嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

カテゴリ: 女性差別撤廃条約

あっという間の一か月です。この間の報告がいくつかありますが、最初に報告しようと意気込んだ事項をまとめるための知識に乏しく、書きあぐねていました。

928日に大阪弁護士会主催で、「女性労働と国際人権法」の講演がありました。講師は弁護士の林陽子さん。現在、国連の女性差別撤廃員会委員長をされています。会場からの質問に答えて林さんは「日本は、人権に関する条約に批准はしているが、実効を伴わないので、委員長である私はとても肩身が狭い」と言われました。

実効ある条約とは、個人通報制度を持つ議定書に批准することです。ここでは、批准と書きましたが、詳しく調べると、条約にサインするためには、いろんな手段があります。詳しくは、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%A1%E7%B4%84 を参照してください。
締結という語句が適切のようです。

人権に関する条約で、最も根幹になるのは、国際人権規約(自由権規約、社会権規約)です。これを筆頭にして、個人通報制度を持つ条約は以下です。

自由権規約、社会権規約、人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、拷問等禁止条約、強制失踪条約(未発効)、子どもの権利条約、移住労働者権利条約、障害者権利条約。

では、日本の状況はどうでしょうか。

移住労働者権利条約と障害者権利条約は条約そのものを批准していません。
(訂正します。障害者権利条約は2014年に締結していました。)
人種差別撤廃条約と拷問等禁止条約は批准していますが、人種差別撤廃条約の個人通報制度を定めている14条を受け入れる特別な宣言を(受諾宣言)を行っていません。拷問等禁止条約は、第22条で個人通報制度を定めていますが、同じく受諾宣言を行っていません。
自由権規約、社会権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約を批准していますが、個人通報制度を定めた選択議定書を批准していません。
 

では、個人通報制度とはなんでしょうか?

*中国電力男女賃金差別裁判の原告は、到底納得できない判決に我慢するしかないのでしょうか。
個人通報制度とは、「人権条約に認められた権利を侵害された個人が、各人権条約の条約機関に直接訴え、国際的な場で自分自身が受けた人権侵害の救済を求めることができる制度」です。(アムネスティ日本のHPから引用) 

もし、日本政府が選択議定書に批准していれば、中国電力男女賃金差別裁判の原告なら、女性差別撤廃委員会に申し立てることができます。通報できるには条件があります。それは、最高裁の判決が出ていることです。中国電力男女賃金差別裁判の原告は、最高裁でも訴えが認められませんでしたから、資格ありです。
受理された通報は、女性差別撤廃委員会で審査・判断されます。人権侵害だと認定されると、政府に対して、その是正と救済を求める勧告が出されます。その後、発表された勧告がその国で実施されているか、政府から報告を求めます。
この審査をする委員長が林陽子さん。委員長のお膝元が「選択議定書」を批准していない。肩身が狭いと言われるのは当然です。
「好き嫌いはダメ」と言っている親が、ピーマン残しているようなものでしょうか。
(こんな卑近な例は、かえって混乱しますよね。)
生きるか死ぬかの人権問題なのですから。

女性差別撤廃委員会の他の国の委員には、日本という国はどのように映っているのでしょうか。

1021日に、名古屋高裁金沢支部であった、東和工業男女賃金差別裁判の傍聴に行きました。裁判長は和解を勧めました。コース別に分けられ、男性と同じ設計部の仕事をしているにもかかわらず、男女別賃金で差を付けられ続けた原告への金沢地裁判決は、3年間だけの差額を認めたものでした。もし原告が総合職ならと仮定し、年齢に基づく賃金の差額だけは認めましたが、総合職の賃金に大きなウェイトを占める能力給は「実際、総合職で働いていなかったから計算できない」とされてしまいました。和解ではこの点を主張すると、原告や弁護団の説明でした。もし、和解が成立しなかったら、判決を求めるとのことです。
≪政権、辺野古3地区に直接振興費支出 県・市の頭越しに≫
≪辺野古移設:政府「承認取り消しは違法処分」工事急ぐ考え≫
は、昨夜の朝日新聞や毎日新聞の見出しですが、この理不尽な政府の強権に対して、私たちはどういう手段を取ることができるでしょうか?なぜ、現政権は、これほど民主主義の手続きを破壊して突っ走れるのでしょうか。

 

沖縄県の翁長知事は、日本時間22日未明、スイスの国連欧州本部で開かれている国連人権理事会に出席し、「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と述べ、米軍普天間飛行場の県内移設反対を訴えたと報道されました。翁長氏の発言に対し、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部の嘉治美佐子大使は、記者団に「米軍基地の問題を人権の促進を扱う人権理事会で取り上げるのはなじまない」と述べた、とも報じられています。
沖縄と国は、いずれ裁判闘争になるでしょう。翁長知事は「信頼のおける裁判闘争は、願ってもないことだ」と語ったとあります。「翁長さん、裁判官って政権べったりだよ」と言いたいところですが、沖縄の人々に寄り添った判決を出してもらうためには、世論の支えが必要ですね。
もし、人権規約の選択議定書を批准していたら、上記の日本政府代表部の嘉治美佐子大使に「人権問題です」と明確に答えることが出来るのに…。日本政府も、他の国の目線を気にせざるを得ないのに…。

労働者派遣法の付帯決議の解説はまだ入手していません。法律だけ作って、具体的には何も決めていないのが現状でしょう。
安倍首相は「正規労働者への道を拓くもので、待遇の改善を図るものである。」と国会で答弁しています。野党には「正社員になれなかった人が一人でも出たら、この法律は無効にすると約束してください」と言って欲しかった。
「後方支援は戦闘地域ではないから、安全だ」という答弁には、「一人でも死者が出たら、安保法制は無効ですね」と、抽象論ではなく具体例を挙げて迫って欲しかったと、国会でのやり取りを聞きながら思っていました。
では、今日はここまで。


 


 




 

東和工業男女賃金差別裁判の控訴の続きです。

前回のブログで、労基法4条違反という画期的な判決が出されたことは書きました。判決文は「労基法4条違反の不法行為における原告の損害は、原告が一般職の賃金表に基づき現に支払われていた賃金と、総合職の賃金表の適用があるとすれば原告が得られる賃金との差額であるというべきである」です。

具体的には、年齢給差額と慰謝料等計441万円が認められました。ここで原告が問題にするのは、年齢給は総合職との差額分を認めておきながら、職能給については全く認めていないことです。判決文はこの理由を「職能給は、会社が労働者の業務遂行能力に対する評価を前提にするものである。しかし、原告は総合職ではなかったのだから、原告が主張する、もし総合職なら支払われていた職能給までを確定することはできない」。
言い換えれば、総合職であっても、能力がなかったかもしれない場合もあるから、確定できないということでしょうか!

また、裁判では、コース別を導入した後の10年間の内、7年分の総合職との差額賃金が時効で認定されませんでした。なぜ3年分だけ認めたのか?は、民法とか商法との関係からですが、専門的すぎて、私が理解できていないのでここではカットします。
はっきりと労基法
4条違反を認めたなら賃金の差額は全部求めるべきだとの理由で、原告の本間さんは悩みに悩んだ結果、控訴すると決断されました。

私も応援のためこれからも金沢高裁に通います。控訴審が始まれば、報告をします。


53日は憲法記念日。憲法が施行された日です。

京都9条の会主催の集会に参加しました。

3000人は収容できるという京都円山音楽堂の座席が満員でした。野外なので、日焼けを避けて木陰を選んだ人は立見席です。

私は、勿論「ごめんやっしゃ」と座りました。

講演は、防衛省の元官僚で、小泉首相がイラクに自衛隊を出したときを含めて、2004年から2009年まで内閣官房副長官補であった、柳澤協二さんです。

退官後、安倍政権の集団的自衛権に対して、自衛官を束ねた立場から異を唱えている人です。TVでもよく顔を見ます。

憲法9条の会主催なので、当然改憲反対の人たちの集会だと考えますが、今までこのような内容の集会で、この会場にこんなに多くの人が集まったのを、私は初めて見ました。多分、9条の会と防衛省元官僚との組み合わせに惹かれた人が多かったのかも…。


柳澤さんは、著書も何冊か出しておられます。私は会場で『亡国の集団的自衛権』を買いました。柳澤さんの話の根本には、集団的自衛権を推し進めている安倍さんを初めとした政治家が、自衛官の立場を理解していないことも一つにあります。イラクに派遣された自衛官の自殺は29
人。もし、一人でも自衛官が殺されていたり、イラクで誰かを殺していたら、当時の小泉首相はどのように責任を取るつもりだったのか?もしこのような事態が起こっていたら、日本は今まで築いてきた平和国家のイメージを根底から失なうことになった。それがどれだけの損失かを政治家は分かっていない。派遣中に事故がなかったのは奇跡であったと、具体例を挙げて、戦争をする国になるリスクを話されました。柳澤さんが語る集団的自衛権に反対する理由は、現場を知る人だからの説得力がありました。自衛隊法の条文が、具体的にどのような行動に結び付くのか等は初めて聞く内容でした。日本は、軍事力でない外交を目指すべきだと締めくくられました。
では、今日はここまで。


 

3月に2つの判決がありました。

日々、裁判所は沢山の事件を扱っていますが、上級審になればなるほど裁判官の姿が見えない判決が多くなっているようです。2つの判決は、このブログにも度々取り上げていますが、まずは吉報から報告します。地方裁判所の判決です。

裁判名は「東和工業男女賃金差別」。

事件の内容については、2012.07.032014.09.17の記事を見てください。

判決は、326日午前10時から金沢地裁でありました。判決文にお目にかかる機会は滅多にないので、一部を書き出してみます。

被告は、原告に対し、○○○万円及びこれに対する平成231210日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

被告は、原告に対し、○○○円及びこれに対する平成24321日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

(へぇ〜、こんな表現をするのか!)

【金員:金額のこと】辞書にありましたが、一般では使わない言葉ですね。あと2つ「支払え」という項目があって、金銭に関するのは全部で4項目です。「合計約440万円支払え」ということです。原告の会社に対しての請求額は約2200万円でしたから、1/4程の額でした。これは、裁判所が「時効」を当てはめたからです。被告、即ち東和工業は、2002年からコース別制度を導入。設計部で建築士の資格を有しているのは男性部長と本間さんだけであったにも拘わらず、設計部の男性全員は総合職になり、たった一人の女性であった本間さんは一般職になりました。
この時出された会社の通達には、「一般職とは、専門的分野において業務遂行能力を有し、原則として採用時の職種に限定され、転勤はない…現在の、女子採用です」「総合職とは、総合的視野に基づいて判断できる能力を有し、管理者であれば、管理者能力を有する者であり、職種転換・出張・転勤の可能な者を指す…営業職」と記載されています。この通達によって、女性従業員は全員一般職になりました。

しかし、裁判所は
一般職で処遇されたが、設計業務における原告の業務遂行能力が低いので一般職と処遇したという旨の説明を被告は原告にしていない。
労基法4条は、性別を理由とする賃金差別を禁止した規定であり、使用者が男女別の賃金表を定めている場合のように、男女間に賃金格差を生じており、かつそれが性別の観点に由来するものと認められたときには、男女の労働者によって提供された労働の価値が等しいかを問うまでもなく、同条違反を構成するものである。」

《労基法4条違反》の判決は、画期的だそうです。1975年に秋田相互銀行事件が同じ判決のようです。全く対照的な中国電力男女賃金差別事件の結果を次のブログでお知らせします。

判決は、沢山の項目があって、証人尋問で、会社側が「本間さんは簡易な仕事としかしていない」という証拠を出しましたが、これに対しても裁判所は認めませんでした。むしろ、本間さんが言うように、彼女を貶めるために会社が故意に作った書面であると暗に忠告しているかのような判決文でした。

さて、本間さんが日々の職場で耐え難いほどの苦痛を感じてきた「男女差別」に時効はないと思うのですが、これを読んでくださっている方はどう思われますか?しかし、次回に紹介する中国電力男女差別事件の最高裁の判決を考えると、上級審へ行くほど、常識とかけ離れた判決になってしまいます。そろそろ金沢高裁に控訴するかどうか、ただいま本間さんは、決断の真っただ中におられます。 

では、今日はここまで。

(鼻炎、苦しいよー)

速報を心がけていたのですが、行動が伴いませんでした。
9月4日に金沢地方裁判所で、東和工業男女賃金差別裁判があり、傍聴してきました。その報告です。

午前11時から証人尋問が始まり、途中一時間半の休憩をはさみ、5時半近くまで続きました。

被告会社側の証人は男性2人、そこらへんにいる男性のように思えました。普通の(この言葉は毒があります。なんて表現すればいいのでしょう)、どこにでもいそうなこれらの男性が総合職で、原告が事務職のままであるのは、証人の尋問を待つまでもなく、東和工業が総合職と一般職を、男女で分けていることの証のようでした。

この裁判は、以前、ブログで取り上げています(2012.07.03)。今回の裁判と2年近く間が空いたのは、進行協議という裁判上の手続きがあって、傍聴人抜きで進められていたからです。

午前中、被告東和工業の証人尋問、午後から、原告の本間さんの証人尋問、その後再び会社側の証人尋問という流れでした。長丁場の裁判でしたが、当の本間さんの緊張と集中力と強い意志が発揮された裁判でした。

尋問は、原告側と被告側それぞれの弁護士が行います。原告側の弁護士は、原告の尋問を通して、原告に有利な証言を引き出します。逆に被告に対しては、被告がいかに原告に不当な扱いをしていたかを明らかにします。これは被告側の尋問でも逆な立場で同じことが行われます。

被告側は、原告(本間さん)の能力が低かったから、総合職になれなかったと主張します。その根拠の一つが、本間さんは決定力がなく、1から10まで上司である証人に聞いてきたと主張しました。

午後の本間さんの尋問のとき、その後証言する会社側の証人が法廷に居ることを原告弁護団は拒否しました。仮にその証人をBさんとすると、本間さんは余程Bさんに会うのがストレスなのだろうと思っていました。後で聞きましたが、Bさんは、本間さん以外の設計部の男性が全員総合職であるのに、本間さんだけが事務職に置かれていることに同情的であったそうです。本間さんは、総合職にしてほしいと再三Bさんに依頼しています。この本間さんとの会話を原告の弁護士が質問すると、Bさんは「覚えていません」の連発でした。「すまじきものは宮仕え」というところでしょうか。

会社側の証人は、口を揃えて本間さんは能力が無いから、総合職には出来ないと言いましたが、その根拠は抽象的でした。仮に仕事の難解度が1から3まであるとすると、「本間さんには1しか任せられない」と主張しますが、2と3の仕事のチャンスや研修を本間さんに与えないで、「2も3も出来ない」と主張します。

でも、本間さんの尋問で、実は本間さんは1も2も3も出来ることが明らかにされていきます。上記にBさんの立会を拒否したと書きました。実は、原告側弁護士は、本間さんにもBさんにも同じ図面を示し、その図面を解説して貰うという方法を取りました。だから、本間さんの解読を、Bさんに聞かせたくなかったから立ち会いを拒否されたのでした。この質問をするために、弁護士は徹夜で設計図と格闘されたそうです。本間さんは容易に読み解き、その根拠を示しましたが、Bさんは「これだけでは分かりません」と言いました。Bさんは設計部の上司だった人です。解説を聞く限り、本間さん側が予め学習していたから、読み解けたというような図面ではありませんでした。その場で、分かる人には分かるというような図面のようでした。

裁判官も、「本間さんが1から10まで聞くというのは、慎重な性格だったからではありませんか?」とか、「決定力がないというのは、何を根拠にしましたか」とかの質問をされました。「結果的に、男性は総合職、女性は事務職なのですね」と、何度も質問の形式を変えて本間さんの弁護団は尋問されましたが、会社側は最後の最後まで「男性は総合職、女性は事務職」とは言いませんでした。これを認めたら、均等法違反で即敗訴になると知っているからです。

次回は、12月8日、結審です。判決は来年ですね。

では、今日はここまで

大飯原発再稼働を政府が決定しました。『歴史に残る日!日本がまたしても間違った道を選択した日』となりました。
滋賀県の嘉田知事が「再稼働容認」の発言をしました。大阪の橋下市長はいずれ変節するだろうと思ってましたが、嘉田知事の態度の変化、これを滋賀県議会は「豹変」と表現しました。
今までの男性が権力の座に圧倒的多数で就いていたときの常識に風穴を開けてくれるかと期待したのですが、なかなか抗いがたかったようですね。下の記事からも分かるように脅迫されていたそうです。当然、このようなことは予測されてはいましたが、男社会の結束には所詮お仲間には入れて貰えなかったから、一人では踏ん張れなかったということでしょう。孤立無援でここまでよく頑張ったね!という気持も、嘉田さんだから最後まで「再稼働反対」と言ってもらいたかったという思いの両方があります。でも、嘉田さんが、最後まで頑張ったら、関電は停電をするでしょう。なんせ一切の情報を出さず、手の内は全て関電が握っているのですから、嘉田さん一人を潰すくらいは簡単でしょう。

こうなったら、国連の女性差別撤廃委員会へ提訴したい気分です。

さらに、国からの社会資本交付金が滋賀県には最低の交付率であったことも、下の記事から分かりますが、これも嘉田さんが、関西広域連合の国出先機関対策委員会委員長と広域環境保全担当を務めているからとの指摘もあります。要は、たった一人の女だからいじめやすいということでしょう。
 

先日「家族史とジェンダー」の研究会に参加し、女性が男性と対等に渡り合えない根本に何があるかを話し合いました。「家父長制」の声が多数でしたが、これを由とする前に、私は教育の果たしている役割が大きいと思っています。
また、大飯原発を再稼働しないと「停電になるよ」と関電や国から脅かされたとの発言に対して、「あれは不適切でした」と先に謝罪しました。嘉田さん流の敵を少なくする方法とも、弱腰とも取れる方法ですが、「先手必勝」の方法こそ身を守るとお考えのようですね。離婚の記者発表も然りでした。

記事は「続きを読む」にあります。
今日も労働問題を離れましたが、女性問題には関係しています。
では。今日はここまで。

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民主党が政権をとったとき、先進国の中で、日本の女性の地位や環境が最低であると知っていた女性たちは、大きな期待を抱きました。千葉景子法務大臣と連立政権で閣僚入りした福島瑞穂特命大臣が「女性差別撤廃条約の選択議定書の早期批准を実現しましょう!」と、握手をしている写真も報道されていたような記憶があります。

国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が日本政府へ出していた勧告に対する政府回答が8月に発表されました。今回は、その政府回答を紹介します。辛気臭い文章ですが、じっくり読んで、政府が本格的に女性を活用する気のないことを確認してください。冒頭に書いた女性閣僚の握手はうたかたの如く消えました。誰も女性閣僚がいない現内閣です。菅さんが退陣を表明しましたが、さて、次期内閣は女性活用を本気で考えるのでしょうか。誰が首相になっても、菅さんほどには原発からの撤退は表明しないでしょう。福島原発事故で多大な犠牲の上に得た教訓は生かされないまま再び原発推進が進行していくかもしれません。


政府回答の前に、ヨーロッパの記事を紹介します。

「女性役員義務化 欧州で広がる」女性役員、欧州一気に 3040%登用義務 

欧州で上場企業と公的機関に一定以上の女性役員登用を義務づける制度の導入が加速してきた。ベルギー、オランダで法律が成立し、欧州連合(EU)はEU全域を対象にした法案の検討に入った。役員の3〜4割を女性に割り当てる内容。一方、日本経済新聞の調べは日本の国内主要企業の女性役員比率は1%に届かず、格差が一段と広がることになる。欧州の動きは現地の企業や政府機関などに女性役員の起用を迫るもの。日本企業のオフィスに直接圧力がかかることは少ないとの見方が強いが、女性登用で欧米に大きく立ち遅れる日本の姿が鮮明になる。【ブリュッセル=瀬能繁】818日の日本経済新聞



ではCEDAWへの日本政府からの回答です。ポイントは太字にしました。女性労働に関する箇所のみです。婚姻適齢の男女統一、選択的夫婦別氏制度の導入、嫡出である子と嫡出でない子の相続分の同等化等は全て見送られました。全部読んでみたい人は下記にアクセスしてください。http://www.gender.go.jp/teppai/6th/cedaw_co_followup_j.pdf

文章は相当分省略していますが、政府答弁では、以下のような文章が続きますので、最初だけ全文紹介します。


女子差別撤廃委員会の最終見解(
CEDAW/C/JPN/CO/6)に対する日本政府コメント
2011 8
【これがCEDAWが日本政府へ出した文章の一部です。】

委員会は、本条約第4条1及び委員会の一般勧告第25 号に従って、学界の女性を含め、女性の雇用及び政治的・公的活動への女性の参画に関する分野に重点を置き、かつあらゆるレベルでの意思決定過程への女性の参画を拡大するための数値目標とスケジュールを設定した暫定的特別措置を導入するよう締約国に要請する。

【これに対する日本政府の回答です。】

2. 日本政府は、この最終見解を真摯に受け止め、関係府省庁が一丸となってフォローアップに努めるとともに、国会や裁判所に対しても、この最終見解を周知しフォローアップを依頼した。最終見解については日本語仮訳をホームページで公開するなどの方法により周知に取り組んでいるほか、女子差別撤廃条約についても、ポスター及び広報映像(DVD)の作成、配布及びウェブページへの掲載によりその周知に取り組んでいるところである。
3. 第3次基本計画や最終見解の実施状況についてのフォローアップを強化するため、2011 年2月、男女共同参画会議の下に、監視専門調査会が新設された。2011 年5月、監視専門調査会は、関係府省から取組内容の説明を受けるとともに、女子差別撤廃条約について女子差別撤廃委員会委員である林陽子弁護士(2011 年6月現在)から説明を受ける等して、フォローアップを行った。



(以前、厚労省、内閣府へCEDAWの勧告の進捗状況を尋ねに行きました(2010.02.12のブログ)。その時参加した女性たちの感想は、「ポスター貼るだけやろうね」「関係機関に文書出すだけやろうね」でした。ホントその通り。林陽子さんの話をWWN(ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク)で聞いたことがありますが、林弁護士は多分「私が日本政府へ求めたのは、具体的かつ実効ある内容の答弁です。私の発言は書かず、言い訳に私の名前だけを使わないでください」と仰りたいのではないかしら。)




では、雇用についての日本政府の回答を見てみましょう。

日本政府の回答

検ジ柩冓野における女性の参画の拡大

21. 雇用分野におけるポジティブ・アクションについては、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」第8 条、第14 条に基づき、女性の採用及び職域拡大、女性管理職の増加、女性の勤続年数の伸長、職場環境・風土の改善といったポジティブ・アクションに取り組む企業に対して相談や情報提供等の支援を行っている。また、男女共同参画等に積極的に取り組む企業に加点する公共調達の仕組みを初めて導入するなどの取組を行っている。具体的には以下のとおり。

22. 厚生労働省では、2010 年度から個別企業の取組等各種情報及び企業が自社の女性の活躍推進状況を自己診断できるシステム等のコンテンツを追加したポータルサイトによりポジティブ・アクションに関する総合的な情報提供を行うとともに、大企業に比べて取組の遅れている中小企業に対して、コンサルタントの派遣、マニュアルの作成といったポジティブ・アクションの導入を支援する事業を実施している。さらに、2010 年に、各企業における男女間格差の実態把握・気づきを促すため、賃金・雇用管理の見直しの視点や格差の実態を把握するための調査票といった実践的な支援ツールを盛り込んだ「男女間賃金格差解消に向けた労使の取組支援のためのガイドライン」を作成した

23. 加えて、2011 年からは、業種ごとの雇用管理の実態の特徴を踏まえた男女間格差の「見える化支援ツール」及び業種別支援ツール活用マニュアル6を作成・普及し、業界ごとの格差解消に向けた取組を促進することとしている。



CEDAWが求めた数値目標の日本政府の回答は以下です。冒頭紹介したEUにおける女性登用と比べてみてください。

民間企業の課長相当職以上に占める女性の割合6.5(2009)10%程度2015 年)



太字にした箇所の共通する事柄は何か。

それは具体的でなく、実効性を持たないことです。必要なのは企業名を公表するとか、罰金を課すとかの具体的な規定です。政府答弁の裏には勿論財界の意向ありですが、こんな内容で国連のCEDAWへ行っても馬鹿にされるだけです。担当大臣や官僚の旅費や宿泊費は税金から出るし…。


お題目だけの政府答弁の典型的な例の裁判の傍聴に明日行ってきます。詳しくは
714日のブログを見てください。中国電力を相手に闘っている方は、長迫忍さんと言います。裁判の報告は次回にします。

では今日はここまで。


 


 


 


 


 

今年3月にめでたく定年退職する人と、定年まで10年近くある人と3人で、退職祝いをしました。勿論割り勘で!(10円のお釣りは主賓に)私以外の2人は事務屋です。その2人が「男性優位の職場で働くことが苦痛である」と口を揃えて言ってました。「モチベーション下がるわ」「年金が少なくてももう働きたくない」等々。

私もこの理不尽な男性優位職場がイヤで、男女平等な職場を求めてたどり着いたのが教師だったので、状況はよく分かります。しかし、彼女たちと同じ職場を去って
30年、未だに男性優位なのです。(学校も完全なる男女平等の職場とは言えませんでしたが、生徒の手前あからさまな不平等へは、「教育」という名を借りて質すことができました。
)


日本のジェンダーエンパワーメント指数
(女性の国会議員、管理職、専門・技術職比率、男女の所得比率を指数にしたもの)は、世界109カ国中57位。

人間開発指数(平均寿命、国民所得/1)10位。

ジェンダー格差指数(男女格差の度合い)134カ国中101位。内訳:女性国会議員等の政治分野110位。所得格差等の経済分野108位。教育分野84位。

女性議員比率ランキング186カ国中92

女性取締役の比率35カ国・地域中下から五番目。

この数字の羅列は!どうです。この現実に愕然としませんか。

最後にある女性取締役の比率においては、日本の一つ前にはヨルダン、後ろにはバーレン。(ヨルダンもバーレンも中東のイスラムの国です。前回のブログに書いたように女性の人権に関しては、日本の方が高いと思われていますよね。ショック!)

 

の人間開発指数は、平均寿命が長く所得が高いということを表しています。これは日本が先進国である証拠です。先進国の日本が、この開発指数以外は下位であることが日本の女性の置かれている状況の異常さを表しています。諸外国からは、「日本の女性はこれで満足しているの?」と、不思議がられています。(以上は朝日新聞論説委員竹信三恵子さんの「女性を活用する国、しない国」岩波ブックレットからの引用です。いすれの数字も最新のものです。)


冒頭の元同僚の「男性優位の職場で働くことが苦痛である」の裏には、「男性優位に迎合する同性の女性との関係にくたびれる」があります。今から
25年ほど前の職場の学年会議で、同僚の教師(圧倒的に男性が多い)にお茶を出すべきか、それとも平等意識の強い同僚(私のことです)の気持を慮って淹れないでおくか、狭間で苦しむ年下の女性教師を見て「お茶を淹れた方が精神的に楽になるならどうぞ」と言った記憶があります。


話は変わりますが、「永田洋子」という名を知っていますか。彼女がどういう人なのかを知りたい人は検索してみてください。「連合赤軍の副委員長で同志
12人総括という名の下に殺害し、死刑判決を受けたが病気のため今年25日東京拘置所で死亡」とだけ書いておきます。逮捕された1972年当時も今も、殺害する側のナンバー2にいたのが女性であったという理由で注目されました。彼女に関する本は沢山書かれていますが、考えさせる文に出会いました。

「『女』でありすぎた永田洋子」という題で田中美津さんが朝日新聞に書いています。
(201132日夕刊)
。田中さん自身、ウーマンリブ運動の中心的存在でした。ウーマンリブが何かを知らないですって!これは勉強不足だからちゃんと自分で調べること。その田中さんがリブ運動を始めたとき、新聞のインタビューを受けたときのことを書いています。

「新聞のインタビューで歳を聞かれ、ホントは
27歳だったのに『26歳ですっ』と答えてしまって、女は若いに限るとうそぶく世間に対して、やっと叛旗を掲げたというのに、1歳でも若く思われたいなんて!あぁ情けない!としばし煩悶した末に私は気づく。~中略~一人の女の中には<毅然と生きたい私>もいれば、<1歳でも若く見られたい私>もいる。その両方で『ここにいる女』の私だ。~中略~。自称革命家の男たちに認められたい一心で、永田は永遠に、政治的に革命的に振舞おうとした。そんな<どこにもいない女>
として行きようとした。〜中略〜。永田は男並みを目指すには「女」であり過ぎたのよ。自らの分身を、彼女は殺した」


田中美津さんの言葉を借りれば、日本の女性は、「毅然と生きるか」、「
1歳でも若く見られたい私か」のどちらかしか選択できない状況なのかもしれません。その分断に女性も男性も気付くべきだと、視点は違いますが朝日の竹信さんも田中さんも言っているのではないでしょうか。

 

またまた話は変わりますが、TVでもお馴染みの寺島実郎さん(日本総合研究所理事長)の話を聞く機会を得ました。寺島さんは開口一番「数字を読んでください。数字に強くなってください」と仰いました。

例えば、<日本の貿易相手国のシェアの推移(貿易総額)>において、1990年アメリカへは27.4%201011月時点12.9%。同じく1990年大中華圏(中国大陸・香港・マカオ・台湾)へは13.7%31.7%です。これからも日本の立ち位置が見えてきますよね。


次回は、竹信さんが数字で示したこと、寺島さんが「数字を読め」と言ったことについての意味を書きます。「浜さんの課題が出てこないではないか」ですって?これでも段々と近づいているつもりなのです。

では今日はここまで。

琵琶湖岸を散歩するのが心地良い気候になってきました。

今回のブログは前回の続です。


朝日新聞のその後です。朝日新聞朝刊に「オピニオン」という紙面があって、そこに登場する識者の男女比に偏りがあることは前回書きました。

国連女性差別撤廃委員会から日本政府へ出されている勧告文も添えて、日本を代表する大手新聞社の見識を問うという内容をメールしました。


即返事が返ってきました。以下がその文章です。あまりに早く返信があったので、「ホントに読んでくれたの?」と疑問が湧くほどでした。パソコンに予め入力してあるのを送信しただけのように私は受け取りました。


朝日新聞をご愛読いただきありがとうございます。アサヒコム・読者窓口へいただいたメールですが、朝日新聞社の窓口である東京本社・お客様オフィスから返信いたします。お寄せいただいたご意見は担当部へ伝えました。今後の紙面作りの参考にさせていただきます。
ご連絡ありがとうございました。これからも朝日新聞をよろしくお願いいたします。

朝日新聞社 東京本社 お客様オフィス

 


その後のオピニオンはというと…。

107日インタビュー「国家をこえて」男性1

108日「中国とやっていく」女0、男3

109日「強制起訴」女0.男3

1013日「外交と世論」女0.男2

1014日「私の視点×4」女0、男4

1015日「ビジネス書を楽しむ」女1、男2

1016日「朝日新聞紙面審議会」女2、男2

女性3人に対し男性17人。率にすると女性15%、男性85%


前回よりさらに女性の登場率は下がりました。編集企画は予め定められているからすぐには反映できないだろうと、物分りよさに超を付けて、しばらく観察を続けますが、私一人が吼えていても大手新聞社は痛くも痒くもないでしょうから、是非あなたも投稿してください。

それにしても、登場率が逆転していたら「偏向している」と男性は騒ぐでしょう。女性よ、もうええ加減我慢するのは止めませんか!
それでは今日はここまで

たいした内容ではないし、そもそもこのブログは女性労働についての情報を!との意気込みから始めたのだし、今回はそのような記事もないし、書いては止め書いては止めの繰り返しで、またまた期間が空いてしまいました。


さて、怒りが持続するのは、怒りの強さでしょうか、それともその人自身による気質のようなものでしょうか。
私は、怒るのは得意ですが、持続はなかなか出来ません。


いつも私の中に淀んでいる怒りが爆発した最近の出来事は、新内閣の顔ぶれが発表されたときでした。もうお分かりですね。女性の登用のことです。


前回のブログに書いたように、WWNが質問を出していました。淡い期待もなきにしもあらずでしたが、たった
2人の女性しか閣僚に登用されないとは…!

当時小沢さんとの確執が根深く、組閣によってさらに再燃するのではないかと懸念されていました。首相は菅さんが選ばれたのだからさて置き、全員女性の大臣にすれば、党内の確執も、ILOや女性差別撤廃委員会からの勧告も一気に解決できる良いチャンスだったのに、頭固いですね。


朝日新聞に、ほぼ一面使った「オピニオン」という名の紙面があります。私はこの紙面にいつもいらいらさせられます。それはとても単純なこと、このオピニオンに書き手として登場する男女比が余りにもアンバランスだからです。勿論内容もありますけれど、今回は横に置いておきます。

918日テーマ「日本に3食」女2、男1

922日「私の視点」女0、男4

923日「牛を殺す」女1、男2

924日「検察省日」女1、男2

925日「バーベキューは迷惑か」女0、男3

928日「凍る日中」女0、男3

929日「北朝鮮はどうなる」女0、男3

930日「論壇時評・消えた老人問題」女0、男1

101日「円高怖くない」女1、男2

102日「容疑者特捜部」女0、男4

比率は女性16.6%、男性83.3%です。
おまけです。
927日「朝日地球環境フォーラム」の紙面に登場したのは、女性は1人、男性は21人でした。

 

日曜日関西では4チャンネル「サンデーモーニング」の中の「風を詠む」。これについては以前にもこのブログに書きましたが、先週926日の「風を詠む」のテーマは「ナショナリズム」でした。尖閣諸島の領有を巡っての巷の人々の声を紹介していました。男性は7人登場し、意見を述べていました。では、女性は何人登場したでしょうか。
「答えはゼロ」です。

今朝はうっかりして見損ないましたが、この番組に関しては時々「男女比」について、メールで苦情を言っていますが、全く聞く気はないようですね。出演している識者はなんとも思わないのでしょうか。


さて、私の中に溜まる怒りをどうすれば一歩でも良い方向へ向けることができるでしょうか?

無視され続ける私の怒りに協力者がいれば、「おや?」と朝日新聞やTBSが思わないとも限りません。以前、女性記者が「良い記事は誉めてください」と言ってましたから、叱ることもしないとね。これは人権に関することなのですから。

そこであなたも、ひたすら男女比を数える地道な行動をしませんか?数えたら「なんでこんな比率なんですか?」の質問と共に数字を示しましょう。朝日新聞やTBSに限りませんけれど。


朝日新聞に物言うときは、以下にアクセスするようですが、結構あれこれ書かせます。
http://www.asahi.com/shimbun/reference/ 記事(アサヒコムの記事も含む)について


TBSに物言うときは、sunday-m@best.tbs.co.jp


こういう作業、やっている途中で虚しくなって止めてしまいそうになります。止めたら相手に何も伝わらないから、頑張るぞ〜!

では今日はここまで。

 

近所で二軒同時の新築工事が始まって、騒々しいことこの上なし。

窓を開けばうるさいし、閉めれば暑いしで、昨日は思い立って伊吹山へ行ってきました。
台風の余波か、頂上はガスがかかり気温は
23度。人影もまばらでした。


伊吹山       
       ススキ


       お花畑                                                            

今晩9時のNHKのトップニュースは、厚労省の村木局長の無罪判決でした。村木さんが逮捕されたと聞いたときの友人の反応は「村木さんはめられたな!」というものでした。誰に何のためにはめられたのか、そんな高尚な話ではなく、「東大を中心とする官僚仲間にはめられた」という低次元の推理でしたが、案外当たっているかも。

村木さんは以前、
厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課長であったので、陳情等で出会っている人は、彼女の人柄から即座にこのような反応をしたのです。村木さんは高知大学出身です。官僚になるためには、国家1種公務員試験に合格しなければなりません。合格したから即採用かというとそうではなく、採用候補者名簿に登載されます。例えば100人必要なら、100人以上登載します。そこから順次採用していきます。順次というのは、成績順かと考えるのは素人考えです。最も大きな要素は出身大学です。
勿論、東大が一番、次が京大だった記憶しています。これは以前、福岡大学の教授が、データーを示して、ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN)のメンバーに説明されていたのでよく覚えています。多分、以前のこのブログにも書いてある筈です。だから、先輩官僚のいない地方の大学から、必死に勉強して合格しても採用には至らないということです。数字が如実に語っていました。「はめられた」という感想にはこのような背景があったのです。

 

地方大学出身でありながら、同期のトップで局長になった女性。こんな瑣末な事件と自分の将来を天秤にかけるでしょうか。用心深く、裏の裏まで考えて今日の地位を築き上げてきた人でしょう。政治的陰謀の臭いもするかな?ホント、分からない事件です。

 

さて前回、女性差別撤廃委員会(CEDAW)シモノビッチ委員の講演を書きました。週刊金曜日に記事が出ていたので一部紹介します。CEDAWが日本政府へいくつかの勧告を出しています。詳細は、前回のブログにリンクしてあるアジア女性資料センターをご覧ください。

シモノビッチさんが、特に強調されたのが、条約を批准していることについての重要性でした。日本は条約を批准していますが、その条約に違反したときに、CEDAWに訴えることの出来る選択議定書はまだ批准していません。

1985年に女性差別撤廃条約条約を批准するために、国籍法を改正して父系血統主義から父母両系主義にし、男女雇用機会均等法を作り、高校家庭科が男女共修になりました。大津商業高校に勤務していたとき、当時の女生徒から「なんで男子は体育で、女子は家庭なん?女は体を鍛えなくてもいいのん?」と聞かれた記憶があります。育児休業法も制定されましたが、まだまだ整備されていない法律があります。

シモノビッチさんは、「
再婚禁止期間、婚姻適齢、夫婦同氏強制など、日本の民法にあるような差別的な内容は他の国ではもう見られない。なぜもっと早く対応がなされなかったのかと思う」と語り、「女性差別撤廃条約が単なる宣言のように思われているのは問題。憲法
98条の規定通り、条約は国内法の一部」と話されたそうです。(引用:週刊金曜日910日号)

 

憲法982項:日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする


情けない。憲法まで出して諭される。外圧に弱い日本は、なぜかこれら民法改正に関しての外圧には強気なんです。

 

そこでタイムリーなことをWWNがやってのけてくれました。前回書いたシモノビッチさんの講演会で、もう一人のゲスト、日本のCEDAW委員である林陽子さんが提案されました。それは、実質、首相の座を争う民主党代表選挙に出馬している菅さんと小沢さんに、CEDAWからの勧告について、どう取り組むのか質問してはどうかというものでした。即実行に移され、9日に両事務所から回答がありました。

WWNにリンクしますので、読んでください。

首相候補に働く女性からの公開質問状! WWN - September 6th, 2010

菅さんからの回答はこちら

小沢さんからの回答はこちら

 

では今日はここまで

前回に紹介した販売業の女性の補足です。大学卒業後8年、勤務先は今の会社で二社目です。

彼女が店長でありながら契約社員であり、年次有給休暇等の詳細を知らないし、行使したこともないと語ったとき、非正規の希望者全員を正社員にしたあるアパレルの会社を思い出しました。

(この企業については200719日と5月25日で紹介しています。)


今年はバーゲン品を何も買っていないしと言い訳しつつ覗いてみました。

「会社は雇用を守っています。私は正社員の店長です。しかし、正社員からパートを選ぶ人が増えています。」

(私がバーゲン品を見に行ったとき、店長一人だけでした。ということ人員減で対応しているということ?もしそうなら正社員の負担が大きくなっていることですから、正社員からパートを選択する人が増えていることの原因の一つかもしれません。)

「今まで比較的高価格の品揃えで頑張ってきましたが、とうとう低価格商品も売り出すことにしました。生地が少し薄くなっています」とのことで、何点か見せていただきました。従来の半値くらいでした。

 

一週間のうちに3つほどのイベントに参加しました。

共通して得た感想は「行動力は知ることから」でした。「知ることは行動力」ではありません。


一つ目は、女性国会議員との意見交換会に参加してきました。国会前の衆議院議員会館でありました。その後、この条約批准に関係する与野党の議員へのロビー活動、さらに関係省庁、内閣府・厚労省・外務省を訪問しました。

(余談:最もセキュリティが厳しかったのは外務省でした。荷物検査をする女性は、フライトアテンダントのような、また受付の女性も胸元に白のリボンをあしらった黒のワンピースの制服でした。厚労省の受付担当の方の服装はまちまち、要は私服ということでした。)


国会議員への要請は、度々ここで取り上げている以下の事項ですが、本文が長くなりますので「続きを読む」に入れます。。

 

主に男女賃金差別裁判で闘ってきた元原告の女性たちが現状を説明しました。
(詳細は「続きを読む」に入れてあります。)
国会開催中でしたが、昼休みの時間に出席したのは、民主党女性議員6人と福島大臣でした。
(福島さんの正式な肩書きは「消費者及び食品安全・少子化対策担当」です。ある議員は、「私の娘も非正規雇用です」と仰ってました。)

 

省庁訪問での私の印象に残ったことを紹介します。

<内閣府>課長補佐OR係長級の女性2人と男性1人。

(具体的に何の仕事をしているか分かりませんでした。CEDAWからの勧告を受けた日本政府の窓口となって、各指摘された事項を関係省庁に割り振るお役所です。)

どこまで進んでいるのですか?
各省庁がすることなので…。


<
厚労省>
均等室女性課長補佐。

雇用管理区分の削除を。

均等法には「差別をしてはいけない」と様々な箇所で書いてあるので、雇用管理区分を削除する必要はないと考えている。

(例えば「次のような告示を出していますから」という意味なのでしょうか。『労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針(2006年厚労省告示第614))

均等法の付帯決議には「5年を待たずに見直す」とある。作業は始まっているのか?(均等法施行200741)

審議会も立ち上げなければならないし、まだです。

(審議会は3つのグループで構成されます。労働者側、使用者側、公益側。第三者としての役目を担う公益側の人選は厚労省の「今後均等法はどうあるべきか」の方針に沿った学者たちが選ばれます。間に合うの〜?)

 

<外務省>人権人道課女性課長&女性係長?

女性差別撤廃条約の選択議定書批准に向けて、今国会中に提出することは可能ですか?

無理です。例えば女性差別撤廃条約の選択議定書をまず日本語訳にしなければなりません。この選択議定書はまだ批准していないため、担当官がいませんし、正式な日本語訳はまだありません。今すぐに取り掛かっても最低でも1年半かかります。早くて来年の国会ですね。

政治主導で、「最初に女性差別撤廃条約の選択議定書から検討しろ」と言ってもらえれば私たちはとても仕事がやり易くなります。政治を動かすのは皆さんの声です。
(民間が訳したのはネットで見ることができます。外務省が訳する場合、言葉一つ一つを、国内法に照らして整合性があるかどうか考えねばなりませんから、膨大な時間がかかります。政府には緊急に批准しなければ国際条約が6つあります。)

 

他の二つの集会は次回に報告します。

国会議員へ元原告たちが報告した職場の実態が「連合通信」に載りましたので「続きを読む」に入れておきます。大企業がどれほどえげつない差別をしているか知ってください。犯罪だと思うのですが…。

では今日はここまで。

続きを読む

いつまでも暑いですね。

政治のニュースを見る人が多くなっているのではないでしょうか?

ともかくも自民党に「NO」を突きつけたその結果を見届けねばなりません。

最初に、女性弁護士によるセクハラホットラインのお知らせです。

 


秘密厳守・匿名でも相談できます。
 ☆主催者:本労働弁護団 会長宮里邦雄弁護士、会員数約1500
  本部事務所  千代田区神田駿河台3-2-11  総評会館4階

 ☆実施日:2009年9月26日(土曜日)午前10時〜午後3時(東京本部)

 ※毎月第2水曜日(午後3時〜午後5時)に定例セクハラホットラインも実施しています。

 ☆電話番号:東京本部 03−3251−5363

 ☆実施の趣旨:性的な内容を安心して相談できるよう電話相談担当者をセクハラ・労働問題に詳しい女性弁護士に限定しました。詳しくは、日本労働弁護団のウェブサイトをご参照下さい。
http://homepage1.nifty.com/rouben/

 

 

本題です。

前々回に引き続き、女性差別撤廃委員会が日本政府に対して行う審査に、日本から80名の女性がニュヨークの国連でロビー活動をした報告です。

80名の女性は、女性に関するあらゆる分野から構成されました。私はその中の、労働問題に関してのみ報告しています。

労働問題で言えば、私が参加しているWWN(Working Women's Network)は「男女雇用機会均等法の指針の『雇用管理』を削除すること」と「女性差別撤廃条約の選択議定書を批准すること」を掲げました。

 

選択議定書は、先進国ではアメリカと日本だけが批准していないことは前々回712日のブログに書きました。

 

そしてなんとなんと選択議定書を批准する」と、千葉景子法務大臣が916日の就任記者会見で述べました。

選択議定書を批准すると何をすることができるのかは次回に書きます。

 

では女性差別撤廃委員会が出した、第6回日本審査の総括所見を見てください。お役所言葉で、すらっと入ってこないところもありますが、主な内容と労働問題に関する点は以下のようです。

 

内閣府のHPに和訳が出ていますので、興味のある人は全文をどうぞ。

 

 

≪主要な懸念≫
条約のすべての条項を系統だてて実行するという政府の義務を果たすよう、あらためて求める。

前回の勧告
2003
年の審査で勧告された事項が、十分に取り組まれていないことを遺憾とし、前回の勧告実行を求める。

差別的法規
男女で異なる最低婚姻年齢、女性のみに課せられる再婚禁止期間、選択的夫婦別姓、民法その他法規における婚外子差別などの差別的規定が、前回勧告を受けたにもかかわらず、いまだに改正されていない。世論を言い訳にせず、条約上の義務に従って即座に行動すべき。

条約の法制化
女性差別撤廃条約が、法的拘束力をもつ重要な国際人権法であることを、日本政府は認識すべき。条約のすべての条項を国内法制に迅速に取り入れること、法律家や公務員が条約への理解を深め実践するよう啓発を行うことを求める。また選択議定書の批准を検討するよう勧告。

差別の定義
国内法に女性差別の定義が欠けていることを改めて懸念、条約1条に基づく差別定義を迅速に取り入れるべき。

人権擁護機関
男女平等も視野に入れた独立人権擁護機関を迅速に設置すべき。

国内推進機関
ジェンダー平等を推進する男女共同参画局などの機関を機能強化するため、責任と権限の明確化、調整機能の強化を行うべき。第三次男女共同基本計画の法的枠組みとして女性差別撤廃条約を活用し、モニタリングメカニズムを設けること。

暫定的特別措置
女性の雇用、公的領域への参加、意思決定への参加を促進するため、委員会一般勧告25号に沿って、暫定的的特別措置を設けるよう勧告。

ステレオタイプ
女性の人権に対する政府内の「バックラッシュ」に懸念を表明。メディアや教育における男女の役割に対するステレオタイプを取り除くため、教科書の見直し等の取り組みを行うこと、また、公人による女性差別発言の頻発や、女性を性的対象とするポルノグラフィー、メディアにおける女性差別表現に対する政府の取り組みを求める。

 

●雇用
労働市場における女性差別と賃金格差、出産・育児を理由とする違法な解雇、セクシュアルハラスメントの横行に懸念を表明。また、「雇用管理区分」が女性差別の抜け穴となっていること、ILO100号条約にもとづく同一価値労働同一賃金の原則が国内法規に欠けていること、セクハラ防止義務違反に対する制裁措置の欠如、差別是正のための法的プロセスに時間がかかりすぎることなどを批判した。
事実上の男女平等の達成を優先課題とし、女性の雇用・昇進機会を拡大すること、賃金格差の是正、違反企業への制裁強化、および救済手段の整備を勧告。

ワークライフバランス
男女間の平等な家族責任と雇用の分担を促進し、女性がパートタイムに集中する状態を改善すること、保育施設の改善、男性の保育を促すことを勧告。

 

2003年の審査のときの同じような審査結果でした。しかし、日本政府は無視しました。法的拘束力がないからです。しかし、法的拘束力があってもなかっても、これらの審査内容をいかに真摯に受け留めるかは、政府の態度如何です。自民党が無視し続けたことを、新政府はどのように対処するか、これも見届けなければいけませんね。

 

では今日はここまで。

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