかし、最初の配属先である☆営業所で、同期の男性には、集金業務や契約業務が割当られましたが、私には、男性の補佐のような仕事や来客接待などの諸務、始業前には男性当直者の残飯整理やお風呂掃除等といった家事的労働も分担させられました。男性と遜色なく仕事ができるのに、何故その仕事が割り当てられないのかという腹立たしい思いがあって、自らすすんで上司に契約業務に変わりたいと申し出ました。上司からは「女を出さないで働くことができるか」等といった約束事項が示されました。どうしてこんなことを突きつけられるのか屈辱的でしたが、仕事がしたい一心でそれを了解し、契約業務に就くことができました。

次の異動地★営業所でも自ら上司に電気温水器担当に変わりたいと申し出ました。上司は、男性であれば、何も求めず異動させるのに、私には企画書の提出を求めました。私は企画書を提出して、それが認められたということで、ようやく電気温水器担当に就くことができしました。私は、電気温水器担当として努力を重ね、ファミリー店の信頼も得、2年目には主任を抜いて一番の集客・販売実績をあげました。それでも職能等級は主任2級のままです。

平成17年度には、同期同学歴の男性(Aさん)が同じ担当に主任として異動になりました。Aさんは、着任してまもなく、病気のために会社を休みがちになりました。私はAさんに代わって、担当内の業務運営に気を配り、他課との調整や後輩育成にも積極的携わり、1年間業務品質を落とすことなく遂行してきました。私とAさんとの差がどこにあるのか全く分かりませんでしたが、私は主任に発令されることはありませんでした。とても理不尽に思えました。

課長や課長代理との面接では、「本当に助かっている。期待している。」と感謝を述べられるほどでしたが、職能等級は依然として主任2級のままで、昇格することはありませんでした。

そして、私は、主任2級のまま△営業所へ異動になりました。頑張って本当に助かっていると言われていたので、私は主任に発令されるのではないかと期待したのですが、その時、同じ課のエネルギー営業担当に本部から三才年下のまったくの業務未経験者である男性のBさんが主任として配属されました。しかも、私が、着任した時は、地理不案内だけを理由にグループ内で最も少ない業務を分担されたのに、Bさんは業務未経験でありながら主任となり、その後、専任係長、副長へと昇進していったのです。とてもショックでした。

平成22年度には、Bさんの担当した500kW以上のお客さまを私が引き継ぎましたが、私にはBさんのように主任や専任係長の肩書きはありません。お客さまに名刺を出すとお客さまから「これまでは主任や専任係長が対応してくれていたのに平社員で女性なのか」などと言われることもありました。それでも地道に努力してお客さまからの信頼を得て契約を獲得するところまでこぎ着けました。この契約は、Bさんが主任・専任係長として3年間携わっても獲得できなかった契約でした。このように努力すれば、お客様の意識は変化するのですが、会社だけは変わりませんでした。

Bさんの後任として配属されたCさんもBさんと同じように業務未経験でありながら主任として配属され、専任係長、副長へと昇進していきましたが、私は主任発令もされないままです。

上司である副長は、実績を上げている私の事を評価するのではなく、私が実績を報告しても「それだけね」と言い、あたかもそれしかできていないような指摘をするようになりました。私の職能等級が13年間、主任2級に留めおかれている間に、私より12才以上年下の男性社員が私を飛びこして昇進昇格していくのを目の当たりにすることは、落胆と苦痛以外のなにものでもありませんでした。

この格差は性差以外では説明できません。入社以来、32年間、女性であるということだけで、会社から昇進昇格において差別を受けていることは許し難いことです。私がこのような差別を受けてもモチベーションを維持し、業務実績をあげ職場改善や環境改善、後輩育成などに継続的に取り組んでいるのは、会社の社員として、仕事に誠実に向き合い、お客さまに喜んでいただきたいという気持、私の仕事に対する責任感と誇りがあるからです。  

しかし、私の取組み姿勢を快く思わない管理職は、挨拶をしない、無視する等といった私に対する敵対的な職場を作りだしてきました。また、会社は、私を主任2級へ13年間も留め置き、能力のない社員として位置付けてきました。

女性であることだけを理由に低い職能等級に留め置かれることがどれほどの悔しさと屈辱に値するのか。この屈辱を晴らしたい一心で裁判に立ち上がりました。裁判のなかでは、同期同学歴の男性社員との格差が明らかになりました。この格差は、性差以外では説明できないと思います。

しかし会社は女性差別ではなく、私の特異な個体事情であるとして、管理職に証言をさせることで、差別を覆い隠そうとしました、1審の裁判所は、そのことを見抜けず、敗訴判決を下し、私は絶望の淵に断たされました。しかし多くの方々の支援を受けて、諦めることなく控訴審を取り組むことができ、そして、結審の日を迎えることができました。

私は、職場において、男女が同じように尊重されるべきだと思います。そして、力一杯仕事ができ、男女の差別なく公正に報われるべきだと思います。

そのためにも、差別の実態を直視した公正な判決がなされることが求められているのだと思います。

広島高裁において、この私の思いに応えていただける判決がなされることを切に希望して、私の意見陳述を終わらせていただきます。


要請はがきの宛先面:


広島市中区上八丁堀2番43号 
    広島高等裁判所第4部裁判長 宇田川 基 様


(差出人の住所と名前)

裏面:書いてほしい文言は以下の要請書の文言と、最後にあなたの意見

平成23()251号損害賠償請求控訴事件


要 請 書

 中国電力株式会社における男女賃金差別を問う裁判が本年5月9日に結審しました。

 中国地方における最も大きな企業の一つであり且つ公共的な事業を担う企業において、長年に亘って男女差別賃金が維持されてきたことは、私たちにとって到底見過ごすことのできないことです。私たちは女性差別の是正と男女平等の実現を心から望んでいます。

貴裁判所におかれては、女性に対する差別の実態を直視し、企業の社会的責任を果たさせる公正な判決をしていただきますよう、強く要請します。

(この下に、あなたの意見)


 


       


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