嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

裁判

東和工業男女差別賃金差別裁判をともにたたかう会の解散について。

暑い夏でした。その日その日を過ごすのに精一杯でした。これが歳をとるということのようです。

9月24日、1つの活動に終止符が打たれたので、参加してきました。

このブログでも何度か紹介した富山の「東和工業男女賃金差別裁判」の支援会(ただしくは≪男女差別をともにたたかう会≫)が解散しました。

事件の内容をざっとおさらいします。詳しくはブログの2016.9.282016.4.302015.9.10015.5.052015.3.312014.9.17にあります。

1990年から設計職で仕事をしていた原告は、その時点で男性と賃金の差はありました。しかし、彼女はその不当性を会社に訴えて、満額ではありませんでしたが補填されていました。

ところが2002年に会社はコース別を導入し、男性は総合職、女性は事務職にされました。今までと全く変ることなく、同じ仕事をしていたにもかかわらず賃金は下げられ補填もされなくなってしましました。この時から原告はずっと不当であると上司に言い続けてきましました。

原告は、
201311月に裁判に訴える。
20141月に会社を退職。

労働基準法第4条で、賃金差別を禁止しています。

男女同一賃金の原則(第4条):賃金について、女性であることを理由とした男性との差別的取扱いを禁止。

(抜け道だらけの条項ですから、男女が異なる仕事をしていれば賃金差があってもOKとの解釈もできます。しかし、原告は設計部で男性と同じ設計職でした)

2015326日金沢地裁判決、原告と被告(会社)が高裁に控訴。地裁とほぼ同じ判決。

20165月原告は最高裁に上告。

2017517日最高裁はこの件を棄却すると決定。
即ち高裁の判決がこの裁判の判決となりました。

差額補償期間は3年間だけ。能力給は認められず、同期の人との年齢を比較しての差額だけ。原告がもし係長になっていたら支給されるはずの職能給は認定されず。この会社は職能給の割合が高いのです。年金への影響も考慮されずの、判決でした。

会場で、これが最後の集りではなく、未来に繋げて行こうとの意見が出ました。

原告は気力、知識、人権感覚に優れた人物です。一人の取り組みで終わるなんて勿体ない。後に続く女性たちの、労働問題だけではなくさまざまなことを話せる場所を作れたら…の意見が出ました。

2017.03.24のブログで紹介した卒業生の話し。「誰のおかげで飯食わせてもらってんのや」的な発言に、「専業主婦の労働を換算すると年収約300万円」と反論できるためには度胸と学習が必要。(換算方法は何通りかあります)。卒業生は夫の差別的発言は手帳にメモっているそうです。これもただおろおろしているだけの人には教えてあげたい方法です。こんなことも気軽に話せる場所があったらと私も思っています。

10月に卒業生の同級会が開かれるとのことで案内が来ていました。現在43歳前後の女性たちに、相談してみるつもりです。その報告はまた。

では、今日はここまで

東和工業男女賃金差別裁判最高裁上告報告会

このブログに時々登場いただいている東和工業男女賃金差別裁判の最高裁上告の報告会と支援会の総会がありましたので、924日に富山市に行ってきました。

一審と二審の弁護団と、最高裁上告の弁護団が変わりました。東西最強の弁護士が担当されています。弁護士は大阪弁護士会の宮地光子さん、東京弁護士会の中野麻美さんです。地裁、高裁判決の何が問題なのかは既にブログに書いていますので、お読みください。
最高裁へ上告した上告理由の趣旨の一部は以下です。

(法律用語は難しいので、私なりの解釈ですから、専門家がお読みになったら叱られるかもしれません。)

 

*憲法141項の趣旨に反している。

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。

*日本はILO100号条約を批准している。

*日本は女性差別撤廃条約を批准している。


100号条約は、同一の価値の労働に従事している男女には同一の賃金を払うこと。そのための4つの方法を示しています。高裁判決で、職務の違いがあるから具体的な格差を判断できないとして請求を棄却しているが、仕事の価値を測る職務評価のような方法があるにもかかわらず使っていないし、企業の裁量権を聖域化しすぎている。

☆職能給を計算できないとした判決は、民事訴訟法248条の解釈適用を誤っている。

☆憲法14条1項および女性差別撤廃条約は、国には女性が差別によって被る不利益を回復させる義務があり女性を差別からの効果的保護を図るものであるのに、判決は「企業の差別のやり得」を許している。

 

ILO100号条約

同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約
日本1967824日批准  

条約の主題別分類:同一報酬/女性  条約のテーマ:機会及び待遇の均等

 この条約は同一の価値の労働に対しては性別による区別を行うことなく同等の報酬を与えなければならないと決めたものである。報酬を同一労働に対して男女同等に支払う、という原則を確立する方法として、

1.国内法令、

2.法令によって設けられまたは認められた賃金決定制度、

3.使用者と労働者との間で締結された労働協約、

4.これらの各手段の組み合わせ,


民事訴訟法
248

損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。

 

中野弁護士は、日本の裁判所の限界、特に判決においての企業の裁量権が大幅に認められていること、労働とは?賃金とは?等裁判の根幹にかかわることについて。宮地弁護士は、原告の人格を貶めるような会社側の主張をそのまま鵜吞みにした裁判官の資質と原告の悔しさを引き受ける心意気を示されました。

お二人とも、日本の裁判官が組織に縛られていること、裁判官こそ豊かな人間性が必要であることも語られました。

(「人間死してなに残す」でしょうか。)

 

富山に一泊して翌日は観光と考えていましたが、生憎の曇り時々小雨の天気に、路面電車で富山市内を回ることにしました。富山市は先見の明がありますね。自動車産業を国の重要な産業と位置づけたことにより、各地にあった路面電車が廃止されていきました。京都市内にも縦横に路面電車が走っていましたが、神社仏閣の多い東山通りは、日々渋滞が起こっています。富山の路面電車は市民の足になっているようで、岩瀬という富山湾方面に行く電車に男性前後期高齢者が多く乗車、彼らは競輪場前で下車されました。岩瀬に行く路面電車は途中から単線になり、途中の駅で対向電車を待つ時間があります。その対向駅で、女性乗務員が下車。ずっと私の乗った電車が発車するのをホームで待ち、発車すると深々とお辞儀で見送ってくれました。

ドイツに住む小さい人が、ギムナジウムの1年生になりました。日本の5年生ですが、ドイツは4年生で小学校を卒業することになります。ギムナジウムは日本でいうところの小学校5年生から高校3年生までがいます。ギムナジウムでは、生徒が教室移動をします。生徒の根拠地になるホームルームはないので、生徒は各自の教科書等私物一切をロッカーに入れます。そのロッカーの年間使用料は30ユーロ。「貧困家庭の子どもはロッカー借りられへんやん」と、とっさに思いましたが、そこは児童手当が日本よりは高く、大学授業料も無料かそれに近い国なのでカバーはできているのでしょう。で、そのロッカーは民間の会社が管理しており、「鍵壊れた」とか、「扉が開かない」なんていう生徒の訴えに先生は対応しなくてもいいのです。これって、ワークシェアリングですよね。1校1000人の生徒が支払えば、2校〜3校で何人かの雇用は生まれます。先生の仕事の中身が明確です。なんでもやらなければならない日本の先生とは大いに違いますね。小雨の降る中でじっと電車の出ていくのを待ち、おじぎをして見送ってくれた彼女を思いました。

では今日はここまで。

高年齢再雇用制度違反の裁判

「このブログやめます」と書く決心がつかず、細々と今回も。

初めてといってもいいほどの、夏バテを経験しました。そのしんどさは表現できないほど。

20062月に、下記の記事の女性と議員会館で会いました。私の前の席で、ずっと不安そうな表情で座っておられました。2008602日のブログに書いてあります。

提訴してから12年、原告一人という立場で、よくここまで闘ってこられたと、その年数の重みと原告の意志に敬意を表します。しかし、過労から鬱を発症。休職、解雇と続く期間の損害賠償としての6000万円はあまりにも安い。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160831-00000099-mai-soci

毎年売り出される新しい製品の陰に、このような労働者の存在があります。

 

前回630日の「3つの裁判と同一(価値)労働同一賃金」のブログで報告した「ハローワーク雇止め裁判」を支援する団体署名は200団体を超えました。原告がその一部を持って最高裁に行きました。郵送でも直参でも同じ扱いであるとは思いますが、そうせざるを得ない原告の気持ちはよく分かります。

東和工業裁判については、今月末に、原告の住む、この裁判の原因を作った東和工業のある富山市で報告集会があるので、応援に行くつもりです。

ラジオメーター裁判は、914日に裁判があるので、名古屋に傍聴に行きます。今回は、このラジオメーター裁判の概略について報告します。

ラジオメーター裁判の原告が働いていたのは名古屋営業所です。本社は東京。東京を除いた全国10か所に営業所があります。病院や大学に研究等のための医療機器を販売している会社と概要にありました。原告が提訴したそもそもの原因は、原告が定年になったにもかかわらず、再雇用を拒否されたことです。確か、再雇用制度は全員を対象としていたはずなので、会社側に非があると私は考えていました。で、よくよく再雇用制度を読んでみると、以下に抜け道がありました。厚労省のHPです。

Q1−1: 改正高年齢者雇用安定法においては、事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければならないのですか。

A1−1: 事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければなりませんので、事業主が制度を運用する上で、労働者の意思が確認されることになると考えられます。〜中略〜。 なお、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しないことができます。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意が必要です。

 

原告は、勤務状態不良ゆえ再雇用はできないと会社に言われました。では、誰が勤務状態不良と判断するのでしょうか?勿論雇う側です。原告が優秀でベテラン社員であったことを弁護団は実例を挙げてすでに論述しています。

次回の裁判では、もう一つの争点、男女賃金差別についてです。

被告会社は外資系企業であり男女差別などはしていないと主張していますが、今まで昇給差別があったことは下記の事実からも明らかです。

*男性職員の管理職割合は35%なのに対し、女性職員の管理職割合は4%。

*配置差別があり、営業職は男性で多数。それに対して女性は1名。

*事務職の女性は昇格できないような、評価制度の設計・運用がなされている。このため、女性は昇格できず、昇格しないと賃金は大幅に上がらないので男女賃金格差が大きくなっている。

裁判で重要なことは、これらのことを証明するのは原告だということです。その資料はもちろん会社側が持っています。その資料を何としても法廷の場に出してもらう必要がありますし、これは裁判官の命令で可能です。これからはこの攻防も争いになります。命令により資料が出てきたとしても、それが本物かどうかは原告側では見抜けません。(住友金属裁判では、会社側の出してきた資料が意図的に改竄されていることを、原告たちが見抜きました。このブログ2006719日住友金属裁判3の下方にその説明があります。)

 

 では、今日はここまで。

 

3つの裁判の現状と同一(価値)労働同一賃金

「ブログにアクセスしたら更新されてなかった。病気かと心配してたんやで」と友人から言われ、書き手の動静を案じてくれている人もいることを再認識。すみません。長い間更新できていない理由は「私だけしか書けない労働問題がなかった」ということを根拠にする怠慢でした。

今、傍聴等で支援をしている裁判は、「東和工業男女賃金差別裁判」、「茨木ハローワーク雇止め裁判」、「ラジオメーター女性差別継続雇用拒否・女性差別賃金裁判」の3つです。東和工業男女賃金差別裁判と茨木ハローワーク雇止め裁判は現在最高裁に移っています。最高裁の場では、口頭弁論が開かれることは絶望的と言っていいほどありません。だから、最高裁に上告した2つの事件が今どのように扱われているのか、まったく知る方法がありません。絶望的にと書きましたが、弁護士は当然この実態を十分に知っているので、「上告しても徒労に終わるだけ」と言うことが多いようです。最高裁に上告するのは、理は原告側にあるのに、地裁も高裁も負けて、このままでは「泣き寝入り」ではないかと考える原告たちの理不尽な力に対抗する知性の行動です。
ハローワーク雇止め裁判は、支援者の「このまま座して判決を待つだけ?」の声に押されて、現在団体署名を集めている最中です。多くの団体が賛同署名をしてくださっています。すでに最高裁に届けた分もあり、現在も集めている最中です。グループで活動している人で「賛同してもいいわ」という方は、

http://hw-yatoidome.jimdo.com/団体署名のお願い/

からダウンロードしてください。

ラジオメーター裁判は、まだ始まったばかりなので追々報告していきます。74日に裁判があるので傍聴してきます。

 

さて、私だけしか書けないことではありませんが、「同一労働同一賃金」について報告します。政府は「同一労働同一賃金」と「同一価値労働同一賃金」とは別物であると考えています。以前から何度も書いているように同一労働と聞くと、職場のいろんな労働を思い浮かべる人も多いかもしれません。トヨタのような大企業ではもしかしたら全く同じ仕事内容をこなしている労働者がいるかもしれませんが、「同じ仕事」は何をもって同じとするか、難しいです。車内には、メーター、エアコン、オーディオ等があります。これをそれぞれに取り付ける労働者は「同じ仕事か、そうでないのか」。

さて、今朝の朝日新聞に次のような記事がありました。

 同一労働同一賃金が実現しても、同じ仕事の賃金差はなくしにくいと考える中小企業が多いことが、日本商工会議所が29日発表したアンケートでわかった。人によって違う仕事のこなし具合や、将来の期待値などを賃金に含める中小が多いためだ。 今春、2405社が答えた。労使紛争で賃金差の理由を求められた場合、立証が難しい項目を挙げてもらった。最多は「本人の生産性」(47%)。事務職などは仕事の成果をつかみにくく、こなし具合に個人差があるが、差の数値化が難しいためだ。政府が検討中の同一労働同一賃金について、賛成の立場の日商だが、「中小企業がこれまで積み重ねてきた労働慣行に配慮し、慎重に進める必要がある」としている。

このような解釈で同一(価値)労働同一賃金を考えてもらったら困ります。ILO推奨の職務評価制度を学んでぇ〜!と、政府の労働政策審議会と経営者に言いたい。もちろん、労働者は当然です。

では今日はここまで。

東和工業男女賃金差別裁判高裁判決

この不穏な雰囲気はなんだ!イスラム関係の本を読んだばかりで、イスラム世界のことを知らなさ過ぎで、わずかな知識も欧米側寄りであることに改めて気が付きました。
フランスで企業寄りの労働時間延長などを核心とする労働法の改定に反対して連日デモが行われ、それが過激化しているとの報道に、単に労働法改悪だけでない、フランスの旧植民地出身のいつまでも二流国民のままの人々の存在に思いをはせました。

昨年911日に労働者派遣法が改正(改悪)されました。労働者は強く反対しましたが、フランスのような状況にはなりませんでした。国民性だけの問題ではないことが分かりました。日本は顕在化しない分、根が深いと考えています。

さて、労働問題ですが、東和工業男女賃金差別裁判の高裁判決があったので、傍聴のため427日に金沢に行ってきました。

一審の判決は昨年326日、原告、被告ともに控訴して舞台は高裁に。
高裁に移ってから裁判官の和解勧告があり、その後
5回の和解のための会議が開かれました。和解は決裂し、427日に二審の判決がありました。和解会議中、原告が要求した謝罪の言葉はありませんでした。「ごめん」のたった3文字が言えないとは。会社側は、労働者の前に生身の人間であることに思いを馳せなければなりません。
このブログを始めるきっかけになった卒業生へのアンケート「賃金が安いパートでもなぜ働き続けるのか?」という問いに、「遣り甲斐がある。問題を解決できたときの充実感。お客様から感謝されるときの充実感」を挙げています。人はパンのみで働いている訳ではないのです。


二審の高裁判決は、一審と殆ど変わりませんでした。

これまでの報告は、このブログの2014.09.172015.03.312015.05.05 2015.09.10にあります。

一審と同じく「労基法4条違反」は認めましたが、それに伴う金銭的な保証はありませんでした。退職金の算定方法を一部変えて7万円だけ増えていましたがこれで全てでした。

原告は一審と二審の判決文を読み比べ、以下のように述べています。最高裁に上告するかどうかは現在考慮中ですが、勝ち目はありません。裁判官は何に重きを置いて判決を出したのか、証人尋問で明らかになった原告の専門性はなんだったのか、労働者に光の見えてこない理解に苦しむ判決でした。


原告が判決に対して指摘している点は以下です。

職能給差額の認定がなかった。

原告は専門的な仕事をしていたにもかかわらず退職までの期間、一般職のままでした。その間、原告は総合職にしてくれるよう上司に言い続けてきました。実際、彼女の仕事内容は総合職そのものでした。しかし、判決では、賃金は3年分だけ総合職の賃金表(年齢給のみ)を適用しました。東和工業は職能給の割合が高いにもかかわらず、判決では、職能給は「実際に総合職になっていないのだから、職能を測ることはできない」として、認めませんでした。

時効の適用により、賃金差額(年齢給)の認定は3年間だけで7年間が消滅。

東和工業が総合職・一般職制度を適用した以降10年間の内3年間しか認めていません。その理由は「時効」。原告は、時効という考え方そのものが納得できないと言っています。在職中絶えず「総合職に」と言っていた訳ですから、時効を認めるとなると、彼女の言い分を無視し続けた会社の遣り得に加担することになります。

総合職の退職金との差額はコース導入後の10年間分だけ。

設計職の22年間分を請求していました。

職務内容の事実が誤認されている。

これは、証人尋問のときに原告がいかに優秀な技術者であったかを、傍聴人は知りました。「コンベアの設計」のコンベアには多種あって、ベルトコンベアとかスクリューコンベアとか。多くの人が関わるベルトコンベアの仕事は、新人でも出来る部分があります。原告はスクリューコンベア担当のたった一人の専門職です。しかし、会社は単に「コンベア」とし、新人でも出来る仕事内容のような表現をしました。裁判官はこの曖昧にした言葉の意味を見抜けませんでした。

年金差額の請求を棄却。

賃金は、年金額に直結しています。判決では、実際に総合職の賃金ではなかったから「職能給に当たる部分は計算できない」としました。原告は、計算できないなどというのは職務怠慢であると言っています。1000歩譲っても、時効とはいえ3年間は総合職としての地位を認めているのだから、年齢給の分だけでも計算できる筈。裁判官が計算できずとも、社労士に依頼すれば済むことです。

快晴です。昨日から「ラ・フォル・ジュルネびわこ2016」です。
どれどれ湖岸の賑わいでも見てきましょうか。
(ハクション、今朝から花粉症)

では、今日はここまで。

ハローワーク雇止め裁判の高裁判決と経緯

朝日新聞の川柳欄に「好き放題『安』にやられた年の暮れ」を発見。「年の暮れ」は「一年中」とした方がいいのでは…。今年の漢字は「安」です。これで、またまた感違いする人が一人いますよね。「ぼくって、そんなに人気あったんだ」と。今後「安」という字を見るたびに、「不安」がもくもくと湧いてきます。

さて、こんなに長くブログを更新しなかったのは初めてです。労働問題に関する他の方の書かれたのを拝見していると、足元にも及ばない鋭い内容で、私なんぞが、無い知恵を絞ってうんうん言いながら書くこともないだろう、そろそろこのブログも精神的負担になってきたし、なんてうだうだと思う2か月でした。私しか書けない内容は何か?で、今回は、ハローワーク雇止め裁判の大阪高裁判決を報告します。1125日の判決の日、他用があって傍聴に行けませんでしたので、臨場感はありませんが、その分丁寧に、を心がけました。高裁判決は敗訴でした。最高裁へ上告するかどうか、控訴人は悩んだそうですが、「上告する」と決断されました。4人の弁護士が、上告理由を書かれます。費用がかかりますので、現在裁判費用のカンパを募っています。末尾に、カンパの振り込み先を記しますので、額は問いませんので、ご協力ください。

さて、この裁判のそもそもの原因は原告が雇止されたことです。原告側は、なぜ彼女が9年間も契約更新をしてきたのに、この時に限って契約更新されなかったのか?それは、職場で起きた、彼女の同僚への上司からのセクシャルハラスメント(以下、セクハラ)を、その同僚の側に立って、彼女が上司に苦言を呈したことが、直接の原因だと考えています。しかし、彼女がセクハラを受けた訳ではなく、また、セクハラを受けた同僚が、PTSDで苦しんでいたので、証言してもらえない可能性が大だったこともあり、争点を「期待権」にしました。期待権とは、次年度も働き続けられるという確信でしょうか?彼女が、勝手に期待を抱いていたのではなく、確たる上司からの言葉があったからです。9年間も働いていたということは、彼女の能力に問題があったことではありません。なぜ、更新がされなかったのか、それは、彼女が従事していた職務がなくなったから、「更新されたければ他の職務の公募試験を受けなさい」と言われたからです。原告弁護団は、この公募についても反論しました。確かに、国からの方針で、ハローワークの職務の整理統合が行われました。例えるなら、今まであったAとCの職務がなくなり、AとCの両方を兼ねるBという職務が現れました。今までAに従事していた彼女は、試験を受けます。これで採用されたのは、Dの職務をしていた人でした。この職務に関しても、彼女がAに従事していたことを、当時の座席表、同僚の証言(文章のみ)で証明しまし
たが、裁判官は採用しませんでした。

ここでややこしいのは、非正規公務員という立場です。公務員は、正規、非正規を問わず「任用」という言葉が、使われます。
問題点は、非正規公務員も、「任用」という正規公務員の採用の概念と同等に扱われなければならないのか?です。
この点についての解説を読んでください。
民間企業などで働く労働者は、使用者との間に「労働契約」を締結して、その法律関係は労働契約法により規律され、労働者保護が図られています(例えば、解雇に関する労働契約法16条、就業規則不利益変更に関する労働契約法10条など)。しかし、公務員については、実務では「労働契約」が存在せず、民間企業で働く労働者に適用される労働契約法は公務員には適用されないという法解釈が支配的です。このように、公務員について「労働契約」の成立を否定する考えの論拠は、公法と私法とを峻別し、公務員と国・地方自治体との関係は「公法」であるから、私法とは異なり労働契約は存在しないし労働契約法も適用されないというのです。この考え方によれば、民間の労働者とは異なり、公務員は労使合意によって「労働契約」が成立することはあり得ず、国や地方公共団体が一方的に「任用」するに過ぎないとされています。
(公務員と労働契約
−「非正規公務員」の現状−/嶋量(事務所だより20131月発行第46号掲載)
ということは、労働法で地位が守られていないから、その人を解雇するのも、契約更新するのも、上司の胸三寸ということになります。民間の非正規労働者に適用される労働契約法では、解雇について厳しい規定があります。例え、それが空文であるとしても、です。

また、この裁判で、原告は期待権と共に、9年間も非正規で働かせたこと自体が間違っていますと訴えています。
判決は「原告が、契約更新の期待を持つような上司からの言動はなかった」というものでした。基幹業務を長年非正規に担わせていたことについては、何も言及されていません。

弁護団は、判決は、労働契約法16条により民間では理不尽な解雇は許されないにもかかわらず、公務員の世界は上司が次回も採用すると誤解をあたえた場合のみ、期待権の裏切りとして採用されるケースがある。全国で、このような裁判が10件闘われているが、その期待も裏切るのか追求しなければならない。民間であれば救済される事案。行政任用行為で雇止めの法理はどの法律に書いてあるのか?任用で押し切られているが、任用の根拠を示さないのが裁判所の判断だ。最高裁に政的な判断をしてもらわなければならない。流れをかえなければならない」と、判決後の集会で述べました。
 最後に、原告の訴えです。
茨木のハローワークで恒常的基幹業務を、1年更新しながら何年も非正規職員に委ねている実態がそもそもおかしい。「安い給料でよくやってくれている。後は資格を取って客観的根拠を作ることやね」と言われて、勧められた資格を取得したら、普通に働き続けられると期待するでしょう。英語対応もし、求職者セミナーも職員研修も担当してきて、9年間職場に貢献してきたのに。私がセクハラ被害者支援をしてから、雇い止めになるまでの経緯についても、何時間もかけて苦しみながら書き起こした陳述書についてまるで顧みられず、「確かに、控訴人は、セクハラ被害者支援活動をおこなったことがあった。しかし、公募にしたことには必要性も合理性もあった」とだけ結ばれています。公募が排除のための仕掛けになっていることに気がついて欲しい。

 最後に、裁判官が最優先の判断基準にしなければならなかったことは、生存権であったと、私は考えています。原告の時任さんは、在職中に生活の苦しさを上司に訴えています。実際、彼女は予想もしなかった雇止めになった後、最貧のどん底の生活をしなければなりませんでした。息子が高校に入学したばかりの時です。上司は、この人を解雇したらどんな生活になるかと分かっていた筈です。彼は、会社経営者ではありません。彼女を解雇しなければ、会社が存続できないというのではないのです。宮田課長の懐は全く痛まないのです。この課長の他者を思いやることのない行為こそ、裁かれるべきでなかったかとも思えます。私は、日産のゴーン社長にはなれない。多数のワーキングプアの非正規労働者が、彼の年収9億円を支えているのです
郵貯
ハローワーク雇い止め裁判を支援する会
口座記号 00990-2-233526
では、今日はここまで。

東和工業男女賃金差別裁判控訴審始まる

飲み食いもすべてお国に把握され

アメリカと相談したらなかったと(討幕長会談記録)

独裁の国家笑えぬ我が日本

910日の朝日新聞朝刊にあった川柳です。


消費税の軽減税を還付するために、レシートを小売店の記録端末に読み取らせ、口座に後日、年間最高4000円を還付するという方式を財務省が考えているとか。マイナンバーと引き換えです。ご自身の財布で買い物をしたことのない麻生さんを象徴するような方法です。あまりに粗い計画なので、いずれこの計画は頓挫するとは思いますけど、この粗いざる法も真っ青になる超粗い安保法制案も成立するようなので、楽観はできませんが…。私が何を食べたかまで把握されるようなこの方式は、年間4000円は惜しいけれど使わないでおこうと思いましたが、そうは言ってられない友人の顔が浮かびました。「食べ盛りの子どもたちが、たまにはすき焼きが食べたいという。勿論、豚肉です」
どうして多くの人が反対していることばかりを政府はやろうとするのでしょうか?

原発といい、安保法制といい、派遣法といい、消費税といい、枚挙にいとまがありません。
9
2日、東和工業男女賃金差別裁判の傍聴に行きました。なんと、被告である会社側も控訴しました。生意気な!会社側の言い分なんかないはずです。

裁判の報告は、下記に書きました。
東和工業男女賃金差別裁判控訴の理由     2015.05.05
東和工業男女賃金差別裁判の判決が出ました  
2015.03.31
東和工業男女賃金差別裁判傍聴記   2014.09.17

原告・被告共に控訴ということで、舞台は高等裁判所に移りました。建物は同じですが、名称は「名古屋高等裁判所金沢支部」に変わりました。
会社側の弁護士は2人、本間さん側は3人。裁判官は3人です。会社側が金沢地裁判決の何を不服として控訴したのかは明らかにされませんでした。当日は、双方の弁護士の遣り取りがあり、最後に原告の本間さんが、意見陳述をしました。次回は、1021日です。
以下が本間さんの意見陳述です。とても心に響く内容です。裁判官にも伝わるといいのですが…。平易な文章で書かれていますので、全文紹介します。
では、今日はここまで。


冒頭意見陳述書  

 
1.私は、再雇用期間を除き、東和工業蠅韮横鞠近く勤務し、そのうちの21年4カ月は、設計職として働いてきました。2級建築士の資格を取得した翌年の平成14年、会社はコース別雇用制導入の際、社内通達で男女別にコースを振り分けると明示し、設計職でただ一人女性である私だけを一般職としました。ちょうどその時、コース制導入前後の10カ月にわたり、他の後輩男性部員2人と、同一案件のプラント設計業務を分担作業していた最中でした。業務内容の違いは全くありませんでした。私は、4〜5年長く設計職の経験を積んでいる分、効率よく業務を行っていました。会社は裁判の中で、業務内容の違いで総合職と一般職に分けたと主張してきましたが、まったく事実に反しています。

2.コース制導入以前は、現場に出向くことや宿泊を伴う県外出張を、Y設計部長の指示で、他の同僚と同様に行ってきました。コース制導入の直前、Y設計部長は私の質問に対し「本間さんは総合職になっていると思う」と部内会議の席上、返事をしていました。ところが、コース制導入以降、現場や出張の声がかからなくなったので複数回にわたり要望しましたが、まったく行かせてもらえませんでした。証人尋問や書面で、出張に行かせなかった理由として「主婦だから」あるいは、「過酷な面があるから」と述べていますが、私は、職場では主婦ではありません。一労働者です。また、現場に過酷な面が
あるとしても、男女双方が被るリスクに過ぎません。このような固定的な性別役割分担意識で仕事の制
限を行う東和工業は女性差別を今も持ち続けていることを端的に示しています。

3. 私が会社にコースの是正を求めていた時、こんなエピソードが有りました。副社長から「男は総合職、女は一般職という会社の決定を気に入らなかったら、どこか他の会社を探してもらっても結構です。これは本音です」と、はっきり言われました。端的に4条違反を物語っています。

4.金沢地裁は、実質男女別のコース別賃金は労働基準法
4条に違反する賃金差別であると判断しました。4条違反は、東和工業の男女差別を断罪し、同時に、男女差別を行っている企業に警鐘を鳴らすという意味でも、大きな意義があります。

5.しかし、原審では4条違反を認めた上で、 基本給の内、年齢給だけ総合職との差額を認め、職能給差額を損害として認めませんでした。差別を認定したなら、職能給差額も認めるべきです。仕事に頑張ってきた私にはとても受け入れがたい判断です。

6.また、原審では時効の適用を認めました。その結果、コース導入後約10年間の内、3年分しか損害が認定されませんでした。私は、コース制が導入されてから継続して是正を求めてきました。違法だからと直ちに裁判につながりません。差別の是正の努力をし、望みが消えて初めて裁判を考えました。市民感覚として通常ではないでしょうか。また、在職中提訴すれば、いつ首にされるかという心配もありました。実際、提訴後、半年も経たない内に再雇用の雇い止めを通告されました。このように、時効の適用は、市民感情からかけ離れています。その上、時効の援用は、消滅した7年間分の差別による不当利益を法律違反をした会社に与え、差別のやり得という事態を許すことになります。差別を認めながら、結果このような事態を生じさせることは、大きな問題です。差別を認定したなら、被った損害を全面的に救済すべきです。私は怒りと共に、なぜ、このようなことが司法で容認されるのかと不思議
です。

7.控訴審では、控訴理由書で述べた内容を公正に判断、職能給差額の認定、適切な退職金の認定、及び、本件では、在職中の提訴は困難であること、在職中にも是正を求めて努力していることを認め、時効は成立しないという判断をお願い致します。更に、男女賃金差別裁判では、労働者は必ずある一定期間勤務していることを考えれば、時効の適用を行なうべきではないという判断を下し、このような理不尽な問題を解決していただきたいと切に願います。

8.最後に、私の行ってきた職務内容、価値を正しく認定することを心より求めます。会社側は、男女別にコースを振り分けたという女性差別扱いを否認する後付けの理由として、業務内容の差で一般職にしたなどと主張しています。しかし、在職中、私は上司から、業務内容が他の職員と比較して簡単なものである、あるいは能力が低いなどとは、一切言われたことがありません。同僚とは、基本的に同等の業務を行ってきました。しかし、原審では、なぜか業務について事実誤認の判断がなされました。控訴審では、業務内容について立証してきました準備書面・陳述書などをよく吟味され、正確な判断を下さいますよう、切にお願い致します

中国電力男女賃金差別裁判の、これが最後の報告です。

勝手に夏の休暇をと、ブログを休んでいました。何度もアクセスしてくださった方々、お詫びと共にお礼申し上げます。
この間、安保法制反対集会や金曜日の関電前行動には、パーフェクトではありませんが参加していました。
830日は、大阪集会に参加しました。全国で100万人の呼びかけでしたが、東京で12万人、大阪は23000
人と主催者発表でした。
翌日の新聞で、湯浅誠さんが「デモは、意見がイエスかノーかの対立的になる可能性が大きい」と、デモを尊重しつつもの発言を、TVで小熊英二さんが「反安保法制だけであれだけの人が集まったとは思えない。この状況に不安と覚えている人が多いのでは」と、それぞれ報じていました。私も
30日の集会の感想としては、小熊さんの意見の方が説得力があると思いました。安倍さんが、この国をどこに持って行こうとしているか、安倍さんだから一層不安になる、だから多くの人々が集まったのではないでしょうか?

さて822日、広島に行きました。原爆資料館や安芸の宮島の観光地に数回行ったことはありましたが、2011年から2013年までは、中国電力男女賃金差別裁判傍聴で5回ほど通いました。22日、多分今日が広島に来る最後になるかも知れないと感慨深く広島駅に立ちました。
最高裁判決について、宮地弁護士から《中国電力男女賃金差別事件―その成果と残された課題》と題して解説がありました。

レジュメからの抜粋です。

2013718日の広島高裁判決では 

「控訴人(原告)と同期同学歴の事務系女性従業員の平均基準労働賃金額(賃金)は、同男性従業員の平均88.1%。(〜中略〜)同女性従業員のほとんどの賃金が、同男性従業員より低額となっている」としています。しかし、結論は「格差は認めているが、男女差別の存在はなかった」と言っているのです。
(さっぱり理解できません
)
その理由を下記のように挙げています。
・男性従業員と女性従業員とで取扱いを異にするような定めが中国電力にはないので、【人事考課制度は合理的である】
・昇格や賃金において、男女が層として明確に分離していない。
・女性従業員の就労意識調査による実態と女子保護規定の存在があった。
・原告は職場の一体感やチームワークなどに問題があり、自分本位である。

詳しくは、傍聴に行った都度書いたブログの一覧は、
2015.04.21のブログを見てください。

さらに宮地弁護士は、均等法の不備な点が、この不当な判決の根拠になっていることにも言及されました。勿論、裁判官がジェンダーの視点を持っている人なら、素人の誰が見ても、明らかに性差別であるこの事件を、判例にとらわれずに判決できたと思います。

均等法の不備な点は、

・事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。労働者の配置(実務の配分及び権限の付与を含む)、昇進、降格及び教育訓練
女性原告が男性と比べて不利に扱われたとして提訴しました。ところが、均等法は違法性の根拠にはなりますが、均等法自体に制裁措置はありません。では、何を根拠にするか?損害賠償請求(差額賃金相当額・慰謝料)の根拠は、あくまでも民法709条の不法行為責任なのだそうです。

709条 故意または過失によって他人の権利又は財産上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

問題は、故意または過失の文言です。会社側が、「故意でも過失でもありません」と主張すれば、「故意だった、過失だった」と原告が論破しなければなりません。会社側は「アンケートの結果、中国電力の女性従業員は出世を望んでいないことが分かった」と主張しています。職場結婚が多ければ、夫の出世を慮った回答が出てくるのは当然です。
以前にも書きましたが、私が退職後、当時の校長と飲んだときのことです。「海外研修制度に、女性のAさんを推薦しようと思ったのだが、家庭のある人だから男性を推薦した」と彼は言いました。彼は、すごく配慮のある決断をしたと心底思っていました。「その研修を受けるかどうかはAさんが決めることです」と私は言いましたが、彼は全く善意からの行動だったので、私の言うところが理解できないようでした。このことをもって、「彼が推薦しなかったのは故意だった」とはなかなか論証できません。ここに女性が差別を訴えた裁判が勝てない理由があります。何が差別か?その定義すら定まっていないのが日本の現状だそうです。
では、今日はここまで。

ハローワーク雇い止め裁判の判決がありました。

ハローワークで相談員として働いていた非正規の女性が、契約更新されなかったのは、原告の任用更新に対する期待利益を違法に侵害し、これにより損害を被ったとして、慰謝料の支払いを求めて大阪地裁に提訴していた裁判の判決が、5月29日にありました。「原告の訴えを棄却する」と、たったこれだけの裁判長の言葉。その間3秒、大病院の診療時間だって3分間くらいはあるのに…。3年間の裁判でした。

判決文は「《職員の任免》74条に基づき、任用期間が経過し、任期満了により退職したというほかはないから、任用予定期間経過後に再び相談員として再任用しなかったからといって、直ちにその権利ないし法的利益が侵害されたとはいえない。」でした。

一年ごとの任用を繰り返し9年間働いていた原告。それまでの更新時に試験はありませんでした。なぜこの年だけ公募をしたのか?原告側は、原告がセクハラを受けた同僚から相談を受け、その同僚に弁護士を紹介したり、上司に直言したのが一因であると考えています。が、それ争点にすれば、「そんな意図はありません」と否定されるだけ。有能な原告に「よくやっていただいています」「資格も取られたらどうですか」と複数の上司が言った言葉は、次も更新があるだろうと期待を抱かせるに十分であったという点を問題にしました。こちらの方が、争点は原告個人のだけの問題ではなく、多くの非正規労働者の共通の争点だからです。そして、期待権を抱かせるに十分な証拠を出しました。が、原告の訴えはことごとく退けられました。

判決はまた「セクハラがあった年の次の年度は採用されているではないか。だからセクハラが原因ではなく、原告に能力がなかったからだ」とも言っています。同僚にセクハラをした上司は、処分を受けています。その報復を、同じ年度にするでしょうか?そんなことをすれば報復人事だとすぐにばれます。

ここで肝心なことは、非正規公務員は、上記判決文にある《任用満了で退職した》という文言で職を失うことです。原告は公募と称された試験を受けました。15分後には「更新なし」の結果が出ました。彼女の代わりに他の人が任用されました。正規職員なら、能力がなかったとしても簡単に解雇されることはありません。労働者は何よりも働く権利が尊重されなければいけませんから。そこには生存権がかかっています。原告に能力がないのなら、9年間も働き続けられていた訳がありません。なぜ毎年更新されていたのでしょうか?

非正規労働者は、使用者の思惑一つでどうにでもなるということこそ問題にはしなければなりません。公務の非正規労働者になぜ、正規職員と同じ「任用」という制度が適用されるのかこそが問題なのです。今や、公務労働に従事する非正規労働者は、公務員の半分を占めています。それだけ「仕事」があるということです。毎年毎年、非正規労働者が継続的な仕事をすることの方が問われなければなりません。

私も、41日に現職の先生から「講師に来てください」と依頼を受けました。もし受けていたら、私は「任用しますという辞令」を貰っていたはずです。授業を持つ前に、公務員が法的に守らなければならないこと、任用という言葉の意味、そんな研修を受けることはありません。即授業です。経験のある者ばかりでははありません。大学を卒業した人が即講師になる例は多々あります。どう考えても「任用」ではなく、「労働契約」の下で働くというのが妥当な考えでしょう。
国を相手に、地方自治体を相手に、公務に従事する非正規労働者が地位確認を求める裁判は、すべて敗訴です。それは公務員が労基法で守られる労働者ではないからです。この仕組みを変えない限り、もしくは、恒常的にある仕事には非正規ではなく、正規の公務員を充てない限り、労働者としての権利のない非正規公務員の問題は解決しません。多分、原告は大阪高裁に控訴するでしょう。誰かが声を挙げないと、誰も気づかないままの、大きな問題です。

ではきょうはここまで。

東和工業男女賃金差別裁判控訴の理由&5月3日

東和工業男女賃金差別裁判の控訴の続きです。

前回のブログで、労基法4条違反という画期的な判決が出されたことは書きました。判決文は「労基法4条違反の不法行為における原告の損害は、原告が一般職の賃金表に基づき現に支払われていた賃金と、総合職の賃金表の適用があるとすれば原告が得られる賃金との差額であるというべきである」です。

具体的には、年齢給差額と慰謝料等計441万円が認められました。ここで原告が問題にするのは、年齢給は総合職との差額分を認めておきながら、職能給については全く認めていないことです。判決文はこの理由を「職能給は、会社が労働者の業務遂行能力に対する評価を前提にするものである。しかし、原告は総合職ではなかったのだから、原告が主張する、もし総合職なら支払われていた職能給までを確定することはできない」。
言い換えれば、総合職であっても、能力がなかったかもしれない場合もあるから、確定できないということでしょうか!

また、裁判では、コース別を導入した後の10年間の内、7年分の総合職との差額賃金が時効で認定されませんでした。なぜ3年分だけ認めたのか?は、民法とか商法との関係からですが、専門的すぎて、私が理解できていないのでここではカットします。
はっきりと労基法
4条違反を認めたなら賃金の差額は全部求めるべきだとの理由で、原告の本間さんは悩みに悩んだ結果、控訴すると決断されました。

私も応援のためこれからも金沢高裁に通います。控訴審が始まれば、報告をします。


53日は憲法記念日。憲法が施行された日です。

京都9条の会主催の集会に参加しました。

3000人は収容できるという京都円山音楽堂の座席が満員でした。野外なので、日焼けを避けて木陰を選んだ人は立見席です。

私は、勿論「ごめんやっしゃ」と座りました。

講演は、防衛省の元官僚で、小泉首相がイラクに自衛隊を出したときを含めて、2004年から2009年まで内閣官房副長官補であった、柳澤協二さんです。

退官後、安倍政権の集団的自衛権に対して、自衛官を束ねた立場から異を唱えている人です。TVでもよく顔を見ます。

憲法9条の会主催なので、当然改憲反対の人たちの集会だと考えますが、今までこのような内容の集会で、この会場にこんなに多くの人が集まったのを、私は初めて見ました。多分、9条の会と防衛省元官僚との組み合わせに惹かれた人が多かったのかも…。


柳澤さんは、著書も何冊か出しておられます。私は会場で『亡国の集団的自衛権』を買いました。柳澤さんの話の根本には、集団的自衛権を推し進めている安倍さんを初めとした政治家が、自衛官の立場を理解していないことも一つにあります。イラクに派遣された自衛官の自殺は29
人。もし、一人でも自衛官が殺されていたり、イラクで誰かを殺していたら、当時の小泉首相はどのように責任を取るつもりだったのか?もしこのような事態が起こっていたら、日本は今まで築いてきた平和国家のイメージを根底から失なうことになった。それがどれだけの損失かを政治家は分かっていない。派遣中に事故がなかったのは奇跡であったと、具体例を挙げて、戦争をする国になるリスクを話されました。柳澤さんが語る集団的自衛権に反対する理由は、現場を知る人だからの説得力がありました。自衛隊法の条文が、具体的にどのような行動に結び付くのか等は初めて聞く内容でした。日本は、軍事力でない外交を目指すべきだと締めくくられました。
では、今日はここまで。


 

中国電力男女賃金差別裁判最高裁判決

前回に続き、裁判の報告です。
余りに不当な、刑事裁判ならば、証拠をすべて無視した冤罪ともいえるような判決でした。
裁判に訴えざるを得なかった原告の長迫さんの怒り、絶望はいかばかりでしょう。

その報告の前に、ちょっと寄り道。
京都駅前にある関西電力前の金曜日集会で、ずっと踊っている人がいます。伴奏は鉦とシュプレヒコール。振付があるようなないような。手をゆらゆら、足は緩やかなステップ。すごく本能的な感じで、天岩戸の前で踊ったアメノ
ウズメもかくやあらんと…。現代人こそ、本能のままにゆらゆらと体を動かして、自らを解き放たねばと思ったりしています。1週間に1時間、適度な運動にもなりますね。で、私は何をしているかって?憧れるけど、勇気がないから声出しだけです。

さて、本筋に戻ります。

中国電力男女賃金差別裁判については、このブログで度々報告しています。

2015年3月11日、原告から「最高裁から上告棄却の判決がありました」と配信されました。最高裁の文面を初めて見ました。原告の7年間が、これだけの文言ですか?! 


 理由とか、文書番号とか他にも記載がありますが、主文はこれだけ。


1
:本件を上告審として受理しない。上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。


中国電力裁判のその都度の報告は以下を見てください。

2011年7月14  2011年9月14  2011年12月31  2012年8月20  

2012年10月29  2013年2月16  2013年5月28  2013年7月20

2013年11月16  2014年1月26

 
上級審ほどダメだ、労働者を見ないで経営者を見ている。経営者とは即ち政界と表裏一体。人々に審判を下す人も組織の一員。組織に縛られる弱さを突きつけられる職業。このようは判決を出す人の心境を知りたい。

中国電力男女賃金差別事件の棄却の判決は全く納得できません。

 その理由を弁護団が「抗議声明」として出しました。これを使って、棄却がどれほど理不尽なものかを解説します。表題は「中国電力男女賃金差別事件・最高裁不当決定に対する抗議声明」です。 

*おさらいになりますが、まずは長迫さんの提訴の理由です。

・職務等級主任2級に据え置かれたまま、平社員に留め置かれたことは男女差別である。


*判決の内容です。

・広島地裁も広島高裁も「男女格差はある」と認定。しかし、「原告の請求を棄却する」

・棄却の理由は、「同じ男性間にも、昇格の早い者、遅い者があり、賃金額にも差があるので、男女間で層として明確に分離しているとは言えない。」


*これに対する弁護団の反論
・女性の圧倒的多数は、男性の昇格の遅い者と同等の扱いである。
・男性の標準者と同じ水準に達している女性はごく一握り。この一握りの女性が昇格しているから、「賃金が男性の層、女性の層と分離しているとは言えない」とするなら、男性の全員が女性より賃金が高い場合のみ、層として分離しているといえる。これは男女別賃金体系である。裁判官は、企業が男女別賃金体系を取っていれば、男女差別を認めましょうということ。

(注:男女別賃金体系は、男女雇用機会均等法に違反します。また、中国電力は男女別の賃金ではりません。男女が同じ賃金表のもとに置かれ、結果、下記の図のように上位が男性、下位が女性になっています。前回のブログ「東和工業裁判」では、東和工業は男女別賃金体系であると裁判官が判断したから、訴えが認められたのです。)

下図がある年の同学歴で同期に入社した原告を含む賃金を表したものです。青色(男性)に少しだけ赤色(女性)が混じっています。これを指して、裁判官は「男性の中に女性も混じっているではないか」、だから男女別賃金ではないと言うのです。右に多くの女性がいますが、こんなに沢山の女性が男性より能力がないのでしょうか。
*昇格・昇進しないことについての判決の内容
・「業務・能力主義で正確、迅速な業務処理、仕事の信頼度は高い。しかし、協調性がない」
*これに対する弁護団の反論
会社の主張する「協調性の欠如」は、会社の人事考課上の事由を無批判に肯定している。

中国電力






















注:最高裁では、以前ブログに書いたシカゴ大学山口教授の意見書と共に、一橋大学相澤美智子准教授の意見書も出されました。この意見書で、中国電力(男性上司)が女性に対して「ジェンダーに対するステレオタイプ」を持っていることを、分かり易い例を引いて解き明かしました。
・例:男女がそれぞれ5時に机の前にいなかった場合、人は一般に男性については「会議のために席を外しているのだろう」と解釈するのに対し、女性については「家族の世話をするために帰宅したのだろう」と--真実はどうであれ--解釈する。                         

*私の意見

・原告は営業成績がトップでした。全く独りで営業成績がトップであることって可能でしょうか?教室に入ったら独壇場の教員であった私からしてもあり得ないですね。営業に行くためには、職場で得た知識や技能が基盤です。協調性がなかったら営業はできません。「協調性がない」と評価したのは上司。だらだらつるんでいる職場が目に浮かびます。そこへ「仕事しましょ!」と発言する女性部下。男性上司は大いにメンツが傷ついたことでしょう。

国からの手厚い保護を受けている中国電力を初めとした電力会社の独占企業の体質が表れています。関電の八木社長が「原発再稼働」から抜け出せないのも同じ体質でしょう。

・東和工業裁判でも、会社側の証人は「原告は何度も聞いてくる。自分で判断ができない人物だ」と言いました。それに対して裁判官は「それは原告の慎重な性格ではありませんか?」と問いただす場面がありました。女性だから従順で、出世を望まず働くべしと考えている男性のなんと多いこと。卒業生の口惜しさが重なります。

このブログを書くにあたって、改めて弁護団の抗議声明文や、弁護団による解説を読み、ますます怒りが湧いてきました。
訴えたくても最高裁から先はないのです。国連には女性差別撤廃委員会があります。こうなったらそこに訴えるしかない!と思っても、日本は女性差別撤廃条約の選択議定書を批准していないので、訴える資格がないのです。

追伸:勝訴だった東和工業男女賃金差別裁判の原告は、悩みぬいた末に高裁に上告しました。その理由は、次回に。
では、今日はここまで。




 

東和工業男女賃金差別裁判の判決が出ました。

3月に2つの判決がありました。

日々、裁判所は沢山の事件を扱っていますが、上級審になればなるほど裁判官の姿が見えない判決が多くなっているようです。2つの判決は、このブログにも度々取り上げていますが、まずは吉報から報告します。地方裁判所の判決です。

裁判名は「東和工業男女賃金差別」。

事件の内容については、2012.07.032014.09.17の記事を見てください。

判決は、326日午前10時から金沢地裁でありました。判決文にお目にかかる機会は滅多にないので、一部を書き出してみます。

被告は、原告に対し、○○○万円及びこれに対する平成231210日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

被告は、原告に対し、○○○円及びこれに対する平成24321日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

(へぇ〜、こんな表現をするのか!)

【金員:金額のこと】辞書にありましたが、一般では使わない言葉ですね。あと2つ「支払え」という項目があって、金銭に関するのは全部で4項目です。「合計約440万円支払え」ということです。原告の会社に対しての請求額は約2200万円でしたから、1/4程の額でした。これは、裁判所が「時効」を当てはめたからです。被告、即ち東和工業は、2002年からコース別制度を導入。設計部で建築士の資格を有しているのは男性部長と本間さんだけであったにも拘わらず、設計部の男性全員は総合職になり、たった一人の女性であった本間さんは一般職になりました。
この時出された会社の通達には、「一般職とは、専門的分野において業務遂行能力を有し、原則として採用時の職種に限定され、転勤はない…現在の、女子採用です」「総合職とは、総合的視野に基づいて判断できる能力を有し、管理者であれば、管理者能力を有する者であり、職種転換・出張・転勤の可能な者を指す…営業職」と記載されています。この通達によって、女性従業員は全員一般職になりました。

しかし、裁判所は
一般職で処遇されたが、設計業務における原告の業務遂行能力が低いので一般職と処遇したという旨の説明を被告は原告にしていない。
労基法4条は、性別を理由とする賃金差別を禁止した規定であり、使用者が男女別の賃金表を定めている場合のように、男女間に賃金格差を生じており、かつそれが性別の観点に由来するものと認められたときには、男女の労働者によって提供された労働の価値が等しいかを問うまでもなく、同条違反を構成するものである。」

《労基法4条違反》の判決は、画期的だそうです。1975年に秋田相互銀行事件が同じ判決のようです。全く対照的な中国電力男女賃金差別事件の結果を次のブログでお知らせします。

判決は、沢山の項目があって、証人尋問で、会社側が「本間さんは簡易な仕事としかしていない」という証拠を出しましたが、これに対しても裁判所は認めませんでした。むしろ、本間さんが言うように、彼女を貶めるために会社が故意に作った書面であると暗に忠告しているかのような判決文でした。

さて、本間さんが日々の職場で耐え難いほどの苦痛を感じてきた「男女差別」に時効はないと思うのですが、これを読んでくださっている方はどう思われますか?しかし、次回に紹介する中国電力男女差別事件の最高裁の判決を考えると、上級審へ行くほど、常識とかけ離れた判決になってしまいます。そろそろ金沢高裁に控訴するかどうか、ただいま本間さんは、決断の真っただ中におられます。 

では、今日はここまで。

(鼻炎、苦しいよー)

「女性が輝く」&規制緩和と労働者の人権についての入り口

「女性が輝く社会」とかの先鞭で、女性閣僚が誕生しましたが、小渕さんと松島さんが辞職されました。マスコミによれば、国会議員を辞めることはないとのことですが、特に小渕さんに関しては、ホントそれでいいの?と思っています。

小渕さんも松島さんが男性議員であったなら、このようなことに、仲間内でストップがかかったのではないか、秘書組織内で、巧妙な処理方法の伝授があったのではないかと勘ぐってしまいます。松島さんもお粗末極まりない理由ですが、小渕さんの未だにバスを仕立てて観劇に出かけるという構図が理解できません。日本の選挙の根っこを見せてくれました。

安倍さんは、「女性が輝く」とのスローガンを掲げていますが、このような「人寄せパンダ」的な閣僚ではなく、「もっと足元を見直しなさい」という提訴がなされました。現職の国家公務員が、男女賃金差別を裁判に訴えました。

「厚労省が女性を昇格差別」現役女性係長、国を提訴
 厚生労働省の50代の現役女性係長が、女性であることを理由に昇格差別を受けたとして、国に謝罪と約670万円の損害賠償を求める訴訟を21日、東京地裁に起こした。性別を理由にした差別を禁じる男女雇用機会均等法を所管する厚労省で、現役職員が差別解消を求めて提訴するのは異例だ。

 訴状によると、女性は現在、統計情報部に所属。1988年に国家公務員2種採用試験に合格し、翌年入省。96年に係長になったが、その後、18年間昇格していない。一方、同じ2種試験で採用された同期の男性職員のほとんどは課長補佐級以上になっているとしている。

 女性は、保育士や介護福祉士の資格をとるなど能力向上に努力し、昇級も毎年認められているといい、「勤務成績、職務能力などで男性に劣ることは断じてない」と主張。「男女間の昇格の差は女性蔑視が原因」として、男性と同様に昇格していれば受け取れていた賃金分の賠償や、国による謝罪や改善の約束を求めている。

 この日、提訴後に都内で会見した女性は「私だけなら能力の問題かもしれない。でも、部署全体で女性は昇格できておらず、明らかな差別だ」と話した。 厚労省人事課は「訴状の内容を承知していないのでコメントできない。内容を確認してから適切に対応したい」との談話を出した。(2014.10.21朝日新聞)



現職で裁判を起こすというのは相当に勇気と覚悟が要ります。同期で入った男性が、この女性を跳び越えて上司になっていくのを見ている日々。怒りは誰にでもありますが、「女性だから仕方がない」と自分で理由を見つけて納得させてしまうのが多くの女性のとる行動です。教師になる前、私は地方公務員でしたが、担当する仕事のことで市町村の課長から電話がかかってくる。「はい、担当です」「なんや、おんなか!男に替わって」。根っこのところは余り変わっていないようです。私は、闘わずして男女平等を求めて教員になり、自己解決で済ませてしまいました。

さて、今回はチト難しい経済の話です。

こういう考えがあるのかと、目から鱗の説を紹介します。

まず、今年521日にあった大飯原発訴訟の判決文です。以下は、従来の判決文の常識を覆すような、画期的な文言で有名になった部分です。

アベノミクスと関連があるのでまずは、これから。
個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。

被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。



ここでは、経済的な利益と人間の命を同列に論じるなと言っています。これを書いた裁判官は、どのような理論に依拠して書いたのでしょうか?私は、この判決の内容は、実にまっとうなことを言っているように思うのですが、判決文ともなると感覚的な思い付きではダメです。

アベノミクスで、規制緩和を盛んに推し進めています。「女性が輝く」もその一環です。労働者の人権と規制緩和の関係はどう考えるべきなのでしょうか?大飯判決と重なる理論を見つけましたが、私が読みこなすのには時間がかかるので、ここでひとまず投稿します。

大飯原発の判決文を読んでおいてくださいね。
今日はここまで


 


 

中国電力男女賃金差別裁判原告敗訴判決の持つ意味

ずっと課題だった、中国電力男女賃金差別裁判のことを書きます。

広島高裁でまさかの敗訴については、昨年のブログに弁護士の解説を書きました。原告は最高裁に控訴しましたが、さて、最高裁はこの控訴案件をどのように扱うのでしょうか。ずっと疑問でした。
その疑問を持ったまま、昨年1224日に、WWN、均等待遇アクション21、昭和シェル石油労組の女性たちと、最高裁前でビラまきをし、その後最高裁の建物の一角の部屋で、「広島高裁の判決は不当。最高裁は広島高裁の判決を破棄してください」との申し入れと署名提出をしてきました。
対応してくれたのは、最高裁首席書記官補佐の方でした。ビラまきは割と慣れています。受け取り率は高かったようですが、若い女性が頑なに手に取らなかったように感じましたが、なぜなのでしょうか。なんでも雇用問題に関係してしまう私は、ここでも正規職員と非正規との地位の安定度について疑ってしまいました。最高裁に入って行く若い女性は、非正規待遇の人が多かったからかも知れないと…。全国から毎年3000件前後の控訴が最高裁に行くそうです。最高裁の裁判官は長官を含めて15人です。長官もカウントしても単純割り算で1人の裁判官が200件を受け持つことになります。一年365日、土日と祝日、年末年始、盆休み等を引くと230日前後が労働日です。最高裁に来る控訴を翌年に持ち越さないとすると、ほぼ毎日判決をしている計算になります。中国電力の裁判の資料だけでも、相当な枚数になります。鑑定意見書だけでも、凄い枚数でした。鑑定意見書では、原告の仕事の内容を詳しく分析してありますから、読みこなすだけでも大変な時間と知識が必要になるでしょう。


で、最高裁に控訴された後のことを書いた一文を見つけました。「続きを読む」を見てください。やはり、壁は厚いですね。調査官は法令に照らし合わせて審議するから、原告の悔しさを汲みとることはないでしょう。引用した本には、原発の設置をめぐる裁判、自衛隊の基地に関する裁判等における政界と財界、顔色をうかがう司法の関係が描かれています。

なので、原告側の努力が報いられるかどうか甚だ疑問ながら、最高裁まで支援者が出向いたのは、この広島高裁判決が確定してしまうと、今後の男女賃金差別裁判に大きな汚点を残すことに繋がるからです。

宮地弁護士が、支援者が理解できるように「男女賃金・待遇差別裁判」の今までの判例をまとめてくださいました。

列挙しますから、詳細はネットで調べてください。

*秋田相互銀行事件:賃金制度上の差別→1975410日秋田地裁原告勝訴

*日本鉄鋼連盟事件:男女別コース制・賃金率の男女間格差→1986124日東京地裁原告勝訴

*日ソ図書事件:職務の同等性→1992827日東京地裁原告勝訴

*三陽物産事件:賃金制度上の差別→1994616日東京地裁原告勝訴

*石崎本店事件:初任給格差→199687日広島地裁原告勝訴

*芝信用金庫事件:職能等級制度のもとでの昇給差別等→20001127日東京高裁原告勝訴

*塩野義製薬事件:男女別コース制・職務の同等性→1999728日大阪地裁原告勝訴

*住友電工事件:男女別コース制→2000731日大阪地裁敗訴→大阪高裁で勝利和解

*シャープ関係会社事件:職能等級制度のもとでの昇格差別→2000223日大阪地裁原告勝訴

*商工中金事件:職能等級制度のもとでの昇格差別等→20001120日大阪地裁原告勝訴

*住友化学事件:男女別コース制→2001328日大阪地裁敗訴→大阪高裁で勝利和解

*内山工業事件:賃金制度上の差別→20041028日広島高裁岡山支部原告勝訴

*京ガス事件:同一価値労働→2004920日京都地裁原告勝訴

*野村證券事件:男女別コース制→2005220日東京地裁原告勝訴

*昭和シェル石油事件(野崎事件)2007628日東京高裁原告勝訴

*兼松事件:男女別コース制→2008131日東京高裁原告勝利

*岡谷鋼機:男女別コース制→20041222日名古屋地裁原告勝利

*住友金属事件:男女別コース制→2005328日大阪地裁原告勝訴

*日本オートマチックマシン事件→男女別コース制→2007123日横浜地裁原告勝訴

*阪急交通社事件:職能等級制度のもとでの昇格差別→20071130日東京地裁原告勝訴

*昭和シェル石油事件:職能等級制度のもとでの昇格差別→2009629日東京地裁原告勝訴

*鈴鹿市役所事件:1980221日津地裁判決勝訴1983428日名古屋高裁原告敗訴

*中国電力事件:2011317日広島地裁原告敗訴2013718日広島高裁原告敗訴

(宮地弁護士によると、原告の請求が一部だけ認められたのも「勝訴」に含まれているとのことです。)


中国電力判決の持つ意味を理解できましたか?最後の二つは原告が敗訴した裁判です。でも、鈴鹿市役所は、地裁では勝っています。地裁も高裁も原告が負けたのは、中国電力事件だけなのです。この判決が確定してしまうと、これから裁判で闘おうとする女性たちに不利になる可能性大です。なぜなら、裁判官は前例にもとづいて判決を出すのが殆どだからです。このへんも、「続きを読む」に入れた『法服の王国』にしっかり書かれています。

では、今日はここまで。

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ある職場の報告

今年もよろしくお願いします。

一月から、ブログの更新が遅れました。トホホ、先が思いやられます。

さて、元旦早々、職務評価の助っ人に新幹線に乗って出かけました。ナント、格安チケットもジパングも使えない期間で、正規の運賃を払ってしましました。年金生活者なのに。

年末に予告していた中国電力男女賃金差別裁判の報告を押しのけて、これを書くのは、労働者の実態はとても酷いのですが、まさしく「働く仲間」といった感じの人たちに出会ったからです。

男女賃金差別裁判を起こしたのは2人の女性。彼女たちの仕事が男性と同じか、それ以上だったにもかかわらず、男性より低い賃金に置かれていました。こういう場合、それを証明するのに職務評価という方法を使います。日本ではまだまだ普及していない方法ですが、欧米では一般的で、沢山の本も出ています。

原告の仕事に1000点満点の何点が付くか、果たしてそれが賃金額と合っているのかを調べるには、比較する対象が必要です。

でも、裁判ともなると、比較対象者の協力はなかなか得られないのが普通です。なぜなら、裁判の証拠として提出される場合、「なぜ原告に協力したのか」と会社から睨まれてしまうからです。仮に対象者が退職していても、なかなか会社側を敵に回してまで原告の味方をしてくれる人は少ないですね。ところが、比較対象者になってくれる2人の男性が同席してくれたのです。

原告の女性KさんとNさんの職務評価の結果、かなり高い点数が出ました。男性比較対象者とほぼ同じだったのですが、男性が班長とかの肩書きがある分だけ、ほんのちょっとだけ低くなりました。でも、賃金差は、仕事の点数とは比べものにならないくらいの大きさでした。こういうことが職務評価で分かったのです。これを裁判の証拠に使えるかどうかは分かりません。なぜなら、日本の経営者はこの職務評価を認めていないので、裁判所も当然同じ傾向だからです。しかし、作業中にいくつか深く心に刻むことがあったので、以下にまとめました。

中小企業の現場で働く人たちの賃金は凄く低いということ。

私の友人にも低い賃金の人はいますが、勤めている先がNPOとかの非営利団体なので、低いのは当然と勝手に納得していたところがありました。この会社は全国に工場のある中堅どころの会社です。

職務評価をしている人たちの雰囲気が良かったこと。仲間という感じで、会話も暖かい。お互いによく知っていて「自家製の化粧品で顔を腫らしてきたね」などと笑い合いながらの作業でした。部屋は寒かったけど、ほかほかしました。

原告たちが仕事と賃金が釣り合っていないとする理由の一つに、仕事の出来ない男性同僚の存在があります。2人いるのですが、この人たちは同じ作業場にいる原告のKさんに比べれば、半分の点数しか出ませんでした。でも、女性のKさんよりはずっと高い賃金です。もし、彼らが、仕事に見合った分だけの賃金であったら、あまり能力のない人たちも働くことのできる、良い職場だと思いました。

ハラスメントは、職場に余裕がないとさらに発生し易くなります。教師もプロフェッショナルとは言えない人もいましたが、そうでない人たちをカバーする仲間意識がありました。これは、一つには、同一労働同一賃金が保障されていたのも大きな要因だと思っています。

労働者にゆとりがなく、目一杯で働く今の職場は、個人的な繋がりもあっさりしていて、スマートになったかもしれませんが、「あんなことあったね」と笑い合う職場からは大きく乖離してきているようです。

給料は安く、男女差もあったけど、残業がなく、働きやすい職場であったことにちょっと感動しましたので、新年の最初の報告にしました。では、今日はここまで

中国電力男女賃金差別裁判の高裁判決に助っ人現る&金関行動

金関(金曜日関西電力前)集会に参加してきました。特定秘密保護法反対のデモの人たちも途中から参加。金関集会では、参加者の背景も様々で、発言したいことがいろいろあっても、原発にだけに絞って今までは各自発言してきました。しかし、成立寸前の特定秘密保護法は反原発運動にも密接に繋がる可能性もあります。ある人が「眉間に皺の寄ることばかり」と言ったように、集会は原発と特定秘密保護法の両方に言及する集会になりました。(日付変わり土曜日です)今朝の朝日の滋賀版に、特別秘密保護法反対のデモの様子が写真入りで出ていました。反原発に関する大津の集会は報道されたことがありませんが、マスコミもこの法律に関してはかなり危険視しているようです。

何度も書いていますが、なぜ無謀な太平洋戦争を止めることができなかったのか、当時の参政権を持っていた人たちは何を考えていたのか、授業でもそういう質問を受けました。(女性は当時参政権がなかったことは念のため)

今夏、私は『ショック・ドクトリン』(ナオミ・クライン著 岩波書店)を丁寧に読みました。検索すると日本語版要約が出てきます。ショック・ドクトリンは日本語で≪惨事便乗型資本主語≫と訳されています。1973年にチリでクーデターが起こります。ここから壮大な新自由主義の経済実験が始まります。チリの国民がなぜこの政策を支持したのかが、太平洋戦争を阻止できなかったことに対する授業での疑問と繋がります。これも≪チリクーデター≫で検索できます。今、安倍政権が進める【特別機密保護法】【経済特区構想】【日本版NSA】。日々の暮らしの中で、右傾化には一見繋がらないようなこと、【NHK経営委員の顔ぶれ発表】【婚外子相続判決に対する自民党内部の抵抗、】、今朝の朝刊にあった【教科書改定国の影響濃く】。こんな風にして、知らず知らずに表現の自由や知る権利を侵害され、気が付いた時には民主化とは全く逆の位置に居た…。これが戦前と同じような時系列経過なのでしょう。

このような状況に【蟻の一穴】でも与えられないかと思います。蟻ほど小さくはないのですが、全く新しい発想もあるのだという例を紹介します。以前から書いています、中国電力の男女賃金差別裁判の広島高裁判決についてです。

広島高裁の判決は例えればこうです。

仮に100(男性70人、女性30)の同期同学歴の社員がいるとします。中国電力はコース別をとっていませんから、入社時は100人全員同じスタートです。勤務してから30年、賃金の高い順に100人を並べてみると男性の65人が高い順に並んでいます。次に女性の3人が続きます。その後に残りの男性5人が続き、それから後は27人の女性が最後まで並びます。広島高裁は、これは「男女が別々な賃金j表ではない。だから男女差別はない」と言い切りました。例えると、男性を白色で表し、女性を赤色で表すと、「白の65本の麺に3本の赤の麺が混じっているのはピンクである。同様に赤27本に5本の白が混じっているのもピンクである」と言ったのです。これに「待った!」をかけた研究者が現れました。量的データの分析方法論という学問で世界的な権威のシカゴ大学の山口一男さんです。山口さんは統計学を駆使して(計算式は全く理解できません)、「中国電力の同学歴同期入社の賃金は、男女別賃金である。京分の1、億分の1も確率はない」という内容の陳述書を書いてくださったのです。この陳述書は最高裁の控訴理由の大きな柱になりました。(下世話に言うと「ピンクでは断じてない」ということですね)

シカゴ大学は新自由主義の中心の大学です。冒頭に書いた「ショック・ドクトリン」では、シカゴ大学のミルトン・フリードマン(ノーベル経済学賞、2006年死去)が新自由主義の象徴として出てきます。山口教授には、ジェンダーと新自由主義についての話しをお聞きしたいと思っていますが、とても看過できない日本の旧態然とした判決だったのでしょうね。感覚的に「ピンク違うやん」と言いつつ、有効な反撃方法を見いだせていなかった原告側に、「科学的色彩学的にピンクではない」と証明してくださったような感じです。最高裁に「高裁の判決は間違っている。科学的な陳述書を評価してください」というような署名を出すことになりました。次回には詳しくお知らせできますので、是非署名にご協力ください。
このような全く新しい発想で、安部政権が目論むことを阻止できる手段を見出さねばと思います。素人は無理なので、いまこそ世界の英知を結集して!だれか〜!いませんか?
では今日はここまで。

中国電力男女賃金差別裁判控訴審判決NO2

続きです。

では、女性の方が低賃金に置かれている理由はなんであるか?それを判決では

<女性の就労意識・女子保護規定の存在>があるとしています。

*「上記男女差が生じたことについては, 女性従業員に管理職に就任することを敬遠する傾向があったり , 女性従業員の自己都合退職も少なくなく,平成113月まで効力を有していた旧女性保護法(女性の深夜時間帯の労働を原則禁止し, 時間外・休日労働を制限していた。)などの事情もうかがわれるのである。」

(これは一審でも判決にありました。これでは、労基法にあった女性保護は、「賃金差別をしてもいい根拠だよ」と公然と認めていたことになります。また、長迫さん個人が「管理職になりたい」と頑張ってきたことを、一般論で処理しようとしています。)

<長迫さんの格付けについて>

長迫さんが昇格を望み、上司からも褒められるほどの仕事をしてきたにもかかわらず、なぜ昇格できなかったかの判決です。弁護士の言葉をそのままお借りします。遅くなりましたが、これらの解説を書いてくださった弁護士は宮地光子さん。住友3社の裁判、日本で最初の職務評価システムを証拠として採用した京ガス裁判等、働く女性の裁判を数多く手がけている弁護士です。
*判決では、「彼女の資質に問題があったからだ」とする会社側の言い分をそのまま認めている。会社の人事考課制度を合理的なものと認定した結果として、会社が、長迫さんに対する人事考課において低評価の理由にしてきた事柄に全く疑問を差し挟んだ判決ではありません。長迫さんの人事考課票には、事実に基づかない記載がなされている箇所があり、そのことを私達は繰り返し主張しましたが、判決は、人事考課票に記載されたことをそのまま認定し、「仕事の仕方等では, 評価が高いが, 責任・協力という面, その中で協調という面で不適切な発言もあり改善してもらいたい。」などという管理職の査定理由の説明をそのまま認定しています

(証人尋問の報告は

http://blog.livedoor.jp/letchma11/archives/51931288.html

を見てください。この証人尋問で、かえって長迫さんに対する会社の恣意的な態度が浮かび上がったことを報告しています。裁判官、なんのために思わせぶりな証人尋問を行ったの?会社側の弁護士はしどろもどろで、何度も額の汗をぬぐっていたのを忘れてしまったの!)


*判決は、会社は「主任1級や管理3級になろうとする従業員に対し,個人の成果だけでなく, 職場の一体感やチームワーク向上に対する能力・成果も求めていたものというべきである。」としたうえで、「ところが,上記のとおり,控訴人は,業務の結果については高く評価されている一方, 協力関係向上力, 指導力については問題があると評価されていたのであるから, 被控訴人が主任1級や管理3級になろうとする従業員に求められる職場の一体感やチームワーク向上に対する能力・成果を具備するに至っていなかったものと認めるのが相当である。」としているのです

(なんとなく想像できますよね。出雲営業所で、独占企業の電力会社で日々男性どもがどういう働き方をしていたか?そこに物言う女性が登場したのです。すごく疎ましかったでしょうね。想像に難くないですね。最近『裸の王様』松尾匡著を読みました。内容は経済です。この本(まだ原発事故は起こっていないときの出版)から推測すると、最も顕著な例が原発についてだと考えられます。もう破たんは目に見ているのに、誰も(経団連を初めとする財界、それと足並みを揃える政界)「王様は裸だ。(もう原発は止めよう)」と言わない、言えない社会。これを協調性と言うようです。)

☆<昇進差別について>

長迫さんは、昇格の男女差別だけでなく、平成18年2月以降は、主任の職位に昇進してしかるべきであったと、昇進差別についても主張していましたが、今回の判決は、「控訴人は, 職場の一体感やチームワーク向上に対する能力・成果を十分有していなかったことは前示のとおりである。 さらに,控訴人に対する職務適性評定の結果は、平成17年度ないし平成19年度のいずれも, 業績・能力第一主義で正確, 迅速な業務処理を行い, 仕事への信頼度は高いと評価されている反面, 毎年, 自説に固執し, 自分本位で他の意見を聞かないと評価され, 指導を要するものとされていたのである。そうすると,被控訴人が控訴人を主任に昇進させなかったことは,被控訴人の人事権の裁量の範囲内で判断されたものというべきである。」としています。この「自説に固執」するとは、長迫さんが、約款や取扱い基準について、出雲営業所の管理職の方針に疑問を呈して、中電本部が取扱いをすべきであると意見を出したことなどを指しているのですが、そのようなことが「自説に固執する」とか「自分本位である」などと評価されて、低評価の理由にされるのでは、管理職に対して自由に物も言えないということになります。

職場の一体感には、価値がおかれても、上司に意見を言うことはマイナスの評価にしかならないというのは、日本の企業社会が旧態依然とした村社会であることを端的に示していますが、このような人事考課のあり方を、何の疑問の余地もなく判決は肯定しているのです。

賃金を決定する物差しが、村社会にとって好都合か否かで決められる、その物差しが歪んでいると訴えているのに、「村社会の物差しは『こうだ』」とだけしか言わない判決は、つくづく日本の司法のお粗末さを露呈していると思います。



(私の瑣末な感想なんか吹き飛ぶ宮地弁護士の言葉です。日本の人事考課は客観的ではない。過労死寸前まで働くとか、上司に逆らわないとかを会社への貢献度として査定しています。家事や育児の性別役割分担が重い日本の女性が、貢献度が低いと査定されるのは当然です。そういえば、銀行総合職の卒業生が嘆いていました。「私は保育園にお迎えに行かなければ、ならないので、勤務時間中に段取りを考えて必死に仕事している。でもおじさんたちは、だべってばかりで、退行時間になってようやく働き出す」。貢献度は、after5で職場に居るおじさんたちの方が高いと査定されるのでしょうね。)

これで二回にわたった中国電力控訴審裁判の判決の報告を終わります。

次は、最高裁です!

では、今日(おっと、前回のブログも今日でした)はここまで。

長迫さんに送りますので、コメントを書いてください。いつも書いてますが、あなたのアドレスやお名前は公表されません。長迫さんには知らせたいですね。よろしくお願いします。


 

中国電力男女賃金差別裁判控訴審判決NO1

中国電力で働く女性が、男女に賃金差別があるとした裁判の判決があり、傍聴してきました。一審の広島地裁判では敗訴。1昨日の718日の二審の広島高裁でも負けました。「公正な裁判を」の要請ハガキを裁判官に出してくださった方々、ありがとうございました。実りませんでした。

判決の後、記者会見がありました。地元の中国新聞は来ていませんでした。朝日、毎日、地元のテレビ局等は来ていました。

今頃そのことに気が付いたのは、次の記事を目にしたからです。

【中国新聞】ニュース > 社説 - 2013.7.18 ≪'13参院選 雇用政策 「非正規」どうするのか≫

http://www.47news.jp/47topics/e/243565.php

中国電力・広島銀行・中国新聞が中国地方の御三家と聞きました。中国電力を相手にたった一人で、昇給・昇格で、女性が差別されていると訴えた判決を、中国新聞が報じる訳がありません。御三家、それプラス政治権力が悪影響を及ぼしたのでは?と言いたくなるような判決内容でした。
(中国電力、一般論でない、足元の労働問題を書くべし!)下のは、毎日新聞の記事です。

 
賠償訴訟:女性の賃金差別、高裁も認めず≫ 2013年07月19日 東京朝刊

 中国電力(本社・広島市)の女性社員(50)が、昇格・昇進に男女差別があったとして、同社を相手取り、差額賃金など2468万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が18日、広島高裁であった。宇田川基裁判長は、女性のほとんどの賃金が男性より低額なのは認めたものの「人事評価に女性差別が存在した事実は認められない」として、1審・広島地裁判決に続き、原告の訴えを退けた。



納得できない判決内容を、女性の弁護人の解説を引用して、私なりの解釈を加えて、以下に書きます。

<全体的な男女間格差について>

彼女(長迫さん、判決文では控訴人)の現在の地位は、主任1級、この職になったのは昨年の2012年度から、それまで一つ下の主任2級に実に13年間置かれたままでした。同学歴の男性の遅い人で、主任2級の期間は6年です。

【判決文の要約】平成20年の時点。

*主任1級以上の職能等級になっている者の割合は, 男子従業員の90. 4%。女性従業員は25. 7%

*男性従業員で初めて主任1級に昇格した者の年齢は36歳、男性従業員の過半数が40歳までには主任1級に昇格。女性従業員で初めて主任1級に昇格した者の年齢は41歳。

*職能等級昇格前の在級年数も同女性従業員の方が同男性従業員よりも長い傾向にある。

*その結果, 控訴人と同期同学歴の事務系女性従業員の平均基準労働賃金額は,同男性従業員の平均額の88. 1%。年収換算で85. 6 %。個人別の賃金額分布においても女性従業員のほとんどの賃金が, 男性従業員よりも低額となっている。

≪以上から読めること≫→男女間の格付け・賃金の格差を認めている。



<しかしこの格差を、男女差別とは認定しない判決の2つの理由>≪≫は弁護士の言葉、( )は私の感想。

☆人事考課制度は合理的である。

*職能等級の昇格は,人事考課(業績考課,能力考課)により決まる。

*被控訴人(中国電力のこと)の職能等級制度 、及び,人事考課の基準等にも, 男性従業員と女性従業員とで取扱いを異にするような定めはない。

(当たり前でしょう。男女で異なる扱いを明記していれば均等法違反ですぞ!そんなあからさまな違反規定を会社が明文化するわけない!)

* 評定基準が作成された上これが公表されている。(プロセスが問題なのです!)

* 評定者に女性を登用したり,評定者に対する研修が行われたりしており,人事考課の実施についても, 第一次評定者による評価を更に第二次評定者が再検討し, 被評定者にフィードバックされていて, 評価の客観性を保つ仕組みがとられている。

(ようこんなこと、会社はぬけぬけと書き、裁判官はそのまま認めたね?!階級社会?、階級会社?で、何人が査定しようが、上司に逆らってまで、女性社員を擁護するような男性上司はいないでしょう。本人に評価の内容が知らされているから、客観性があると?客観性の意味をご存知ないのは、会社も裁判官も)

≪以上から読めること≫→会社の主張をそのまま認めている。控訴人の弁護団は、人事考課の査定制度に性差別性があると指摘してきた。これに関して判決は、一顧だにもしていない。≫
☆昇格や賃金において男女が層として明確に分離していない

*女性従業員と男性従業員との比較についても, 同じ男性間にも, 昇格の早い者, 遅い者があり,賃金額にも差があるのであって,男女間で,層として明確に分離していることまではうかがわれない。

見にくいのですが、最後の表を見てください。青が男性、赤が女性の月収を表したグラフです。裁判の証拠として提出されたものは、平成13年度〜23年度までのグラフでしたが、このブログにうまく貼り付けできなかったため、下記のを使いました。証拠として提出されたグラフは、このようなのが各年度毎に集計されています。男女の位置はこんな感じです。判決分にある「男女が層として明確に分離していない」というのは、青のところに、何人かの赤が混じっていることを指します。女性だって高い月収の人はいる。だから、男女で明確なる差はないというのが会社側&裁判官の言い分です。

(このような社員の賃金を把握しているのは会社側です。日本の裁判所は、賃金台帳を持っている側に資料を作成させるのではなく、持っていない側に作成するように求めます。長迫さんが、このようなグラフを作成できたのは、二審で裁判所が会社に「賃金台帳を提出しないさい」と言ったからです。住友金属の男女賃金差別裁判でも、同様のことが起こりましたが、会社の出した台帳には個人の名前がありませんでした。仕事が終わった後、住友金属の原告たちは、個人を特定する作業をしました。そして、ついに、隠している賃金台帳があることを発見しました。長迫さんも同じ作業を延々しました。「賃金台帳を出しなさい」と言ったときの期待を、裁判官!見事に裏切ってくれたましたわね。)

≪以上から読めること。弁護士の言葉です→これが層として分離していないなどと、どうして言えるのか。今回の判決の最大の疑問であり、弱点だと思います。判決のいう「層として分離」というのは、男性は全員が女性より賃金が高くなっている場合しかあり得ないことになりますが、それは明らかな男女別賃金体系です。そのようなものでなければ層として分離にあたらないというのでは、人事考課制度のもとで、男女差別賃金を問題にすることは、およそできないということになってしまいます。

(最初の【判決の要約】のところで、男女に賃金差があると認めておきながら、矛盾する内容ですね。)

長くなるので、いったんここで終わります。


中国電力








続きは、すぐに更新します。

では、今日はここまで。


 


 


 

中国電力男女賃金差別裁判結審&社会権規約委員会の日本政府審査

中国電力の裁判の報告が遅くなりました。風邪がなかなか治らなくて、すっきりとしない日々です。

さて、中国電力の裁判は結審しました。判決は718日です。控訴人の長迫さんや弁護士の法廷での陳述は論理的で説得力がありました。傍聴している限り原告に理があります。しかし、この国の労働問題に関する判決は、本当に三権分立?と首をかしげたくなることがあるので、判決まで気を許せません。勝っても負けても、最高裁まで行くことになります。

59日の結審ならば、多分判決は9月だろうと控訴人側の関係者は思っていました。しかし、718日です。そんなに短い期間で判決文が書けるのだろうか、もしかしたら、判決の内容をもう決めているのではないか、結論ありきではないか、短い期間で決めるといいうことは、従来の価値観「男女差別はダメ。でも世間の慣習(これを公序良俗といいます)では、女性が補助的な仕事であることは仕方がない」を踏襲するのではないかと、不安な黒雲がむくむくと湧いてきました。
そこで、裁判所に、公正な裁判を要請することにしました。6月中に是非裁判所に要請ハガキを出してくださいませんか。
詳しくは「続きを読む」に入れておきます。



中国電力男女賃金差別裁判、ハローワーク雇い止め裁判、プラダセクシュアルハラスメント裁判の3原告たちがジュネーブへ4月下旬からのゴールデンウィークを利用して行きました。その時期に、ジュネーブで、国際人権規約の社会権規約委員会の審査があったからです。日本政府の審査は12年ぶりだったとか。当然、各審査項目に回答するのは、各省庁の官僚たちです。官僚たちは、いかに日本政府が努力しているかを述べます。

女性活用を問いただした国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)での回答もそうでした。「男女雇用機会均等法を作り、これを守っています」のような。また、男女の賃金差が大きいことに対しては、正規労働者のみの男女賃金差で回答することをしました。今や、女性の2/3は非正規雇用で働いているにもかからず、非正規の賃金はカウントしませんでした。

このようなことが予想されたので、日本から約70団体が参加し、ロビー活動を繰り広げました。で、上記3人のことに関する事項にも触れた勧告が出ました。日本語訳は以下で読むことができます。

http://www26.atwiki.jp/childrights/pages/234.html

こんなサイトもあるんだ〜!と、一度訪ねてみてください。

で、特に、委員会は、日本政府にILO111号条約を批准するように求めています。ILO111号条約を批准すると、司法にどのような影響が及ぼされるかが、下記の論文です。批准すると、冒頭に書いた、中国電力の判決が、大どんでん返しがあるかもしれない怖れが取り除かれる可能性が大であることが分かります。


≪社会権規約委員会:日本に対する第3回総括所見≫(2013年5月17日)

15委員会は、雇用および職業における差別に関するILO111号条約の批准を検討するべきである旨の締約国に対する勧告をあらためて繰り返す。


≪日本の司法状況を打破するためにも≫吾郷眞一(九州大学)著(20001020日部落解放482号掲載)

 ILOが国際的な世論をバックに、批准した国に対して、条約の正確な実施を働きかける効果は大きいと言いましたが、日本という国に着目したときに、さらに意味をもってきます。日本の司法、すなわち裁判所は、最近、とくに労働問題に関して保守的な態度をとりつつあります。憲法で保障されているさまざまな労働基本権を、きわめて狭く解釈する傾向にあります。労働者の基本権、広い意味での人権が、国内の裁判所で十分に保障されないという場合に、条約という国際取り決め、批准したならば国内法的な効果をもつ国際法を利用して、裁判所の限界を破ることができるわけです。今日の日本の司法状況を考えると、こういう可能性を残しておくことは十分に意味があることです。平等取り扱いの原則の実現をめざして、このILO111号条約が批准されることは、司法の限界を超える点においても、大きな意味があると言えます。


労働問題からは外れますが、滋賀県の嘉田知事が≪女性手帳は「論外」子育ては社会全体の問題≫と議会で答弁したとの記事がありました。
概要はこうです。

妊娠や出産に関する知識を広めるため、政府が導入を検討している女性手帳について、「論外。なぜ女性だけなのか。男性を含め社会全体で子育て、家族の問題を考えないといけない」と批判した。≫(京都新聞528日朝刊)


以上、あれこれ盛り込みましたが、政財界のトップに何が欠如していると思いますか?それは人権に対する考えです。女性の人権に関しては、嘉田知事はぶれませんね。では、続きを読むで、長迫さんの悔しさを知ってください。これは結審の場で、彼女が陳述した内容です。一部割愛してあります。
長くなるので、次回に、日本の人権のガラパゴス化について書きます。


 

続きを読む

解雇の金銭的解決&美しい国

文章を書くときに、抽象的な言葉はなるべく使わないでおこう、「頑張る」のような言葉は、具体的な言葉に置き換えられないか再考して!と、授業で言ってきました。「美しい国」と盛んに言っているこの国の首相は、どのようなことが脳裏にあるのでしょうか?「、国民のみなさん、ゴミを拾らいましょう」という意味なのかしら?

タイムリーに下書きしていたのですが、今になってしまったイベントの感想から。

427日〜29日「ラ・フォレ・ジュルネ」、日本語で「至福の時」というそうですが、19世紀からのフランスとスペインの音楽と題して、有料、無料のコンサートが開かれました。びわ湖ホールは琵琶湖畔にあります。オペラ歌手の小野和歌子さんが歌うメインホールのステージのバックは全面ガラス窓です。窓の向こうには、青空と、若葉が風に揺れる大きな2本の木と、びわ湖畔を散策する人々の姿が見えました。無料コンサートなので、聴いている人もラフな格好で、生活の延長線上に音楽がある感じ。誰もがゆったりと穏かに時を過ごしていたように見えました。白いドレス姿の小野さんの歌声を聞きながら、「美しい国」とはこのようなことをいうのではないだろうかと思いました。

主催は滋賀県です。嘉田さんは数少ない女性知事です。その嘉田さんの発言が、新聞に載っていましたので、紹介します。(2013.05.08京都新聞朝刊)
≪嘉田知事、96条改正「慎重に」 原発トルコ輸出を批判≫

 滋賀県の嘉田由紀子知事は7日の定例会見で、今夏の参院選の争点に浮上している憲法96条の改正について、「慎重であるべき。権力者側が緩和をして変えやすくするのは主権在民に反する」と述べた。

 嘉田知事は国民的な憲法論議の必要性を指摘した上で、改憲に必要な国会の発議要件を定めた96条の改正について、「憲法は国民が権力者に歯止めをかけるもの。国際的にみても3分の2を必要とする条項は異常ではない」と述べた。 また、参院選では原発とエネルギー問題も重要な争点になるとし、安倍晋三首相がトルコへの原発輸出を表明した動きについて、「福島の現状をみれば、原発が地震を克服したと言えない。地震国のトルコに輸出するのは国際倫理上も問題」と批判した。

 

滋賀に暮らしている私は、この点だけでも大阪府とか大阪市とかの住民よりは気持が楽になります。それに比べて、これも数少ない女性、それも最年少の大津市長はまだまだ勉強不足です。政治が教育に介入した歴史をご存知ないようです。トップに立つ人は、おさおさ怠らず歴史を学んでください。でないと、「侵略の定義は定まっていない」」などと発言した、抽象的文言の好きな方と同次元になってしまいます。この話題は、大津であった53日の憲法記念日の集会でも話題になりました。嘉田さんもそうですが、こういう集会に参加された野洲市長は大いに気骨のある方だとお見受けしました。

1990年の湾岸戦争勃発のとき、イラクがクウェートになぜ侵入したのか、授業で調べました。マスコミが報道しているアメリカ一辺倒ではない歴史が見えてきて、「そうか」と結構授業が湧きたったのを覚えています。多面的に学ぶということは大切ですね。でも、油断していると大阪のようになってしまうかも。

で、今回は教育以外の内容です。

安倍首相が「解雇の金銭的解決」について言及し、その導入が検討されています。この制度を推進する、政府の「規制改革会議」雇用ワーキンググループ座長の慶応大学大学院鶴教授へのインタビュー記事がありました。(2013.04.26朝日)以下、まとめてみました。

*会社に解雇された働き手が裁判で争い、不当な解雇と判断されれば、今は元の会社に職場復帰する以外の救済はない。

*現実には職場の人間関係が悪くなることもあり、みんなが会社に戻りたいわけではない。

*解雇し易くするのが目的ではなく、金銭的な解決は今でも労働局の斡旋や労働裁判、裁判での和解では行われているが、補償額は少なく泣き寝入りも多い。

*だから、不当解雇の場合に払うべき補償金として、欧州のように『勤続何年でいくら』という基準があれば、裁判以外でも目安になる。金額次第では今までの水準より多く払うこともある。

*「金銭解決」は、お金を払って解雇するのではない。解雇が裁判で不当と判断された場合に、働き手が受けられる救済措置の選択肢を増やすことが目的。

*最近の裁判所は、会社が解雇する場合、人員削減の必要性や解雇を避ける努力をしたかなどの要件を厳しく問うより、経営判断に口を挟まず、労使でよく話し合い、納得が得られるような手続きを踏んだかが重視されるようになった。解雇をし易くする規制緩和が必要なわけではない。

 

うまくまとめられず、鶴教授の意見をほぼ全部載せてしましました。

さあ、どう考えますか?赤字の部分矛盾していませんか?鶴先生!

まず不当解雇の文言です。今、国の出先機関を解雇された女性が裁判で争っています。私も微力ながら裁判の応援をしています。で、この裁判まだ始まったばかりですが、ずっと原告と被告の間の書面の遣り取りです。1回の裁判は10分くらい。これが日本の裁判のやり方なのですが、判決が出るまでにこの先何年かかるか分かりません。最近の裁判では、不当解雇と認められるケースはごく僅かです。今は金銭的解決がないから、勇気のある人は裁判、大多数人は泣き寝入りだと思いますが、長い、それも勝つか負けるか分からない裁判を思うと、もし、金銭的解決が制度としてあれば、これを選択してしまうのは目に見えています。ということは、結局その解雇が不当かどうかと判断する前に、解雇は成立してしまう可能性は大です。

労働者派遣法も、高い技能を持ちながら、安く使われてきた、例えば通訳の仕事をしている人の救済のための法律となるはずでした。でも、労働者派遣法の実態は、欧米では許されない内容です。
そもそも労働者の権利が殆どない、ILOの労働に関する条文を殆ど批准していない日本では、例え労働者側に立った精神を持った法律でも、どんどん形骸化していくことは目に見えています。

甘い言葉にご用心!しっかりと見抜く聡明さを労働者は持たなければと改めて思いました。
明日は、中国電力男女賃金差別裁判の結審の日です。傍聴に行きますので、次回はその報告と、長い裁判を闘ってきた長迫さんの陳述を紹介します。
では、今日はここまで

中国電力男女賃金差別裁判控訴人尋問を傍聴する。

まず前座二題。
昨年2月、福島第一原発1号機の原子炉建屋にある非常用復水器が作動しなかったのは、その破損の原因が津波によるものなのか、地震によるものなのかを、国会事故調査委員会が現地調査しようとしたところ、実際は建屋に明かりが差し、照明もあったにもかかわらず、「原子炉建屋の中は今は真っ暗、調査は難しい」と東電が虚偽の説明をし、国会事故調査委が調査を断念したというニュースが朝日新聞に報道されました。(多分、朝日のスクープ!)

新聞の読者投稿欄に「企業業績が不振になった際、従業員を解雇して債務を減らすのではなく、まず責任を取るべきは、判断ミスや怠慢で業績不振になった責任の第一人者であるトップ。辞めるべきはトップでしょう」というのがありました。



私はほぼ毎週金曜日関電大津支社前で「大飯原発を直ちに止めろ」「琵琶湖を守れ」と叫んでいますが、上記二題から、

日本の経済が「失われた20年」とかいって、大量の非正規労働者で企業の収支を合わせているのは、グローバルとかリーマンショックとかではなく、「前例がありませんからというセリフに象徴される、リスクを取らない経営者の自己保身の頑迷な思考にあるのだ。

よって今、日本を動かしている人たちは、人間を含むあらゆる生物の命とか地球の存続とかの長期的展望・視野にたった思考が出来ないから、原発をなくす気は全くない。(電気事業連合会長の関電の八木社長は『発送電分離なら売り上げが減り、原発の維持費が出せなくなる』と言ってます。なんか、例えが悪いですが「麻薬や止めたらヤク患者が苦しむし、ヤク経済が回らなくなる」と言っているようです。)



で、ここからが今回のメイン、「中国電力男女賃金差別裁判」報告です。

なぜ、前座二題から始めたかと言えば、裁判で明らかにされた会社の体質が上記の推論と同じだからです。



控訴人(二審なので、原告ではなく控訴人)長迫さんは、中国電力の女性社員です。同期同学歴の男性に比べて昇進が低いことを広島地裁に提訴しました。詳しくは20111231日のブログを見てください。

一審の広島地裁では、まさかの原告敗訴。二審の広島高裁で何度かの書面の遣り取りの後、ようやく2013.02,14、証人尋問が行われました。地元、東京、関西等から多くの女性が広島に駆けつけました。会社側の傍聴人が9人、60人定員の法廷は、控訴人側の傍聴人で埋まりました。控訴人の弁護士から1時間半、被告中国電力の弁護人から1時間半の計3時間(休憩10分を挟んで、実質4時間弱)を、長迫さんが1人で受け答えをしました。


最初は、長迫さんの弁護士からの尋問です。弁護士は宮地光子弁護士。住友の男女賃金差別や京ガス賃金差別裁判を担当された心強い女性の味方です。次が長岡弁護士、ともに女性弁護士です。

二人の弁護士の尋問によって、長迫さんがいかに有能で、誠実な仕事ぶりであったことが明らかにされていきます。(誠実な仕事の誠実の相手は誰かと言えば、当然顧客です。決して上司ではありません。これも彼女が疎外された一因と私は思っています。)

それまで女性に担当されて貰えなかった営業部門でも、トップの成績を収めていたことがデーターで示されていきました。さらにこの尋問で、長迫さんがパワハラに遭っていたこと、現在もそれが続いていること明かになりました。聡明で活発な彼女と何度も出会っていますが、誰も気が付きませんでした。(裁判に訴えたことがハラスメントに拍車をかけました)

続いて、被告側の弁護士の尋問。

彼は、長迫さんがどれだけ職場の秩序を乱す、周りから浮いて存在であったかを浮き彫りにするために、短い尋問を次々と繰り出してきます。

被告側の弁護士と会社側はこの裁判を甘く見ていたのでしょうか?会社側と打ち合わせが出来ていませんでした。長迫さんの「それはどういう意味ですか」には「その質問は撤回します」と何度も言い、また長迫さんの「それはこういうことです」の説明に何ら反論できませんでした。

女性に関係あることだからの一例を紹介します。

Q:控訴人は、お茶くみを止めさせたと陳述書に書いてありますが、あなたがその営業所に転勤になったときは、女性のお茶くみはもう止めていましたね。

(職場環境の改善を控訴人がいくつか提案したように書いてあるが、それはあなたが提案する前から行われていた。虚偽の陳述をして、能力あるかのように書くな!の意味かな?)

A:各自のお茶は飲みたいときに飲みたい人が入れることになっていましたが、お客様へ出すお茶は、「○○ちゃん、お茶」と言われ、女性が入れていました。(女性は全員ちゃん付けだったそうです。今でも「うちの女の子」なんて男性上司が言いますね。この遣り取りを聞いてあなたは「お茶くらい女性が入れたらいいやん」って思ってませんか?それならば、私の力不足です。私はO商業高校で女性の先生がお茶を入れる慣習を止めさせるのに10年かかりました。体育科の女性の先生はその後もずっと入れていました。次の学校で分煙するのにこれも10年近くかかりました。さんざん嫌味を言われましたけれどね。日々の小さなことを通して仕事と向かい合わなければ、職場の風通しは良くなりません。一事が万事と言うでしょう。「なぜこれは個人の仕事ではなく、女性という性の仕事なのだ?」と疑問を持ち続けないとね。)

Q:あなたは△さんのパソコンを覗き見たりしたのではありませんか?

(この質問の主旨は、「権限もないのに、他人の仕事に口を挟むな」という意味)

A:私が横を通ればパソコンは閉じられ、仕事の話は中断しました。上司は廊下で私の姿を見ると、元来た道を引き返して行きました。

(彼女が日々針のむしろの上で懸命に働いていたことが分かりました。懸命というのは、それでも彼女の営業成績はトップだったからです。)



終われば、傍聴人の疲労は極度に達してました。長迫さんと弁護団は想像を絶するものがあったでしょう。明日は傍聴へという夜、「今頃長迫さん宮地弁護士は眠れていないだろうな。弁護士の職務評価をすればどれくらいになるだろう」と思っていました。
裁判の翌日、長迫さんの職場は静かだったそうですが、我慢強い彼女だからの感想かもしれません。私が今回強く思ったことは、会社側の陳述書に協力した主に元同僚の男性の心境です。(同期同学歴の男性は全員管理職員になっている)前座二題とも繋がるでしょう。



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では。今日はここまで。



 


 


 

中国電力男女賃金差別事件

百均ショップには沢山の商品があって、「なんでこれが100円なん?」。その商品の向こうで働いている人の賃金はどれくらいなんだろう。海外のどのような工場で働いているのだろう、社会保険は?等々疑問が湧いてきます。ドイツKIK社のジーンズを縫っているパキスタン南部カラチにある衣料工場で2012911日から12日にかけて火災が起き、289人の労働者が、逃げ遅れて亡くなりまし。4階建ての工場に入口は1つ。防火対策も消火や換気の設備もなく、窓は全て鉄格子、ドアや階段は品物で塞がれていたそうです。ドイツの人はこういう環境の中で、安い製品が生産されているのを知っているのかしら!KIK社って、ドイツサッカーチームのユニフォームも作っているようですね。私もユニクロの製品は知っていますが、これを作っている労働者の状況は知りません。グローバル化経済が避けて通れないのなら、想像力もグローバルにしないといけないと考えさせられた事件です。
(
http://www.youtube.com/watch?v=bV8_vCFewDw)



二点報告します。一つ目は中国電力男女賃金差別事件です。

朗報(楽観は許されませんが…)

裁判傍聴に行ってきました。控訴人の報告を一部引用します。この裁判を象徴するような場面があります。それは主任弁護士が女性たちということです。日本でも指折りの優秀・聡明な弁護士たちです。頼もしい〜!この優秀な弁護士だからこそ、控訴審が続いています。

*追加的請求が認められました。一審では賃金差額を請求していませんでした。しかし、控訴審では、控訴側の請求に基づき、裁判所は会社側に賃金台帳を提出させました。もし控訴人が男性社員並みに昇進していたら得られるであろう賃金の差額を積み上げ、請求しました。一審の争点以外の争点が二審で認められるのはなかなか難しいことです。弁護団の緻密で論理的な分析が功を奏した結果です。会社側が提出した賃金台帳には従業員の名前がありませんでしたが、これを弁護団は解読しました。そして、女性の評価が高くても昇進や賞与に反映されていないこととか、控訴人が裁判を起こしたことを「協調性がない」という評価に結び付けていたことが分かりました。
(裁判後の集会で「ロゼッタストーンを解読したシャンポリオンみたい」との声あり。シャンポリオンは「クレオパトラ」という言葉を解読出来た以降、もつれた紐が解けるがごとく、ロゼッタストーンに書かれていた文章を全て解読しました。てなことを何かで読んだ記憶があります。)


*本人尋問の請求が認められました。一審以外の新たな証拠が出ないと、証人尋問は控訴審(二審、広島高裁)では認められるのは難しいのですが、本人尋問1時間半、反対尋問1時間半と認められました。

(油断は禁物ですが…。以前書いた自治労A本部嘱託書記雇い止め事件では、大阪高裁で証人尋問が認められましたが負けました)。次回の裁判は来年214日です。



二つ目は、プラダジャパンのセクシャルハラスメント及び解雇事件です。

≪プラダ:元女性部長の解雇無効請求を棄却…東京地裁≫毎日新聞 20121026日 

イタリアの高級ブランド「プラダ」の日本法人「プラダジャパン」(東京都港区)を解雇された元部長の女性(38)が解雇無効と慰謝料などを求めた訴訟で、東京地裁(森岡礼子裁判官)は26日、請求を棄却した。判決によると、女性は09年に「人事部長から『社長はあなたの醜さを恥じている』と言われた」などと報道機関に情報提供し、報道された。判決は女性の言動について「会社の信用を傷つける行為で、懲戒解雇の理由に当たる」と指摘。その上で「(女性が提供した)情報の根幹部分は真実と信じる理由がない」と疑問視し、解雇を有効と判断した。

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00234240.html


さて、この裁判の裁判官は女性です。卒業生が「センセ、おんなの敵はおんなやで」とよく言うセリフに重なります。自治労A県本部嘱託書記解雇事件でも、解雇されたのは女性、解雇をした側の中心人物も女性でした。男社会の中で、男に伍して生きていくために男以上の働きを求められるのは以前からありましたが、1985年成立の男女雇用機会均等法がさらに拍車をかけました。なぜなら、男女平等とは「女性も男性並みに働くこと」だと定義され、労基法にあったいくつかの女性保護の条文が削除されましたから。女性は同じ痛みを共有しなければ…。それが一方は裁く側で、他方が裁かれる側でも。

さらに、日本の裁判は、中国電力事件にしろ、プラダ裁判にしろ、被害を受けた側が証拠を提出しなければなりません。裁判所が賃金台帳提出命令を出してくれたから、控訴人の賃金と男性社員の賃金を比較することが出来ました。プラダでは、ハラスメントです。ハラスメント被害を証明するには、女性はいつも録音機を用意しておかねければなりません。すぐにマスコミ発表するくらいしか対抗力を持ちえないと思うのですが、原告のこの行為は会社の名誉を傷つけたことになり、解雇されても仕方ない行為だったと裁判官は述べています。ハラスメント受けた時点で、原告はこれをどのように証明すればよかったのでしょうか?


では、今日はここまで。


 


 


 

木を見て山を見ずの法律

法律とは何か!と考えさせられることが多いです。

確かに盗撮はあったのに、立件できないのはなぜ?
(飛行中の旅客機内での盗撮容疑で全国で初めて逮捕された男が、処分保留で釈放されていたことがわかった。盗撮した地点が特定できず、どの都道府県条例を適用すべきか確定できないと検察が判断したためという。〜中略〜盗撮の摘発には、発生した場所の都道府県の迷惑防止条例が適用される。だが、飛行中の旅客機内では、どこの上空だったのかの特定が難しく、これまで逮捕された例はなかった。今回は目撃者や乗務員の証言から、盗撮した時刻を午前8時9分と特定し、航路の分析から盗撮地点を兵庫県篠山市上空と断定して同県の条例違反容疑での逮捕に踏み切った。しかし、捜査関係者によると、事件を送致された検察側は、正確な時間や場所の特定ができず、兵庫県の条例違反に問えるか疑問が残ると判断し、逮捕から10日後に処分保留のまま釈放したという。このまま不起訴となり、罪に問われない公算が大きい。朝日新聞1014)

営業成績優秀で、会社から表彰されているにもかかわらず、同期の男性に比べて女性の賃金が低いのはなぜ?これも、存在することが、法律を介すると存在しないことになるのです。
http://wwn-net.org/?cat=4 この画面の下にグラフがあります。現在裁判進行中の中国電力男女賃金差別の資料です。このグラフでは男性の方が業績を上げているようです。査定するのは男性上司でしょう。で、一審の判決は、ひらたく言えば「男女差別があっても仕方ない。これが世間の常識だから」でした。広島高裁の判決は?1025日に裁判がありますので傍聴に行きます。
報告はいずれまた。

同じような仕事をしているのに、賃金差別が現実に存在しています。でも、これが裁判にかかると、法律は原告に味方しません。日系ブラジル人が原告となった賃金差別の裁判がありましたので、傍聴に行きました。
係争の内容については2012415日のブログを見てください。私は、この事件は「労働者派遣法」で争われるのかと思っていましたが、≪労働者供給事業法≫で争われます。労働者供給事業法については、20091215日≪いろんな仕事1:旅行添乗員≫を見てください。

原告たちが現に仕事をしている工場へ、原告たちを送りこんでいる事業所が中間に4つもあります。その事業者毎にピンはねされていることになります。労働者供給事業法であろうと、労働者派遣法であろうと「原告たちの賃金は、労働が日本人と同じか、より厳しかったにもかかわらず、日本人よりもはるかに少なかった」という事実は存在します。しかし、素人の私が傍聴していても、なかなか原告に厳しい裁判になりそうだとの感想を持っています。


最後の1つ、法律はこう使われるべきでしょうという事件を!
≪大和ハウスパワハラ訴訟で和解≫

大和ハウス工業新潟支店元社員(44)=新潟市中央区=が職場でパワーハラスメントを受け、不当に解雇されたとして、同社に慰謝料など計約1千万円の支払いと解雇の撤回を求めた訴訟の控訴審は3日、東京高裁がパワハラの存在を事実上認め、原告への解決金支払いと解雇撤回などを条件にした和解案を提示、双方が合意し和解が成立した。 原告側の弁護士によると、ほかの和解条件として、精神的苦痛を受けた原告に対し、同社が「遺憾の意」を表明することや合意の上で退職することなどが加えられた。新潟日報2012103

では今日はここまで


 


 

金沢地裁の男女賃金差別事件報告&原発事故被害者からの注意事項

梅雨とはいえよく降ります。大飯原発が再稼働しました。命とか環境とか未来とかで原発を考えていては理解できない構図です。安全性が怪しくて動かせない原発は多額の減価償却費と維持管理費だけを生み、赤字を膨らませる「不良債権」なのだから、財政赤字を膨らませたくない国と、貸し手責任を問われたくない金融機関の利害がからむ慶大教授金子勝さん京都新聞7月3日朝刊から抜粋)
まったく命とは別な、金儲けの考えの構図なのですね。
東電の株主総会でも、脱原発の提案は否決されました。投資家が反対したからです。これも一般人には理解できないことです。


朝日新聞
(73)の投書欄にこんなのが出ていました。福島県南相馬市に住む63歳の男性です。

要約すると以下です。

原発再稼働南相馬から助言」

≪大飯原発の再稼働について、南相馬市民として一言周辺住民にアドバイス≫

・線量計を購入するべし。(前日と違っているかだけを見るので精度は関係なし。間違っても行政が配布する積算線量計などに期待してはいけない)

・予備のガソリンは最低2缶買い置きし、車は毎夕満タンにするべし。

150km以上離れた避難場所を方向別に複数確保するべし。できれば走っておくべし。

・高齢者とペットのいる人には体育館は避難場所にはできないと知るべし。

・避難は一年以上と覚悟すべし。必要なものはすぐに持ち出せるようにし、家に置いたものは盗まれると覚悟すべし。

・原発から自宅方向と距離を正確に把握し、毎日朝夕の風向き、風速を確認すべし。

・原発作業員の友人を複数持ち、何かあったら情報が届く態勢をつくるべし。


「琵琶湖汚染するから原発反対!」のどの文章よりも説得力があります。原発事故下では、これが現実なのですね。


次に、男女賃金差別裁判の報告をします。

629日に金沢地裁であった裁判の傍聴に行ってきました。

訴訟内容は

≪男性と同一の仕事をしているのに女性だという理由で総合職にしないのは不当≫というもので、具体的な訴訟内容は以下です。

・コース別雇用管理制度導入後10年間の賃金格差額

・違法な時間外手当(時間当たり一律625)の差額分(2年間のみ。後は時効が成立)

・これら一切の慰謝料を求める。

・退職金の差額の賠償請求(定年退職後再雇用中)


原告は富山に住む本間啓子さんで、被告は金沢に本社のある東和工業
()です。

原告は、1987年に35歳で東和工業に事務職で入り、3年後に希望して設計職として設計部門に異動。その間、2級建築士の資格を取得。(設計部職員7人の内、女性は原告のみ。建築士の資格を持つのは他に設計部長のみ)。ところが、会社側は、「新賃金体系について」の通達で、総合職・一般職というコース別制度を発表。従前の男性、女性を読み替える。よって、原告は設計部門で男性全員総合職の中で、たった一人一般職となる。度々、会社のトップに「総合職にして」と訴えるが、会社側は「男性総合職、女性一般職という会社の決定が気に入らなかったら、どこか他を探してもらって結構」との対応であったため、納得できない原告はついに提訴に踏み切る。それが201111月。

裁判は、まだ書面のやり取りの段階ですが、会社側は、原告が裁判に必要な資料を会社に無断でコピーして提出したと、就業規則を盾に「懲戒処分」をかけてきています。日本の裁判は、原告側が証拠を提出しない限り、会社の違法性を問えません。資料を持たない原告個人は一体何を証拠として闘えばいいのか、会社側のいいがかりとしか取れない言い分です。

また、会社は、彼女の能力を判断する材料として、「技術の蓄積は、現場経験にあると考えます」と言い、原告が現場を知らないから、技術はないと言っています。これに対しても、原告は再三現場に行きたいと言っていましたが、全く無視され続けていました。研修の機会を与えず、蓄積がないとはよくもまあ言えたものですね。

原告のこれまでの悔しさ、察するに余りあります。「よく我慢したね。よく一人で裁判に踏み切ったね」が応援に駆け付けた
27人の気持ちでした。東京、大阪、富山、金沢、そして大津からの傍聴人は、傍聴席に座りきれないくらいでしたが、長椅子だったので、ぎゅうぎゅう詰に座りました。会社からは4人の管理職が来ていましたが、一人は座れず外で待機していました。今後も応援して行こうと、賃金差別裁判の元原告たちを中心として、ニューズレターを発行していくこと等、応援態勢も生まれました。私もその一員として、今後も報告していきます。

では、今日はここまで。

 

 

人の尊厳〜原発&留年&懲戒解雇のその後

3.11当日の映像や証言等を見聞きしながら、昨日は土を触って過ごしました。夕方、書店で原発関係の本を2冊買いました。
310日は、電力会社現職の方から、原子力発電所(原発)
にまつわる生々しいお話を聞きました。原発を立地するためにマネーを仲介として、地元の有力者、地方議員、国会議員、大臣、経済界、金融、マスコミがどれだけ癒着しているか、今ある原発はどのような経過で、その地に建設されたのか等を。
例えばAという地に原発が決定されるまでに、どれほど沢山の候補地があったか、それらの予定地の中で、今、地名が存在しないということは、誰かがその計画を潰したからです。そういう原発候補地で、反原発に動いたのは圧倒的に女性だったそうです。原発の専門家を招き、地道に学習を積み重ねた結果の反対運動だったそうです。だから、やっぱりここでも言おう。
脱原発と女性の登用」
原子力発電所を建設するには広大な土地が必要です。住民が「あれ?」って気が付く頃には既に土地は買い占めされています。反対の多いことが分かっているから、土地買い占めの理由を最初から「原発予定地です」とは言わず、観光のための開発というのが大体の名目だそうです。目がくらむほどの大金を見たこともないから、「金で変節する」というのが今一つピンと来ませんが、目がくらむものなのでしょう!

さて、CHIHIROさんからコメントを頂きました。変則的なこのブログを読んでくださいってありがとう。「留年」はCHIHIROさんが言うように理解できていなければ、1学年下の人たちと学習するのは正しいことです。ただ、現実にはとても難しい問題があります。その子はどうしてつまづいたのでしょうか。もう一度同じところをやり直しても、もしかしたらまたつまづくかもしれません。
その理由の一つは、文科省で定めた1学級の人数です。小学校・中学校1学年40人編成です。地方自治体で助成して、低学年は35人が多いようですが、中学校は40人で、OECD調べでも韓国に次いで2番目に多い1クラスの人数です。もし、1人の手のかかる児童・生徒がいれば、その子にだけ時間を割くことがどれほど難しいかは想像できます。親もモンスター化しているらしいし(親が意見を言うのは大切なことです。しかし、先生は万能ではありませんし、同じ労働者としての共感は必要です)、管理職の査定も入って来ます。(大阪府・市なら、保護者の要求に応えての学力テストの開示があります)。
たまたま記事で読んだのですが、発達障害の子どもは、全ての教科が分からないのではなく、ある特定の教科だけが理解しにくいのだそうです。「こういう子も、留年して1年下の学級で学ばなければなりませんか」とありました。もし、ある教科だけ1年下のクラスで学ぶとしても、本来の学年の学習もしなければなりません。
日本は「分からなくて留年するのは恥ずかしくない」という社会ではありませんから、現状での最善策は「補習」の形だと思います。しかし、教師にメンタルの病が多く、休職者も多いことは随分前から報道されています。その理由は過労です。現状の教員数では無理ですから、最も最短の解決策は教師の数を増やすことです。
最近、治安が悪くなっているとかで、警察官の募集数は増加しています。子どもの育ちの環境が悪化しているのなら、同じ次元で考えるべきだと思いますがどうでしょうか。予算が少ないから、消防士を削減しようと議会で議論しません。教育はすぐに結果が出ないからこそ、目先のマネーだけで動いてはいけない領域です。

さて、残念な報告を
1つ。このブログでも紹介した自治労A県本部嘱託書記の解雇事件は最高裁に上告されていました。しかし、32日に最高裁が棄却しました。最高裁が控訴を受理するには明らかに憲法違反であると申し立てる必要があります。棄却というのは、それほどの控訴理由はないという意味です。控訴人は18年間仕事をしてきました。最初の契約内容は「公務員に準ずる」で、辞令もありました。しかし、1995年の労働者派遣法により、1年毎の更新となりました。毎年控訴人の清水さんは「今年も契約をします」というチェックを受ける立場にありました。それが何故突然、契約更新がなされなかったのか?さんには退職金制度が適応されていました。しかし、それは支払われていません。退職金の権利があるのに、支払われていないのはBさんの解雇が「懲戒」だからです。

いろいろ問題の多い大阪橋下市長の悪法でさえ、公務員が同じ理由で3回処分を受けたら解雇とされていて、条例なりに抵触することなく突然懲戒解雇はありません。
Bさんは18年間職場を支えてきた自負がありました。その人の18年間の存在を無視してまで退職金を支払わずに解雇した理由を私はさっぱり理解できません。労働者の組合が衰退するのも無理ないねと思います。

では今日はここまで
追伸:この裁判は、最終的に和解が成立しました。Bさんには、退職金の支給と共済年金受給の手続きが執られ、懲戒解雇は撤回されました。

セクハラ裁判&伝統ー共通するものがある!

BSNHKで、イザベラバードの番組を見ながらパソコンに向かっています。(それから早や一週間経ってしまいました。なにしてたんや!!)

≪イザベラ・バードは、イギリス・ヨークシャー出身。1878年(明治11年)6月から9月にかけて、東京を起点に日光から新潟へ抜け、日本海側から北海道に至る北日本を旅し(連れは通訳の日本人男性1名のみ)、また10月から神戸、京都、伊勢、大阪を訪ね、これらの体験を1880 "Unbeaten Tracks in Japan" 2巻にまとめた。第1巻は北日本旅行記、第2巻は関西方面の記録。≫(wikipediaより)


私は余程ひねくれているのかな?って思いながら見ていました。イザベラ・バードが旅した頃の日本を、今の日本に訪ねる番組です。いわゆる温故知新かな?江戸時代の風習が今でも大切に伝承されている滋賀県甲賀市水口町北内貴の「十人組」を紹介していました。集落のこの十人の長老が年24回の行事を執り行いっていくことで、伝統行事が継承されています。それ自体に文句はありません。しかしなのです。この長老が全部男性で、どうもこの集落は長男がその任を受け継いでいるようです。で、年24回の下支えは誰かって?勿論女性です。行事の後の宴会のために女性が待機しています。「大変でしょう」との取材人の問いかけに曖昧な表情の女性の顔。そりゃ言い難いでしょう。女性に人権のなかった時代の行事をそのまま伝承することが、伝統を守るということなのでしょうか。厳しいイスラム原理主義の下、頭からすっぱりと全身を覆うブルカを着なければならない女性たちを「気の毒」って思っている日本の女性も大差ないかもしれません。


さて、本題です。
衝撃的な判決でした。まさかの敗訴です。判決の内容は下記に記した動画サイトで語られています。

事件は以下です。この記事はACW2(働く女性の全国センター)のHPから採りました。


≪就職氷河期、社長と店長による、アルバイト中の就職内定者である学生へのセクハラ≫ 

1. 概要 (原告より)
2007
4月、私は株式会社銀蔵に内定しました。就職難の中、私は大好きなバッグやジュエリーにかかわる仕事、そしてバイヤーを目指したいという夢で、この会社に内定できて、とても嬉しく、頑張りたい気持ちでいっぱいだった。20078月下旬、人事より連絡があり、秋に関西初進出するので、私に卒業まではアルバイトとして一緒に行かないかということだった。行くか、行かないか、を一週間で決めろと言われた。既に私は大学の卒業に必要な単位は取り終えていた。関西初進出の新店舗のオープンから携われるなんて滅多にないことで、バイヤーを目指すのにいいチャンスだと思い、大阪行きを決意した。200710月大阪・心斎橋に引っ越して正社員と同じように勤務していた。働き始めて約1カ月半経った頃、社長からのセクハラに遭い、その5日後今度は店長からセクハラに遭ってしまった。突然のことで、しかも短い期間で2人からセクハラに遭うなんて…社長と店長はグルなのかもしれないと思った。それが複数回続いた。どうしたらよいか分からず、結局体調を崩していき、20083月に退社の決意をしました。セクハラがあったことを会社側に伝えると、生活費やなどは私が社会復帰できるまで補償する、医療費も支払うということで、正式に退社をしたが、会社側は全く約束を守りませんでした。現在私はPTSDによって働くこともできず、毎日、頭痛や胃痛、身体の痛みなど様々な症状に耐えながら生活しています。この苦しみは、被告にはわからないだろうと思うと本当に憤りを感じます。

2.裁判の状況
2010
3月訴訟を起こしてから、1年半以上が経ちました。証拠書類は、原告側は約40ページもの陳述書以外にもいくつか提出していますが、被告側はほんの数ページの陳述書のみです。20116月と7月に行われた証人尋問では、被告は「覚えていない」「記憶にない」ばかり。それどころか、「男だったらヤルでしょう」というようなとんでもない発言や、法廷で声を上げるなど、ひどい様子でした。


彼女は勇気があります。実名も顔も出しています。しかし、この記者会見で「もう生きていたくない」とも言っています。司法の判断は、「イヤなら逃げ出せばいい」から一歩もでていません。このタイトルにもあるように、正社員の職に就ける女性がどれだけいるでしょうか。多くに非正規の労働者が、「次回は更新しない」と使用者に言われるのではないか、正社員も「クビ」と言われるのではないかと戦々恐々の中で、権利を主張しないで働いています。

裁判官って、どういう思考の人なのか分かりませんが、冒頭に書いたことと相通じるものがあると思いませんか?

http://www.ustream.tv/recorded/20175988

ではきょうはここまで

龍谷大学助手雇い止め裁判の和解内容&相変わらずの権力構造

意識は変わりませんなぁ〜!

今、TVで「ガイアの夜明け」を見つつ、このブログを書いていますが、感想はこれですね。

軽自動車に特化して売り出そうとしているホンダと、女性の方が軽自動車を購入するのが多いという定説(疑問もありますが…)に基づき、一足先に改革を進めているスズキの戦略が内容です。

「これからは女性をターゲットにする」という、ホンダの全国販売店店長の戦略会議の光景もありましたが、多分99%は男性。国内軽自動車の販売戦略トップを先頭に、店内改装を相談している光景も男性ばかり。もし、TVに写っていない場面に女性が沢山活躍していたら、どうかホンダやスズキのトップの方々、利用するだけでなく、登用してくださいね。


同じ視点で、もう一点。今日の朝刊
(朝日)の≪原発国家≫の記事のショッキングな見出し。

≪女を恐れた原子力村≫「理論的に話してもわからないし、純情そのもので『こどもを守ろう』というようなことだけですから、かえって怖い」。この文の主語は女性で、これを語ったのは86年のチェルノブイリ原発事故当時の科学技術庁原子力局長・原子力委員であった島村武久さんです。


書き出したら止まらない内容ですが、「女性は感情的に動くことを前提に消費者行動を考えるべし」との記述のあった高校の商業科目の教科書。以前にも書きましたが、オーストリアハプスブルグ家当主のマリア・テレジア
(神聖ローマ帝国共同統治者)を紹介する高校世界史資料集にも彼女に関する説明文は『16人の子どもを産む』という、為政者よりも性に重きをおいた内容だったし、その娘マリー・アントワネットも「美貌だが軽薄」という説明でした。同じ構図ですね。
いや〜!日本はどれだけ沢山の人が犠牲になっても変わりませんなぁ〜!男とか女とかではなく、人権に疎いだけの問題だと思うし、疎いことに男性が多いのなら、とても可哀想な境遇なのです。


さて、今日の本題です。

私が事務担当をしていた龍谷大学特任助手(有期)雇止め裁判の「和解報告」の続きです。前回、弁護団の声明を載せました。何の語句にひっかかるって?私は以下です。

今回の和解内容は、雇用期間が1年にとどまるとはいえ、本件のような非正規雇用の地位確認請求訴訟、特に、初回更新時の更新拒否事案において、使用者側に雇い止めを撤回させ、事実上の「職場復帰」を実現させる内容の和解が成立したことは、非正規労働者に対して厳しい司法判断が続いたり、勝訴判決を得ても金銭解決にとどまり職場復帰を果たせない事例も多いなかで、画期的といえます。

問題点をまとめると

*有期雇用における更新は、効力を持たない。特に初回で雇い止めされたら勝ち目はない。

*雇止めが撤回されたとしても、職場に復帰するのは容易ではない。

*雇止めの理由は特に問題ではない。(嶋田さんは、次回の更新がないと告げられたとき、「あなたに問題がある訳ではない」と告げられています。「仕事の引継ぎをしてください」とも。これって職場は存続しているという意味です。裁判が進むにつれて、嶋田さんの働き方にこそ問題があったのだと変化してきました。)


弁護士のお一人が言ってました。「裁判の経過とともに当局の雇い止めの理由が変化してきた
(上述の三つ目)。こういう場合、職場の同僚の証言「原告の働き方や性格に問題があります」を出して、解雇は原告本人に問題があると変化するものだが、この裁判に関しては同僚からの証言がなかった。稀なケースでした」と。

中国電力で現在係争中の長迫さんも、会社側から「昇進できないのは、彼女に協調性がなく特異体質だからだ」と言い、「そうだ、そうだ」の同僚の陳述を出してきています。以前に書いた「豊中女性センター館長雇い止め」裁判でも、原告の三井マリ子さんへの激しい人格攻撃がなされました。

圧倒的な権力と資金と証拠を持つ企業はいくらでも証拠を捏造し、同僚を裏切らせることができます。「裁判は公平・平等」という理念は、こと労働問題においては全くの絵空事です。(原発も同じ!)

では今日はここまで。

龍谷大学経済学部助手(有期)雇い止め裁判&リバーベンドブログ

今年もお付き合いください。

4日は仕事始め。東日本大震災の東北各県の県庁の「仕事始め」の様子が放映されました。壇上の知事の前に陣取る幹部クラスは男性ばかり。年度途中だからと大目に見てあげますが、来年度女性に地位を半分譲ってくださいね。2012年も「脱原発と女性の登用」を言い続けます。
また、昨年のこの時期に疑問に思った「証券取引所の大発会に着物姿で写っている女性たちの着物代&着付け代&美容院代は誰が負担しているの?」のブログにコメントを頂きました。そうか、派遣の女性もいるんだぁ〜!(コメント欄の一番上)

突然ですが、TPPについてどう考えますか?「賛成それとも反対」。近所のJAバンクには、「反対!はんた〜い!」の幟がに所狭しとなびいています。

分からないまま新聞や本を読んでますが、賛成派の言うことに「なるほど」と心動き、反対派の言うことにも「なるほど」と、考えが定まりませんでした。ところが直接TPPに関係のない『バグダッドバーニング機Ν供を読んで、考えが定まりました。TPPは、グローバル経済で恩恵を受け、もっともっと富が欲しい人たちの戦略の一つであると考えたら分かりやすいようです。それが経済用語で「グローバル経済」「爛熟した資本主義(これはわたしの造語)」と呼ばれようともです。『バクダッドバーニング』は、経済の本ではありません。イラクの首都バクダッドに住む女性のブログです。リバーベンドはハンドルネームです。日本語にも訳されています。本を購入しなくてもネットで読むことができます。このサイトの「日本語訳」をクリック。
http://www.geocities.jp/riverbendblog/

2007年が最新版です。それまでの分は右側に過去のログがあります。「最新版なのに、なぜ2007年までなの?」と疑問を持ちますよね。そうなんです。彼女の現在の消息は分かりません。シリアに2007年に逃れ、その後のブログは途絶えています。昨年は「中東の春」と言われたように、エジプトのムバラクやリビアのカダフィが長期政権の座から引きずり下ろされました。しかし、彼女の逃れたシリアは今、政府軍と反政府市民とが内戦状態です。アサド大統領は強硬派で、市民の血がたくさん流されています。難民となって逃げ込んだイラク人の生きる道はあるのでしょうか?


2011
年にアメリカはイラクから完全撤退しましたが、今もほぼ毎日爆弾で死傷者の出ているイラク。リーバベンドのブログを読めば、占領下で生きるということがどういうことかよく分かります。そしてアメリカが何を目的にイラクに侵攻したかも。こういう一人ひとりの発する言葉にこそ真実が書かれていると思いました。そういう意味では、昨年311日の地震・津波も福島原発も、ジャーナリストや研究者が書くだけでなく、体験した一人ひとりが書いて残しておかなければならないことです。私のブログも、そういう点では意味あるのかもしれません。


新年早々の話題は、私が約2年間応援していた裁判の報告です。原告は研究者で友人です。記者発表した弁護団の声明を先に読んでください。ここまでで十分長い文章になったので、解説は次回に回します。

経済学部和解解決のご報告
20111226
京都地裁に係属していた、嶋田ミカを原告、学校法人龍谷大学を被告とする地位確認等請求事件につき、1222日、両者間で和解が成立いたしました。
本件は、龍谷大学経済学部サービスラーニングセンターの助手として3年の期限付きで雇用された原告が、1回目の更新時に雇い止めされたため、少なくとも1回については更新されるはずであった旨を主張して、地位確認等を請求した事件です。
和解の具体的内容は、被告が雇い止めの意思表示を撤回するとともに、原契約を合意解約したうえ、原告を新たに1年間、龍谷大学アフラシア多文化社会研究センターで雇用するというものです。
本件においては、昨年7月の提訴以降、計7回の口頭弁論を重ね、審理が続いておりましたが、本年10月中旬より、予定されていた証人尋問の実施をいったん延期し、原被告間で和解に向けた協議を重ねてきたものであります。
今回の和解内容は、雇用期間が1年にとどまるとはいえ、本件のような非正規雇用の地位確認請求訴訟、特に、初回更新時の更新拒否事案において、使用者側に雇い止めを撤回させ、事実上の「職場復帰」を実現させる内容の和解が成立したことは、非正規労働者に対して厳しい司法判断が続いたり、勝訴判決を得ても金銭解決にとどまり職場復帰を果たせない事例も多いなかで、画期的といえます。
雇用期間が1年に限られることに関しては、原告の思いを最大限満足させる内容とは必ずしも言えません。しかし、原告としては、「職場復帰」を果たすことが何よりも重要であると考え、また、少なくない関係者の方々が、原告の訴えを重く受け止め、その解決の方向性を真剣に考えてくださっているとも感じましたので、ここに和解を受け入れる決断をしました。
原告はこれまで、雇い止めされる前から、龍谷大学教職員組合、「嶋田ミカさんの雇用継続を求める会」をはじめ、多くの方々の支援に支えられてきました。今日の和解解決も、支援者のみなさまのお力添えによるものと、深く感謝しております。
以上原告嶋田ミカ、原告弁護団

今日はここまで

中国電力男女賃金裁判報告2

年末の駆け込みブログです。原発事故、例えば朝日朝刊の「プロメテウスの罠」、夕刊の「原発とメディア」が報じる事実。私の知らなかったことばかり。毎日の中で、これも書こう、あれも書こうと思うのですが、余りにも目まぐるしく、衝撃的なことがらに、書くべきことの優先度が決められず、何も書かないままに過ぎていきます。(「単に物忘れやんか」という声もあり。)

 武器輸出三原則の緩和、八ツ場ダム・整備新幹線工事の再開のニュースで、心底民主党には呆れ果てます。民主党が政権の座についてから、弱者の側に少しは寄り添った法律、例えば労働者派遣法や、女性差別撤廃条約選択議定書批准、男女平等法等々、頑張れば成立するチャンスであったものがどんどん遠ざかって行きます。
原発事故の教訓も早やくもどこへやら。財界は原発存続を公然と言い出しています。福井にある大飯原発の運転再開の反対のネット署名をこのサイトでできます。もし福井で原発事故が起きたら、周辺府県の放射能による土壌汚染の状況等が図示されていますので、アクセスしてみてください。

http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima/ooi_signature/ooi_signature1201_1.htm

 

中国電力男女賃金差別事件の裁判傍聴の報告です。

一審は惨敗という感じの判決。弁護士を変えての控訴審。三回目の1215日、東京、関西からも応援団が駆けつけて、傍聴席は満員。裁判を傍聴する機会は、日常殆どありませんが、傍聴した人なら立ち見はお断りというのが普通であると知っています。ところが、後ろで立っている人が数人いるにも関わらず、裁判官は何も言いませんでした。傍聴の終った後の参加者の第一声の声は「立ち見OKやった」でした。

二審(控訴審)では、一審と異なる争点を長迫さん側が出しました。一審で争って、納得ができないから控訴するのであるから、一審と異なる争点を出すことは原則駄目なのです。で、当然裁判官は「なぜ」と聞きます。以下、長迫さん(控訴人)弁護団の解説です。
 一審の原告の弁護士は、男女の昇格差別を根拠として、職能等級についての地位確認請求と慰謝料請求だけをしていて、賃金についての損害賠償請求をしていませんでした。しかし、賃金の損害賠償請求こそが重要であるとした、控訴審の弁護団は「訴えの追加的変更申立書」と「文書提出命令申立書」を提出。「訴えの追加的変更申立書」は、一審での請求(地位確認と慰謝料請求)に追加して、差額賃金についての損害賠償請求を求めるもの、「文書提出命令申立書」は、賃金差別の実態を明らかにするために、長迫さんと同じ昭和56
年採用の事務系男女社員の賃金台帳の提出を求めるものです。
会社はこれに対して、長迫さんの一審の弁護士は、差額賃金について損害賠償請求をしないことを明らかにしていたのに、控訴審になって、それを請求するのは許されないとの反論を行なっていました。
しかしこの日の法廷で、控訴人弁護士が言うところの、「昇格差別と賃金差別は、ともに請求の根拠は男女差別であって重なっている」との見解を裁判長は受け入れました。
裁判長は、「訴えの追加的変更の申立」と「文書提出命令申立」について、双方の意見をもう少し聞いてから判断したいと表明し、裁判は終了。その後、裁判長は、進行協議に切り替えて、双方から話を聞きたいと提案。急遽、別室で、裁判官3名、双方弁護士、長迫さんが参加して、協議が始まりました。
裁判長は、訴えの追加的変更が許されるかどうかは、「訴訟を著しく遅延させるか」がポイントであるとし、遅延させないのであれば、訴えの追加的変更も許されるとの立場を明らかにしました。
裁判長は、会社が賃金について、データー処理を行なっているかどうか、データー処理を行なっているのであれば、簡単に出せるのではないかと、会社の弁護士に対して質問。 賃金のデーター処理がなされていて、簡単に出せるのであれば、訴訟を何ら遅延させることにならず、訴えの追加的変更が許されるからです。会社の代理人は明言を避け、
次回2月1日も、引き続き進行協議期日と指定されました。
次回期日に、会社が、裁判長の質問に対して、どのような回答を行なってくるのか、その結果如何によっては、訴えの追加的変更が許されるかどうか、また文書提出命令が認められるかどうかについて、裁判所が、判断を下すことになるかも知れません。
控訴審の弁護団は、賃金差別の実態に踏み込む審理がなされるかどうかが、控訴審の重要なポイントとして位置づけていました。その一歩手前まで迫ることができました。


 
分かりましたか?控訴審は争点を変更するなどということは認めないのです。新たな証拠や事実が出てこない限り、最初に控訴人の意見陳述があって、2回目に双方の弁護士が意見を述べて、3回目は結審、4回目判決が普通です。3回ということもあります。証人尋問なんかがあったら珍しいというところです。1回目の裁判のときに、裁判長が「次回結審」と言わないか、はらはらした記憶があります。裁判が続けば、少しは望みを持てます。


賃金はとっくにデーター化されています。中国電力でも、自分のパスワードを入力すれば、遡って賃金を見ることができるそうです。会社側が「古いデーターはない」と言うならば、厚生年金のデーターがあるはずだと、裁判の後の集会に参加していた中国電力のOBが発言されました。会社側は「手作業で賃金表を作るので、時間がかかる。よって、裁判が遅延する」とは言えないでしょう。いくら世事に疎い裁判官でも「そうなんですか」と納得はしないでしょう。控訴審にしては珍しい進行でした。
では今日はここまで。大晦日になってしまいました。また来年、このブログに来てください

川島織物セルコン男女賃金差別訴訟(続編)

川島織物セルコン男女賃金差別訴訟の続きです。
提訴から2年間、ずっと書面の遣り取りでした。「裁判が始まったら傍聴和に行くからね」と原告の松田さんに言っていたのですが、突然和解のメールが回ってきました。原告側の宮地弁護士の解説を要約します。宮地弁護士は94日で紹介した中国電力男女賃金差別事件の二審の弁護士のお一人でもあります。原告の側に寄り添うことの出来る感性豊かな弁護士です。


要約

被告の会社側の主張

・原告と男性営業職とは業務内容が異なる。扱う商材が違う。男性は、大型商業施設に対する責任施工取引を担当していたが、原告はそのような取引を担当していない。


原告側の反論&判明したこと
・上記いずれの理由も、会社の男女異なる取扱いを、さらに浮き彫りにするものではあっても、松田さんへの賃金差別を合理化するものではない。
・原告は、入社時は事務職であったが、数ヶ月後から営業に従事するようになり、以来、男性と同様の営業職に従事してきた。しかし男性はすべて総合職であるが、原告は地域限定職である。

・会社は、原告が主任に昇任しなかったのは、原告の年間査定が、C上を超えたことがないからだとしていたが、原告の比較対象の男性は、年間査定がC上でも主任に昇任している。


和解をする上での問題点
・ 裁判所は、男女差別が存在したことを前提に和解協議を進行させたが、原告にとって困難な課題は、原告が入社した当時の会社が、社員が十数人の小さな会社であり、その後、他社との合併で全体の規模は大きくなったもの、原告と社歴が同じで、年齢・勤続年数がほぼ等しい男性社員というと、たった1名に絞り込まれてしまい、いわゆる男女差別の大量観察ができないという点。


和解内容

この1名の男性との過去10年間の差額賃金の総額は、約800万円。和解解決の水準は、この約半分の450万円を支払わせたことになる。


和解における原告側の問題点

・比較対象者が1名しかおらず、男女の賃金についての大量観察ができないという点。
・判決になれば時効という問題も出てくる可能性があった。


松田さんが和解を受け入れた最大の要因はなんだったと思いますか?原告の松田さんの言葉です。前回に「松田さんを全否定」した会社側の言い分を書きました。ずっと営業の仕事に従事し、男性と同じように深夜勤もこなし、顧客の信頼を得てきた松田さんに対し「あなたは幽霊です」と言ったも同然の言葉でした。


和解を受け入れるか、判決までいくべきか、ずいぶん悩みましたが裁判官の「これまで提出されている書面から、松田さんが男性と同等の営業の仕事をしてこられた事が見て取れる。」という発言があり、この一言が和解を受け入れた大きな要因でもあります。

では今日はここまで。

川島織物セルコン男女賃金差別訴訟&ジェンダーギャップ

今冬の寒さは厳しいそうです。南半球のラニーニャ現象の影響だとか。TPPに参加すべきか否かも日本の思惑を超えたところの要因で決まるのでしょう。「TPPは純粋な貿易問題ではない」(朝日新聞20111113日朝刊)とありますが、今読んでいる『バクダッド・バーニング、イラク女性の占領日記』(アートン2004)からも、アメリカがイラクを攻撃した真の意図が見て取れます。これについは、またどこかで紹介したいと思っています。


日本の女性の地位は相変わらず最低です。次の文は「ギャップ」についてです。即ち格差です。だから例えば経済で日本より豊かでない国でも、格差が小さければ上位です。

世界経済フォーラム(WEF)は、1012日、2010年のジェンダー・ギャップ指標の報告を公表しました。ジェンダー・ギャップ指標は経済、政治、健康、教育の4つの分野で男女間の格差を表したものです。経済の分野では、参加、報酬、昇進などの格差、教育では、初等、中等、高等教育における格差、健康では、出生児の男女比、平均寿命の差、政治の分野では政治的な意思決定の場における男女の格差が取りあげられています。


1
位のアイスランドから7位のデンマークまでは09年と変わらず、上位を主に北欧諸国が占めました。世界的に見て、健康と教育の分野での格差は縮小していますが、政治と経済の分野の格差の縮小が進んでいないことが指摘されています。
日本は、09年の報告では、75位とされていましたが、後に101位に修正されました。10年には、94とわずかに上昇しています。報告は、経済の分野で女性の報酬にわずかな増加があったこと、国会議員の数の増加などを理由にあげています。一方、日本と104位の韓国がOECD諸国の中で最も低いことも指摘しています。

アジアでは、フィリピンが9位と09年と変わらず、スリランカが16位でした。他の地域では、フランスが、閣僚の女性の割合の低下など政治の分野での格差の拡大により、18位から46位と大きく後退し、一方、米国が経済や政治の分野での参加の拡大、教育での格差の縮小などにより31位から19位に上がり、この指標が2006年に始まって以来、初めて上位20位に入りました。
出所:The Global Gender Gap Report 2010 (WEF) 
http://www.weforum.org/en/Communities/Women%20Leaders%20and%20Gender%20Parity/GenderGapNetwork/index.htm



この情報は私が参加しているWWNのMLから得ました。上記のサイトは「ヒューライツ大阪(財団法人アジア・太平洋人権情報センター)がHPに載せたものです。これに対し、


日本で順位が低いのはいつもの事ですが韓国が107位というのは納得できない気がします。その理由は 東洋経済「女性はなぜ出世しないのか」1015号で、韓国では外交官試験で女性合格者は60%、国家公務員試験、司法試験合格者は50%に迫る勢い。(2010年)と書かれているのです。1996年公務員でのポジティブ・アクションが導入され女性採用枠が高められたとあります。結果が出るのはこれからなのでしょうか。 ともかく数年先の韓国と日本の違いは歴然としたものになりそうです。】という投稿がありました。

日本の女性の状況を最も知らないのが、当の日本の女性だと思います。その典型的な裁判の和解の報告をします。
原告の松田さんは、結構有名な会社<川島織物セルコン>で営業の仕事をしてこられました。川島織物セルコンの壁紙は最高裁の法廷にも貼られているそうです。先日京都のデパートの呉服売り場で見た高価な帯は川島織物の製品でした。原告の松田さんが最初に働いたのは内装工事の会社で、小さな会社でした。現在の社名は川島織物セルコンですが、吸収合併されて現在の社名になりました。最初の34ヶ月は事務の仕事でしたが、その後は社内でただ一人の女性営業職として男性の営業職と同等の職務についてきました。松田さんが賃金に疑問を持ったのは、この会社が現在の川島織物セルコンに吸収合併されるに当たり、人事制度の見直しをしたからです。松田さんの賃金ランクは、入社12年の男性社員のランクでした。また退職金制度の廃止にあたって示された退職金は勤続17年で、 2,468900円という低額でした。彼女は悩んだ結果、平成2039日、人事部長に説明を求めました。人事部長は彼女の賃金について「総合職と地域限定に分かれていまして、女性の場合は地域限定職、いわゆる一般事務の方がそうです。だから松田さんの場合、一般事務職の賃金です」と答えました。また、松田さんが「私は営業職です」と言うと、人事部長は「女性の営業職はありませんし、女性の営業もいません」と回答し、その後の社長との直談判でも退職金が低いことを含めて人事部長と同じ回答でした。(松田さんの仕事を全否定しています。)


その後の執拗な退職勧奨に松田さんは「会社は、
私が辞めるというまで退職勧奨は続くと言いました。合併しても何ら変わらず、もはやこの組織の中では何を言っても無駄なんだと思い知らされると同時に、権力の前にあまりにも無力である自分が一人で立ち向かうことの困難さに、退職勧奨を受け入れ退職しました。もうこれ以上、何も失うものなどないと思うに至り、裁判という選択をしました。」と語っています。

長くなったので、中断します。和解内容は次のブログで見てください。

では、きょうはここまで。

自治労A県の嘱託書記解雇裁判の判決

腹立たしいことが多いですね。

勿論原発に関することが最も多いです。私の年齢では細胞分裂が活発ではありませんので放射能をそんなに気にしなくてもいいのですが、今、わが家に小さい人が滞在していますので、食べ物の産地にはこだわっています。ところが、全ての野菜を原発事故地から遠いところから調達するのは難しいですね。風評被害や東北地方を応援するためなのか、生協の共同購入の野菜は福島産が多いです。そもそも政府と東電の秘密主義及び「直ちに人体に影響ありません」の楽観主義が、時を経るに従って嘘であると判明するようになってからは、全て疑いの目で見てしまいます。福島は果物の産地でも有名ですが、一個500円もする桃が売れないので廃棄処分にされているのをTVで見ました。計り知れないほどの直接・間接の原発被害、それでも政権は脱原発を表明していません。


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日、久し振りにデモに参加してきました。車道をゆるゆる歩き、シュプレヒコールも言いつつ、ストレス&運動不足解消になりました。シュプレヒコールは主に「反原発」と「非正規労働者をなくせ」です。日曜日だったので、京都四条通りには多くの若者が繰り出していました。私が参加したデモは毎年、「反戦・反貧困」をテーマにしていますが、今年は「反原発」が加わりました。反貧困も反原発もこれからの人生が長い若者が強く要求することですが、残念ながら若者の参加は少なかったです。デモは労働組合型のシュプレヒコールを繰り返すだけのものであったので、沿道の人は加わり難かったと思います。


まずお知らせを一点。
働く女性の全国センターからです。

働く女性のための転ばぬ先の杖 有料電話案内 http://www.acw2.info/
私たち働く女性の全国センターは、全国の女性ユニオンと働く女性のNGOで女性の労働問題に取り組んでいるNGOで2007年1月に結成されました。http://acw2.org

働く女性の全国センターは、通話料無料のフリーダイヤルの働く女性のホットライン(0120-787-956)を行っています。 (フリーダイヤルの詳細はhttp://wwt.acw2.org/?page_id=45

電話が混雑していて何度電話してもつながらないという声を聞きます。そこで、このたび、完全予約制の確実に聴いてもらえる有料電話相談サービスを開始しました。こんな人には、便利です。職場で現在働いている女性(性自認女性も含む)て安心して相談できる友人がいない。有料でも必ず繋がる。話を聞いてもらう場所が欲しい。定期的に職場の愚痴を吐き出す場所が欲しい。安心できる情報が欲しい。

次に、裁判の判決についてです。自治労A県本部の嘱託書記であったBさんが大阪高裁でまさかの敗訴の判決を受けたことは前々回に書きました。その判決文についてですが、要約すると、「待遇改善を求めて控訴人
(清水さん)はもう一人の嘱託書記の人と労働組合を作り、使用者側と交渉をしていたのだから、その条件が折り合わない以上、雇い止めは仕方ない」というものでした。これは素人の私にも合点が行きません。なぜなら、待遇改善を求める労働者の契約を更新しないでいいのなら、労働者は雇い主に何も言うことができず、言いなりになるしかないことを意味しているからです。

また、私がBさんの仕事について書いた職務評価は無視されたのも同然でした。裁判官は職務評価を分かっていないということが露呈されました。解雇されたBさんの仕事は今、派遣労働者がやっています。その人が「Bさんは普通の働きぶり」と言っています。職務評価は特定の個人の能力について評価するのではなく、嘱託書記の仕事がどれくらいの価値のある仕事なのかを評価するものです。例えば、幼稚園の先生はピアノを弾かなければなりません。そのピアノの技能は、ある幼稚園のC先生が、ショパンコンクールで入賞した人であったとしても、幼稚園の先生に要求されるピアノを弾く能力はそれよりは低いものです。だからCさんが幼稚園の先生である限り、ピアノ技能の職務評価はトップ評価ではなく、幼稚園の先生に求められる中程度です。私が書いた職務評価は、正規と非正規の仕事の違いを評価したものです。しかし、裁判官は個人の能力と勘違いしてしまい、使用者側の「彼女はミスが多かった」という証言を証拠として採用しました。嘱託書記の仕事内容は正書記と殆ど変わらず、それだけの仕事内容を
18年間もやってきたBさんの能力が劣っているはずはありません。また18
年間もミスをしていたのならとっくに解雇されていた筈です。Bさんが担当していた退職者の関する仕事は放置されたままで、それは退職者の人が証言しています。

私も今、大学を雇い止めになった研究者の裁判の支援の事務をしています。提訴してから一年半が経過しました。この間、ずっと裁判というものを眺めてきましたが、個人が組織を相手に闘うというのは、蟻が象に挑むようなものだと痛感しています。裁判費用にしても、被告である組織の誰か個人の懐が痛むわけではありません。しかし解雇された原告は負ければ裁判にかかった費用を個人で払わなければなりません。現在進行中の、このブログにも登場した中国電力男女賃金差別の長迫さん、京大図書館非常勤講師雇い止めの井上さん小川さんは大きな壁に体当たりしているような無力感をずっと感じていると思います。労働者と組織は力の大きさから言っても対等ではありません。しかし、裁判官は対等として扱い、組織の言い分の背後やその力を考慮しないで、判決文を書いてしまっています。

日本の裁判官は、労働者側に立っているとはとても言えません。財界と政界とぴったりと同じ方向を向いていると、友人たちの裁判を見て実感しています。

では今日はここまで。

JAL不当解雇裁判&放射線の健康への影響を語った東大教授

気骨のある東大の先生がいらっしゃったのですね。

2011727 () 衆議院厚生労働委員会 で参考人として「放射線の健康への影響」を説明した児玉龍彦( 東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長) さんのことです。動画を見てください。このような専門家からすれば、福島の現状はとても容認できるものではなく、専門家よりはずっと知識の少ない素人の何倍もの苦悩の中にあるのだろうと推察します。

http://www.youtube.com/watch?v=O9sTLQSZfwo


先日ある集会で、≪JAL不当解雇撤回裁判≫の原告の方のお話を聞く機会がありました。

そういえば、先輩にもJALの客室乗務員(CA)になった人がいました。スタイル良く美人でした。

でも当時なら、女性は結婚すれば退職しなければならなかった筈です。

解雇された客室乗務員の約9割は、60歳定年制確立や結婚退職制廃止などに取り組んできたキャビンクルーユニオンの組合員です。

JALは放漫経営のため、会社更生法を適用されました。再建のため退職者を募りましたが、応募者が少ないという理由で、CAは53歳以上、機長は55歳以上、副操縦士は48歳以上、休職とかの履歴のある人等が解雇の対象になりました。そして、結局JALは、108人のCA20101231日付けでの解雇を予告し、最終的に整理解雇されたCA84人となりました。

(削減目標1500人に対して希望退職者は1733人あり、165人を解雇する必要はなかったそうです。)

72人のCAは、同時に解雇された74人のパイロットとともに、整理解雇は違法・不当であるとして、東京地方裁判所に訴えを起こし、2011311日に第1回口頭弁論が行われました。 年齢、病気休暇の有無と同時に、先に述べたようにこの解雇者の大半が日本航空キャビンクルーユニオンの組合員でした。Wikipediaによれば「日本航空キャビンクルーユニオン」は反会社側組合であると書かれています。御用組合ではないということです。だから、この解雇は組合潰しの意味もあるのです。

解雇対象者には、航空労組連絡会や航空安全推進会議、日本乗員組合連絡会議の現職議長や、航空労働組合の歴代役員も含まれています。整理解雇は、会社の都合で経営責任のない労働者を一方的に解雇するものです。そのため最高裁などの判例で「4要件」を満たすという厳しい条件があります。以前にも紹介しましたが、以下が整理解雇の4要件です。
解雇の高度な必要性があるか

解雇回避のための努力が尽くされたか
人選基準が合理的か
説明協議など手続きに妥当性があるか

更生手続き中の企業でも、公的資金を投入する場合でも、整理解雇をする際はこの4要件を満たす必要があります。


こうしてみてみると、この4要件を満たしているかは甚だ疑問になってきます。,蓮
更生計画2.9の黒字が3月の決算期で出ました、組合が提案したワークシェアリング(仕事の分け合い)や一時帰休などの回避措置も会社側は一切とっていませんでした。は、人選の理由に病気欠勤や休職者、年齢などをあげていますが、年齢差別は、ILO(国際労働機関)条約で禁止されています。航空機を運航する業務の特殊性からみて経験豊富なベテランなどを排除することは重大な問題です。
(これは国会でも追及されました)


会社更生法適用となった
JALの新たな会長は、京セラの稲盛さんです。会長は201128日の日本記者クラブの会見で「解雇の必要なかった」と述べています。しかし、いったん決めたものは撤回できないとのことです。その理由は、会社更生法計画を裁判所や債権者に約束をした。160名を残すのは不可能か。そうではない。しかし、いったん約束したものを1年で変えることはできない。この方たちには誠に申し訳ないことをした。将来何らかの形でお返しをしたいと思っている。


「将来何らかの形でお返ししたい」、今復職したい原告たちにこの言葉のもつ意味はありません。裁判が今後どのように展開していくのか、時々は報告します。JAL裁判については、講演会で貰ったビラ、支援会のパンフレット、赤旗日曜版を参考にしました。

明日から8月です。やれやれぎりぎり更新できました。
では今日はここまで

京大図書館非正規職員裁判と原告たちの仕事の職務評価&最高裁判決:個人請負も「労働者」

ブログに書くべきこと溜まってきました。その前に一つ。今後このブログの最初にいつも同じ語句を入れます。

≪脱原発と女性の登用≫

(人災である原発に関しての政府関係者やマスコミに登場する有識者・関係者。天災である地震・津波に関しても同じ。さらには『日本は強い国』とか『日本の団結力』とかを発する競技者やタレントは全員男性です。女性は銃後の守りか、バリケードの後ろでおにぎり握っとれの時代と同じではないですか!以前から朝日新聞「オピニオン」欄の男女比について疑義を持つ私には、今回の人災の「福島原発事故」の教訓は、☆脱原発&☆女性の登用(表現変えるなら男性撤退。この際女性に任せなさい)以外に、日本が生き残る道はないと考えます。だから、いつも同じ語句を!☆脱原発&☆女性の登用


では本題。労働問題から1点。

*京都大学の図書館で遡及入力の仕事をしていた有期雇用の二人が、5年の任期にもかかわらず4年で雇い止めになったことを訴えた裁判の判決がありました。331日、京都地裁です。傍聴に行きました。裁判長の一言「棄却」、1分で閉廷です。「判決理由を読んでください」の傍聴席からの要望にもかかわらず、あっという間の裁判長退場でした。


判決文は、その後の集会で弁護士から紹介されましたが、さらに唖然!

原告の2人が感想を書いています。原告の文章は、いずれも深い洞察に満ちた文章です。判決文はこのサイトです。p34からが裁判長の本音です。
http://bit.ly/g1aHQN


原告の文章は、
http://extasy07.exblog.jp/m2011-04-01/ にアクセスしてください。


集会で私は質問しました。「二人の仕事は、補助的でしたか?」「はい、補助的だと思います」「職務評価をやってみませんか」「やります」。

このような遣り取りの一週間後に、原告が営業している京大正門の外側にある「くびくびカフェ」で職務評価をしました。当日は入学式で、「京大入学式」と書かれた立て看板の前で、親子の記念撮影が行われていました。

裁判長は原告
2人が非正規の職を選んだのは彼らの人生観にあると言いました。「京大出身の原告たちは、正規の職に就くこともできるのに!」。新入生と彼らの何年か前の姿が重なりました。


原告たちの遡及入力の仕事というのは、非常に専門的知識の要ることが、職務評価をする中で、次第に判明してきました。「入力」と聞くと、パソコンにデーターを打ち込む作業と思いますが、「遡及」というのがなかなかややこしい作業なのです。京大には沢山の蔵書があります。新しいものから古いものまで。蔵書のデーターベースは世界共通で作成されているそうです。そのデーターベース
(DB)に、京大の蔵書が正しく入力されているかどうかをチェックします。「もし」されていない場合は新たに蔵書目録を作成します。「もし」というのは、されているかもしれないのです。

日本語でもとても長いタイトルの本がありますよね。例えば今私の手元にある本の表紙には『スウェーデンとオランダに学ぶ
(横書き)』『人を大切にする社会システム(縦書き)』と二つのタイトルが記載されています。奥付には『スウェーデンとオランダに学ぶ人を大切にする社会システム』とあるので、タイトルはこの二つを足したものだと分かります。でも、これが古書で、ラテン語だったらどうでしょうか。DBには片方しか書いていない場合もあります。この場合、DBにヒットしないから新たに蔵書目録を作らなければと判断してはいけません。ラテン語であれ、何語であれ、どれがタイトルで、サブタイトルで、著者名で、出版社で、第何刷かが理解でき、DBにあるのが、この本なのか、他の本なのか判断しなければなりません。京大の蔵書は、東大に次ぐ膨大なもので、大学の中でも権威があるとされており、失敗は許されないとのことです。古書はかび臭く埃もあります。古本屋さんって独特の臭いがしますよね。パソコンの画面をずっと凝視する作業です。

これらを職務評価の
4項目≪知識・技能、責任、負担、労働環境≫に照らし合わせて評価すると、とても補助的な業務ではないほどの高得点になりました。原告2人も「補助的な仕事ではないね」と再認識でした。この仕事を非正規がする仕事であるのが、そもそも間違っているのです。でも、彼らが解雇されても、直ぐに代わりが見つかるというのが「高学歴ワーキングプア」の象徴的なことでもあります。

もう一つは、最高裁で画期的な判決が出ました。上級審へ行くほど、労働者にとっては厳しい判決が続いています。身近なところでは、上記の京大図書館であり、試用期間中に解雇された日本基礎技術の本田さんの敗訴です。
http://blog.livedoor.jp/futoukaiko/


長くなるので新聞紹介に止め、「続きを読む」に入れました。上級審の久し振りの「弱い者」の立場に寄り添った判決です。

では今日はここまで。

次回は原発についての集会とデモの報告をします。

 

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ウォルマートの性差別裁判

五月になりました。「毎日お忙しそうですね」と言われますが、実態は忙しいような、忙しくないような感じです。自ら忙しくしているようでもあります。では何もしないでいるのがいいのかと言うと、極端に言えば、ご飯を食べるのも、そのために準備をするのも忙しいことの範疇に入ってしまうので、忙しさの程度は非常に個人的なことでもあります。


卒業生の労働実態を調査するために在籍した大学で知り合った研究者が、大学当局から「雇い止め」を通告され、
3月で職場を追われました。彼女にすれば全く納得できない理由だったので、2ケ月経った今も大学と交渉を続けています。故郷は遠く、今までに築き上げてきたものは全て関西であるため、職を失うことは即路頭に迷うことなのだと実感しました。今まで私なりに分かっていたつもりでしたが、「そうか、路頭に迷うとはこんな簡単なことなのだ」と。


今回は卒業生の仕事紹介ではなく、アメリカで起きた性差別訴訟を紹介します。

アメリカの、あの安売りで有名なウォルマート・ストアーズの女性従業員が「性差別賃金」を争った裁判に決着がつくようです。

働く女性の仲間からのメールで知りました。さらに詳しく知りたいとネットで検索しましたが、出ていません。記事の詳細が知りたい以上に、「なぜ日本のマスコミは報じないのか」の疑問を持ちました。今分かっている範囲で紹介します。出典は「ウォールストリートジャーナル
53日」からです。分かり易いように記事を少しアレンジしました。


2001年に6人の女性がサンフランシスコの連邦地裁に提訴しました。提訴の内容は、過去5年間の賃金差別、昇進差別の「性差別訴訟」です。


6人は、ウォールマートで働いていた、また現在も働いている150万人の女性を代表して提訴しました。

しかし、余りにも原告の数が多いので、11人の判事の意見が分かれましたが、結局、米第9巡回区連邦控訴裁判所は今年426日、65の僅差で、小売り世界最大手の米ウォルマート・ストアーズを相手取った大規模な性差別の訴訟を、集団訴訟として審理するとの判断を下しました。


異なる判断をした判事の意見です。

集団訴訟としての扱いに賛成したマイケル・ホーキンズ判事は、賛成側を代表して、集団訴訟の規模が大きいのは事実だが、規模が大きいからといって訴訟が制御不可能になることはないと述べた。

一方、反対したサンドラ・イクタ判事は、これほど大規模の集団訴訟が認められたのは初めてだと述べた。

ウォルマートは最高裁に上告することもできるが、最高裁が取り上げる可能性は低いとみられる。 この集団訴訟で戦うことになれば、ウォルマートは莫大な訴訟費用を負担しなければならない。既に0812月、同社は、従業員の処遇をめぐる63件の訴訟で計64000万ドルの支払いに合意している。同社は、長期にわたる訴訟を避け、この性差別訴訟でも和解を模索する可能性が高いとみられる。 これにより、ウォルマートが10億ドル(約940億円)を超える負担を負う可能性が出てきた。


ウォールマートを『ウィキペディア(
Wikipedia)』で検索したら、アメリカ全土で約3500店舗ほど、また世界中に店舗を持っています。勿論日本もね。


さらに日経ビジネス
2006710日号によれば、ウォルマートで働く労働者の賃金は、フルタイム従業員の時給が10.11ドルで、小売業平均の12.5ドルを下回り、平均年収は18400ドルで、これはアメリカ連邦政府が決める4人家族の貧困家庭19350ドルよりも少なく、とても世界一の小売業の出す賃金とは思えないと出ていました。また、「過酷な条件で働かせたり、安易にリストラに走るのは日本も同じだ。『グローバル競争に勝ち抜くためには仕方がない』。経営者はこの言葉を隠れ蓑にして「搾取モデル」に走っていないか」と締めくくってありました。

しかし、すごい訴訟ですね。今後の展開と、「同一価値労働同一賃金」をどのように証明していくのか知りたいですね。

では今日はここまで。

豊中女性センター館長雇い止め裁判の報告(二審)

新年度になりました。卒業生のお子さんが志望高校に合格しました。学びたい学科で夢一杯。戻れるものなら、あなたは何歳からやり直したいですか?

若い方がいいけど、テストがない今もまあ悪くはないかな?


用事があって京都の某大学へ行きましたら、入学式でした。入学式の服装はリクルート服なのですね。知らなかったあー!二年半後にも着なければなりませんが、今日の入学式のように晴れやかな日に繋がることを切に願います。

 

記事を読んで、とっても奇妙な感じを受けました。

《特養の介護職員、医療行為の一部容認へ》

 厚生労働省は25日、新年度から、特別養護老人ホームで働く介護職員に、医療行為の一部を認めることを決めた。 今回、認められる医療行為は、口腔内のたんの吸引と、チューブで胃に流動食を送る「経管栄養」の準備と経過観察、片づけなど。~中略~医療行為は医師や、医師の指示を受けた看護師らにしか認められていない。だが高齢化に伴い、特養では医療処置が必要な入居者が増えている。~中略~全国に約6000か所ある特養で全面的に行うことにした。2010325 読売新聞)


何が奇妙って?「認めることを決めた」は「お願いすることにした」の間違いではないですか?机上で物事を決めている人は、「介護は誰でもが出来る」という発想だからこんな発表になるのです。生身の人間を相手の仕事がどれほどストレスが強く、しかしそれに見合わない賃金で。これ以上、命に関る仕事を増やすのを「認める」とは!

 

今回は卒業生の仕事紹介から離れます。

画期的な判決の場に行ってきました。正しくは、判決後の集会に参加しましたのですが…。前回の結審のときに傍聴席を譲ってもらったので、今回、傍聴は遠慮しました。随分と遠くから、東京とか山口とかから支援者が来られていました。


簡単にこの裁判の経緯を説明します。詳しくは「ファイトバックの会」で検索してください。

豊中市の女性センターの館長三井マリ子さんは60人の応募者の中から選ばれて非常勤の初代館長になりました。2000年春のことです。三井さんは次々と斬新で女性の立場に立った企画を実行していきます。2000年の首相は森喜朗氏。「神の国」発言の方です。(続きを読むに入れておきます)


この言葉から分かるように、日本はどんどん保守的な考え方の人の声が大きくなっていきました。勿論「ジェンダー」という言葉もバッシングを受けます。「ジェンダー」という言葉は学術用語なのですが、このような背景の下で福井県や東京都で「ジェンダー」を冠した書籍や講演会が排斥される事件も起こりました。「ジェンダー」を嫌う勢力は、男女の役割を固定する考えです。こういう流れの中で、三井さんは攻撃を受けます。特に豊中市会議員、ジェンダーという言葉・概念を忌み嫌う、一人が執拗に、「三井さんを辞めさせろ」と迫ります。

結局女性センターの幹部(豊中市からの出向)はそれに屈服して、三井さん排斥を画策します。そして、三井さんには内緒で、次の館長候補に「三井さんは辞めたがっている」と言い、寝屋川市の職員であったその女性を引抜きます。しかし、これでは明らかに計略がばれてしまいますから、表向きは試験をします。結果はもう言わなくても分かりますよね。


三井さんは裁判に訴えますが、大阪地裁は三井さんの訴えを認めませんでした。こんな理不尽なことがまかり通っているのに、裁判所は認めなかった。三井さんの悔しさは想像に余りあります。(
2009531日の「豊中男女参画センター「すってぷ」裁判とクオータ制」にも書いていますので、両方を読んでくださるとさらに詳しく経過が分かります。)


そして、
330日。控訴審の大阪高等裁判所の判決が出ました。不満もありますが、ほぼ三井さんの主張を認めました。「裁判はその中身ではなく、裁判官による」と考えた方がいいのだそうです。これから言えば今回の判決を出した裁判長は大ヒットと言えます。裁判長の名前は「塩月秀平」さんです。覚えておかねば!


宮地弁護士が三井さんの背中を押しました。三井さんが最初に相談した弁護士です。以下、宮地弁護士の話です。

 

雇用関係の裁判は難しい。勝算を考えれば、「裁判をやめなさい」という弁護士の方が多いかもしれない。しかし、三井さんは館長であるときも、それまでもいつも「不正義に立ち上がろう」と言ってきた人である。ここで三井さんが立ち上がらなければ、三井さんは今後自己を否定されたことをずっと引きずって生きていかなければならない。だからこの判決は、三井さんの尊厳を踏みにじったことに対する判決なのです。

 

ちょっと難しいのですが、宮地弁護士の解説を「続きを読む」に入れます。「続きを読む」に《人格権》が出ているのはそういう意味なのです。

では今日はここまで。

続きを読む

商社兼松の男女賃金差別裁判、最高裁判決。

6ヶ月ほど前から苦しそうに喘いでいたパソコンが、データーが取り出せないままついにダウンしました。このブログは新しいパソコンで書いています。


データーを取り出すために3日間パソコンと格闘しました。メーカーの無料相談も1時間以上占領しました。電話相談が繋がらなかった人がいらっしゃいましたらその一因は私です。私の力ではどうあがいてもデーターを取り出せないと理解し、あきらめるのに一週間かかりました。葛藤の期間に友人との飲み会があったのですが、悪酔いしてしまいました。いつもと同じ程度に飲んだだけなのにと、悪酔いの理由を考えたら、パソコン騒動が一因と思い当たりました。つくづく機械(パソコンは機械に分類していいのでしょうか)に支配されていると分かりました。

windows7、まったく使いこなせていません。という訳で、更新しないままのこの空白期間は、正真正銘の私のサボりが原因ではありません。ナニ?windows7の発売は一週間も前ですと?

今日は10月最後の日。なんとしても10月中に一度は更新しておかねば…。

ついで一言。バックアップは取っておくべきです。

 

以前「職務評価をやってみませんか?」に一人だけ卒業生が反応をしてくれました。

「職務評価って難しそう」。このブログでも何度か取り上げましたが、言葉だけでは理解するのが難しい。「百聞は一見にしかず」の通りなのですが、今働いている人は毎日が忙しいから、実践の機会が取れません。適切に説明してある記事を見つけましたので、今日はまずそれの紹介からします。


《一見通常の「人事考課」のようだが、危険性などの「労働環境」に注目したり、「感情的負担」など女性職の評価で従来対象とされなかった項目を重視するなど中身は大きく異なる。ケアワーカーの職務評価では、利用者の安全に配慮して気を抜ける時間がなく、コミュニケーションにおいてもストレスが多い精神的疲労が強いなどが評価されるような項目のある職務評価の内容であった。ちなみに人事考課でおなじみの評価者の主観に左右されやすい「能力」「協調性」のような項目はない。》週刊金曜日2009918日号より。

 

この照会文では、ケアワーカーの職務の特殊性について触れられています。覚醒剤使用で起訴されたタレントの酒井法子さんが「今後は介護の勉強をしたいと思います」と発言したのをTVで見ましたが、なんか勘違いしていませんか?と言いたいですね。

彼女は介護の仕事をどのように考えているのでしょうか?

彼女の状況から判断すると「罪の償い」のニュアンスも感じられます。「弱者への愛」すなわちボランティアの精神の発露?こういう安易な考えの人がいるから、ケアワーカーの職務が高く評価されないのですよね。「愛の精神だから賃金が安くていいだろう」ってね。
酒井被告だけでなく、政府の考えも同じのようです。派遣切りにあった人たちに訓練を受けてもらってケアワーカーになってもらおうとしています。


なぜ介護職に人気がないか?

そんなの聞かなくても分かります。労働に応じた賃金ではないからです。

 

今回のブログの報告は、職務評価と「同一価値労働同一賃金」について、日本で画期的な動きがあったことです。


それは商社兼松の判決です。以前にも報告していますので、概略が知りたい方は読んでください。2008227日のブログです。


まず次の文章を読んでください。職務評価を裁判の証拠として闘った兼松裁判の判決に対する原告と弁護団の声明の最初の部分です。最も重要な箇所があるので太字にしてこの項のみ全文紹介します。

 

 

兼松男女賃金差別事件最高裁判決についての声明

                                          200910月                           兼松男女賃金差別事件原告団・弁護団

 本年1020日、最高裁第三小法廷は、兼松男女賃金差別事件について、労働者側・使用者側双方の上告及び上告受理申立を棄却・申立不受理とする決定をなした。

この事件は、コース別雇用管理を適用した結果生じた男女間賃金格差の違法性を問い、慰謝料及び賃金格差相当損害金の支払を求めたものである。コース別制度は、同一の募集・採用区分(雇用管理区分)にある男女の差別しか撤廃できないという均等法のもとで爆発的に広がった賃金・雇用管理の手法であり、女性の低い賃金待遇を固定化・拡大するとして批判されてきた。原審である東京高等裁判所は、均等法制定を前に制度化された職掌別賃金が、過去の男女別賃金テーブルを承継しつつ女性の勤続年数が長期化しているのに男女間の格差を拡大・固定化させてきこと、商社における成約業務と履行業務は同等の価値を有していることに着目して、コース別賃金は、労働基準法4条に違反する賃金差別であるとし、差別による賃金格差を月額10万円に相当するとして、差別による慰謝料・弁護士費用とともに賠償を命じていた。今般最高裁は、この東京高裁判決を全面的に支持して確定させた。

 

簡単に説明すると「コース別賃金は、労働基準法4条に違反する賃金差別である」とは、労基法4条「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」の解釈として、従来は「コース別、即ち総合職(主として男性)と事務職(一般職、主として女性)のようにコースが違う中での賃金差は労基法4条違反ではない」とされてきたのが、最高裁で「違反だ」と確定したのです。


この判例を使って、どんどんと女性たちが異議申し立てを会社に出来るといいのですが…。

(残念ながら、この解雇続きのご時勢。「なに!男女賃金差別だと。正社員だけで十分だろう。」という声が聞こえて来そうです。)


しかし、問題もあります。

「続きを読むに原文がありますので、ちと難しいですが読んでみてください。超要約すれば、以下のようになります。

原告は6人ですが、男女賃金差別が認められたのは4人でした。

認められなかった2人の理由は、一人は「勤務年数が短い」。もう一人は途中から秘書室勤務になっていて、秘書の職務は男女賃金差別の対象にはならない。

一方、認められた4人の職務内容は、男性が契約した内容を原告たちが事務処理し、実際に動かす仕事なので比較対象になりました。


職務評価の点数が証拠として採用されましたが、男性の70%の価値しか認められませんでした。点数では男女差はもっと少なく、中には男性よりも点数が高い女性もいました。

 

14年も闘い続けた兼松の原告たちの男女の賃金差に疑問を持つ女性たちへの贈り物を生かす第一歩として、「あなたも職務評価をやってみませんか?」というのが私の宣伝です。


興味関心のある人はコメントください。コメントは公表されないように設定してあります。

では今日はここまで。「続きを読む」もよろしく。

続きを読む

豊中男女参画センター「すってぷ」裁判とクオータ制

今日はクオーター制についても後半にちょこっと言及します。

 

一日のニュースを見ていると、政府はいろんな委員会を開催していますね。スポーツ庁を創設するとのニュースでは、官房長官が、「スポーツを国家戦略に」と言ってました。「規制緩和、官で出来ることも民で」のスローガンの下に、保育園もどんどん民営化されているのに、支離滅裂です。国家戦略、胡散臭い言葉です。

 

新インフルエンザに対する人々の反応を思うと、日本は「国家戦略」の名の元に、命令一つでどうにでも転ぶような気になりました。

 

さてニュースに戻ります。

政府が主催する、新型インフルエンザ対策の会議、今年3月に10人の高齢者が焼死した群馬県渋川市の件に対する会議等に、各都道府県の担当者が集められている光景が放送されていました。その場面を見て、私はいつも「えーなんでぇ?男性ばっかりなの?」と思います。

 

実際に介護をしているのは女性が圧倒的に多いのに、責任者会議になると男性ばかり。ここ何回か、私は無駄なこととは知りつつも、TBSにメールを送っています。日曜日の朝放映の「サンデーモーニング」では、街行く人にインタビューをしています。その時々のニュースについて、例えば新型インフルエンザについて、民主党小沢代表への西松建設からの献金疑惑について等々。

 

このインタビューに答える人がもう全部と言っていいほど、男性なのです。「女性は無口なのか?」(それはない)。多分、インタビューする側と報道する側の姿勢でしょう。

 

もしこの光景が逆ならどうでしょうか?社会問題になります。

 

これと同じことが今回の大量の派遣切りでも起っています。

今回の「大量解雇」は女性にとっては常に起こっていることです。

「女性は昔から貧困だった。何をいまさら」です。女性が貧困なことは社会問題とはなりませんでした。「女は貧困で当たり前」が常識だったからです。その大前提には、女性は結婚して夫に養われるものだという考えが根底にあるからです。でも今や男性も失業する時代です。

 

だから家計補助としてのパート労働であり、老人を介護するのは女性の仕事であるから、その延長上のある「介護報酬」は安くて当たり前なのです。

 

独身の、製造業で働いている女性卒業生の言葉が強く思い出されます。

40歳になったら介護保険料払わなあかんし、独身の私は税金も年金も健康保険料もばっちり払ってる。結婚している女性は夜勤をしないので、独身の私に夜勤が回ってくる。冬の工場は暖房があっても、床からジンジンと冷えてくる」。

 

均等法があるにもかかわらず、妊娠・出産による解雇も沢山報告されています。政府は一応企業に「ダメ」と言ったと報道されていますが、それで企業にペナルティが生じたとは聞いていません。

 

昨年の自殺者の数は、また3万人を更新しました。

圧倒的に男性の自殺者が多い。

「男だからこうあらねばならない」という呪縛概念がより男性に強く働いているとも言われています。NHKの朝ドラで、5歳の女の子が「男は泣いてはいけないんだよ」というセリフを言っていましたが、泣いてはいけない人生は辛いですよね。

 

最近、スポーツの分野で、男性競技者が臆面もなく泣いている場面をTVで見ます。これはとてもいい現象だと思います。女性だの男性だのと、長々と前置きしてしまいましたが、これは次の裁判と繋がっています。

 

前回に紹介した三井マリ子さんの大阪高裁での結審の傍聴に行ってきました。判決の日程は未定です。裁判官が交代で夏休暇を取るため、まだ具体的なスケジュールが決められないのだそうです。原告にしてみれば、夏休暇とはなんと優雅なという感じもしないでもありませんが、この際、裁判官には十分な休息を取っていただいて、原告の訴えに応える判決をしてもらいたいと強く願います。

 

三井さんが原告となった裁判は、雇用継続を拒否した豊中市に対しての損害賠償を求めたものです。一審の大阪地裁の判決は、豊中市の不正を一部認めたものの、慰謝料を払うほどの違法性は認められないと請求を棄却しました。三井さんが裁判に訴えたのが2004年、一審の判決が2007年。高裁判決は多分今年の秋くらいになるでしょう。実に5年かかっています。前回の「女性センターの女性職員の多くが非正規である」とも通じる、本気で男女共同参画社会を作る気があるのん?と問いたくなる内容です。

 

では、ここで三井さんの裁判の問題点を整理します。前回のブログの「続きを読む」に原告の三井さんの文を載せてあります。

 

三井さんは豊中市の男女共同参画推進センター「すてっぷ」の元館長でした。今から10年前に男女共同参画社会基本法が成立しました。これに基き豊中市も館長を公募しました。採用されたのが三井さん。非常勤の館長職でした。

 

男女共同参画社会基本法の理念は「続きを読む」を見てください。すごい内容ですね。ジェンダーに関しては保守的な議員の多い国会で、よくこの法律が成立したと、当時はむしろ不思議がられました。 

 

各自治体はこの法によって、条例を制定する義務を負いましたが、ここでさまざまな問題が生じました。この「男女平等」に反対する勢力の攻撃が始まったのです(バックラッシュ)。このバックラッシュの攻撃で、条例の変更に追い込まれた自治体が出ました。例えば山口県宇部市です。

 

「いかなる考えもまず知ることから」を尊重して、反対している団体の主張を調べてみてください。

 

三井さんは館長になる以前から、女性問題で活躍する有名人でした。本も出版されています。その三井さんの館長としての活動に、バックラッシュの考えを持つ豊中市の議員がクレームつけました。

 

結局、「すてっぷ」の財政・人事権を持つ豊中市は、三井さんが館長を続ける限りこういったバックラッシュの攻撃を受け続けることになると考え、「館長職は常勤とする」という変更の下に、三井さんを排除する方法を編み出して行きました。

 

「館長職は非常勤から常勤へ」の情報は三井さんに伝えることなしに、「三井さんは常勤出来ない」と言っているとして、次の館長を決めてしまいました。次期館長候補は、三井さんの業績をよく知っているので、「本当に三井さんは常勤館長を出来ないと言っているのですか」と確かめています。

 

ようやく「常勤館長職」を知った三井さんが問い質すのは当然のことです。これらの辻褄を合わせるために、豊中市は「常勤館長の公募」を三井さんに伝えます。しかし、受けた三井さんが採用されないのは、最初から三井さんを採用しないという筋書き通りの結果でした。

 

三井さん排除の先頭に立った議員はその後落選しましたし、また、「すてっぷ」にクレームをつけた市民団体「地方議員百人と市民の会」のメンバーの一人が「教職員組合の役員を勤める教員を処分しろ。しなければ入学式の日に街宣車で来る」と西宮市の小学校校長を脅したとして「暴力行為法違反容疑」で逮捕されました。(200945日京都新聞)

この校長は女性ですが、脅しにも屈せず警察に通報したので逮捕に結びつきました。 

 

最後になりましたが、クオータ制とは、政治システムにおける割り当て制のことです(Quota System)。

 

民主主義の帰結として国民構成を反映した政治が行われるよう、国会・地方議会議員候補者など政治家や、国・地方自治体の審議会、公的機関の議員・委員の人数を制度として割り当てることである。また、社会に残る男女の性差別による弊害を解消していくために、積極的に格差を是正して、政策決定の場の男女の比率に偏りが無いようにする仕組みのことでもある。発祥地はノルウェー。Wikipediaより

 

男性とか女性とかで括るのではなくて、等しい存在として、自在に生きられるのが私の理想です。これが実現するには、当面クオータ制が不可欠です。でも日本の議会では、このクオータ制は話題に上りません。ちなみに日本の女性参画率は、以下の通りです。

 

1位ルワンダ48.8%、2位スウェーデン 47.3%、 3位フィンランド42.0%、

15位ドイツ 31.6%、49位カナダ20.8%、51位中国20.3%、

52位韓国20.1%、53位イギリス19.7%、58位フランス18.5%、

64位イタリア17.3%、68位アメリカ16.3%、98位ロシア 9.8%、

99位日本9.4%。

列国議会同盟(Inter-Parliamentary Union、略称IPU)の2007930日データーより。

 

では今日はここまで。

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東芝・過労うつ病労災解雇裁判&丹波マンガン記念館とダッハウ強制収容所

前回5月下旬に更新すると予告?しましたが、早や6月に入りました。

前回ブログを更新した後、少しの間ドイツのミュンヘンへ行ってました。

行く前の日本と、ドイツ滞在中とに、対照的な体験をしましたのでまずこれを紹介します。

 

強制連行に関することです。

戦前から、特に戦争末期の2.3年前には、朝鮮半島から中国大陸から多くの人々が労働力として日本に強制連行されていました。

 

詩人の茨木のり子さんが「劉連仁(リュウリェンレン)物語」を書いておられます。

私は、世界史の授業でこの一大叙事詩を取り上げるのですが、私の早口をもってしても、朗読に1時間強かかります。勿論事前にプリントを配り、予備知識を学んだ上でのことですが…。

一部を「続きを読む」で紹介します。『りゅうりぇんれん物語 詩集鎮魂歌』(思潮社1965)から引用

 

丹波マンガン記念館

4月下旬、京都にある「丹波マンガン記念館」の館長李龍植(リリョンシク)さんのお話を聞く機会がありました。これから紹介する内容は、『ワシらは鉱山(ヤマ)で生きてきたー丹波マンガン記念館の精神史』から採りました。

この本は、館長のお父さんの還暦の記念に作成された本です。館長のお父さんは、マンガン鉱夫として働いていました。

 

マンガンは、単独では使用されないが、鋼材の脱硫酸用(なんのことですかね?)、ジュラルミン、乾電池などに使用されている鉱物のことで、世界的な産出国は、ロシア、南アフリカ、インド、ブラジル。日本では海外の安価な輸入品に押されて、今では採掘していないけれど、明治から、1980年代まで採掘していました。

 

近畿地方のマンガン鉱床は、殆どが丹波山地の中央部に密集し、鉱床は500.比叡山、大文字山から大津市、琵琶湖西岸、南岸にも鉱床の分布がみられる。

 

「強制連行」は、1937年の日中戦争勃発後の労働力不足を補うため、1939年から国策として行われました。最初は「募集」の形で、戦争の拡大とともに「徴用」の形で、日本の敗戦までに約160万人が日本に連れてこられ、このうち、軍艦や大砲などの生産に欠かせないマンガン採掘に朝鮮人が労働力として使われ、約15万人が送られました。

 

マンガンを掘り出すためには、まず坑道を作り、次にマンガン採掘です。いずれも、手掘り、もしくはダイナマイトで爆破します。その粉塵を吸入した結果、喘息やじん肺になります。記念館のHPアドレスです。

http://www6.ocn.ne.jp/~tanbamn/index.html

 

なぜ李貞鎬(リジョンホ)さんはこの記念館を建てようとしたのか?

「それは、戦争中に強制連行などで働かされ、若死にしたり、いまは散りじりになってしまった同胞のために、かつて彼らが生きたモニュメントとして残したいと考えた」ことが発端です。李貞鎬さんは1995年にじん肺のために62歳で亡くなられました。

 

現館長は次のように語っています。「多くの人がマンガン・鉱山の勉強に来られるので、マンガン記念館を作ろうと町に補助を求めたが、前京北町長は『金や銀なら良いが、マンガンなどは誰も知らなし、見学者は来ない。また、部落や朝鮮人の働いた歴史など暗いイメージで町のイメージが悪くなる。』と協力せず、逆に邪魔をして妨害した」。このマンガン記念館は、全くの家族でだけで1989年に作られました。維持費だけでも、毎年何百万もかかり、大赤字で、もう持ちこたえられない、限界だと館長は言っておられました。

 

ダッハウ強制収容所

次はドイツのでの体験です。

ナチスが作った収容所へ行きました。ダッハウ強制収容所といい、ミュンヘンの中心から電車で30分くらいのところにあります。

 

この収容所は、1933年にナチスが最初に作った収容所です。この収容所は、後に建てられた全収容所のモデルとなりました。教科書には「アウシュビッツ」が出てきますね。アンネの日記でもよく知られています。何がモデルになったかというと、ナチ親衛隊員(SS)のための「残虐行為の養成所・訓練所」でした。収容所があった12年の間に、ヨーロッパ各地から20万人以上の人々が、ダッハウ及びダッハウ収容所所管の各地の小規模収容所に拘留され、その内43000人以上が死亡しました。1945429日、アメリカ軍が生き残った人々を解放しました。

 

この収容所は、ドイツバイエルン州が支援しています。入場料は無料です。

 

この2つの何が対照的でしょうか。

 

マンガン記念館の館長李龍植さんの言葉があります。

「日本人は、戦争中の被害(広島・長崎)は言うが、加害は言わない」。

これらの施設を管理している団体も全く違います。個人、それも被害側が必死で持ちこたえているのと、加害側が税金を使って支援しているのと。

 

こうして考えてみると、日本の労働者の働きぶりに、この2つの施設の違いの根っこのところが繋がっているように私には思えます。

 

さてと、このブログの目的を忘れてはいけません。労働問題について一つ報告します。

以前、200636日のブログ「院内集会」の続きです。

 

国会議員を前にして、各地から議員会館に集まった女性たちは、「賃金差別や待遇、セクシャル・ハラスメント」について切々と訴えました。そのなかに若い女性がいました。私は丁度彼女の真後ろに座っていたので、彼女が緊張しているのがよく分かりました。彼女が何を訴えたのか、面倒でない人は以前のブログを見てください。

面倒な人は、彼女の弁護団のコメントを以下に紹介します。

また彼女のブログにアクセスしてみてください。

http://shigemitsu.blog40.fc2.com/blog-entry-271.html

 

≪弁護団のコメント≫

2008年4月22日、東京地裁において、株式会社東芝の社員がうつ病に罹患したのは過重業務が原因であるとし,解雇は無効であるとの判決が言い渡された。
原告は,被告株式会社東芝に就職し勤務していたところ,平成12年11月頃より被告会社内で発足したプロジェクト業務に従事し,長時間残業・休日出勤や各種会議開催等の過重な業務により,業務上の過度のストレスを受け,そのためにうつ病に罹患し,平成13年9月4日より休業を余儀なくされた。そして,東芝は,原告が業務上の疾病に罹患しているにもかかわらず,休職期間満了を理由に,平成16年9月9日付けで解雇する旨の通知を同年8月6日に行った。
本件は,原告が東芝に対し,解雇の無効確認(労働契約上の権利を有する地位にあることの確認),並びに,治療費・賃金と傷病手当金等との差額分・慰謝料等及び平成16年9月以降の賃金を請求した事案である。本日の判決は,原告側の主張をほぼ全面的に認め,
1 原告のうつ病発症(平成13年4月)は,平成12年12月から同13年3月にかけての長時間労働等業務に起因するものであり,
2 労基法19条1項により,解雇は無効であり,賃金の支払いを命じ,
3 被告に対し安全配慮義務違反があったとして損害賠償を命じた。
本判決は、今日の日本の職場の状況に照らして,画期的な意義を有する。
1 即ち,過重な業務が原因でうつ病に罹患した労働者を,会社が一方的に解雇するなど不利益取扱いをするケースが多い。本判決は,被告会社を含め日本の企業に対して重大な警告を発するものである。
2 また,本件で熊谷労基署の業務外決定の誤りが事実上明確となった。労働行政は,労働者を保護するべき役割を今後きちっと果たすことが強く求められる。
3 本件被告東芝は,日本の代表的な企業である。本判決を真摯に受け止め,職場を改善し,労働者の健康を守るよう抜本的に努力すべきである。

 

でも東芝は、即日控訴しましたでは今日はここまで。

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