あっという間の一か月です。この間の報告がいくつかありますが、最初に報告しようと意気込んだ事項をまとめるための知識に乏しく、書きあぐねていました。

928日に大阪弁護士会主催で、「女性労働と国際人権法」の講演がありました。講師は弁護士の林陽子さん。現在、国連の女性差別撤廃員会委員長をされています。会場からの質問に答えて林さんは「日本は、人権に関する条約に批准はしているが、実効を伴わないので、委員長である私はとても肩身が狭い」と言われました。

実効ある条約とは、個人通報制度を持つ議定書に批准することです。ここでは、批准と書きましたが、詳しく調べると、条約にサインするためには、いろんな手段があります。詳しくは、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%A1%E7%B4%84 を参照してください。
締結という語句が適切のようです。

人権に関する条約で、最も根幹になるのは、国際人権規約(自由権規約、社会権規約)です。これを筆頭にして、個人通報制度を持つ条約は以下です。

自由権規約、社会権規約、人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、拷問等禁止条約、強制失踪条約(未発効)、子どもの権利条約、移住労働者権利条約、障害者権利条約。

では、日本の状況はどうでしょうか。

移住労働者権利条約と障害者権利条約は条約そのものを批准していません。
(訂正します。障害者権利条約は2014年に締結していました。)
人種差別撤廃条約と拷問等禁止条約は批准していますが、人種差別撤廃条約の個人通報制度を定めている14条を受け入れる特別な宣言を(受諾宣言)を行っていません。拷問等禁止条約は、第22条で個人通報制度を定めていますが、同じく受諾宣言を行っていません。
自由権規約、社会権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約を批准していますが、個人通報制度を定めた選択議定書を批准していません。
 

では、個人通報制度とはなんでしょうか?

*中国電力男女賃金差別裁判の原告は、到底納得できない判決に我慢するしかないのでしょうか。
個人通報制度とは、「人権条約に認められた権利を侵害された個人が、各人権条約の条約機関に直接訴え、国際的な場で自分自身が受けた人権侵害の救済を求めることができる制度」です。(アムネスティ日本のHPから引用) 

もし、日本政府が選択議定書に批准していれば、中国電力男女賃金差別裁判の原告なら、女性差別撤廃委員会に申し立てることができます。通報できるには条件があります。それは、最高裁の判決が出ていることです。中国電力男女賃金差別裁判の原告は、最高裁でも訴えが認められませんでしたから、資格ありです。
受理された通報は、女性差別撤廃委員会で審査・判断されます。人権侵害だと認定されると、政府に対して、その是正と救済を求める勧告が出されます。その後、発表された勧告がその国で実施されているか、政府から報告を求めます。
この審査をする委員長が林陽子さん。委員長のお膝元が「選択議定書」を批准していない。肩身が狭いと言われるのは当然です。
「好き嫌いはダメ」と言っている親が、ピーマン残しているようなものでしょうか。
(こんな卑近な例は、かえって混乱しますよね。)
生きるか死ぬかの人権問題なのですから。

女性差別撤廃委員会の他の国の委員には、日本という国はどのように映っているのでしょうか。

1021日に、名古屋高裁金沢支部であった、東和工業男女賃金差別裁判の傍聴に行きました。裁判長は和解を勧めました。コース別に分けられ、男性と同じ設計部の仕事をしているにもかかわらず、男女別賃金で差を付けられ続けた原告への金沢地裁判決は、3年間だけの差額を認めたものでした。もし原告が総合職ならと仮定し、年齢に基づく賃金の差額だけは認めましたが、総合職の賃金に大きなウェイトを占める能力給は「実際、総合職で働いていなかったから計算できない」とされてしまいました。和解ではこの点を主張すると、原告や弁護団の説明でした。もし、和解が成立しなかったら、判決を求めるとのことです。
≪政権、辺野古3地区に直接振興費支出 県・市の頭越しに≫
≪辺野古移設:政府「承認取り消しは違法処分」工事急ぐ考え≫
は、昨夜の朝日新聞や毎日新聞の見出しですが、この理不尽な政府の強権に対して、私たちはどういう手段を取ることができるでしょうか?なぜ、現政権は、これほど民主主義の手続きを破壊して突っ走れるのでしょうか。

 

沖縄県の翁長知事は、日本時間22日未明、スイスの国連欧州本部で開かれている国連人権理事会に出席し、「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と述べ、米軍普天間飛行場の県内移設反対を訴えたと報道されました。翁長氏の発言に対し、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部の嘉治美佐子大使は、記者団に「米軍基地の問題を人権の促進を扱う人権理事会で取り上げるのはなじまない」と述べた、とも報じられています。
沖縄と国は、いずれ裁判闘争になるでしょう。翁長知事は「信頼のおける裁判闘争は、願ってもないことだ」と語ったとあります。「翁長さん、裁判官って政権べったりだよ」と言いたいところですが、沖縄の人々に寄り添った判決を出してもらうためには、世論の支えが必要ですね。
もし、人権規約の選択議定書を批准していたら、上記の日本政府代表部の嘉治美佐子大使に「人権問題です」と明確に答えることが出来るのに…。日本政府も、他の国の目線を気にせざるを得ないのに…。

労働者派遣法の付帯決議の解説はまだ入手していません。法律だけ作って、具体的には何も決めていないのが現状でしょう。
安倍首相は「正規労働者への道を拓くもので、待遇の改善を図るものである。」と国会で答弁しています。野党には「正社員になれなかった人が一人でも出たら、この法律は無効にすると約束してください」と言って欲しかった。
「後方支援は戦闘地域ではないから、安全だ」という答弁には、「一人でも死者が出たら、安保法制は無効ですね」と、抽象論ではなく具体例を挙げて迫って欲しかったと、国会でのやり取りを聞きながら思っていました。
では、今日はここまで。