嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

ILO100号条約

参議院厚生労働委員会ー同一価値労働同一賃金&非常勤公務員

大津の地に、社民党の福島みずほさんが来られましたので、少しの時間会って頂きました。その理由は、支援しているハローワーク雇止め裁判の実情について、国会で質問して欲しいと思ったからです。

このハローワーク雇止め裁判は、現在最高裁に舞台を移していますが、非正規で、毎年更新を繰り返しながら、9年間働いてきた原告に全くと言っていいほど勝ち目がありません。裁判官の判断基準は法律です。国、地方自治体に働く非常勤公務員は、民間に働く労働者の権利を保障したような法律が少なく、無権利状態なのです。
お会いしたのは、321日の夜でした。翌日「同一価値労働同一賃金」について、その次の日に「非正規公務員」について、参議院で質問しようと考えていたのでと、逆にいろいろと尋ねられました。
ハローワークに働いていた原告は、「はい、あなたは雇止めです。41日から来なくていいです」と、公募と言う一見公平な名のもと、面接試験終了15分後に言われました。何が不採用の理由なのか、なぜ原告だけが不採用になったのか、分からないままでした。このような立場の人が沢山いるので、非常勤公務員の質問は、圧倒的に多い女性の労働問題と位置付けて福島さんは、質問されました。ネット中継は下記のサイトで見ることができます。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

 

22日は同一価値労働同一賃金についての質問です。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

福島さんが確認されたのは、以下の点です。

平成2411月作成の厚労省の「パートタイム労働者の納得度を高め能力発揮を促進するために」〜要素得点法による職務評価の実施ガイドライン〜については、国際基準の職務評価ではない。

*職務評価とは、ILO100号条約にある「知識・技能、責任、負担、労働環境」の4大ファクターに基づいた職務評価制度である。

*同一労働同一賃金は、同一価値労働同一賃金の意味である。その根拠は、従来から政府は「ILO100号条約(100号条約は、同一価値労働同一賃金を謳っている)を批准したからといって、国内法を新たに作る必要はない。なぜなら、労基法4条にこの概念は含まれているから」と答弁してきている。

 

ということで、同一労働同一賃金の審議会が早速今日から始まりました。メンバーに、このブログにも時々登場する、ILO100号条約、そのツールとしての職務評価を研究している研究者は一人も入っていませんでした。
以前、女性労働問題を討議する会場で、「学者の役目は何ですか」と質問がありました。多分に、研究ばっかりしていて、実動してください、の意味を含んでいたようでした。その時の研究者の回答は「政府の審議会等で、発言することです」でした。研究者が望んでいても、政府に都合の悪い研究者を審議員として招かない傾向は最近ますます顕著なようです。

委員の名前は、このサイトで。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000117326.pdf


審議会そのものは、次のサイトで。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000117320.html


資料は以下のサイトで。
P32に「正社員の方が非正規従業員よりも賃金が高い要因」があります。「責任」がトップに来ています。4大ファクターによる職務評価で、実験してみたいですね。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000117327.pdf

 

最後に、竹信三恵子さんの【「パワハラ公募」に泣くハローワーク非常勤相談員】を読んでください。自由に使ってもいいということですから、拡散してください。

http://synodos.jp/society/16439

では、今日はここまで。

中国電力第一回控訴審報告

中国電力男女賃金差別裁判の控訴審の報告をします。

8月29日、前日から出発していた人たちが朝から中国電力前でビラ撒きをしていたので、そこへ合流するべく、広島駅からすぐにタクシーで、と思ったら、「広島電鉄」の電車を駅前で発見!非正規の社員を全員正規の社員にした、日本では稀な企業です。敬意を表さずして広島を去ることはできません。で、乗車しました。150円也。車中で、降りる駅を隣に座った女性に確認、ついでに世間話、そのついでに「何しに広島へ来たか」も話しておきました。家族に中国電力勤務の方がいたかもしれません。

朝に撒いたビラはほぼ受け取ってもらえたそうです。お昼に再度、今度は裁判所前で撒きました。警備員がうろうろ、裁判所中へご注進に。「裁判所の敷地には入っていませんよ〜だ」。ここは人通り少なく、太陽は容赦なく照りつけ、木陰を探してのビラ撒きとなりました。1時半から開廷。控訴人と弁護士を中心に法廷へ入る姿は、夕方の朝日放送で3分間ほど放送されました。

(朝と昼のビラ撒きの間に、原爆資料館と、暑さを避ける目的で本川から太田川へ約20分間、すいすい号という9人乗りの真ん丸い船に乗りました。操縦兼ガイドは若い女性でした。下船のとき「正社員ですか」と質問。「いいえ。でも短時間の方がいいので」との回答。短時間でも正規があるべき働き方なのですが…)

いよいよ控訴審が始まりました。40人の法廷で、10人くらい入れなかったそうです。当初予定していた法廷から大きい法廷に変わったのは、78人もの弁護士が名を連ねたからだと思いました。そのいきさつをちょっと紹介します。

懸命に仕事をしてきたことが認められず、一審でのまさかの敗訴に、長迫さんは悶々とした日を送りました。眠れぬままパソコンに向かい「男女賃金差別」で検索したところ、WWN(前回のブログにも出てきています。)のHPを見付けます。メールをしたらすぐに返事が来て、「詳しいことを聞きたいから大阪へ来て」の誘い。大阪で控訴審の主任弁護士となる宮地光子さんと会います。宮地さんは住友電工・化学・金属、京ガスを初めとした男女賃金差別裁判を数多く手がけられた有能な弁護士です。宮地弁護士の呼びかけや、長迫さんが男女賃金差別裁判にかかわった弁護士たちの会議に赴き、直接訴えたこともあり、78人もの弁護団が結成されました。29日の控訴審には10名程の弁護士が法廷に入りました。その中には、中野麻美弁護士の姿もありました。中野弁護士は『労働ダンピング〜雇用の多様化の果てに』(岩波新書)の著者です。宮地さんと中野さんが組む最初の裁判です。


裁判後、弁護士から「一審と控訴審での訴えは何が異なるのか」を解説して頂きました。法的なことはすぐには理解できませんでしたが、帰宅後宮地弁護士から解説のメールを配信して頂きました。そこから引用します。


一審での争点

原告
・昇格における男女差別は違法である。

・長迫さんが受けてきた嫌がらせ(転勤の不当拒否・セクハラ通告の情報漏洩・挨拶に関する嫌がらせ・仕事面での嫌がらせなど)は不法行為である。

以上から、慰謝料を請求する。

会社側
原告が昇進しないのは、評価が低いこと。その理由は「女性差別の問題ではなく、極めて特異な個体事情を有する、原告固有の問題である」。14年前の社内の調査の結果データーによれば「女性社員は出世を望んでいない。よって、原告を不当に差別したのではない」。


これらの会社側の主張を裁判官は全面的に採用したのでした。

(「得意な固体事情」凄い表現ですね。一瞬DNAの問題かと思ってしまいました。長迫さんは営業成績が良いので会社から表彰されています。会社側は彼女には協調性がないとも言っています。グループで取り組んだプロジェクト等、長迫さんに協調性がなければとても成功できなかった事例等の証拠は沢山あります。その一例として、退職した元同僚が、親切にしてもらったことへのお礼のメールを出しているのですが、それに対しては会社側は「社交辞令」と言いました。)

控訴審の争点

控訴人(一審は原告、高裁では控訴人)
長迫さんが受けてきた嫌がらせの主張はわかりにくい面があるため、控訴審では、昇給・昇格における男女差別の違法性の問題に焦点を絞る。
一審では、賃金の実態が全く審理の対象になっておらず、差額賃金の請求も行なわずに、慰謝料の請求だけだったのを、会社からの賃金実態の開示を求め、その結果で、差額賃金を損害として請求する予定である。

(会社側がどんな賃金表を出してくるか分からないので、それによって判断するという意味で「予定」…嶋川注)


会社
中国電力の男女賃金格差は、世間よりはまし。
控訴人
仮にそうならば、会社は賃金の実態を出さなければならない。会社側が主張するように、「中国電力の男女賃金格差は、世間よりはまし」であっても、格差は少なければそれでいいというものではなく、不合理な差別は、わずかであっても許すことのできないものである。

一審と控訴理由が変わったことを、宮地弁護士は裁判官に丁寧に説明されました。控訴審の審議回数は基本的に少なく、一審の証拠以上の証拠、証人調べはなされないことも多々あり、「次回結審」といわれることもあります。「次回は10月27日」との裁判長の言葉に、審議は続くと、この点だけは一同やれやれの思いでした。


そうそう2人の女性が入閣しました。でもまだまだです。最近叫んでいないので久し振りに。
☆脱原発&☆女性の登用を」
では、今日はここまで。




 


 


 

省庁交渉ー同一価値労働同一賃金の立法化と職務評価システムの構築を要求する。

ご近所での挨拶は「暑いですね」の一言です。

毎日顔を合わせているご近所同士では、この言葉以外の適切な表現を思いつきません。それくらいあつ〜い。

 

さて、今日は、「同一価値労働同一賃金」についての厚労省の考えをお知らせします。ILOから何度も「日本政府は法律を作りなさい」と言われています。これを日本政府はいかに考えているのか、WWNが中心になって問い質した省庁交渉の紹介です。

(WWNは私も会員の一人です。以下にアクセスしてみてください。)

http://www.ne.jp/asahi/wwn/wwin/

 

日時は5月12日。

交渉相手は:内閣府、厚生労働省、外務省、最高裁判所、法務省。

交渉する側は、WWN、商社兼松の原告・住友メーカ裁判元原告・岡谷鋼機元原告、森ます美昭和女子大教授、福島みずほ・紙智子・西村ちなみ国会議員等18人。

 

内容は、WWNのニュースレターから取りましたが、一部難しいところもあるので、少し解説を加えてました。

私も参加したかったのですが、丁度日本にいなくて機会逃しました。次回参加して、生の取材で伝えたいと強く思っています。

 

≪同一価値労働同一賃金の概念を日本の法律にすることについて≫

 

WWN:20073月にILOは日本政府に対して、「広範で継続的な男女格差は縮小していない。労基法4条がこの概念をカバーしていると日本政府は言っているが、労基法4条が機能していないのではないか」と指摘している。

(労基法4:使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。)

 住友メーカーや岡谷鋼機などの裁判が10年以上もかかったが、労基法4条にこの『同一価値労働同一賃金』の文言が明記されていれば判決も違ったし、こんなに年数をかけなくてもすんだと原告たちは考えている。このことをどの考えるか?

 

厚労省:労基法4条はILO号条約の要請を満たしていると考えている。裁判において4条が同一価値労働同一賃金賃金にそって解釈された例があるので、現時点において法改正の必要はないと考えている。しかし、男女間格差は大きく、重要な問題であるので、施策の充実を図っていくつもりです。

(ILO100号条約:「同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約」。1条で、「同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬とは、性別による差別なしに定められる報酬率をいう。」と規定し、男女の仕事が異なっても、その価値が同一ならば同じ賃金を支払わなければならないとする。日本は1967824日に批准。)

 

WWN:ILOは「労基法4条は同一価値労働同一賃金の要素については言及していない」と勧告している。もし、入っていると考えているのなら、通達を出すとか、周知をはかるとかしてはどうですか。

 

厚労省:裁判例でも出されているの、ILOの要請は満たしていると考えています。

 

WWN:裁判例はどこのものですか。

 

厚労省:ILOに出したのは2004年の内山工業のものです。ここで男女の職務の比較をしています。2008年の兼松判決も男女を比較した記述があります。

 

WWN:内山工業は同一労働です。今の回答で、兼松の判決が同一価値労働同一賃金であると厚労省が認めて、お墨付きをくれたのなら嬉しい。95(改正均等法)以降、多くの裁判が非常に長く困難な闘いを余儀なくされました。労基法4条に明記されていれば違ったはずです。

 

(女性労働問題の判例は、下記のサイトで見ることができます。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/10/s1007-6a.html

内山工業は4番目の判例、次の京ガス裁判は5番目に書いてありますが、このブログでも2006315日と25日にも詳しく書いています。)

 

森教授:京ガス事件はなぜここに上がってこないのですか。

 

厚労省:(沈黙)

 

森教授:同一価値は職務評価で計って、価値が同じなら同一という職務評価をするプロセスが重要と指摘されていますが、日本は評価システムに言及していません。

 

厚労省:ILO勧告には職務評価分析という指摘があるが、日本の賃金システムは、仕事ではなく、勤続年数とか年功とかもろもろのものによって成り立っています。職務評価という手法よりも、人事考課や賃金制度に差別がないかを見ていくほうが日本の雇用管理に合っていると考えています。職務評価に取り組むより、制度の透明化などのガイドラインを出すなどの取り組みを進めていきます。

 

WWN:今まで男女賃金差別については、年功序列だからとか、女性は勤続年数が短いからできないと言ってきた。現在は成果主義だからできないと言っている。ILOはずっと職務評価をしなさいと言っているのに、国は企業の都合に合わせて答えを出していない。国として企業を指導しないといけないのではないですか。

 

森教授:京ガスの裁判は職務評価をして意見書を出した日本で初めての裁判です。きちっと調べてほしい。今や企業は年功序列制度を変え、成果主義さらに進めています。りそな銀行やロフトなど男女、正規・非正規に関係なく仕事に賃金を付けてきています。

 

(解説:ロフトは正社員、契約社員、パートという雇用形態をなくし、「ロフト社員」に一本化する。すべての社員の賃金は職務内容と勤務時間で決まる。りそな銀行は、ロフトと考えは似ているが、正社員とパートの区分を残したまま、能力評価基準と職務等級を統一して、正社員とパートの賃金を一本化する。同一職務で評価が同じなら時間給格差はなくなる。また働き手が正社員かパートかの雇用形態を選ぶことができる。日経ビジネス2008年2月18日号より)

 

厚労省:企業の制度については成果主義という形で仕事に就くというように変わってきていますが、調査によると労働者・使用者ともに納得していませんし、うまくいっていません。再び年功序列や能力といった方へ軌道修正しているとも聞いています。本当の意味での成果主義、仕事に対する賃金という考えにはなじんでいません。

 

長くなるので、いったんここで切ります。次回もこの続きです。

では今日はここまで。

水分補給をこまめにしましょう。

ILO条約勧告適用専門家委員会の勧告その3&パートホットラインのお知らせ

53日は憲法記念日。今年は改憲の声が昨年ほど強くなく、改憲反対の人は66%、賛成の人は23%だと報道されていました(朝日53)

 

「衣食足って礼節を知る」が、「居職足らない」昨今だから、憲法に謳われている生存権は、「絵に描いた餅」状態で、かえって人々は改憲論議に冷静なのかもしれません。

 

さて、画期的な更新です。まさかこんなに早い更新とは誰も思わないだろうから、アクセスは当分ないでしょうね。

 

ILO100号条約勧告適用専門家委員会からの勧告の最後部分です。

前回に引き続き、勧告文をそのまま紹介し、後半に私の解説兼感想を書きます。なかなか難しい文言が並びますが、ILOが日本政府にどのような要求を突きつけているか、めったにお目にかかれない文章なので、我慢してお付き合いくださいね。音読なんかどうですか。

 

7.間接差別

本委員会は、間接差別とみなされる措置について判断する権限を厚生労働省に与えている均等法第7条に関する先の意見を想起しつつ、2006年の均等法改正に続いて修正された均等法の施行規則第2条が、以下の3つの措置を規定していることに留意する。すなわち、(1)労働者の身長、体重、体力に関する要件、(2)コース別雇用管理制度における労働者の募集と採用に関連して、住居の移転を伴う結果となる配置転換に労働者が応じられるかどうかにかかわる要件、(3)職務の異動と配置転換を通じて得られた労働者の経験といった昇進のための要件である。委員会は、間接差別に関する一般的定義が、均等法の指針(「均等法指針」)の中に含まれており、施行規則第2条に列挙された事例に含まれない間接差別は司法により違法とみなされるとする政府の指摘にも留意する。政府は、問題の見直しを続け、判決の動向を踏まえつつ、必要に応じて施行規則第2条を改正するとしている。連合は、間接差別に関する均等法の限定的な規定が国際基準に合致するかどうか疑問視しており、引き続き間接差別の範囲を特定しない幅広い定義を同法に盛り込むよう求めるとした。WWNも、間接差別のより幅広い定義が適用されるべきであるとの意見を提出している。報酬に関するあらゆる形態の間接差別は、本条約に即した措置を講じられるべきであることを想起しつつ、委員会は、均等法第7条とその施行規則第2条の適用に関する詳細な情報を提供することを日本政府に求める。委員会は政府に対して、労働者団体および使用者団体と間接差別問題について協議を続け、関連する裁判について報告し、間接差別の定義によって報酬に関するあらゆる形態の間接差別が効果的に保護されることを保障する上で、いかなる進展がみられたかを報告するように求める。

 

前回のブログの雇用管理区分と全く矛盾する概念が、この間接差別です。「あなたは男性だから賃金が高い。あなたは女性だから安い」は直接差別。結果的に見れば、パートで働いているのは女性が圧倒的に多いとか、いつまでもヒラのままでいるのは女性ばかりというのは、間接差別です。

 

この観点からみると、間接差別が上記()()()だけであるはずがない。例えば「福利厚生の適用や家族手当等の支給に当たって住民票上の世帯主(又は主たる生計維持者、被扶養者を有すること)を要件とする措置」で、女性が排除されてきた例はごまんとあります。圧倒的に世帯主は男性ですから。こういう()()()以外にも間接差別はあると均等法の指針(均等法を具体的に運用していくための方針)には書いてあります。

だからこの3点以外を争った裁判の判例をも参考にするとすると指針で述べているのなら、なぜわざわざ3点だけに絞ったのかと、委員会は日本政府に問うています。

 

また、今回の改正均等法に間接差別として考えられる例を3点に限定して列挙してあるが、そのことによる効果を報告すること。それと、これが最も重要なのですが、「間接差別を限定して列挙するのではなく、≪間接差別はダメ≫と、範囲を特定しないで均等法に明記しなさいと委員会は政府に求めています。

 

この間接差別を均等法に明記するように労働者側代表は求めていましたが、使用者側の強固な反対によって、限定列挙になってしまいました。均等法制定の審議会で間接差別を議論してきたにも関わらず、突然限定列挙となって、それまで積み上げてきた議論がどこかへ消えてしまった経過があります。こういう点も専門家委員会は多分把握しているのではないでしょうか。だから、労使で、論議を続けることをも求めています。

 

8.コース別雇用管理制度

本委員会は、政府報告から、2006年「女性雇用管理基本調査」によれば、コース別雇用管理制度をとっている企業は全体の11.1パーセントで、2003年と比較して1.6パーセント増である点に留意する。コース別の男女間分布に関して、新たな情報は得られていない。連合とWWNの双方とも、コース別雇用管理制度が、事実上、依然として男女差に基づく雇用管理として利用されていると主張している。両者は、政府が出した「均等法指針」では、男女差別の禁止の適用を各「雇用管理区分」内に限定しているために、同一価値労働同一報酬原則に反して、別の区分で雇用された男女間の比較を排除することになる。そのため政府によるこの指針が、男女差にもとづく雇用管理の端緒を開くことになったとも両者は主張している。委員会は、企業によって設けられた異なる雇用区分に属する男女に対して、本条約原則の適用を制限することはできないと考える。本委員会は日本政府に対して、委員会の審査のために「均等法指針」のコピーを提供するとともに、もしあれば、連合とWWNによって提起された上記の問題に返答する意見を提供するよう求める。委員会は、とりわけコース別の男女数を含め、コース別雇用管理制度がどの程度用いられているのかについて、最新の統計情報を提供することも政府に求める。総会委員会が求めたように、賃金差別に対処する観点から、コース別雇用管理制度が女性の所得に及ぼす影響について、さらに調査するとともに、その調査結果について報告することを日本政府に求める。

 

すごいですね。WWNが提出した均等法の問題点を理解し、コース別雇用管理制度をいつまで日本政府は許しておくのだと、指摘しています。雇用管理区分の何が問題なのかは、前回のブログを読んでください。

 

9.客観的な職務評価

客観的な職務評価手法を促進するための努力を強化するよう政府に求めた総会委員会の要請を想起しつつ、本委員会は、日本政府がこの点に関して取った措置についていかなる情報も提供していないことに留意する。連合は、同一価値労働同一報酬原則を実施するための手段として、客観的な職務評価手法の活用を提案したとしている。本委員会は日本政府に対し、本条約第3条に則って客観的な職務評価を促進するために取られた措置について、次回報告で示すよう強く要請する。

 

日本政府の対応を叱っています。ILOが何度も日本政府に、女性の待遇改善の具体策の報告を求めているにも関わらず、いつも日本政府は数字の羅列と、「改善されている」という回答に終始しています。同一価値労働同一賃金を実現するために、「職務評価をする気が有るのか」と迫っているような文章です。

 

日本はILO100号条約を1967年に批准しています。

ちなみに第3条1項とは、「行なうべき労働を基礎とする職務の客観的な評価を促進する措置がこの条約の規定の実施に役だつ場合には,その措置を執るものとする。」というものです。即ち、同一価値であるかどうかを判断するために,客観的な職務評価を執るように言っています。

 

最後に、もう一度パートで働く人たちのホットラインのお知らせです。

あなたの声を聞かせてください。

5月9日ー11日 パートホットラインで声を上げよう

≪パートホットラインで声を上げよう
いよいよ改正パート法スタート。しかし、現実は?≫

職場から、地域から、あなたの声を聞かせて下さい。

働く女性の全国センターACW2は、07年1月に発足したNGOです。働く女性のホットラインを常設して、女性たちの声を国会や厚生労働省などへ届けています。4月からのパート労働法改正が職場でどのように活かされているか、厳しい現場の声を聴くために集中ホットラインを計画しました。
パート労働者を雇用しているのは、企業全体の65.5%で、従業員規模別では15人未満の企業は43.5%、100〜299人以上の企業では82.1%と規模が大きくなるほど割合が高くなっており、パート労働者は企業にとってなくてはならない存在です。

 今回の改正法は、パート労働者と正社員など通常の労働者との差別的取扱いを禁止するはずのものでした。しかし、ILO175号条約の趣旨である均等待遇から大きく外れ、改正パート労働法で差別が禁止されるパート労働者はわずか数パーセントに過ぎません。今回の改正パート労働法は経営者側にとって、都合のよい法改正となっており、多くの企業が改正されても「影響なし」と答えています。よって、格差の拡大と差別を固定化するものです。3年後のパート労働法の見直しに向け、ホットラインを活用して現場の声を集めながら、私たちが望む均等待遇
を実現できる法律にしていきたいと思います。

0120−787−956(フリーダイヤルなやみなくそうコール)
全国集中ホットライン
全国どこでも無料・秘密厳守
日 時 2008年5月9日(金)18:00から21:00
        5月10日(土)14:00から17:00
        5月11日(日)14:00から17:00

宣伝チラシ ダウンロード 
http://files.acw2.org/hotto.doc  
主 催 働く女性の全国センター(ACW2)
   連絡先 東京都渋谷区代々木1−19−7横山ビル 
        Tel:03−5304−7383  
         URL:
http://acw2.org
        Fax:03−5304−7379   
        Email:office@acw2.org

 

 

では今日はここまで。

次回は、5月下旬の更新する予定です。何かいいニュースが報告できるといいのですが。

ILO条約勧告適用専門家委員会の勧告その2

5月になりました。新緑が目に眩しいほどです。

 

昨日も今日もブログにアクセスしてくださった人があったのに、更新していなくて申し訳ありませんでした。

今日はメーデー、参加した人もいるかもしれませんね。

最近は連休に配慮して、4月中にメーデーを済ませてしまう組合もあるようですが…。

 

日本で最初のメーデーは1920年でした。戦時色が濃くなる1936年には政府によって禁止され、戦後の1948年にまた出来るようになりました。

 

最近、個人加入のユニオンが主催するメーデーに参加する人も多くなっています。従来の企業組合のメーデーと違って、鳴り物入りで楽しそうです。が、それすら規制の対象になると今朝の新聞に載っていました。自衛隊宿舎にイラク派兵反対のビラを入れた人たちが有罪になりました。表現の自由が、じわじわと脅かされているような気配も感じます。

 

さて今日は前々回の続きです。ILO条約勧告適用専門家委員会が日本政府へ出した勧告の後半です。要約するのが難しいので、原文をそのまま載せて、下に私の感想を書きます。読めば読むほど、日本の労働環境の悪さに憤りを覚えます。日本語訳はWWN会員の方ですが、橋下知事の削減財政で彼女の職場の存続も危ぶまれているそうです。

 

20083

ILO条約勧告適用専門家委員会報告

1951年「同一報酬条約」(第100号条約)(批准:1966年)

 

5WWNによれば、労働基準法第4条に基づいて、女性原告の労働が比較の対象とする男性の労働と「同一価値労働」であるとした最終判決は1件に過ぎない。WWNは、同一賃金に関する裁判が余りにも長い期間かかることまた、男女同一価値労働同一報酬原則が法律で規定されていれば、より効果的に同原則が実施できるだろうと主張している。これは、年功賃金制から成果主義に基づく賃金制度への進行中の変化に照らしても必要であった。

 

大阪に拠点を置くWWN(ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク)が、ILOへ、政府の回答とは異なる日本の女性の労働実態を報告しました。

上記文章の部分は、京ガス裁判のことです。

また海老茶色は、住友裁判でもよく分かるように、非常に長い年数がかかります。兼松裁判の原告6人のうち、定年退職したのはすでに4人です。例え、勝利判決であっても、在職中の「どうしてこんなに働いているのに、男性と比べて賃金が低いの」「どうして私が仕事を教えた年下の男性が上司になるの」と、そのときの悔しさは決して回復するものではありません。在職中に勝利判決を聞きたいですよね。しかし、住友金属のように勝利和解で、「女性たちの待遇を改善しなさい」と裁判所から言われ、合意のサインをしたにも関わらず、原告たちは未だに以前と同じ待遇のままということもあります。裁判のその後を追跡することも大切です。

藍色部分は、日本の法律に同一価値労働同一賃金を明記しなさいと言っています。

 

6.本委員会は、男女同一価値労働同一報酬原則は、男女が行う職務または労働を、技能、努力、責任、あるいは労働条件といった客観的要素に基づいて比較することが必須であると強調する。本委員会は日本政府に対して、男女同一価値労働同一報酬原則を規定するために法改正の措置を取るよう求める。委員会は政府に対して、本条約の原則に影響を与えるような労働基準法第4条の下での賃金差別に関する、あらゆる新たな判例について詳細な情報を提供するよう求める。賃金差別に対処するという目的で、雇用管理制度と賃金制度が女性の所得に与える影響をさらに調査するよう求めた総会委員会の政府への要請を考え、本委員会は政府に対して、これに関して政府がとった措置と調査から得られた結果について示すよう求める。

 

ここでは、「あなたの労働の価値と私の労働の価値は同じですよ」という場合の、モノサシ即ち職務評価制を言っています。

9月20日・21日付けのブログで紹介した職務評価を法律にすること。

日本政府が主張する労働基準法第4条が男女賃金差別禁止を謳っているというのなら、賃金差別裁判の判決内容を報告すること。

「均等法に雇用管理区分という言葉があり、これが総合職とか一般職とかの根拠になっている。女性たちが雇用管理区分の文言をなくすように言っているにも関わらず、未だに雇用管理区分が均等法から削除されていない。日本政府は、雇用管理区分が女性の賃金にどのように影響を与えているか、調査して報告しなさい。

 

さて、日本政府はどのような報告をするのか、これも監視していかなければなりません。

 

またまた長くなるので、今日はここまで。

あと2項目勧告は続きます。

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