中国電力で働く女性が、男女に賃金差別があるとした裁判の判決があり、傍聴してきました。一審の広島地裁判では敗訴。1昨日の718日の二審の広島高裁でも負けました。「公正な裁判を」の要請ハガキを裁判官に出してくださった方々、ありがとうございました。実りませんでした。

判決の後、記者会見がありました。地元の中国新聞は来ていませんでした。朝日、毎日、地元のテレビ局等は来ていました。

今頃そのことに気が付いたのは、次の記事を目にしたからです。

【中国新聞】ニュース > 社説 - 2013.7.18 ≪'13参院選 雇用政策 「非正規」どうするのか≫

http://www.47news.jp/47topics/e/243565.php

中国電力・広島銀行・中国新聞が中国地方の御三家と聞きました。中国電力を相手にたった一人で、昇給・昇格で、女性が差別されていると訴えた判決を、中国新聞が報じる訳がありません。御三家、それプラス政治権力が悪影響を及ぼしたのでは?と言いたくなるような判決内容でした。
(中国電力、一般論でない、足元の労働問題を書くべし!)下のは、毎日新聞の記事です。

 
賠償訴訟:女性の賃金差別、高裁も認めず≫ 2013年07月19日 東京朝刊

 中国電力(本社・広島市)の女性社員(50)が、昇格・昇進に男女差別があったとして、同社を相手取り、差額賃金など2468万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が18日、広島高裁であった。宇田川基裁判長は、女性のほとんどの賃金が男性より低額なのは認めたものの「人事評価に女性差別が存在した事実は認められない」として、1審・広島地裁判決に続き、原告の訴えを退けた。



納得できない判決内容を、女性の弁護人の解説を引用して、私なりの解釈を加えて、以下に書きます。

<全体的な男女間格差について>

彼女(長迫さん、判決文では控訴人)の現在の地位は、主任1級、この職になったのは昨年の2012年度から、それまで一つ下の主任2級に実に13年間置かれたままでした。同学歴の男性の遅い人で、主任2級の期間は6年です。

【判決文の要約】平成20年の時点。

*主任1級以上の職能等級になっている者の割合は, 男子従業員の90. 4%。女性従業員は25. 7%

*男性従業員で初めて主任1級に昇格した者の年齢は36歳、男性従業員の過半数が40歳までには主任1級に昇格。女性従業員で初めて主任1級に昇格した者の年齢は41歳。

*職能等級昇格前の在級年数も同女性従業員の方が同男性従業員よりも長い傾向にある。

*その結果, 控訴人と同期同学歴の事務系女性従業員の平均基準労働賃金額は,同男性従業員の平均額の88. 1%。年収換算で85. 6 %。個人別の賃金額分布においても女性従業員のほとんどの賃金が, 男性従業員よりも低額となっている。

≪以上から読めること≫→男女間の格付け・賃金の格差を認めている。



<しかしこの格差を、男女差別とは認定しない判決の2つの理由>≪≫は弁護士の言葉、( )は私の感想。

☆人事考課制度は合理的である。

*職能等級の昇格は,人事考課(業績考課,能力考課)により決まる。

*被控訴人(中国電力のこと)の職能等級制度 、及び,人事考課の基準等にも, 男性従業員と女性従業員とで取扱いを異にするような定めはない。

(当たり前でしょう。男女で異なる扱いを明記していれば均等法違反ですぞ!そんなあからさまな違反規定を会社が明文化するわけない!)

* 評定基準が作成された上これが公表されている。(プロセスが問題なのです!)

* 評定者に女性を登用したり,評定者に対する研修が行われたりしており,人事考課の実施についても, 第一次評定者による評価を更に第二次評定者が再検討し, 被評定者にフィードバックされていて, 評価の客観性を保つ仕組みがとられている。

(ようこんなこと、会社はぬけぬけと書き、裁判官はそのまま認めたね?!階級社会?、階級会社?で、何人が査定しようが、上司に逆らってまで、女性社員を擁護するような男性上司はいないでしょう。本人に評価の内容が知らされているから、客観性があると?客観性の意味をご存知ないのは、会社も裁判官も)

≪以上から読めること≫→会社の主張をそのまま認めている。控訴人の弁護団は、人事考課の査定制度に性差別性があると指摘してきた。これに関して判決は、一顧だにもしていない。≫
☆昇格や賃金において男女が層として明確に分離していない

*女性従業員と男性従業員との比較についても, 同じ男性間にも, 昇格の早い者, 遅い者があり,賃金額にも差があるのであって,男女間で,層として明確に分離していることまではうかがわれない。

見にくいのですが、最後の表を見てください。青が男性、赤が女性の月収を表したグラフです。裁判の証拠として提出されたものは、平成13年度〜23年度までのグラフでしたが、このブログにうまく貼り付けできなかったため、下記のを使いました。証拠として提出されたグラフは、このようなのが各年度毎に集計されています。男女の位置はこんな感じです。判決分にある「男女が層として明確に分離していない」というのは、青のところに、何人かの赤が混じっていることを指します。女性だって高い月収の人はいる。だから、男女で明確なる差はないというのが会社側&裁判官の言い分です。

(このような社員の賃金を把握しているのは会社側です。日本の裁判所は、賃金台帳を持っている側に資料を作成させるのではなく、持っていない側に作成するように求めます。長迫さんが、このようなグラフを作成できたのは、二審で裁判所が会社に「賃金台帳を提出しないさい」と言ったからです。住友金属の男女賃金差別裁判でも、同様のことが起こりましたが、会社の出した台帳には個人の名前がありませんでした。仕事が終わった後、住友金属の原告たちは、個人を特定する作業をしました。そして、ついに、隠している賃金台帳があることを発見しました。長迫さんも同じ作業を延々しました。「賃金台帳を出しなさい」と言ったときの期待を、裁判官!見事に裏切ってくれたましたわね。)

≪以上から読めること。弁護士の言葉です→これが層として分離していないなどと、どうして言えるのか。今回の判決の最大の疑問であり、弱点だと思います。判決のいう「層として分離」というのは、男性は全員が女性より賃金が高くなっている場合しかあり得ないことになりますが、それは明らかな男女別賃金体系です。そのようなものでなければ層として分離にあたらないというのでは、人事考課制度のもとで、男女差別賃金を問題にすることは、およそできないということになってしまいます。

(最初の【判決の要約】のところで、男女に賃金差があると認めておきながら、矛盾する内容ですね。)

長くなるので、いったんここで終わります。


中国電力








続きは、すぐに更新します。

では、今日はここまで。