嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

女性が働き続ける上での様々な情報を提供し、また仕事上の様々な問題を共に考えます。

カテゴリ: 非正規労働

卒業生と昼食を共にしました。ランチをしたと書けば今風か!「先生とランチするなんて理解できない」と言うと、「なんで〜」と返ってきた。結構喧しい先生だったと思っているが、それが煙たいにならないところが昔の先生と生徒の関係との違いなんだろうか。二人とも30代半ば。所謂専業主婦。結婚前の彼女たちが転職を繰り返しながらも、生き生きと仕事をしていたのを知っている。「今日、ダンナに子どもを託して出てきた。『すみません。よろしくお願いします』と言った。なんで言うのやろ。強制されていないのに言ってしまう自分がイヤ」と冷静な分析で語る。
二人とも「主人」と言わないところは大いによろしい。
「喧嘩して形勢不利になると、彼は『誰のおかげで飯食ってるのや』と言う。そういう時は離婚したいと思う。けど、経済力がない。良き父親ではあるから、離婚したら子どもが可哀想と思い、子どもが大きくなるまで我慢、我慢」。もう一人は、4月から職場復帰する。保育園も決まったとか。「『保育園に入れるなんて子どもが可哀想』と夫は言う。夫の帰りは遅く、いつも子どもは寝ている。私はずっと子どもと一緒。時々息が詰まりそうになる。仕事をして、限られた時間で子どもと接する方が、ずっと愛せると思う」。
二人とも、夫の言葉に論理的に反論できない自分をもどかしく思っている。「女性の生き方をもっと学ばねば、ね。」と言ったが、無力を感じました。
一人は子連れで来ました。1歳6か月。ざわざわと騒がしく、子連れも多いレストランでの食事だったので、子どものテンションは最高潮。泣いたりはしゃいだり全身で表現する。帰宅してから気が付いた。泣きわめく子の声が騒音ではなかった。新たに保育園を造るときに、住民の反対が結構あると聞いているが、やはり騒音の主と騒音と感じる人との関係が希薄であるのが一因と実感した。

とんでもない判決が出ました。裁判官のレベルはこんな程度です。前々回に書いた経団連の見解をそのまま踏襲しています。
提訴していたのは東京メトロの売店で働く契約社員(非正規労働者)です。雇い主は東京メトロコマースといます。東京コマース裁判で検索すると記事が沢山出てきます。

以前ニュースで、彼女たちの仕事ぶりを見ました。狭い空間で乗客に対応するプロの仕事を記憶しています。何よりびっくりしたのは、瞬時の計算、即時のつり銭の用意でした。JRのラッシュ時の売店をしばし眺めていればその仕事が分かります。「あっ、この売店の人は正規だ、こちらは非正規ね」なんてこと分かります?裁判官は分かるみたいですね。なぜなら、原告4人は、売店で働く正規と非正規に仕事に違いはないから、同一賃金にしてくれ!と言っているのですが、認められませんでしたから。完敗と言っていいほどの判決内容です。

安倍首相の言うところの「同一労働同一賃金」に対して経団連は、「日本型雇用」を出して抵抗しています。日本型雇用とは、正社員は全人格を会社に捧げる社員のことです。残業、転勤、忠誠等、身も心も会社に捧げます。見返りとして出世があります。

東京メトロに転勤があるかどうか、私の勤務していた県立学校でも、片道1時半は通勤範囲内でしたから、まず県内で単身赴任とか家族を伴う転勤は皆無です。東京メトロも同様と考えると、裁判官は将来有用な人材であるかどうかを判断基準にしたようですね。同一労働同一賃金で重要なことは、今の仕事を判断することです。その人は将来有用な人になるかどうかは誰にも分りません。病気になることもあるし、適性がないことが段々に分かって来ることもあります。

売店で「この働き方をする人は正規で、この人は非正規」と客の誰もが判断できないのですから、売店の中の仕事だけで判断するべきなのです。これがILOのいうところの同一価値労働同一賃金です。裁判官は、メトロで働くすべての正規労働者と、売店で働く原告たちを比較しました。以下、YAHOOニュースが論点を押さえているので読んでください。

YAHOO ニュース【BuzzFeed Japan / 渡辺一樹】3/23() 18:36配信

メトロ販売員「仕事同じなのに」正社員と賃金差 契約社員側が敗訴

 

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東京メトロの売店販売員たち4人が「同じ業務をしているのに、正社員と契約社員で賃金格差がありすぎる」として、「同一労働・同一賃金」を求めて争っていた裁判。東京地裁(吉田徹裁判長)は323日、原告の訴えをほぼ退ける判決を下した。原告は不当判決だとして、控訴を表明した。裁判を振り返る。

原告4人はいずれも60代で、うち3人は77カ月〜108カ月勤務した後、定年退職済み。4人は雇用主のメトロコマースを相手取って、賃金格差分や慰謝料など合わせて4560万円を支払うよう求めて、東京地裁に提訴していた。

原告側の代理人・青龍美和子弁護士は「売店の販売員は、ほとんど1人で1つの店舗を担っています。みんな同じ制服を着て、開店・閉店作業から、店に商品を並べたり、商品を発注・返品したり、お客さんから道を聞かれれば教えたり、正社員であろうが契約社員であろうが、仕事の内容はみんな同じ」と主張していた。

青龍弁護士によると、仮に原告の一人が正社員として雇われていれば、賃金だけで1年あたり約93万〜100万円の格差があった。それ以外にも、次のような待遇格差があった。

・契約期間は、無期と1年契約(通算約10年更新)。
・基本給は、正社員が月給制、契約社員は時給制(1000円から毎年10円昇給、最大1100円)。
・契約社員の場合、住宅手当・家族手当・勤続褒章・退職金がなし。
・早出残業手当や、深夜労働手当の割増率が違う。
・賞与は、正社員だと夏に2カ月分+17万円、冬に2か月分+17万円、期末に10万円。契約社員だと夏に12万円、冬に12万円、期末に2万円。

このように、原告側が強調したのは、「売店で働いている契約社員」と「売店で働いている正社員」の待遇の違いだ。これが不合理な労働条件を禁じた労働契約法20条違反になると、原告側は主張していた。

判決は・・・

一方、東京地裁判決は、売店勤務の正社員が例外的な存在であること、売店専従の正社員とそれ以外の正社員とが同じ就業規則で働いていることなどを理由に、「売店で働いている契約社員」と「メトロコマース社の一般正社員」とを比較すべきだとした。

そのうえで、判決は次のように判断し、賃金・手当などの格差は「不合理とはいえない」と結論付けた。

1)契約社員は売店業務だけをするが、正社員は売店以外の多様な業務についている。
2)正社員は配置転換や職種転換、出向を命じられることがあるが、契約社員はない。
3)正社員は、エリアマネージャーになることもあるが、契約社員がエリアマネージャーに就くことはない。
4)正社員に対する賃金や福利厚生を手厚くし、有為な人材の確保・定着を図るという人事施策上の判断には、一定の合理性が認められる。

ただ、判決は1点、残業代の割増率に違いがある点について「不合理」だと認定。差額として、原告1人に対し4109円を支払うよう命じた。

原告サイドは控訴を宣言

青龍弁護士は「同一賃金・同一労働をめざす社会情勢に逆行する、きわめて不当な判決」と批判した。

原告の後呂良子さんは「私たちは、一緒に売店で販売業務をしている正社員と比較してほしいということで、裁判を起こしたんですが・・・。それ以外の管理部門なども含めた、正社員全体と比べられるのは納得がいかない」と述べ、「控訴します」と宣言した。後呂さんは「裁判で会社が変わることはないかもしれないが、労働者の意識は確実に変わっています。そのことが私の希望です」と話していた。


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世の中心ざわつくことばかりです。
では、今日はここまで。

友人が亡くなりました。個人的なことですが、彼女の死を記録しておきたくてブログに書くことにしました。亡くなったのは、このブログに何回か登場してもらった、名古屋銀行で正行員になるためにパート労働法が改正されたときに団交をし、女性ユニオン名古屋の創設者であり、既存の組織に頼ることなく、非正規で働く女性たちを束ねていく運動のリーダーであった坂喜代子さんです。2017年1月25日朝6時に逝ってしまわれました。2007.06.202007.07.01007.07.30のブログに坂さんの記事があります。2012年の夏に身体に異変を覚え、その1か月後の私の携帯に、「異変のあった前日に大学病院の団体交渉を3時間やり、労働相談や裁判の傍聴を前々日にやったりと忙しくしていた」というメールが残っています。

 

今回も同一労働同一賃金についてです。

前回は経団連の出した≪同一労働同一賃金の実現に向けて≫に示された「企業に説明責任がない」ことでした。今回は20161220日に出た≪同一労働同一賃金ガイドライン案≫(以下、政府案)に示された「基本給」についてです。ガイドラインでは以下のように記載されています。

(1)基本給

 ヾ靄楜襪砲弔い董∀働者の職業経験・能力に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の職業経験・能力を蓄積している有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、職業経験・能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、蓄積している職業経験・能力に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

 

問題点は基本給の中身です。

基本給を、職業経験・能力と明記していますが、「職業経験・能力に応じて支給しようとする場合」とあり、他の支給要素もあるかのような書き方です。パート労働者にとって、同一労働同一賃金であるかどうかを判断する最も重要な要素は職務給の概念です。ILOの「職務評価」は職務給が基本です。しかし、経団連は「日本の雇用慣行に職務給はなじまない」と主張しています。経団連の意向を汲むなら「職業経験・能力に応じて支給する場合」とするべきで、「しようとする場合」の文言は不要です。ILOからの勧告を完全に無視していないような、抜け道を上手に作っておく文のように思えます。


職業経験の文言は、パート労働者の賃金を質す場合に使えるかもしれません。同じ職場でずっと同じ年月、同じ仕事をしていたパート労働者はいる可能性はあります。これは使える文言なので覚えておきましょう。

ところが、問題なのは「能力に応じて」の文言です。能力は誰が測るのでしょうか?どういう方法で測るのでしょうか?

 

さらに、ガイドラインには、上記ヾ靄楜襪猟蟲舛砲弔い討硫鮗瓩続きます。

注)無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者の間に基本給や各種手当といった賃金に差がある場合において、その要因として無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者の賃金の決定基準・ルールの違いがあるときは、「無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的説明では足りず、賃金の決定基準・ルールの違いについて、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして不合理なものであってはならない。

 

従来、使用者の説明の中心は「無期雇用フルタイム労働者(世間でいう正社員)は転勤があるから」でした。これは主観的・抽象的ではなく具体的な説明です。しかし、これだけではなく「賃金の決定基準・ルールの違いについて、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態」とありますから、この≪注≫を素直に解釈すれば、使用者が具体的な説明義務を負うようにも取れます。しかし、あくまで注なので、具体的にどのような文言になるか、経団連の猛反撃も予想されます。

 

前回の記事について、由太郎さんからコメントを頂いています。政府案には、勿論「派遣労働者」のことについても書いてあります。最後ですけど。

3.派遣労働者

派遣元事業者は、派遣先の労働者と職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情が同一である派遣労働者に対し、その派遣先の労働者と同一の賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施をしなければならない。また、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情に一定の違いがある場合において、その相違に応じた賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施をしなければならない。

 

賃金の支給に関して、派遣労働者は「職務内容」、パート労働者は「職業経験、能力」とあります。では派遣労働者には職務評価が使えるかもしれない。しかし、「職務内容・配置の変更範囲」の文言が続きます。「職務内容」と「職務内容・配置の変更範囲」の双方を満たすことが条件なら、まずこれで派遣労働者の救済は不可能です。
さらに派遣労働者は派遣元に雇用されていて、派遣先で仕事をしています。派遣元は中間マージンを取っていまから、仮に派遣先と同じとされた派遣労働者には、派遣先は派遣元に中間マージンを含んだ費用を支払わなければなりません。「ならば、派遣労働者を直接雇用します」となるでしょうか?「何ら痛みを感じることなく解雇できる都合のいい派遣労働者」のままで働いてもらうために、使用者は「職務内容・配置の変更範囲」を持ち出すでしょう。また職務内容だから
ILOの職務評価とはならず、厚労省≪要素別点数法による職務評価の実施ガイドライン≫を使うというでしょう。これについては2013.02.01のブログを見てください。
昨日27日の第12回「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」で、委員の水町勇一郎さん(東京大学社会科学研究所)は、次のように述べています。

ここでより重要なのは、労働者の待遇について制度の設計と運用をしている使用者に、待遇差についての労働者への説明義務を課し、労働者と使用者の間の情報の偏りをなくすことである。

 

水町さんの意見が反映されたものになるのか、今後政府がどんな法律を作るのか、注視していきます。

26日にこの虹を、写真とは対岸のびわ湖ホール前から見ました。鳥は飛んでいませんでしたが.
今日はここまで。
京都新聞2017.02.06から拝借しました。

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30日、2016年最後の反原発集会に参加してきました。京都9条の会からぜんざいが振舞われ、その光景だけみれば温かいのですが、集まっている理由は深刻です。1時間の集会の最後は、関電の通用口で「来年も来るぞ」「原発廃止になるまで来るぞ」と締めくくりました。「ええ加減原発諦めたら
私としては、今年は何人かの知人の訃報もあり、今年一年そこそこに暮らせたことを、感慨深く思う年末です。

今年の締めくくりのブログの内容は、勿論「同一価値労働同一賃金」についてです。

少々遡リますが、今年6月2日付で 閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」に≪同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善≫が明記されました。

要旨は「続きを読む」に入れました。

これに対し、719日に日本経済団体連合会(経団連)が「同一労働同一賃金の実現に向けて」を発表しました。さらに、閣議決定を受け、1220日に政府はガイドラインを発表しました。
政府の打ち出した「同一労働同一賃金」は、褒めて言えば「言葉知ってたんだぁ〜」であり、冷めて言えば「どうせ言葉だけですね。」というところです。

 

「続きを読む」に入れた閣議決定の太字の内、今回は使用者の説明義務について、経団連とガイドラインはどのように言っているのかについて述べます。太字は何点かありますが、長くなるので今年の締めは簡潔に一点だけ。

正規のAさんと非正規のBさんを比べて、同じ仕事なら同じ賃金を払いましょうというのが本旨です。

最初の疑問。
AさんとBさんは同じ仕事であると、どうやって誰が判断するのでしょうか。
もし、Bさんが「同じ仕事をしているのに、なぜ賃金に差があるのか」と上司に尋ねた場合、閣議決定では「企業の説明義務」とあります。非正規が上司に尋ねることも、Bが正規Aの賃金を知ることができるのかも含めて、非正規が実際このような行動をとること自体かなりハードルが高いと思いますが、経団連は説明義務をどのように考えているのでしょうか。

経団連の同一労働同一賃金は、日本型同一労働同一賃金であり、欧米型のとは違うのだということを力説して書いています。企業の説明責任については引用します。
「労働条件の差の合理性の立証責任を使用者に負わせる仕組みのもとでは、企業はトラブルを回避すべく、正規従業員と非正規従業員の仕事内容を明確に分ける行動(職務分離)を採り、結果として非正規従業員の正社員登用機会を減少させるおそれがある」と。

ひゃ~!恫喝ではありませんか。「なぜ賃金が低いのか」を尋ねると、「正規になるチャンスを失い、泣きを見ることになるぞ」と言っているのです。

「パート労働法8条、労働契約法20条は職務内容、配置の変更の範囲(転勤)、その他の事情を考慮して不合理と認められるものであってはならない」としていますが、これで正規になった人の事例はほぼ無いに等しいと言われています。だのに、尋ねることすら「頭が高い」というようです。
さらに高齢者の再雇用についても、
「企業は60歳以降の継続雇用確保に努力しており、高齢者がもつ能力やノウハウを活かして定年前と同様の業務に従事してもらう場合少なくないが、紛争回避のため、こうした人災活用を断念せざるをえず、高齢者の活躍が阻害されるなど、さまざまな弊害が予想される。~~
以上の理由から、現行法(労働契約法20条、パートタイム労働法8条・9)不合理性の立証責任についての基本的な仕組みは変更するべきではない。

 

これは、多分、以下の判決を意識してのことでしょう。
同一労働同一賃金といえども、日本型であり欧米型ではないと至る所で協調している経団連の提言ですが、裁判に訴えたトラック運転手は、再雇用前と全く同じ仕事なのですから日本型云々は関係ありません。むしろ、仕事の内容(職務)が同じの欧米型同一労働同一賃金というべきです。日本型と欧米型を都合よく使い分けているとの印象が強いです。

2016513日の朝日新聞の記事です。

定年後に再雇用されたトラック運転手の男性3人が、定年前と同じ業務なのに賃金を下げられたのは違法だとして、定年前と同じ賃金を払うよう勤務先の横浜市の運送会社に求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。佐々木宗啓裁判長は「業務の内容や責任が同じなのに賃金を下げるのは、労働契約法に反する」と認定。定年前の賃金規定を適用して差額分を支払うよう同社に命じた。

 

閣議決定には、「経団連の基本的な考え方と」あり、これは、経団連と相談してという意味でしょうから、説明義務は省かれるでしょう。政府の出したガイドラインには説明義務は見当たりませんでした。

では今日はここまで。
 

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朝日新聞の川柳欄に「好き放題『安』にやられた年の暮れ」を発見。「年の暮れ」は「一年中」とした方がいいのでは…。今年の漢字は「安」です。これで、またまた感違いする人が一人いますよね。「ぼくって、そんなに人気あったんだ」と。今後「安」という字を見るたびに、「不安」がもくもくと湧いてきます。

さて、こんなに長くブログを更新しなかったのは初めてです。労働問題に関する他の方の書かれたのを拝見していると、足元にも及ばない鋭い内容で、私なんぞが、無い知恵を絞ってうんうん言いながら書くこともないだろう、そろそろこのブログも精神的負担になってきたし、なんてうだうだと思う2か月でした。私しか書けない内容は何か?で、今回は、ハローワーク雇止め裁判の大阪高裁判決を報告します。1125日の判決の日、他用があって傍聴に行けませんでしたので、臨場感はありませんが、その分丁寧に、を心がけました。高裁判決は敗訴でした。最高裁へ上告するかどうか、控訴人は悩んだそうですが、「上告する」と決断されました。4人の弁護士が、上告理由を書かれます。費用がかかりますので、現在裁判費用のカンパを募っています。末尾に、カンパの振り込み先を記しますので、額は問いませんので、ご協力ください。

さて、この裁判のそもそもの原因は原告が雇止されたことです。原告側は、なぜ彼女が9年間も契約更新をしてきたのに、この時に限って契約更新されなかったのか?それは、職場で起きた、彼女の同僚への上司からのセクシャルハラスメント(以下、セクハラ)を、その同僚の側に立って、彼女が上司に苦言を呈したことが、直接の原因だと考えています。しかし、彼女がセクハラを受けた訳ではなく、また、セクハラを受けた同僚が、PTSDで苦しんでいたので、証言してもらえない可能性が大だったこともあり、争点を「期待権」にしました。期待権とは、次年度も働き続けられるという確信でしょうか?彼女が、勝手に期待を抱いていたのではなく、確たる上司からの言葉があったからです。9年間も働いていたということは、彼女の能力に問題があったことではありません。なぜ、更新がされなかったのか、それは、彼女が従事していた職務がなくなったから、「更新されたければ他の職務の公募試験を受けなさい」と言われたからです。原告弁護団は、この公募についても反論しました。確かに、国からの方針で、ハローワークの職務の整理統合が行われました。例えるなら、今まであったAとCの職務がなくなり、AとCの両方を兼ねるBという職務が現れました。今までAに従事していた彼女は、試験を受けます。これで採用されたのは、Dの職務をしていた人でした。この職務に関しても、彼女がAに従事していたことを、当時の座席表、同僚の証言(文章のみ)で証明しまし
たが、裁判官は採用しませんでした。

ここでややこしいのは、非正規公務員という立場です。公務員は、正規、非正規を問わず「任用」という言葉が、使われます。
問題点は、非正規公務員も、「任用」という正規公務員の採用の概念と同等に扱われなければならないのか?です。
この点についての解説を読んでください。
民間企業などで働く労働者は、使用者との間に「労働契約」を締結して、その法律関係は労働契約法により規律され、労働者保護が図られています(例えば、解雇に関する労働契約法16条、就業規則不利益変更に関する労働契約法10条など)。しかし、公務員については、実務では「労働契約」が存在せず、民間企業で働く労働者に適用される労働契約法は公務員には適用されないという法解釈が支配的です。このように、公務員について「労働契約」の成立を否定する考えの論拠は、公法と私法とを峻別し、公務員と国・地方自治体との関係は「公法」であるから、私法とは異なり労働契約は存在しないし労働契約法も適用されないというのです。この考え方によれば、民間の労働者とは異なり、公務員は労使合意によって「労働契約」が成立することはあり得ず、国や地方公共団体が一方的に「任用」するに過ぎないとされています。
(公務員と労働契約
−「非正規公務員」の現状−/嶋量(事務所だより20131月発行第46号掲載)
ということは、労働法で地位が守られていないから、その人を解雇するのも、契約更新するのも、上司の胸三寸ということになります。民間の非正規労働者に適用される労働契約法では、解雇について厳しい規定があります。例え、それが空文であるとしても、です。

また、この裁判で、原告は期待権と共に、9年間も非正規で働かせたこと自体が間違っていますと訴えています。
判決は「原告が、契約更新の期待を持つような上司からの言動はなかった」というものでした。基幹業務を長年非正規に担わせていたことについては、何も言及されていません。

弁護団は、判決は、労働契約法16条により民間では理不尽な解雇は許されないにもかかわらず、公務員の世界は上司が次回も採用すると誤解をあたえた場合のみ、期待権の裏切りとして採用されるケースがある。全国で、このような裁判が10件闘われているが、その期待も裏切るのか追求しなければならない。民間であれば救済される事案。行政任用行為で雇止めの法理はどの法律に書いてあるのか?任用で押し切られているが、任用の根拠を示さないのが裁判所の判断だ。最高裁に政的な判断をしてもらわなければならない。流れをかえなければならない」と、判決後の集会で述べました。
 最後に、原告の訴えです。
茨木のハローワークで恒常的基幹業務を、1年更新しながら何年も非正規職員に委ねている実態がそもそもおかしい。「安い給料でよくやってくれている。後は資格を取って客観的根拠を作ることやね」と言われて、勧められた資格を取得したら、普通に働き続けられると期待するでしょう。英語対応もし、求職者セミナーも職員研修も担当してきて、9年間職場に貢献してきたのに。私がセクハラ被害者支援をしてから、雇い止めになるまでの経緯についても、何時間もかけて苦しみながら書き起こした陳述書についてまるで顧みられず、「確かに、控訴人は、セクハラ被害者支援活動をおこなったことがあった。しかし、公募にしたことには必要性も合理性もあった」とだけ結ばれています。公募が排除のための仕掛けになっていることに気がついて欲しい。

 最後に、裁判官が最優先の判断基準にしなければならなかったことは、生存権であったと、私は考えています。原告の時任さんは、在職中に生活の苦しさを上司に訴えています。実際、彼女は予想もしなかった雇止めになった後、最貧のどん底の生活をしなければなりませんでした。息子が高校に入学したばかりの時です。上司は、この人を解雇したらどんな生活になるかと分かっていた筈です。彼は、会社経営者ではありません。彼女を解雇しなければ、会社が存続できないというのではないのです。宮田課長の懐は全く痛まないのです。この課長の他者を思いやることのない行為こそ、裁かれるべきでなかったかとも思えます。私は、日産のゴーン社長にはなれない。多数のワーキングプアの非正規労働者が、彼の年収9億円を支えているのです
郵貯
ハローワーク雇い止め裁判を支援する会
口座記号 00990-2-233526
では、今日はここまで。

ハローワークで相談員として働いていた非正規の女性が、契約更新されなかったのは、原告の任用更新に対する期待利益を違法に侵害し、これにより損害を被ったとして、慰謝料の支払いを求めて大阪地裁に提訴していた裁判の判決が、5月29日にありました。「原告の訴えを棄却する」と、たったこれだけの裁判長の言葉。その間3秒、大病院の診療時間だって3分間くらいはあるのに…。3年間の裁判でした。

判決文は「《職員の任免》74条に基づき、任用期間が経過し、任期満了により退職したというほかはないから、任用予定期間経過後に再び相談員として再任用しなかったからといって、直ちにその権利ないし法的利益が侵害されたとはいえない。」でした。

一年ごとの任用を繰り返し9年間働いていた原告。それまでの更新時に試験はありませんでした。なぜこの年だけ公募をしたのか?原告側は、原告がセクハラを受けた同僚から相談を受け、その同僚に弁護士を紹介したり、上司に直言したのが一因であると考えています。が、それ争点にすれば、「そんな意図はありません」と否定されるだけ。有能な原告に「よくやっていただいています」「資格も取られたらどうですか」と複数の上司が言った言葉は、次も更新があるだろうと期待を抱かせるに十分であったという点を問題にしました。こちらの方が、争点は原告個人のだけの問題ではなく、多くの非正規労働者の共通の争点だからです。そして、期待権を抱かせるに十分な証拠を出しました。が、原告の訴えはことごとく退けられました。

判決はまた「セクハラがあった年の次の年度は採用されているではないか。だからセクハラが原因ではなく、原告に能力がなかったからだ」とも言っています。同僚にセクハラをした上司は、処分を受けています。その報復を、同じ年度にするでしょうか?そんなことをすれば報復人事だとすぐにばれます。

ここで肝心なことは、非正規公務員は、上記判決文にある《任用満了で退職した》という文言で職を失うことです。原告は公募と称された試験を受けました。15分後には「更新なし」の結果が出ました。彼女の代わりに他の人が任用されました。正規職員なら、能力がなかったとしても簡単に解雇されることはありません。労働者は何よりも働く権利が尊重されなければいけませんから。そこには生存権がかかっています。原告に能力がないのなら、9年間も働き続けられていた訳がありません。なぜ毎年更新されていたのでしょうか?

非正規労働者は、使用者の思惑一つでどうにでもなるということこそ問題にはしなければなりません。公務の非正規労働者になぜ、正規職員と同じ「任用」という制度が適用されるのかこそが問題なのです。今や、公務労働に従事する非正規労働者は、公務員の半分を占めています。それだけ「仕事」があるということです。毎年毎年、非正規労働者が継続的な仕事をすることの方が問われなければなりません。

私も、41日に現職の先生から「講師に来てください」と依頼を受けました。もし受けていたら、私は「任用しますという辞令」を貰っていたはずです。授業を持つ前に、公務員が法的に守らなければならないこと、任用という言葉の意味、そんな研修を受けることはありません。即授業です。経験のある者ばかりでははありません。大学を卒業した人が即講師になる例は多々あります。どう考えても「任用」ではなく、「労働契約」の下で働くというのが妥当な考えでしょう。
国を相手に、地方自治体を相手に、公務に従事する非正規労働者が地位確認を求める裁判は、すべて敗訴です。それは公務員が労基法で守られる労働者ではないからです。この仕組みを変えない限り、もしくは、恒常的にある仕事には非正規ではなく、正規の公務員を充てない限り、労働者としての権利のない非正規公務員の問題は解決しません。多分、原告は大阪高裁に控訴するでしょう。誰かが声を挙げないと、誰も気づかないままの、大きな問題です。

ではきょうはここまで。

派遣法についてコメントを頂きました。頭では分かっていたつもりでしたが、「ずっと派遣」が可能になれば、失業したときの給付にも影響することに考えが至りませんでした。生涯派遣ならば、次のステップへ移るのは自己都合退職しかありません。自己都合退職なら雇用保険支給期間90日、会社都合なら180日です。左にあるコメントを読んでください。
さて、前回のブログでは、来年度予算の新聞記事からそのまま引用して終りました。日本の借金は1000兆円を超えています。
来年度予算の記事の『年金、介護、生活保護−生活に困難が生じたときの支えが社会保障だ。予算案では低所得者への手当てが軒並み削られる。年金給付を抑えるルールの発動や新法の施行も重なり、弱者にのしかかる。』が、労働者の生活にどのように影響するのかに私は注目しました。では、他の分野の予算も同じように減額されているのでしょうか?
ところが増額されている分野もあります。
それが防衛費です。
記事から一部引用します。

防衛費:過去最高に 南西諸島強化 来年度予算案

 政府の2015年度予算案の防衛関係費が、過去最高の約49800億円になる見通しとなった。 防衛関係費は02年度をピークに減少傾向が続いたが、第2次安倍政権発足後の13年度で11年ぶりに増加に転じた。防衛省関係者は「安全保障環境が厳しくなる中での予算減額は誤ったメッセージを周辺国に送りかねない」と増額理由を説明した。(毎日新聞 20150111日) 

将来に、日本の借金を少しでも少なくすることついては、国民誰もが異論のないところでしょう。予算配分をどのようにすれば、人々が安心して暮らせるようになるのか?来年度の予算を見ている限り、政府は社会保障費を減らしてもこれが可能だと考えているようです。

ギリシアの首相に、反緊縮政策を掲げる急進左派進歩連合のリーダー、弱冠40歳のチプラスさんが選ばれたと報じています。(2015.01.27)

(書きつつしょっちゅう中断するので、記事の日付はどんどん古くなります。)

ギリシアは、2009年に巨額の財政赤字隠しが発覚し、EUやIMF(国際通貨基金)から巨額の支援を受けてきた。しかし、緊縮策で景気が冷え込んだために、見込んだ税収は得られず、貧富の差が拡大する悪循環に陥っている(同日、朝日朝刊)

「借りたものは返さなあかん」と誰しも思いますが、どの分野を削減して返すかで全く異なった状況になった国の例があることを、前回も書いた「経済政策で人は死ぬか?」(デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス著、橘明美・臼井美子訳、草思社)で知りましたので、興味深くギリシアの首相の選挙の記事を読みました。

まず、ギリシアに貸した国々(代表はドイツ)は、財政収支の改善、その中心は社会保護制度の削減を要求しました。
その結果、ギリシアはどうなったか?
・失業率の上昇、住宅差し押さえ件数の上昇、個人負債の増加等々。

次に、IMF(国際通貨基金)は、公衆衛生予算40%削減緊縮政策を要求しました。

で、ギリシアに何が起こったか?

・医療制度の改革と近代化の指示→処方薬支出の削減→病院は必要な医薬品・医療用品の調達ができなくなり、抗生物質などの基本品目まで不足する→購入が代金の支払いの滞った製薬会社がギリシアから撤退→5万人の糖尿病患者からインシュリンが奪われる。
・臨床医・医師・公衆衛生に携わる職員35000人を削減。
2007年から2009年にかけて自殺率24%上昇。(ギリシア正教では、自殺者は教会で埋葬してもらえないので、自殺の申告をしない人も多々あると想定される)
・「対策予算削減」による感染症の拡大→アテネ中心部でのHIV感染者の急増←注射針の使い回しによる感染→使用済みの注射針&注射器を減菌済みのものと無料交換する「注射針交換プログラム」予算削減により、麻薬患者一人当たり年間200本が、3本に削減。 

で、効果のほどはどうなったか?
ギリシアは巨額の資金援助を受け、大胆な緊縮プログラムを実施した。それにもかかわらず、2011年に入っても経済は回復の兆しさえ見せていない。

これをニューヨークタイムズ紙は、

IMFとECB(欧州中央銀行)はギリシアに資金を投入したが、その資金はギリシアを経由して、イギリス、フランス、アメリカ、ドイツの債権者に戻っただけ。つまり、ギリシア救済策というのは、公的資金でギリシアを救うのではなく、無謀な投資をして(ギリシアのバブルを煽る)、失敗した大手銀行を救うことでしかなかった。

なぜ、ギリシアは多大な痛みを伴う緊縮政策をしているにもかかわらず、回復しないのでしょうか?ここからが示唆に富む提言です。

それを著者は、「政府支出乗数」にあるとしています。IMFは、「政府支出乗数」を0.5と想定しています。一体、「政府支出乗数」とは何なのか?

調べましたが、微分もあって、わかりません。一応、定義は以下です。

政府支出乗数」とは?政府支出乗数とは、政府支出(G)の変化が国民所得(Y)に与える影響のことで、Y/Gで表されます(デルタは、変化分を表す記号です)。

著者は、膨大なデータを洗い直し、IMFの0.5は間違っていると警鐘を鳴らしました。IMFは、軍事費も医療費も同じように0.5としたのです。著者は、保健医療分野の投資は雇用を生み(看護師、医師、技師)、技術開発を促し(実験研究、イノベーション)、根本的な景気刺激策となりうると言ってます。。即ち、どの分野に重点的に支出するかで景気の回復度が違ってくるというのです。

最も景気回復に効果がある分野は保健医療の分野で、1以上の効果があります。それに比べて軍事費を増やしても、その経済的効果は0.5しかありません。だから、IMFの指示通りにしていたギリシアでは、支援のはずの救済策は、実際には雇用減少、消費低迷、投資低迷、信用失墜といった負のスパイラルを招き、その弊害が「健康危機」になって表れたということです。

成功したのはアイスランドです。
著者は、同じように経済危機に陥ったアイスランドを例に挙げます。アイスランドはIMFの強引な緊縮政策を拒否し、むしろ社会支出を増やしました。国が破綻するという未曾有の状況にありながら、保健医療費支出を20%増やしました。そしてアイスランドは見事に危機を乗り切りました。

要は、瀕死の病人から金を取り戻すには、まず健康になってもらい、その上で働いて借金を返してもらいなさいということです。「当たり前やんか」と素人の誰もが思いますが、この本の説得力のある点は、著者が、データを用いて分析した点にあります。いろんな例を挙げて読みやすい本になっています。私は、大津市立図書館で借りました。是非読んでみてください。
ここでは、医療を中心に紹介しましたが、同じように、経済を立て直そうとすれば、失業対策、住宅政策が重要だということをアメリカなどの国の例をあげて説いています。

ようやく結論です。
労働者の雇用を安定させ、人々が日々の生活ができてこそ、健全な財政状態が作れるのです。来年度予算は、経済政策の面からも間違っているということです。勿論、政府の目論んでいる労働政策も。
では今日はここまで。


 


 



 

余りにも沢山のことがあって、このブログに書くことが軽く思えます。

コメントを頂いたので、コメント欄にご本人の了解を得て載せましたが,読んでくれましたか?
左のコメントをクリックしてみてください。

政府は、今国会で性懲りもなく労働者派遣法を改悪するようです。

次の連合の記事にある「嘘」に、派遣で働く人たちの怒りはいかばかりかと思います。

(連合の記事を抜粋するつもりでしたが、どれもカットできないので、全文です。

気になる点は太字にしました。まず、厚労省の役人が、こういうところに行くのですね。派遣法に反対する労働者側の会合には行くのかしら?)

@連合通信150127日「派遣法改正案は良い中身」/業界団体の新年交歓会/政財官関係者らが絶賛】

日本人材派遣協会が1月27日、都内で新年賀詞交歓会を開いた。そこでは、労働組合などから強い批判を受けている労働者派遣法「改正」案について、関係する議員や厚生労働省の担当者らが今国会での成立に向けて意気込みを語った。

「雇用安定に資する」

 同協会の水田正道会長(テンプホールディング社長)は、「何としても派遣法改正案の今国会成立を」と強調したうえで、「改正案は、雇用の安定化とキャリアアップに資する内容であり、規制強化の一面がある」と述べた。同日開かれた会見のなかでは、「『生涯ハケン』など格差が固定化されるとの批判については、現状の派遣スタッフのニーズや志向を考えると、現実的にはありえないと断言できる」とした。
自民党の田村憲久衆議院議員(前厚生労働大臣)は、派遣法改正案の再提出に向けて与党協議を進めていることを紹介したうえで、「キャリアアップと雇用の安定は社会のニーズであり、派遣業界がその崇高な役割を担っている」と述べた。
 維新の党の柿沢未途衆議院議員は、竹中平蔵パソナグループ会長がテレビ番組で「正社員をなくせばいい」と発言して批判を受けたことに触れ、「間違った発言とは全然思っていない。正規と非正規の垣根をなくし、職能給から職務給への転換は、好むと好まざるとにかかわらず、今日本が突きつけられている問題」と指摘した。

「ようやく人間扱い」

 厚労省の富田望需給調整事業課長は、「派遣法改正案が『一生ハケンで低賃金』というレッテルを貼られ、非常に良い中身なのに、レッテルの議論に終始してしまった」とこれまでの経緯を振り返った。法案の内容については、「労働者は期間が来たら使い捨ての『モノ』扱いだったのが、(今回の改正で)ようやく人間扱いする法律になってきた。派遣をステップに次のキャリアにつなげていく、労働者に着目した初めての法案 



なんたる見識の違い!などと感動している場合ではない。まったく、何を根拠にこのような発言ができるのか。要は派遣業が儲かるからでしょう。そこには労働者に対する理解も尊敬の念もありません。

労働者がまともに生きていけるだけの賃金が保障され、契約更新の有無に怯えることがない社会。これが基本中の基本だと思うのですが、政府はそれを保障しなければならない。まずは、来年度予算の概要を読んでください。これが雇用とどう結びつくかは次回に。来年度予算の記事は「続きを読む」にあります。
今日はここまで。

続きを読む

次の「職場の組織図」を見てください。

4つの部署があります。□:正規職員、●:8時間勤務の非正規、○:7時間勤務の非正規

A部署は□・□・□・●・○

B部署は□・□

C部署は□・□・●・●

D部署は○(アさん)・○・○

●と○は、単に労働時間の違いだけではありません。○はパート労働法対象者です。●はフルタイムパート(へんな言葉!)なので、パート労働法は適用されません。

ここからが問題です。

D部署の○(アさん)は、正規職員と比べて賃金が低いことを問題とします。D部署は、この組織図の重要な仕事をしている部署です。しかし、全員が非正規です。ということは、外部から見れば、彼女たちは正規職員と思われています。
では、○(アさん)は、誰と賃金を比較するべきでしょうか?

「勿論、正規職員と比較するべき」と答える人が大多数でしょう。D部署には非正規しかいないから、D部署の三人では比較できません。○(アさん)は、裁判に訴えました。裁判官は「アさん、あなたは賃金額をどれくらい欲しいのか、明確に立証していないから却下します」という判決をします。同じ部署に正規職員がいれば、その人との仕事内容と比較して、それを賃金差に当てはめることができます。言い換えれば、裁判官は「同じ仕事をしている部署に正規がいないから、比較できない」と言っているのです。D部署の三人は永久に、「正規並みの賃金を」ということができません。A・B・C部署の正規職員と比較するのが、同一価値労働同一賃金の考えです。裁判官は、ILOが日本政府に勧告している、職務評価制度を知らないということを露呈した判決です。これでは、非正規は救われません。アさんの悔しさは想像に余りあります。

 

住んでいる地区の「ガラス瓶の収集方法」が変わりました。

透明瓶と茶色瓶はガラスの収集日に、それぞれ市の指定袋に別々に入れて、それ以外の瓶は「燃やせないゴミ」の日に出してくださいとのことです。

今までは、瓶ならば何色でも「瓶」の収集日に出すことができました。

最近、国産ワインを愛飲しています。緑色です。先日、呑んだドイツ産ワインは透かして見るとブルー系、透かさないと茶色に見えます。友人から貰って大切に呑んでいた日本酒の瓶はすりガラス状でした。

苦情兼要望を伝えるため、市に電話しました。電話で対応してくれたのは女性、「同じ苦情を何件も貰っています」とのこと。「上司に伝えます」との返事に、雇用形態を聞きました。非正規だそうです。上司に伝えても、上司が動かなかったとき、彼女に「ちゃんと改善してください」と言う権限はないでしょうね。市民の声を直接聞くところこそ、正規の職員を配置するべきです。全員が正規職員があらまほしき姿ですが…。公務員バッシングの結果の公務員削減は、時として何倍もの無駄を生みだしているかもしれません。


大学で教えている友人の話し。女子学生の結婚願望が強く、働く意欲が薄いとのこと。「一生、男性に経済的に面倒見て貰えると思っているの?」との私の問いに、「単なる願望だけ。男子学生は働くことにもっと暗いイメージしか持っていない」との返事。国家戦略経済特区とか、残業ゼロとか、派遣法の改悪とか、限定正社員とか、解雇制限の緩和とか、そりゃ、過労死、低賃金の将来しか浮かばないかも知れませんね。こういう若者のこと、安倍さんは分かっているのかしら?

このブログは、学者が書く労働問題ではありませんから、出来るだけ私の見聞きしたことを発信したいと思っていますが、最近、身近なそういう話題がありませんので、更新ができませんでした。

では、今日はここまで。いよいよ梅雨です。
黴を生やさないように気をつけましょう。

4月末から風邪をこじらせて、咳が止まりません。白河法皇が「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と嘆いたとか(平家物語第一巻)。咳も加えて貰いたいわ。
在職中、試験監督のときが最も気を遣いました。一所懸命、脳みそを総動員して問題と向かい合っている生徒の邪魔だけはしたくなかったからです。

で、ままならぬ連休をうだうだと家で過ごした私ですが、今まで、ゴールデンウィークの、ゴールデンという言葉に特に違和感も持たずに働いてきました。でも、最近は「非正規の人の賃金が減る」と思うようになりました。派遣で、事務職で働いているシングルマザーの卒業生の顔が浮かびます。

労働者派遣法の見直しとか、「残業ゼロ法案」とか、政財界の人は真面目に「労働者も人間である」と考えているのでしょうか?

今回のブログの内容は、3月30日の続きです。3月30日の内容は、3月29日に大阪であった「ハローワーク雇い止め裁判を支援する集い」で、3人の元原告たちの話の紹介でした。今回は、この集会の主人公である原告の話です。

彼女(以下、Tさん)が提訴したのは2年前でしたが、おおっぴらにこの裁判を語れるようになったのはごく最近のことです。だから具体的にはこのブログでも取り上げて来ませんでした。

その流れが変わったのは、弁護士が腹を括ったからです。なかなかの物騒なもの言いですが、セクシャルハラスメント(以下、セクハラ)の二次被害が絡むややこしいケースだからです。

事件は2009年、原告Tさんが9年間勤務していた大阪府下のハローワーク(以下、HW)を雇い止めにされたことが原因です。原告Tさんは、上司からセクハラを受けたと、同じ職場の同じ非正規雇用の女性同僚から相談を受けました。このセクハラ事件は問題となり、その後示談となりました。そして、セクハラをした上司は懲戒処分を受けました。しかし、セクハラを受けた当事者の傷は深く、その後もずっとPTSD(心的外傷後ストレス傷害)に苦しむことになりました。TさんがTさん自体の「雇い止め」裁判のことを公にする、例えばマスコミに話すと、このことを見聞きしたセクハラの被害者のPTSDがさらに深くなるかもしれないことから、なかなか公に出来ませんでした。
しかし、このブログで書いている男女賃金差別裁判で闘った原告たちは、マスコミへ訴えることによって、裁判官へ「ある女性が訴えている個人的なことがら」ではなく、全女性の問題であるとすることで、多くの支援を受けて闘ってきました。

セクハラ被害者がさらに二次被害で苦しむかもしれないことを考えて、歯切れの悪い支援体制でスタートしたのです。しかし、そもそもはセクハラをした上司が悪いのであって、原告Tさんが裁判で十分に闘えないのはどう考えても納得できないと、弁護団が腹を括られたのです。セクハラに苦しむ女性が多くいることを知る弁護士にすれば、複雑な立場です。だから2年後の今年の3月29日に、ようやく「支援集会」を開くことが出来ました。

HW裁判の原告Tさんは、このセクハラを受けた同僚から相談を受けていました。Tさんは、この被害同僚に代わって上司と話をするなどして支えます。ここから、Tさんに対する嫌がらせが始まります。そして、毎年雇用されていた契約がこの年度最後の3月29日に「更新しません」と通告されたのです。
3月29日という日は、Tさんにとって忌まわしい記念すべき日なのです。(上司は、子どもを抱えたシングルマザーのTさんの明日からの生活をどのように考えていたのでしょうか?路頭に迷うかもしれないとは思わなかったでしょうか。)だから、3月29日という日に公に支援の集いをしたということは、Tさんにとって感慨深いものであったのです。
彼女は非常に優秀な相談員でした。「優秀」というのは、裁判で原告側が主張する言葉だし、被告は「普通、劣っていた」と表現する抽象的な概念です。目に見えないものを論争するのはなかなか難しいことなので、彼女がどれくらい優秀であったかは、弁護士によって証拠が提出されています。被告はHWなのですが、HWは国の機関なので、Tさんは国を相手取って裁判を起こしたことになります。常時被告の弁護士は5人、全て税金が投入されています。この税金分を考えれば、Tさんを継続雇用しておいた方が安くつくのではと思っています。多分、この裁判は最高裁まで行くでしょう。最終的に、国が弁護士に支払った額を情報公開請求して知りたいと思っています。これも特定秘密になったりして、永久に謎かも。

今まで8回の契約更新をしてきたHWが、Tさんに「来年から来て貰わなくて結構」と告げるには、何かのきっかけを利用しなければなりません。関係のある記事がありますので、ちょっとだけ紹介します。

≪ハローワーク職員1200人を年度末雇い止めー公募方式が拍車かける官製ワーキングプアの雇用不安≫
(「連合通信・隔日版」2014220日付No.8814
 ハローワーク(公共職業安定所)の内部で、今年も大量の非常勤職員が雇い止めされようとしている。特に問題なのは、業務があるにもかかわらず3年を超える労働者を一律に退職させて「公募」にかける事態が想定されていることだ。公募で再び採用されるとは限らず、職場では「雇用不安をあおるだけ。これでは業務に必要な経験と専門性を維持できない」と、困惑が広がっている。

Tさんは、2011年3月29日に雇い止め宣告を受けましたが、以前から、上司に「あなたは必要な人材です」「あなたはよくやってくれている。あとは資格を得ることやね」と言われていました。Tさんは、30万円を投じてキャリアコンサルタントの資格を取得します。当時の彼女の月収は15万円、どれほどの犠牲の元に彼女が学校に通ったかが分かります。
HWの正規職員の場合は、正規なんだから資格を取得する必要はありません。HWの組織を知らない者からすれば、キャリアコンサルタントの資格とは、非正規職員が雇用継続を願って独自で資金を投入して取得するものでしかないように思えます。必要ならば、正規職員も全員資格を取得するべきです。タクシー運転手が運転免許証が必要なように。

「キャリアコンサルタント」、私には聴き慣れない言葉です。官僚の天下りのために作った資格ではないかと思います。Tさんに確認すると、研修内容は、必ずしも質が高いようではありません。講師によっては、女性差別的な発言があったとか。Tさんは、雇用継続を願って、HWの試験を受けます。そして不採用になりました。

HW即ち国の言い分は以下です。

*Tさんの雇い止めとセクハラ被害者の支援とは関係ない。

*不採用は、Tさんよりも適正と能力を有するAさんがいたからである。

*Tさんが応募した職は、Tさんが今まで経験してきた仕事内容と異なり、相談窓口業務だから、Aさんの方が経験がある。


使用者は強いですね。採用試験の内容、経緯、結果に至るまでのあらゆる情報を原告Tさんは知ることができません。Tさんではなく、採用されたのはAさん。Aさんは「相談窓口経験者である」からとHW側は言っていますが、Tさんも相談窓口業務だったのです。これに関しては、元同僚(正職員)が「Tさんは相談業務だった」と証言をしてくれています。また、HWに求職に来た人たちからのお礼状を何通もTさんは持っています。とても丁寧な親身になっての対応だったことが手紙の内容から伺えます。お礼状を貰っているということは、相談窓口業務をしていたからです。Tさんは、HWで働く以前の経験を活かして、職場の研修の講師もしています。受講者は同じ職場の正規職員も含まれています。優秀でない人が、職場の研修担当を任されるでしょうか?

個々に反論はできますが、HW側が不採用の全ての情報を握っているから、そこを切り崩すのは至難の業です。今まで、非正規労働者が雇い止めになったことで争い、最終の上級審で、非正規労働者が勝った判決は一つもありません。


Tさんのような例は多々あるでしょう。Tさんが裁判で争う決断をした理由は、まずは個人的なことが発端ですが、彼女はこうも述べています。
「これ以上使い捨てにしないで!ハローワークで働いてきた非常勤職員が、こんなにも理不尽に簡単にあっけなく職を奪われる現実を知ってほしい。」

非正規で働く、それも家計を主として支えている女性卒業生の顔が重なります。

では、今日はここまで。

 

 

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