前回の続きです。

その前にちょっと感想を。

財務省が、≪現行の小学校1年生35人学級を40人に戻すよう、文科省に求める方針をたてた(927日の財政制度等審議会)≫と報道で知りました。なんでこういう結論になるか不思議です。「いじめ」の件数が40人学級と比べて効果が見られないというのを、座長の東大教授がTVで語っていました。こういう人は、1クラス100人になろうとも成績は一番の人なのでしょう。成績が良いけれど、学校現場で頑張っている子どもや先生のことを想像できない、トップとして最も重要な感性が抜けている人なのでしょう。大津市長の越さんの考えは、時として自己責任とか、競争とか、新自由主義の典型のように思えることもありますが、「大津市の中学二年生がいじめにより自殺」した件に関しては凄く当たり前のことを述べています。「担任を持たない教員を置いたことで、子どもたちの日々の行動を、余裕を持ってみることができるようになり、多忙な現場で増員を図ったことで、実質的な効果が生まれている。大津市のいじめの件数は前年度よりも増えたが、それはいじめが実態として増えたのではなく、小さないじめでも見つける対策が進んだ証だとみている」と語っています。(1023日朝日)。庶民は大抵このような考えでしょう。



では、前回の続きです。自民党が次々と打ち出す経済政策に対抗する理論が必要です。例えば「労働者派遣法」の今回の改悪案が法となり、何年後かに派遣労働者の数が増加したとしても、その増加が労働者派遣法と直接の関係があるとはなかなか実証できません。政府は、他の要因、派遣を希望する人が多いとか、日本の景気の方が密接な関係があるとか、いろんな考えを言うでしょう。「派遣労働者の固定化に繋がる」とのシュプレヒコールよりも、もっと「それはダメ」という決定打の理論が必要です。その決定打は、実は憲法なのです。9条ばかりに目が行ってましたが、労働者の人権を蔑ろにした政策は憲法違反なのです、ではなぜ、憲法違反なのかを説明します。



私の目から鱗を取ってくれた論文は、『日本の雇用が危ないー安倍政権「労働規制緩和」』旬報社2014年に収録されている茨城大学名誉教授深谷信夫さんの書かれたものです。タイトルは「自由な企業活動と日本国憲法の原理」です。
深谷さんの文の一部です。

「憲法第三章国民の権利及び義務」の11条から24条までは、基本的人権保障の条文である。
25条から28条までは、社会的基本権といわれる基本的人権で組み立てられている。
これらの最後に財産権を保障する29条が規定されている。292項は「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める」とある。
即ち、29条に至るまでの自由権的基本権と社会的基本権を尊重することが「公共の福祉」なのであり、この公共の福祉に適合する範囲で、法律によって認められてはじめて財産権は社会的機能を発揮するのである。よって、
企業活動を行う権利は、生存権保障や労働基本権保障などの次に、それらを尊重すべき本質的に制限された権利として保障されているに過ぎないのである」

深谷さんは、裁判の判例や規制緩和の動きは、この条文の順序を混同していると述べています。人の経済的活動は。基本的人権を優先させた次にあるものだという考えです。労働者派遣法の改悪で、誰が喜びますか?当然、いつでも解雇でき、賃金を安く抑えることのできる企業です。企業の活動は、第29条に該当するというのをこの論文で知りました。


大飯原発の判決文[命と経済を同列に扱ってはいけない」は、この理論が根拠になっているのだと納得しました。

大飯原発の判決文

「被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。」



この理論で言えば、政府が、今国会で通過させようと目論む「労働者派遣法」は、憲法違反ということになります。

29日、国会前で抗議活動が行われ、1000人ほどが集まったそうです。「はんた〜い」の言葉に、「憲法違反」の言葉も言うべきなのですね。

憲法の条文、改めて読み直しましたが、なかなか新鮮です。

長くなるので、条文のタイトルだけ「続きを読む」に入れました。

では、今日はここまで


 


 


 


 

11〔基本的人権〕

12〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕

13〔個人の尊重と公共の福祉〕

14〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕

15〔公務員の選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障及び投票秘密の保障〕

16〔請願権〕

17〔公務員の不法行為による損害の賠償〕

18〔奴隷的拘束及び苦役の禁止〕

19〔思想及び良心の自由〕

20〔信教の自由〕

21〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕

22〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕

23〔学問の自由〕

24〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕

25〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕

26〔教育を受ける権利と受けさせる義務〕

27〔勤労の権利と義務、勤労条件の基準及び児童酷使の禁止〕

28〔勤労者の団結権及び団体行動権〕

29〔財産権〕