元同僚とお茶しました。現職の「良い時に辞めましたね」という言葉は、賃金や退職金だけでなく、仕事量や教育そのものについての息苦しさに耐えかねての発言です。今年4月から現在の高校の授業料無償化が、親の所得910万円以上は有償になります。これは民主党が2010年に全員無償化したものを、自民党政権になって変更したものです。
全員有償化にしなかったのには理由があります。無償化は、日本が国際人権規約「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」第13条を批准しているからです。ただ、日本は批准したけれど、「経済的に苦しい」という理由で留保とし、30年間無償化を実施して来ませんでした。国連からは何度も勧告を受けていましたので、民主党がただ単にばらまいた訳ではないのです。しかし、自民党が「ばらまき」と民主党の政策を非難したとき、マスコミはこれが特別なことではなく、むしろ日本は遅きに失しているのだと報道せず、民主党の政策をバッシングしていたような記憶があります。
アメリカを除く先進国では、大なり小なり大学までは無償です。一時は世界第二位の経済大国になったこともあったのですから、留保は取り消せたと思います。どこに税金を使うかの問題でしょう。報道でしか情報を得ることのできない大多数の人々を操作することは、マスコミを含め、権力を持っている人にはたやすいことです。

「授業料無償化が保護者の所得で有償になるけど、また仕事量が増えるね。職員会議での反応はどうだった?」との私の質問に、「話題にすらならなかった」とのことでした。保護者の所得で線引きするということは、全保護者の所得証明書を集めなければなりません。私の経験からすると、そんなすんなりとは出て来ない。事情によっては、出せない保護者もいるでしょう。「担任、事務室の事務量を誰も考えなかったの?」と私は問いました。「もし税金で賄うのが難しく、高所得の保護者には応分の分担をと考えるのなら、所得税で調整するべきでは?」が私の考えです。徴税システムは既に確立されているので、全体的な事務量を考えればこちらの方がずっと理にかなっていると思います。前回のブログに書いたように、声を挙げなければ変わりません。これ以上事務量を増やして、本来の授業や生徒との時間が疎かになるのに、職員会議で問題にすらならなかったのが不思議でした。

ドイツの小学校の先生について以前に書きました。担任がお休みしたときの学校の対応についてでした。読んでおられない方は20131024日のブログを見てください。

ブログにある対象者は小学生低学年です。どうも日本のように学年一律にカリキュラムが進むというようではないそうです。ある日突然、5枚のプリントを持って帰ってきて、「明日、これがテストに出る」と言う。内容は日本で言えば高学年の「温めた水に温度計を浸けると、なぜ温度計の赤い液体が上がるのか」を説明するというもの。一切学校では習っていないのだそうです。ドイツもフランス(この二カ国しか情報が入ってこないのですが…)も小学高学年で、将来の進路コースを決定するシステムです。それを決める要因は成績です。
日本よりはずっと女性の社会進出が進んでいるこれらの国の親は、子どもの宿題にどのように対応しているのでしょうか?疑問だらけです。キャリアママ道を邁進するなら、子守りと家庭教師は必要条件とか(全てのキャリアママがそうではないでしょうが)。家庭学習ははんぱな量ではなく、これを支えるためには親の負担は相当なものになる。だから、日本の労働者のような働き方はできない訳で、労働問題もこういう点からも比較する必要があると、話を聞いて思いました。
日本の教育を受けた人が、ドイツの小学校の教育を理解するのはなかなか難しいようです。「きめ細やかな先生の指導の下、毎日楽しく学校生活送ることがをできても、その教育という列車の行き着く先が、自由とか基本的人権のないところなら、ドイツの方がましだから、ドイツで頑張る」というのが結論でした。

さて、本来のブログ、労働問題です。労働者派遣法の国会質疑の中継を見ました。共産党の高橋千鶴子議員が質問し、田村厚労相大臣が答弁していました。やはり野党は必要ですね。それも舌鋒鋭い、その問題に精通している人が。

国会で審議中なのでまだ結論は出ていませんが、審議会の答申通りに可決されるでしょう。日本は、正社員に比べてかなり賃金の低い、雇用期間の不安定な非正規の労働者ばかりになる道筋の法律です。企業は、短期的な仕事だから非正規を雇用する訳です。短期的だから、社員並みの福利もないから、時間当たりの賃金を正社員よりも二割高く設定するというのが、非正規労働者への待遇、これがEUです。日本の派遣労働者は、低賃金プラス雇用期間不安定プラス働いている企業に直接雇用されていない形態です。
極端な場合、「明日から来なくていい」と言った会社は、何ら胸の痛むこともなく通告できるシステムです。不安定な労働者を減らしていくのが、根源です。この根源が守られていれば、ある程度の社会問題は解消されます。では、なぜEUのように非正規と正規の時間当たりの賃金が同じであるところから出発できないのか?とても疑問ですよね。
それは職務給というに考えあります。田村厚労相もこの点に言及していました。

次回は、職務給と職能給について書きます。
現在国会で審議中の労働者派遣法には、経営陣からも疑問が出ているそうです。そのあたりも調べてみます。

では、今日はここまで。